#84 謎の存在と成果報告
二匹の進化が終わり、周りをみるとまだ先があった。ここまで来たら、進んでみよう。
俺たちがしばらく先に進むと何かが現れた。識別したが何も反応しない。なんだ?
『ここより先は我らの領域。命惜しくば立ち去るがいい』
声が聞こえた。こいつが話したのか?虎徹たちが唸り声をあげ、目の前の存在を威嚇する。その様子に謎の存在は鼻で笑う。
『ふん。我に敵意を向けるか…身の程を知らぬな』
一触即発の状態になるが俺が止める。
「これ以上、進むのはやめておこう」
『ほぅ? 何ゆえ立ち去る? 召喚師よ』
俺が召喚師ってわかるのか…こいつは。
「ここでの俺達の目的は達しているから無理に進む理由がない。それに自分の領域に無断で入られるのは俺も嫌だからな。自分の嫌なことをしないのは変なことか?」
他人が黙って自宅に入っていたら、普通に家宅侵入。犯罪だ。謎の存在は俺の回答に満足したようだ。
『なるほど…ドラゴニュートやエルフを従わせているだけのことはある』
こいつ、俺だけじゃなくリリーたちのことを知っていたのか…俺は洞窟の近くでリリーたちがいたのは間違いないが、洞窟では召喚していない。つまり俺からリリーたちの存在を察知したかこいつの察知範囲が洞窟の外まで及んでいるかだ。
いずれにしても今まで関わってきたものとこいつはレベルが違いすぎるぞ。近い存在はガーベラグロウだが、間違いなくガーベラグロウより強いだろう。
『ここでただで帰らすのも礼節にかけるな。我が忠告を聞き入れた褒美だ。受け取るがいい』
その存在が何かをこちらに転がしてくる。鑑定してみる。
炎魔石:レア度6 素材アイテム 品質C
炎性石から作られた魔石。強力な火の力を内包している。
え…魔石!?しかも火じゃないぞ!?レア度も品質も今までと全然違う!
『それを受け取ったなら早々に立ち去るがいい』
えっと、良いのかな?いや、本人がそういうなら帰るけど。
「えーっと、貴重なアイテムありがとうございます。それでは失礼します。リターン!」
俺がリターンで自分のお店に帰ると時空魔法がレベルアップ。嬉しいんだけど、それどころじゃない。最後に思わぬ収穫があったな。というかあいつ俺が召喚師と分かってたからわざわざ魔石を渡してきたな。
あの存在について、ネフィさんなら知っているかな?後で聞いてみよう。
とにかく虎徹たちを魔石に戻し、リリーたちを召喚。リキュールは店先で待って貰う。契約しないといけないが先にヘーパイストスに素材をまた渡そう。
「お帰りなさい。タクトさん」
すっかりお出迎え役が板についているな。
「今日も結構、採掘してきたぞ」
「わぁ! ありがとうございます! 凄く助かります!」
「その様子だとガラスの片手剣は難航しているのか?」
「はい…中々難しくて、でも段々と感覚を掴めて来てます」
やはりガラスの装備の作成は難しいみたいだな。でもヘーパイストスはやる気に満ちている。これなら任せておいて、大丈夫だろう。昨日はログアウトを急いでいたから今日はゆっくり話そう。
「それと渡された素材の中に鉄鉱石があって、驚きましたよ」
「今日もあるぞ。鉄鉱石はやはり鉄の素材か?」
「はい。鍛冶師なら誰でも欲しがるものですね」
まぁ、鉄製の武器は武器の一つの原点だからな。
「鉄鉱石で剣を作る場合、どのくらいの鉄鉱石がいるかわかるか?」
「はい。短剣で10、片手剣で20、大剣なら40は欲しいです」
現在は20近くあるから片手剣なら1本、短剣なら2本作れる。だが鉄製の武器はリリーを優先したいので大剣を作りたいところだな。なんとか集めて、イベントに新武器で挑みたいところだ。
他にクォーツについて話してみる。
「この宝石は武器に使うのかな?」
「宝石は武器では杖に使われますね。他にも指輪などのアクセサリーに使われています」
へー。アクセサリーってあったんだね。
「僕の国の上位の鍛冶師には宝石剣などを作成に成功した人もいます」
宝石剣…凄そうだ。でも俺は日本刀派です。
「アクセサリーとか作れるかな?」
「ごめんなさい…そっち系は興味なくて」
まぁ、男の子なら中々興味を持ちづらいものだろうな。
「謝らなくていいさ。誰しも向き不向きがあるからな」
「ありがとうございます。それで武器はどうします?」
あぁ。正式に依頼をしないとな。
「ガラスの片手剣を3本、鉄の大剣1本頼む」
「ガラスの片手剣はまだ作成に手こずっているので、時間がかかりますが作れます。ただ昨日貰った分は使い果たしてしまって、すみませんが素材の調達をお願いします」
「あぁ。どうせ何度も調達してくるつもりさ。それとこれなんだが」
俺は鉄のサーベルをヘーパイストスに見せる。
「これは…鉄のサーベルですか?」
「あぁ。旅先でゲットした。これを利用して、大剣は作れないかな?」
「作れます。この場合ですと鉄鉱石20が必要になりますね」
よし。やはり片手剣分の鉄鉱石は浮いたか。数は足りそうだがガラスの武器の件もあるから結局集めに行かないとな。
「わかった。また取ってくるよ。とりあえずガラスの片手剣を作ってみてくれ」
「わかりました! 早速作ってきます!」
そういうとヘーパイストスは素材を持って地下に行く。さて、俺は契約と魔石召喚だな。俺がそう考えているとイオンが疑問を口にする。
「あの…タクトさん。片手剣3本というのは?」
「あぁ。俺とイオンの分だよ。ガラスは軽いから多分今のイオンなら片手剣の二刀流が使えるだろう」
俺がそういうとリリーが不満を言う。
「えぇ!? リリーのは!?」
「ないよ」
「なんで!?」
「リリーのパワーが強すぎるから一回使ったら、壊れそうなんだよ。それなら鉄の大剣を作ったほうがいいだろ?」
「う…それはそうかも知れないけど、手加減して使えば」
「「「無理だな(ですね)」」」
「一斉に言われた!?」
リリーがショックを受けているがリリーが手加減出来るほど器用じゃないことを俺たちは知っている。
「タクト様の剣を作るということは例の特訓ですか?」
「特訓じゃユグさんに作って貰った木刀を使うよ。でも特訓するなら俺も片手剣スキルを取ろうと思ってね。実際に今日はハイオークと剣で戦ったからな」
「「「えー!?」」」
ん?どうした?
「タクト、剣で戦ったの!?」
「見たかったです」
「虎徹さんたちは見たんですよね? ずるいです」
あー、この三人は二度目だからな。
「敵が剣を持っているとは思わなかったからな。ま、明日訓練するからその時見せるよ」
「「「約束だよ(ですよ)!」」」
はいはい。じゃあ、契約と魔石召喚しに行きますか。
名前 タクト 中級召喚師Lv3
生命力 37
魔力 74
筋力 27
防御力 18
俊敏性 24
器用値 53
スキル
格闘Lv1 蹴り技Lv12 杖Lv15 召喚魔術Lv18 錬金Lv7 採掘Lv12
伐採Lv10 解体Lv14 鑑定Lv9 識別Lv15 風魔法Lv19 火魔法Lv19
土魔法Lv18 水魔法Lv19 闇魔法Lv18 光魔法Lv22 雷魔法Lv15
爆魔法Lv15 木魔法Lv15 氷魔法Lv15 時空魔法Lv12→Lv13 読書Lv5
料理Lv18 餌付けLv5 釣りLv5 シンクロLv2
ガーベラグロウクラスの存在が登場する回でした。
この存在については後日書きます。