#850 マザーシップ起動とエクスマキナの星
俺たちはマザーシップのブリッジに入る。
「広いな~」
「戦闘するためには最低でもバトルシップの二倍の人数が必要となります。欲を言えば三倍は欲しいところです」
「あぁ…だからサブエクスマキナの起動人数が増えたのか…」
「そういうことです。マスターには後で起動をお願いするとして、まずはマスターの席はこちらです」
はいはい。いつもの奴ね。分かってますとも。でも俺も進化しているし、きっと余裕が残るはずだ。
「…容赦ねー」
全部魔力を持って行かれた。きっとどれだけ魔力があってもこの船はゼロにするんだろうな。
「マスターの魔力は上質ですから。マザーシップも喜んでますよ。その証拠に…マザーシップ、全システム起動」
全ての機材の電源が入る。これが証拠なのかわからないが問題が無さそうで良かった。
「まずはマザーシップの全武装をモニターに出します」
「頼む」
表示されたのはこんな感じ。
マザーシップ:レア度10 船 品質S
耐久値:10000000
武装:エビデンス・ゼロ
エクスギャラクシーキャノン×4
デウスエネルギーマシンガン×8
メーサーガン×4
デウスエネルギーバスターキャノン×8
メーサーキャノン×4
ツインホーミングレーザー×8
16連装ミサイルポッド×4
8連装ミサイルポット×4
4連装魚雷ミサイルポット×4
ガトリングフライヤー×8
レーザーフライヤー×12
シールドフライヤー×12
スタンフライヤー×5
ウェザーフライヤー
マザーシップバリア
カモフラージュバリア
星間跳躍装置
星間通信装置
異次元航行装置
宇宙航行装置
重力制御装置
超遠距離索敵レーダー
フィールド探査レーダー
超次元レーダー
デウスエクスマキナ装甲
デウスマザーエンジン
支援要請:母星、プラネットデストロイヤー
地球を侵略する宇宙人の気分だ。そもそも主砲でエビデンス・ゼロを撃つなよ。いや、神様もビビる兵器なんだから主砲に持ってくるのは当然かも知れない。
そして支援要請で母星とある。つまりエクスマキナの星から攻撃が飛んでくるということだな。兵器の名前がおっかないぞ。惑星は大切にしてください。でもこれがあるって事はいつか使う日が来るってことかな?もしそうなら、このゲームは全滅エンドになる気がする。いや、俺は生き残るんだろうけどね。
俺が絶句しているとモニターに何かが出る。
「イクス、これはなんだ?」
「母星からの通信です。わたしがデウスエクスマキナになり、マザーシップが起動したことを察知したんでしょう。これでもしかしたらマスターの悩みが解決するかもしれません」
それって、武器の素材がなんとかなるかも知れないってことか?
「どうしますか? マスター」
「通信を繋いでくれ」
「イエス、マスター」
モニターに男のエクスマキナが映る。
『こちらは母星テオス。新たなデウスエクスマキナよ。応答せよ』
「わたしが新たなデウスエクスマキナ。名前はイクスと言います」
『女性のデウスエクスマキナだったか。わたしの名前はアポ。テオスで王をしている者だ。あなたはこちらからの指令を覚えているか?』
「デウスエクスマキナになったことで指令を始め全ての情報を知りました」
あぁ…それで何か分かっている感じだったのか。納得した。
『では、指令の答えを聞こう』
「この星には我々が欲しいエネルギーは存在しています。しかし我々はこの星に永住するのは難しいと言わざるをえません」
『そちらのことは承知している。送り込んだエクスマキナたちがほぼ全滅したこともな。エネルギーだけでもなんとかならないか?』
「我々が欲しいエネルギーはわたしのマスターが多数所持しています。そして母星に供給することが可能です」
あぁ…イクスの意図が理解できた。恐らくエクスマキナの星ではエネルギー不足でそのために色々な星でエネルギーを探した結果、この星にやってきたってことだろう。
エクスマキナたちはこの星に永住をしたかったけど、攻撃を受けて戦争することになった。でもエネルギーが欲しいからイクスは交渉が成り立つと判断したわけだ。
問題はエネルギーが何かだよな。俺の魔力?いや多数所持ならアイテムのはずだ。
『それは本当か! あぁ…良かった。一応確認するがお主のマスターは良いマスターか?』
「わたしが知る限り、マスター以上の良いマスターを知りません」
『そうか…では、マスターを含めてテオスに来ることを許可しよう。エネルギーとなる物を持って、来て欲しい。場所は…今、送信した。指定した座標に星間跳躍をしてくれ』
「了解しました」
通信が切れた。さて、イクスから話を聞くと流れは俺の予想通りだった。
そしてエネルギーというのはエーテル結晶やマナクリスタルなどのことだった。これが武器の素材になってくれるならこちらのものだ。
ということで俺は素材をたくさん持って、マザーシップに乗ると星間転移で初めて別の星に転移する。
「星間転移、完了です。大丈夫ですか? マスター」
「あぁ…ちょっと目がチカチカしたぐらいだ」
光がたくさん流れる綺麗な光景だったけど、いきなり普通に戻るとダメージがきつい。
「そういえば外には普通に出れるのか?」
「ここはマザーシップのドックなので、問題ありません。ただ星の外に出るのは危険なので、気を付けてください」
俺たちが外に出ると完全にSFのドックだ。そしてそのドックには他のマザーシップがたくさんあった。
「これは凄いな…」
「妙ですね…こんなにもマザーシップがあるのは変です」
「そうなのか?」
「はい。普通ならエネルギー探しに出払っているはずです」
なるほど。確かにさっきの王様の様子からしてもこの状況は変だな。本当にエネルギーが手に入って、ホッとしている感じがしたからな。更に変な状況は続く。エクスマキナの星なのに誰もいないのだ。
「どうやらわたしの情報より状況は切迫しているようです」
「もしかして、エネルギーが枯渇しているのか?」
「いえ、電力があるので、完全に無くなっているわけではありません。王様からの通信も来ましたから、少なくとも王様は起動しているはずです」
それはそうか…でも余裕がないのは確かみたいだな。俺はイクスの案内で王様の所に向かう。途中で外の様子を見ることが出来た。やはりSFのような高層ビルを見ることが辛うじて出来た。
辛うじてと言うのは、外が物凄い砂嵐なのだ。折角なら普通の景色で見たかった。するとイクスが口を開く。
「わたしの情報によるとこの景色はいつもの光景のようです。この星ではマスターの星に普通にあるマナがほぼ無いために環境が荒れていると思われます」
「そっか…残念だな」
「わたしもです。出来れば晴れて、わたしたちが作った町の姿をマスターに見せたかった」
本当に残念そうだな。なんとか出来ないか考えているうちに部屋へと到着した。
「デウスエクスマキナのイクスです」
『スキャンします…本人と確認しました。どうぞお入り下さい』
「「失礼します」」
俺たちが入るとそこにはエクスマキナのカプセルがあるだけだった。するとモニターに映像が映る。
『よく遠い星から来てくれた。デウスエクスマキナのイクスとそのマスターよ。出来れば持て成したいがご覧のような状況でな。すまないがまずは私を起動させてくるか?』
「分かりました。マスター、エーテル大結晶を下さい。あれで起動分は十分なはずです」
「わかった」
イクスにエーテル大結晶を渡すとイクスは何かの機械の上にエーテル大結晶を置くとエーテル大結晶は光となって消える。するとエクスマキナのカプセルから音声が出る。
『エネルギーの供給を確認しました。デウスエクスマキナ、アポ。起動します』
カプセルが開くと男のデウスエクスマキナが起き上がる。普通に服を着ていて良かった。イクスが最初に起動した時は大変だったからな。
「やはり体と言うのはいいものだな。迷わず起動させてくれたことに感謝する。改めて私はエクスマキナの王をしているデウスエクスマキナのアポだ。そなたの名はなんという?」
「タクトと申します」
「タクトか。良い名だな。さて、まずはこちらの状況から説明するとするか」
アポから説明を受ける。やはりエネルギーが少なくなっていて、エクスマキナの全てが休眠状態でカプセルのエネルギーだけはなんとか持たせている状況のようだ。ただこれにはしっかりとした原因がある。
それが異星からの侵攻だと言うのだ。こいつらとの戦闘でエネルギーの枯渇が急速に進んだ結果が今の状況だと言うのだ。
「それって…もしかして俺たちの星の事ですか?」
「いいや。違うはずだ。奴らは我々と同様にエネルギーを欲している。これほどエネルギーがある君の星は奴らとは無関係のはずだ。ただ狙われる可能性は非常に高いと思ったほうがいい」
「それって、この星にはそいつらはもういないってことですか?」
「あぁ…エネルギーが枯渇した瞬間に奴らはこの星から出て行った。エネルギーがない星は用無しということだろう」
だから狙われる可能性があるってことね。魔王や魔神の次は宇宙人かよ。なんでもありだな。このゲーム。
「我々はそなたが待ってきてくれたエネルギーを欲している」
「わたしたちはデウスエクスマキナの装備の素材が欲しいです」
「そうであろうな。あれは元々はこの星で手に入っていた素材だ。他の星では中々同じものは見つかるまい」
酷い設定だな。でも中々見つからないということはあるにはあるってことだ。問題はかなりの難易度が予想される点だな。
「では、交換ということでよろしいですか?」
「あぁ。そなたが持っている素材を見せてくれ。こちらで査定させて貰うぞ」
俺は素材を渡すとアポが交換内容を決めてくれた。
エーテル結晶がコスモメタル一個。エーテル大結晶がコスモメタル十個もしくはコスモクリスタル一個。マナクリスタルがコスモクリスタル一個となった。これは貰ったぞ。
「これで良いか?」
「はい。では、早速交換していいですか?」
「もちろんだ。むしろ助かる」
ということでまずはエーテル結晶100個をコスモメタル100と交換し、エーテル大結晶99個をコスモクリスタル99個と交換した。まだまだたくさんあるし、デウスエクスマキナの装備化はすぐにできそうだ。
「一度にこんなに持ってくるとは…そなたの星はそんなにエネルギーが豊富なのか?」
「マスターだけは特別です。普通の人間はこんなにたくさん持ってはいません」
「うむ…どうやら色々あったようだな。デウスエクスマキナには中々なれるものではない。深くは聞かないでおくが、これは多くを提供出来るのか?」
「はい」
「そうか…それは良かった。それなら他のエクスマキナの休眠も解除出来るだろう。プラネットデストロイヤーにエネルギーを回すことも可能となるな」
どうやら今のままだとプラネットデストロイヤーは使えないようだ。ま、ここ自体がエネルギー不足なのだ。当然だな。
「どのくらいで使えるようになるんですか?」
「このエーテル大結晶では10000個くらいでギリギリ撃てるくらいだな」
多いな…まぁ、惑星を破壊する攻撃が10000個で撃てるってことが凄いことだけどな。
「そうなんですね。あ、すみません。時間が押しているので俺たちはこれで。明日、また持ってきます」
「そうか。多忙なようだな。引き止めるのも悪い。最後にデウスエクスマキナのイクスをよろしく頼む」
「はい」
俺たちは元の星に戻る。転移した場所は聖域の島だ。ここが一番安全だろうからね。そしてツインエネルギーブレードをデウスツインエネルギーブレードに改造した。
「完璧です。マスター?」
「ん? あぁ…問題ないみたいだな」
「もしかしてわたしの星のことを考えてましたか?」
「あぁ…もしかしたらなんとかなるんじゃないかと思ってな」
俺が注目したのはクリスタルピラー。クリスタルピラーはマナクリスタルの蓄積時間を短縮する便利アイテムだ。これがマナを生み出しているアイテムならワンチャンある気がする。
「確かに可能性はありそうですが、流石に世界全体となると」
「無理だよな。悪い…忘れてくれ」
「いいえ。忘れません。マスターがわたしのことで真剣に考えてくれたことですから」
イクスも頑固になったな。なら俺も模索を続けるとしよう。最後にサブエクスマキナとナノエクスマキナたちを一気に起動させる。
「「「「わたしたちに名前を下さい。マスター」」」」
「右から順番にトリス、テセリス、ペンテ、エークシだ。ナノエクスマキナたちの名前は右からトロワ、カトル、サンク、シスだ」
「「「「素敵な名前をありがとうございます。マスター。ご命令を下さい」」」」
「マザーシップのチェックとメンテナンスを頼む」
「「「「イエス、マスター」」」」
これでよし。みんなの武器も必要だけど、折を見て作るとしよう。今はログアウトしてテスト勉強をしないとな。




