#847 生命の木の精霊と聖域の島完成
俺たちはホームで聖域の島の形を決めていく。
「基本的な形は今までと同じでいいよな?」
「問題ないと思います」
ここでリアンが質問してくる。
「すみません…海岸に岩場を作って、そこに洞窟を作ることは可能なんでしょうか?」
「出来るんじゃないか? あぁ! もしかして入江を作りたいのか?」
「やっぱりバレますよね…」
リアンはきっとベガス島の前にあった人魚の入江を作りたいんだろう。やはり人魚はああいうところが好きなんだろうか?いずれにしてもリクエストには答えたいな。
「この島は完全に俺たちの島になるみたいだからチャレンジしていいと思うぞ? セチアとミールはどう思う?」
セチアとミールが意見を言う。
「島としては何も問題ないと思います」
「ただ私たちは洞窟には詳しくないので…ユウェルさんはどう思いますか?」
「む? 問題ないとは思うが水が入って来ると採掘が大変になると思うぞ」
それはそうだな。流石土のドラゴニュートだ。
「だとすると洞窟は上に上げて行く必要があるわけか。そういえば鍾乳洞が作れたな。歩きにくくなるが味があるし、こっちにしてみるか…そういえば泉や湖をこの洞窟の中に作れるのかな?」
試してみたら、出来た。地底湖にテンションが上がってしまうが流石に魚を釣れる湖だからちょっと用途が違うからこれはやめておこう。代わりに閃いたことがある。
「これが出来るなら鍾乳洞の中に温泉を作ってみたいな」
「それはとても素敵だと思います! タクトさん!」
「洞窟の中の温泉! どんなのか楽しみです!」
みんなが盛り上がるがユウェルとアリナはここにある温泉しか知らないからピンと来ていないみたいだ。みんなが説明するとユウェルとアリナは新鮮な反応をする。
「タクと一緒にお風呂に入る!? それは大丈夫なのか!?」
「それは問題ありだと思うの! というかブランお姉様まで平気な顔をしている…これは何が起きたのか聞かないといけないの!」
そういえば最初はブランも恐る恐るな感じだったが、いつの間にか馴染んでしまったな。みんなもそんな感じだ。
「これが耳にしたお兄様マジックなの…」
誰がそんなことを言ってたんだ!というか慣れたのは俺のせいなのか?
そんなことをしながら、楽しく島を完成させた。俺はセチアの提案でエデンの園に向かう。目的はアダマ。ユウェルと黒鉄と共に集めることにした。
俺がサフィに運ばれて地面にある採掘ポイントを見つけて、ピッケルで採掘していく。結構集めたところで次は島に行って、水樹や生命の木の引越しだ。
ここでセチアが進化した実力を発揮する。セチアが生命の木に触れると優しく語りかけた。
「生命の木の精霊様、私たちに力を貸してくれませんか?」
生命の木が揺れると水樹とは異なる金髪の妖精が姿を見せた。セチアの前まで行くと優しく微笑み、セチアが差し出した手を握るとインフォが来た。
『セチアが生命の木の精霊と契約を結びました。精霊召喚に生命の木の精霊が追加されました』
『ミールが生命の木の精霊と契約を結びました。植物召喚に生命の木が追加されました』
俺はセチアに聞く。
「生命の木に精霊がいることが分かったのか?」
「はい。生命の木の精霊の能力も大体分かります。能力は回復と蘇生。きっと私たちの力になってくれると思います」
シンプルだけど、心強いね。
「ミールの方も同じか?」
「私の場合は生命の木の下にいる味方を回復させてくれる能力みたいです」
こちらは集団戦でのサポート能力か。出来ればネビロスとの戦いで使いたかったけど、きっと活躍の場は来るだろう。
その後、俺たちは水樹と生命の木の引越しをする。使うスキルは植栽でミールが触れると水樹が消えて、俺のインベントリに入る。同じ方法を生命の木に使い、聖域の島に植えたい木を株分けして、いよいよ聖域の島に行く。
「すー…はー…。素晴らしい島です! タクト様!」
「これはやりがいがありますね! セチアお姉様!」
「えぇ! ミール! 行きますよ! サフィ、タクト様を運んで下さい!」
「ぼえ~」
まず頂上に集めたアダマを捧げて行く。これには二人の精霊は大喜びしてくれた。島の頂上に水樹を植えて、水を出して貰うと島中に流れていく。これでよし。
次に聖なる泉に向かう。ここにはヒソプとバーベナ、蓮の種を植えて、育てることにした。きっと最高の泉になることだろう。
次はセチアがお待ちかねの森の作成。最優先はゴフェルの苗木。次に桜花竹と桜花桜を植えていく。狙うのは桜花竹の竹林と絶好の花見スポットだ。竹林の所にはいつか小さな茶室を立てて、お茶を飲みたい。お爺ちゃんみたいな考え方だが、日本庭園などに憧れる心は日本人なら持っていると思う。ここならお金は掛からないし、チャレンジをしてみたい。
これからの季節なら紅葉だから紅葉が欲しいな。最後にドラゴンフルーツの木と銀の林檎の木、黄金の林檎の苗木を植えて完成。
鉱山は今日のところはスルー。何を捧げるのか慎重に選びたい。
洞窟にはマナクリスタル、楽園結晶、イエローダイヤモンド、先ほど買ったダイヤモンド、交換したアレキサンドライト、レッドスピネルを捧げる前にリオーネがご飯が欲しい猫の様に擦り寄ってきた。現金な奴だが、そこが可愛い。しかしユウェルが宣言する。
「ここは私の洞窟だぞ? リオーネ」
「シャー!」
「しゃー!」
戦争が勃発した。その間に宝石と結晶は捧げていく。
「いい雰囲気が出ている洞窟だな」
「タクト様、この宝石は?」
「あぁ。ファリーダ用の宝石武器のために交換した。採掘で集まったら、作ってくれ」
「分かりました!」
俺たちが洞窟内を歩いていると恋火がちょうどいい段差があるくぼみを発見した。
「タクトお兄ちゃん! ここに温泉はどうですか?」
「段差も深さもちょうど良さそうだな。偉いぞ。恋火」
「えへへ~」
恋火の頭を撫でてから先に進んでいくとアリナとリアンが反応する。
「風と波のいい音が聞こえるの」
「私にも聞こえます…サフィ! 急いで下さい!」
「こらこら。急いでも入江は逃げないって」
俺たちが洞窟を抜けるとそこには立派な入江があった。
「「「「おぉ~」」」」
全員が同じリアクションをして、自然と笑ってしまう。
「ここに海岸を設置して、正解だったな」
「はい。絶景ですね」
「風も気持ちいいの~」
これで俺たちの聖域の島は取り敢えず完成だ。帰るために入口に戻るとユウェルとリオーネがまだ喧嘩していた。俺は二人を捕まえてホームに帰る。するとサバ缶さんがいて修練の塔について、説明を受ける。
「どうやら修練の塔は五階構造になっていて、階層によって難易度が変わるみたいです。挑戦回数は一人一日一回でソロで挑むクエストらしいです。手に入るアイテムはイベントアイテムあった修練のオーブが手に入るみたいですね」
「一人って召喚師の場合もですか?」
「はい。修練のオーブは召喚獣にも使えるみたいですが、早速召喚師たちが文句を言ってますね」
それはそうだろう。明らかに消費量が違う。しかしここで召喚師などの利点も判明した。召喚師の場合だと召喚獣がクエストに参加出来るらしい。つまりクエストの難易度は下がるわけだ。
早速みんな挑戦しているらしく、混雑した結果、結局二つ作ることになったそうだ。折角だけど、今日はスルーして、狐子と伊雪の進化だけさせてからログアウトしよう。
 




