#846 報酬会議とリリーたちの結婚指輪
早めの夕飯を食べ終わるとギルドの会議時間までテスト勉強をして、時間になるとログインする。
俺は久々にサフィに運ばれてギルドに顔を出す。ソーマ酒の節約だ。イベントでかなり使ったからね。ギルドに来るともう凄い騒ぎだ。主に太陽のコンパスを巡って…そりゃ、ポイントが最小限で伝説の武器が手に入るならみんな行きたいだろう。それも踏まえて会議を開く。
「まず報酬の話から決めていきましょう。最初に聖域の島のことなんだけど…凄く微妙なのよ」
「微妙ですか?」
「あぁ…前半と後半を合わせての総合計でちょうど交換出来るラインを狙ってきやがった。まぁ、ボーナスポイントがあれば交換出来る可能性があるんだけどよ」
「生産職の中だとユグ、クロウとかがギリギリ交換出来る感じね」
ユグさんはなんと城門破壊のMVPに輝いた。本人は俺だと思っていたようだが、城門に与えたダメージのことを考えると俺は最後の一撃が多いだけで総合ダメージだとユグさんに軍配が上がったようだ。
クロウさんは武器修復数のMVP。他にも石工のリーダーの人が城壁修復のMVP、チャルメラさんが料理数のMVPなどに輝き、ギリギリ島を交換出来るみたい。後は全てのポイントを温存した人が今回出来る形のようだ。
「俺はヴェルンドの反射炉を交換することになるけどよ。問題は数だよな」
「えぇ。聖域の島がどれだけ必要かが問題になるわ。多すぎて、使わないなら宝の持ち腐れになるから」
あぁ…そういう問題が発生するのか。
「タクト君はどうするのかしら? やっぱり島を交換するのかしら?」
「セチアたちの様子を見るとそうなりそうですね」
「あ、ちょっと気になることがあるから、セチアちゃんとミールちゃんを呼んでくれないかな?」
ユグさんにお願いされたので、セチアとミールを呼ぶ。
「水樹などの株分けですか…」
「それは出来ないと思います。水樹などの精霊が宿る木は基本的に子孫を増やそうとはしません。自分がずっと生きているなら増やす必要性がないということですね。例外としては自分が枯れそうになった時に助けて貰えたならそのお礼として苗木を送ることがあるぐらいだと思います」
俺の場合がまさにこれだな。
「え…えーっと…肥料とかを作っているんだけど…」
「それは上げるのが当然だと思ってますから」
「無理だと思います」
ごめんなさい。当然のことをしていなくて…これが終わったら、ちゃんと上げるから勘弁して下さい。
「じゃあ、聖域の島に植えることは出来ないのかな?」
「移動させるということなら喜んですると思いますよ? いい土地に移動するわけですから」
なら俺の聖域の島には移動出来るわけだ。これは他の木でも同じ。当然これが出来るのは俺だけだ。つまり俺の聖域の島はやはり確定した。島の全てを揃えるとなるとポイントが厳しい。ちょっと計算している。聖域の島の一式に修練の塔、聖なる泉も加えると83000000pt。ここにドラゴニュートの召喚石とリリーたちのご褒美に黄金の林檎の苗木を買うことを考えるとギリギリ足りた。
「…聖域の島の設備をほぼ一式揃えられるな」
「「「「へー…」」」」
みんなからの視線が痛い!するとメルが聞いてくる。
「タクト君なら折れたエクスカリバーを狙うと思ってたよ」
「俺も欲しかったけど、どうしようもないだろう?」
「そうだね~。タクト君はセチアちゃんたちに甘甘だからね」
「「それがタクト様のいいところです!」」
ドヤ顔で言われてもな。するとここでサバ缶さんから提案される。
「タクトさんの聖域の島を使わせてくれるなら折れたエクスカリバーをお渡ししますよ」
「え!」
「サバ缶、明らかなタクト君の素材を狙わない。タクト君も乗らない」
ダメか…するとここで生産職のみんなから援護が来る。
「そうは言うけどよ。ルイン。現状じゃ、この島を一番使えるのはタクトだぞ?」
「そうだよ。ルイン姉。私たちじゃ、いつエデンの園に行けるか分からないんだよ? それに聖域の島での環境もボロ負けするだろうし、どう考えても無理だよ~」
「タクトさんなら素材を交換しなくても、普通に買えますからね」
既にお金は用意していたりする。いや、ダイヤモンドとピンクダイヤモンドは必須だからね。
「修練の塔も恐らく一つでこと足りますよ? タクトさんがギルマスとして交換してくると言うなら有難い話ですけど、私たちはその度に足を運ぶことになります」
「言いたくないが、情報漏洩の件もある。もしタクトの聖域の島の素材が外に出回ると厄介なことになるぞ? ルイン」
「分かっているわ。だから修練の塔は私たちの島に作りましょう。緊急事態を除いて、タクト君の島の素材は買うこと。これは副ギルマスとしての決定よ」
みんなも生産職として今までの状況が良くないと思っていたみたいなので、渋々了解した。となると余ったポイントは何に使うかな。ピンクダイヤモンド、アレキサンドライト、星のコンパス、ユウェルと月輝夜にバズーカとドローミを交換するか。後はファリーダの武器用に炎か爆属性の上級宝石がいいかな?
あっさり星のコンパスを交換した俺にメルたちが呆れる。
「…まだ伝説の武器が欲しいんだね」
「妥協したら、負けだろう?」
「それはそうかも知れないけど、召喚師が色々な伝説の武器を持つなんて絶対におかしいよ」
「エクスカリバーは諦めただろう?」
するとここでアーレイが自慢げに言ってくる。
「ま、エクスカリバーのことは聖剣使いの勇者になった俺に任せておけ! もう修復法も聞いてきたから完璧だ」
「へぇ。どんなクエストだったんだ?」
「アーサー王の話じゃ、エクスカリバーを直せるのはエクスカリバーをくれた妖精しかいないそうだ。居場所を聞いたら、この大陸で一番大きな湖にいるってよ」
「それならアクアスの先の湖ですね」
案外簡単そうに思えるがエクスカリバーのクエストが簡単に終わるとは思えない。ま、俺は出来ないし、みんなの応援をしよう。ここでサバ缶さんが星のコンパスについて、聞いてくる。
「タクトさんはそのコンパスをどう思っていますか?」
「夜に起動するアイテムだとは思っています。行き着く先は…ギリシャ神話系の伝説の島や都。アトランティスではないとするとアルカディアじゃないかなと思っています」
「そこまで考えているんですね」
アルカディアはギリシャ神話の理想郷だ。エルドラドは黄金郷だったし、結構当たっている自信ありだ。もしここにギリシャ神話の武器があるならかなり強い武器がある可能性が高い。ただ挑戦するのはだいぶ先になりそうなんだよね。
何せやるべきことが山積みだ。新しいドラゴニュートの召喚にリリーたちとの結婚式に恋火たちの試練、ゲイルたちの進化クエスト、オリハルコンの武器、ヒヒイロカネの武器、そば屋でそばの訓練。これに星のコンパスが追加されたわけだ。抱え込み過ぎだろう。一つずつクリアしていくしかない。
「あぁ…召喚師は結構進化クエストをたくさんこなさないといけないのか」
「俺たちもクラスチェンジクエストが最優先だが、これは他の人に先を越されるかもしれないな」
「私はそう簡単ではないと思います。太陽のコンパスは海賊の島からのクエストで手に入り、エルドラドは海上にありました。同じように考えると星のコンパスはエステルで使えることが予想されます。そこから進むとなると暗黒大陸での攻略となるでしょう」
それなりの難易度が予想されるわけか。いずれにしても俺はみんなと比べて遅れてのスタートだ。いい武器がないかもな。ま、召喚師だし、気楽に行こう。
一応俺が交換したものをまとめるとこんな感じ。
黄金の林檎の苗木:レア度9 素材 品質A
黄金の林檎が実る苗木。天界に存在している黄金の林檎がなる苗木。地上では育てることが出来ない木で黄金の林檎には食べてから数時間の間、得られる経験値が上昇する効果がある。
星のコンパス:重要アイテム
針が存在しておらず、何に使うのか謎のコンパス。
バズーカ:レア度8 銃 品質A-
重さ:220 耐久値:1000 装弾数:1 攻撃力:10000
効果:必中、望遠
硬い敵を倒すために作られた携帯式ロケット弾発射器。使うためにはロケット弾が必要。一発で建物を破壊する攻撃力を誇り、打撃にも使うことが出来る。
ドローミ:レア度9 鎖 品質A+
重さ:50 耐久値:20000
効果:拘束、物理耐性、伸縮、魔法耐性、強化無効
レージングルを更に強化した魔法の鎖。重さをそのままに頑丈に作られ、更に魔法に対して強く作られている。相手を拘束すると相手の強化を無効にするため、力付くで拘束を解くことが困難となっている。
レッドスピネル:レア度8 素材 品質Aー
尖晶石と呼ばれている宝石。赤い宝石の中でも至高の美しさを持つ宝石と言われているおり、非常に強力な爆属性も宿している。
これにドラゴニュートの召喚石とピンクダイヤモンド、聖域の島の一式だ。スキルオーブが二つ、ステータスオーブが一つ交換することも出来るがこれはみんなと相談して決めよう。
ここでお城からの使者が来た。聖域の島はルインさんたちに任せて、俺はお城に向かった。
「サラたちから話は聞いておるが一応お主からも報告してくれ」
「分かりました」
俺は事の成り行きをグラン国王様に報告した。
「やはり最初から最前線で戦っていた者の言葉は違うな。それにそなたにはアンリを助けて貰ったことに感謝せねばならんな」
「いえ、元々は我々の戦略の甘さから引き起こされたものです。グラン国王様とアンリ姫様には改めて謝罪致します」
「私は無事でしたし、全然謝罪は不要ですよ?」
「ありがとうございます。しかし私もこの件で感謝を貰うわけには行きません」
「うむ…責任者だからこそか。わかった。この件はこれで終わりとする」
俺は頭を下げる。これで話はウィザードオーブへと変わる。
「邪竜からの情報か…お主はどう思う?」
「邪竜でも自分の住処が戦火に包まれるのは嫌います。それを回避するために俺に警告したと考えると納得出来ます」
「うむ…国境の強化をしておいたほうが良いかもな。サラ」
「は! 私も同意見です。国王様」
これで国境の強化が決まったが俺はウィザードオーブとの国境について詳しくないことに気がついたので、教えて貰う。
「ウィザードオーブと我が国は大陸最大の湖であるマザーズレイクで接しておる」
「それはアクアスの先にある湖ですか?」
「そうだ。マザーズレイクはパラディンロード、ウィザードオーブ、エリクサーラピス、ライヒ、フリーティアと接しておる巨大な湖でな。フリーティアではイエローオッサ山の先にある賢者の草原から行くことが出来る」
ケンタウロスがいる草原の名前は賢者の草原か。これはみんなにイエローオッサ山の攻略とマザーズレイクの攻略をお願いしたほうが良さそうだ。俺たちが話し合っているとシルフィ姫様のティターニアが飛んできた。
「ん? 手紙? シルフィ姫様からか?」
ティターニアが頷く。見ると内容は簡単だった。
『ソーマ酒をください』
どうやらシルフィ姫様もデメリットを食らっているようだ。するとサラ姫様に手紙を奪われた。
「…シルフィお姉様にソーマ酒を上げるのはこちらで判断させてもらう。よろしいですか? 国王様」
「そうじゃな。そなたの結婚式の前で良かろう」
今、回復させるとまた何か言い出すし、ウェディングケーキを守るためでもあると見た。
「だってさ。悪いけど、シルフィ姫様に伝えてくれるか?」
ティターニアが悲しい顔をする。これはずるい。仕方ない…余っていたクッキーを取り出す。
「これをあげるからシルフィ姫様に伝えてくれ」
ティターニアは満面の笑顔になり、クッキーを受け取ると飛んでいった。
「馴れておるの…」
「俺も妖精を召喚しておりますので。でもこれは一時凌ぎなので、俺はこれで失礼してよろしいでしょうか?」
「それがいいだろう。最後にフリーティアはエステルと正式に同盟を組む予定で話を進めておる。恐らく他の国を巻き込んでの対魔王同盟が組まれることになる可能性がある。そなたたちにももちろん話が来ることになると思う。覚悟をしておくようにな」
「分かりました。では失礼致します」
俺はギルドに帰るとこのことを伝える。
「完全にウィザードオーブと戦争になる流れですね」
「それと一気に暗黒大陸を攻略する流れになったわね。みんなには伝えておくわ。それとスクナビコナのことは悪いけど、くじで決めたわ。一番目はメルさんたちよ」
どうやらミライが一人勝ちしたみたいだ。運がいいな。しかしこれはチャンスかも知れない。
最後にナオさんから指輪を貰う。
ウェルシュマリッジリング:レア度10 アクセサリー 品質S+
効果:召喚師とのマリッジ、全ステータス+10、王の加護、召喚師の必殺技デメリットの減少、マリッジバーストの効果上昇
ウェルシュゴールドで作られた結婚指輪。結婚指輪の中でも最高峰として知られている。天竜のドラゴニュートがピンクダイヤモンドを大切に握っているデザインとなっており、マリッジバースト時に召喚獣の秘めたる能力の全てを解放する力がある。
ウェルシュマリッジリング:レア度10 アクセサリー 品質S+
効果:召喚師とのマリッジ、全ステータス+10、王の加護、召喚師の必殺技デメリットの減少、マリッジバーストの効果上昇
ウェルシュゴールドで作られた結婚指輪。結婚指輪の中でも最高峰として知られている。天海竜のドラゴニュートがピンクダイヤモンドを大切に握っているデザインとなっており、マリッジバースト時に召喚獣の秘めたる能力の全てを解放する力がある。
おぉ!見事にリリーとイオンの姿がデザインされている!
「タクトさんから話を聞いて、ドラゴンよりこちらのほうがいいと判断しました」
「リリーたちがドラゴンじゃなくて、ドラゴニュートを選んだ話ですか?」
「はい。その話を聞いたら、ドラゴンのデザインには出来ませんでした」
「ありがとうございます。きっと二人は喜んでくれると思います」
そして指輪の追加依頼をする。イベント中、ヴェルンドの指輪を使いウェルシュゴールドを増やした結果、六つ手に入っている。ということでセチア、恋火、イクス、ノワ、リビナ、リアンの分を依頼した。
更に新たにダイヤモンドを買い、セフォネ、ファリーダ、ユウェル、アリナのエンゲージリングを依頼した。
「優先はこちらでいいですか?」
「はい。流石に結婚してから別の子にプロポーズするのは変ですからね」
「た、確かにそれはそうですね。でもそうなると時間が」
「遅れても大丈夫ですよ。リアルでも用事がありますから。ただどのくらいで出来ますか?」
「既にデザインは考えてありますから一日一個ペースで作れるように頑張ります」
それは助かるな。現在テスト期間中で流石に結婚式を上げる気にはなれない。ということで結婚の話をまとめていく。
「既にウェディングドレスは完璧だよ! ギルマスに見せるのはNG!」
「獣魔ギルドに預けてあるからいつでもできるわよ?」
「では来週の土曜日でいいですか?」
「いいわよ。むしろ助かるわね。私たちも予定を空けやすいから。ギルマスの結婚式、盛大にお祝いしないとね」
「私たちは結婚式には参加できないから、リリーちゃんたちのウェディングドレス姿を見せてね」
どうやらかなりの大騒ぎになりそうだ。まぁ、色々準備して貰ったからこれぐらいは当然かも知れない。ホームに帰った俺は早速聖域の島を作ることにした。




