#842 グラシャ・ラボラス戦
俺たちは城門の破壊に動く。北の城門は黒鉄のレールガンロケットパンチが決まり、壊れる。他のところでも城門が壊され、インフォが来る。
『全ての城門が破壊されました。ボーナスを獲得しました』
どうやらルインさんたちも無事に城門を壊したみたいだな。
「リリー、イオン、ノワ、シルフィ姫様」
「いつでも行けるよ! タクト!」
「やっとですね!」
「…ん。暴れる」
「では、私たちも。出番ですよ! 私のドラゴンたち!」
シルフィ姫様がドラゴンたちを召喚するとイクスが反応する。
「マスター、空から大型の魔力反応あり。恐らく」
「グラシャ・ラボラスか…」
空から漆黒の竜巻が発生する。漆黒の竜巻の中にグラシャ・ラボラスを確認する。みんなが消耗しているこのタイミングで来るか。嫌らしい奴だ。ま、出現条件が城門の破壊だったんだろうな。
「コノハ、虎徹」
「ホー!」
「ガウ!」
奴の狙いは姫様たちでも俺でもなく、神格解放を使ったグレイだった。
『まずは貴様からだ! 死ね!』
「「「「ガァアア!」」」」
グレイを守っていたみんなにグラシャ・ラボラスの爪が襲いかかるとチェスが中心となり、この攻撃をガードするが押される。
『死ねぇえええ! ッ!?』
グラシャ・ラボラスは危険を察知し、回避するとグラシャ・ラボラスがいたところに巨大な空気の壁が飛来し、地面にぶつかる。あれを食らっていたら、グラシャ・ラボラスは終わっていたな。
グラシャ・ラボラスが視線を向けると天空には神の炎を身に纏った白いフクロウがいた。フクロウの周囲には同じく燃えている槍と盾が展開されている。神格解放を使ったコノハだ。
名前 コノハ パラス・グラウクスLv2→アテナ・グラディウスLv2
生命力 159→239
魔力 300→380
筋力 150→230
防御力 114→194
俊敏性 231→311
器用値 240→320
スキル
神槍Lv1 神盾Lv1 暗殺Lv35 高飛翔Lv49 空間歪曲Lv4
氷河爪Lv33 紅炎Lv1 神火Lv1 大気壁Lv1 羽投擲Lv36
神瞳Lv42 空間探知Lv3 空間支配Lv1 念動力Lv1 第六感Lv10
影分身Lv14 蜃気楼Lv1 呪滅殺Lv10 呪滅封陣Lv8 空虚Lv33
光速激突Lv14 空振Lv8 神気Lv12 神速Lv12 連続詠唱Lv38
詠唱破棄Lv38 魔力支配Lv33 同時詠唱Lv37 疾魔法Lv13 炎魔法Lv10
地魔法Lv10 海魔法Lv3 神聖魔法Lv28 暗黒魔法Lv15 雷魔法Lv50
爆魔法Lv38 木魔法Lv35 氷魔法Lv50 時空魔法Lv31 封印魔術Lv30
氷雪刃Lv35 夢幻Lv27 守護結界Lv15 冷凍光線Lv7 死滅光線Lv7
極寒波動Lv3 神波動Lv1 旋風雪Lv3 猛吹雪Lv2 氷牢Lv2
氷雷Lv3 氷獄Lv2 死の宣告Lv1 寒冷無効Lv22 反射Lv2→全反射Lv2
神障壁Lv2 不死Lv1 諸刃の一撃Lv4 神罰Lv3→神撃Lv3 後光Lv1
烈日Lv1 日光Lv1 放射熱線Lv1 巨人の加護Lv9 アテナの加護Lv19
強い!コノハに相手を任せて正解だったと断言しよう。
「召喚師と一緒にいたフクロウか!」
グラシャ・ラボラスがコノハに襲いかかるとコノハは次々、空気の壁をグラシャ・ラボラスに飛ばす。発生させているのはコノハの盾だ。
グラシャ・ラボラスは回避しようとするが今のコノハに魔素での回避は通用せず、空気の壁に次々当たり、押し戻されるが再び襲い掛かる。するとまた空気の壁にぶつかる。
「貴様! 俺で遊んで! ッ!?」
コノハの槍がグラシャ・ラボラスに向くと赤い稲妻が発生し、放射熱線が放たれる。これを察知したグラシャ・ラボラスは避けるが地面に落ちたこの攻撃で大爆発が発生する。
恐らくコノハが持っている武器は女神アテナの武器ということになると思うんだが、どちらも強力だぞ。
「ふ、ふん! 例えどんなに凄くても当たらなければ意味はない…ぞ?」
グラシャ・ラボラスは羽を斬り落とされる。グラシャ・ラボラスの目には退魔刀の二振りの剣を開放した虎徹の姿が映る。
「貴様!」
「ホー」
「ぐべ!?」
コノハのさようならと思える声と共に巨大な空気の壁と神障壁がグラシャ・ラボラスの頭上から落下し、都内の地面にグラシャ・ラボラスを落下させるとそのままぺしゃんこにしてしまう。
そして天空には星座の魔方陣が描かれる。描かれている星座はおおぐま座。
「ガウ!」
チェスは叫ぶと魔方陣から七本の巨大な星の剣がグラシャ・ラボラスの体に突き刺さり、それぞれが起爆する。これがチェスの星座魔法グランシャリオだ。
「ぐわぁあああ!? ま、まだだ! 誰も殺さずして終われるものか!」
そしてグラシャ・ラボラスはグレイが戦えない状態であることを思い出し、グレイに向かうがそんなことを許す俺の仲間たちじゃない。
壊れた城門の上に虎徹が姿を見せる。
「邪魔を! するなぁあああああ!」
虎徹は全ての剣を解放する。そこで虎徹が持つ神剣が何か判明した。虎徹が解放された神剣を掲げるとこの戦いに参加している全員に光の玉が降り注ぎ、それに触れると生命力と魔力、状態異常が回復し、体の破損が治ると更に全ステータスが上昇するバフが発動する。
この剣の名は布都御魂。建御雷神の剣として有名で神武天皇が敵対してたナガスネヒコとの戦いで神武天皇のピンチを救った剣としても知られている。
その戦いで布都御魂は軍勢を毒気から覚醒させ、活力を与えたとされている。この伝説をこのゲームでは再現したんだろう。
更にもう一本の神剣を虎徹が解放すると剣から燃え盛る炎が発生し、炎が巨大な龍の姿になる。
この神剣の名は倶利伽羅剣。不動明王の立像が右手に持っている剣だ。不動明王の化身とされる倶利伽羅竜王が燃え盛る炎となって巻きまとっていることからこの剣の名前が付けられた。
仏教における三毒。貪欲、瞋恚、愚痴を破る智恵の利剣とされている。
瞋恚は怒ることを意味する。つまり仏教では欲しいものに執着する心と怒る心、愚痴は仏教では意味が少し異なり、物事の是非の区別がつかない心とされている。この三つの人間の心が仏教における三毒だ。
愚痴の心について、仏教では意味が異なるので軽く説明する。殆どの人は若い頃の姿のままでいたいと思うことだろう。この心は貪欲となるのだが、老いることは人間として当然のことだと分かっているならそもそも悩みや苦しみが発生することはない。この理解が出来ない心が仏教において愚痴の心とされている。
散々説明したが、このゲームでは燃え盛る炎の龍王が宿る剣という感じなので、ばりばりの攻撃のための剣だろう。それを虎徹が証明する。
虎徹が倶利伽羅剣をグラシャ・ラボラスに向けると燃え盛る炎の龍王がグラシャ・ラボラスに巻きつきグラシャ・ラボラスは神火に焼かれ、大炎上する。
「ぐわぁあああああ!?」
そして全ての剣を虎徹が構えると姿が消える。グラシャ・ラボラスは虎徹の全ての剣が解放された状態の五月雨斬りをくらい、バラバラとなった。
「ネ…ネビロス…さ…ま…」
最後は肉片すら残さず、燃え滓となって死んだ。ここで虎徹がダウンし、コノハも神格解放の効果が切れて、ダウンする。
「リリー、イオン、ノワ」
「うん!」
「行きましょう! タクトさん!」
「…ん!」
「「「「エンゲージバースト!」」」」
俺たちがエンゲージバーストするとシルフィ姫様も指輪を掲げる。
「召喚師の先輩として、お見せしましょう。マリッジバースト!」
七色の竜騎士の鎧を着たシルフィ姫様が降臨する。俺と違っているところはやはり下の鎧がスカートになっているところだろう。更に体中に宝石が輝いており、俺の姿が完全に霞んでいるな。おっと、そんなことを思っている場合じゃない。俺はコノハを抱きとめて、虎徹の所に降りる。
「お疲れ様」
「ホー…」
「ガゥ~」
「二人共、かっこよかったですよ。よく頑張りました」
俺より早くシルフィ姫様が現れていた。流石は七種類のドラゴンを使った特別なマリッジバーストだ。俺たちが都の中に入ったためかやっとボスが登場する。俺とシルフィ姫様が空を見ると二人の悪魔がいた。
「ここまで追い込まれるまで成長しているとは流石に予想外でした。素直に拍手をしてあげましょう」
「拍手をしている場合か? 全く…お前の詰まらぬ復讐心のせいで私の領域はボロボロなのだぞ?」
「まぁ、そう怒らないでください。サルガタナス。全員皆殺しにすれば済む話ですよ。殺された配下の者も私が復活させれば済む話ではないですか」
「気楽に言ってくれる。その通りなのが非常に腹立たしい」
俺とシルフィ姫様が視線を合わせてから空に上げると識別に成功する。
死霊魔王ネビロス?
? ? ?
探偵魔王サルガタナス?
? ? ?
ネビロスの姿はまず顔が髑髏になり、髑髏から悪魔の角が生えている。更に死神を連想させるローブを着ているが色は赤だ。武器は同じく死神が持っているような大鎌だ。
サルガタナスは探偵魔王のためか服装がシャーロック・ホームズの服装となっている。顔はダンディなおじさんでちゃんと悪魔の角と翼がある。武器というか手に持っているのは歩行用のステッキだ。正直強そうには見えない。
「初めまして。魔王さん。私はフリーティア王国の第一王女をしているシルフィ・フリーティアと申します。そこの魔王さんに国を襲ったお返しをしに来ました」
「これはこれは。魔素に犯された姫君が直接来られるとは予想外ではありますが、私の狙いは隣にいる彼です。私と戦いたければ私より強い彼に勝ってからにしてください」
「というわけだ。不本意だが、アスタロト様の命令では仕方がない。フリーティア最強戦力の実力、図らせて頂こう」
あ、シルフィ姫様がフリーティア最強と名言された。これにはシルフィ姫様も残念そうだ。
「はぁ…仕方ないですね。では、あなたをすぐに片付けて、そこの魔王にきついお仕置きをしてあげます!」
「そう簡単に行きますかね?」
二人の戦闘が始まった。シルフィ姫様が一瞬で間合いを詰めると空間転移をさせられる。
「それがあなたの力ですか…」
「ほんのお遊びですよ。魔王魔法! ディメンションラビリンス!」
シルフィ姫様とサルガタナスが姿を消す。シルフィ姫様は立体の迷路が広がる空間に転移していた。
「これは…」
「ここは空間が歪曲している迷路の世界です。あなたにこの迷路が突破出来ますか?」
「舐めないでください!」
シルフィ姫様が光線を放つとシルフィ姫様に光線が当たる。更にシルフィ姫様が倒れた所に迷路の壁が襲いかかるとそれを破壊しようとしたがまた自分に攻撃が飛んできて、壁に潰される。
しかしそんな攻撃で倒せるシルフィ姫様じゃない。壁を破壊するとサルガタナスを睨む。
「こんな攻撃で倒せると思っているんですか?」
「はい。その状態は長く続きませんよね? それに私はあなたの時間稼ぎを出来れば十分。外にいるネビロスが全滅させるでしょうからね」
サルガタナスは召喚師の弱点をよく理解していた。普通の召喚師なら最悪な状況だが、シルフィ姫様は笑む。
「そんなことにはならないと思いますよ? フリーティアの英雄様はとても強いですから」
シルフィ姫様は俺の切り札を知らないが既に余裕を見せていることに気がついてた。
「私たちはタクト様がネビロスを倒す前に脱出しないといけませんね…どうしましょうか?」
シルフィ姫様はこの状況の攻略法を考えるのだった。




