#839 サルガタナスの都、東城門の戦い
みんな「新年明けましておめでとうございます!」
リリー「タクト! 新年だよ! 新年! 早くお餅!」
タクト「新年早々食べ物か…」
イオン「それがリリーですよ。タクトさん」
タクト「そうだな。それじゃあ、料理してくるな」
リリー「わーい!」
ノワ「…にぃ、ノワのも」
ユウェル「私も欲しいぞ!」
アリナ「アリナもなの!」
タクト「用意するけど、三人はまずこたつから出ような? 寝たままは絶対に食べさせないから」
三人は黙って、こたつの中に隠れた。すっかりこたつの魔力に取り込まれている。そしてこちらにもこたつにやられている子たちがいる。
「「はふ~…」」
恋火と和狐だ。
「…抜け出せませ~ん」
「…気持ちええわ~」
完全にだらけモードだ。更にリビナとセフォネもすっこんでいる。
「流石に寒いんだよね」
ならまずは服を着ろ。
「ここは妾の根城に候補じゃな!」
こたつが根城ってなんだ?するとこたつに入れないセチアたちが聞いてくる。
「タクト様、私たちは温泉に行ってきてもいいですか?」
「「「「温泉!? うぐ!?」」」」
こたつに頭をぶつけたようだ。すっこんでいるからそうなんだよ。
「いいぞ。料理が出来たら、呼ぶな」
「ありがとうございます」
全員がセチアたちが移動する中、ファリーダだけこちらにやってきた。
「覗いたら、ダメよ」
「早く入ってこい!」
俺たちは新年を迎えても俺たちのままだった。
東の城門を守っているのはナベルス。ここを担当しているのはチロルたち召喚師部隊とヴィオレたちドラゴニュートと邪竜部隊だ。
戦力的には十分だと思っていたが、アグリィ・キマイラとイビルバリアタートルに大苦戦をしている。アグリィ・キマイラとイビルバリアタートルは倒すのにどうしても時間が掛かる。かと言ってアグリィ・キマイラばかりに集中していると取り巻きのガルムたちに襲われてしまう。
更にイビルバリアタートルの甲羅の上にはゴブリンサモナーがたくさんおり、倒した敵をすぐに召喚して来る。実にうざったい編成だ。
「ち…召喚獣の切り札を使ってもまだ切り崩せねーのか…」
「我々の切り札はボス用ですから早く厄介な敵を倒さないとこのまま消耗戦になりますよ」
「これも切り札ですが、仕方ないのではないでしょうか?」
「そうだね。みんな! 用意して! 一気に決めるよ! コゼット! ララ! フェルト! お願い!」
チロルたちは相談して、早めに切り札を切ることにした。
「封印石召喚! 来て! アリエル!」
「封印石召喚! お願い! アズラーイール!」
「封印石召喚! お願いします! カマエル!」
コゼットがアリエルを召喚し、ララがアズラーイール、フェルトがカマエルを召喚する。それぞれ三人が相談して、このイベントのために交換した物だ。これで戦況が一気に変化する。
まずはアリエルが祈りのポーズをすると召喚獣や邪竜部隊に強力な強化が発生する。
更にアズラーイールが死神のような大鎌を天に掲げると天空から光が降り注ぎ、邪魔だったゾンビたちが消え去り、ネビロスの加護を持っている奴らが体が焼かれ苦しむ。
最後にカマエルが拳を天に突き上げるとその場にいる全員に破壊の加護が付与されて、全員が連携で飛び込み、一気にアグリィ・キマイラとイビルバリアタートルたちを撃破する。
そしていよいよ巨大なケルベロスであるナベルスと敵対する。
ナベルス?
? ? ?
まだ加護があることでチロルたちは一気に仕留めにかかるがナベルスは全員の攻撃を全て受けた。
「「「「え?」」」」
チロルたちの武器の中にはルナティック武器もある。本来ならこれで終わりだが、ナベルスは当然簡単な敵ではなかった。
武器や攻撃が当たったところから犬の顔が現れるとナベルスの体から分裂し、個々に攻撃した敵に襲いかかった。みんなが咄嗟に対応するがこの分裂した犬を攻撃しても増えるだけでドラゴンブレスなどで消し飛ばしても地面に飛び散った黒い液から犬が現れる。
そして噛まれると魔素と神魔毒の状態異常になった。
「や、やば…」
「アロマ!」
「えぇ! 封印石召喚! いでよ! ザドキエル!」
ザドキエルが両手を手に上げると光が全員を照らし、魔素と神魔毒の状態異常を解除する。これで一安心だと思ったがナベルスの火山弾が降り注ぐ。
「く…おい! やるしかねーぞ!」
「えぇ…ここで決めましょう!」
「行くぜ!」
全員が切り札を切ると一気に襲いかかる。最初に仕掛けのはヴィヴィアンとエンゲージバーストした烈空さん。火山弾を全て避けて、ナベルスの下に潜り込むと聖剣を構える。
「聖剣解放! 消し飛びやがれ!」
ナベルスの腹が消し飛び上半身と下半身に分かれると消し飛ばした箇所から犬が次々分裂する。
「気持ち悪いんだよ! 竜魔法! プロミネンスノート!」
「紫電槍!」
「「「「獣技! ビーストノヴァ!」」」」
タクマの竜魔法とアロマの堕天使の槍、チロルたちのビーストノヴァでナベルスが消し飛ぶ。これで終わったかに見えたが城門が紫色に輝くと不気味な紫色の風が発生し、ナベルスが復活する。これを見て、全員がナベルスの仕組みを理解した。
「全軍! あの城門に集中攻撃!」
ヴィオレの指示で邪竜とドラゴニュートたちが一斉にドラゴンブレスを放ち、破壊するが今度はナベルスから不気味な風が発生し、城門が直ってしまう。
「「「「なんじゃそりゃ!」」」」
全員が絶望的な状況になったことでナベルスが言葉を発した。
『人間に獣や邪竜どもよ。理解したか? 我がいる限り、ここは突破出来ぬ! 我こそは地獄の大公爵を務められている大魔王アスタロトより地獄の門の守護を命じられた悪魔ナベルス! 貴様たちとは格が違う』
「よくも! 僕のエルフたちを殺したな! 精霊魔法! ペトロサークル!」
ルークが悲しみと怒りを込めた精霊魔法を発動する。ナベルスの周囲を囲むように緑色のサークルが描かれるとナベルスが石化していく。
全員が動機にツッコミを入れたい気持ちになったが、これでなんとかなるかも知れないと思った時、地面から蛇が現れて、ルークの心臓を貫いた。
「「「「ルーク!?」」」」
『貴様らに他人を気にする余裕があるのか? 天使どもは既にいないぞ? さぁ、殺された者たちよ。その恨みを晴らすがいい! 冥軍!』
東側で倒した敵、全てが蘇生した。そして敵の全軍が背後から襲いかかって来る。
「こんなのありか!?」
「ありなんでしょうね…」
「とにかく召喚獣たちを後方へ! 恐らくナベルスを倒す条件は門とナベルスの同時撃破です! ヴィオレさん!」
「あぁ…試す価値はあるだろうな」
これにナベルスはあっさり種明かしをする。
『賢い召喚師だな。確かにそれが出来れば我を殺すことが出来るだろう。出来ればな。分裂!』
攻撃もしてない状態でナベルスの体から無数の犬が飛び出して、全員に襲いかかった。完全な不意打ちに反応が遅れたみんなだったが、側面からブレスなどの攻撃が飛んで来る。更に無数の狼が犬に噛み付き、撃破する。
「これは…」
「グレイちゃんたちだ!」
みんなの戦いを見守っていたグレイたちだったが、流石にピンチということで手を出した。
『ほう…少しはまともな奴らが来たか…獄炎!』
「ガァアア!」
ナベルスの火炎とグレイのゴッドブレスがぶつかり合うとナベルスの尻尾の蛇がグレイに襲いかかる。これに対してグレイは爪を振るい、蛇をバラバラにするが、復活する。再び蛇が襲いかかるとグレイの姿が消える。そしてグレイはナベルスの尻尾に乗りナベルスに向けて不敵な笑みを浮かべる。
『貴様…この我を愚弄するか!』
これには流石にカチンと来たのか。ナベルスがグレイに襲いかかるとナベルスの炎の爪とグレイの風の爪が激しくぶつかり合う。
「ルーク! しっかりして!」
「けほ! な、何が起きて」
「「「「生きてるの!?」」」」
「そういえば召喚獣たちが消えてませんね。これは…あ、料理バフですか」
アロマに言われてルークが思い出したように言う。
「そういえばチロルが作ってくれたシチューを食べ」
「「「へー…そうなんだ。とにかく一発殴らせろ!」」」
「なんで!?」
「わ、私も殴る!」
「なんでチロルまで!?」
みんながルークをボコボコにしていると頑張っていたマヤさんが声を掛ける。
「あの~…滅茶苦茶ピンチで私とタクトさんの召喚獣たちが狙われているんですけど…」
「「「「あ、ごめんなさい!」」」」
グレイの指示でみんなが戦闘に参加したが流石に無理がある。しかもエンゲージバーストなどの切り札の残り時間の問題もある。
『捕まえたぞ』
グレイがナベルスの尻尾に捕まり、噛み付かれていたがグレイの毛並みが蛇の牙を通さない。
『頑丈なのは褒めてやるがこのまま締め付ければどうしようもあるまい?』
全員がグレイの助けに入ろうとするがナベルスの重圧を受ける。
『邪魔をするな。今からこの無能な召喚師の狼を殺してやる。よく見ておけ』
『…待てしか出来ない駄犬風情が我が主を愚弄するか』
全員が全く予期しない突然の声に固まる。
「え…今の声って…」
「まさか…」
全員がグレイを見る。言葉と状況から見ても疑いようもないだろう。
「「「「喋れたの!?」」」」
召喚師にとっては衝撃の展開だが、ナベルスとグレイの会話が続く。
『ほぅ…話すことが出来たか…それで? 貴様、先ほど我のことを何と言った?』
『あぁ…すまん。間違えた。門から離れているところを見ると待てすら出来ぬ駄犬と言うべきだったな』
『…状況が理解出来ていないようだな』
ナベルスの締めつけが強くなるがグレイは顔色一つ変えず、ナベルスに告げる。
『それは貴様の方だ。我が主の苦難を何も知らぬ貴様が侮辱したことは万死に値する! その罪がどれほど重いか知るがいい! 神格覚醒!』
グレイが白い煙となって、消える。
『何? どこに消え…ッ!?』
ナベルスが疑問に思ったその次の瞬間には強烈な悪寒に襲われる。そしてナベルスが天を見上げる。それに釣られてその場にいた全員が天を見上げると雲の中から神の光を放つ巨大な白狼が姿を見せた。
名前 グレイ 神狼Lv2→大口真神Lv2
生命力 140→220
魔力 177→257
筋力 264→344
防御力 154→234
俊敏性 316→396
器用値 165→245
スキル
噛み砕くLv40 神風爪Lv39 堅牢Lv33 天耳通Lv38 第六感Lv41
毛針Lv30 神瞳Lv36 神装甲Lv6 他心通Lv7 空間跳躍Lv10
空間歪曲Lv1 先制Lv34 光速激突Lv10 指揮Lv9 騎乗Lv5
餓狼Lv40 神足通Lv38 魔力吸収Lv3 天候支配Lv3→天変地異Lv3 万物破壊Lv7
透過Lv5 神障壁Lv3 暴風壁Lv1 守護結界Lv1 遮断結界Lv1
残像Lv8 黒雷Lv1 神雷Lv6 神気Lv34 念動力Lv18
疾魔法Lv10 神聖魔法Lv13 時空魔法Lv35 神道魔術Lv30 幻狼Lv31
群狼Lv8→軍狼Lv8 空振Lv10 後光Lv2 慧眼Lv24 空虚Lv16
即死Lv30 神速Lv10 夢幻Lv1 神霧Lv3 重圧Lv1
聖療Lv2 多乱刃Lv8 神狼の咆哮Lv28 ゴッドブレスLv27 神格覚醒Lv9→神獣の加護Lv1
連携Lv25→超連携Lv1 逆鱗Lv1 神罰Lv4 刑罰Lv1 霊化Lv2
光球Lv1 粒子分解Lv1 拡散光線Lv1 全反射Lv1 乱反射Lv1
神域Lv1 和魂Lv1 冥府の加護Lv1 破壊の加護Lv1 神の加護Lv17
グレイが告げる。
『我こそは時に人を襲うことで恐れられ、時に作物を守ることで崇められた狼の神! 名を大口真神! 善人を守護し、悪人を罰するものなり!』
これが神格覚醒の力。己の神格を覚醒させることで一時の間、神としての力を振るうことが出来る。グレイの切り札だった。
『や、やれ! お前たち!』
復活した敵が一斉攻撃する。全ての攻撃がグレイに当たる前に壊れている。グレイは指示を出す。
『この場にいる者たちよ。我は今からそこにいる犬を門に押し付ける。止めは皆に任せるぞ』
「「「「は、はい!」」」」
全員が準備を終える間にグレイは雑魚の掃除をする。グレイが白く発光すると身体中から光線が放たれて、更に乱反射の効果で無数の光線が空にいた敵を貫く。更に神雷と黒雷が空から降り注ぎ、敵が次々消し飛ばされて行く。
それでも強い敵や小さい敵は残ってしまう。そこでグレイが口を大きく開けると敵がグレイの口の中に吸い寄せられる。まるでグレイの口の中にブラックホールがあるようだ。絶対に入らないアグリィ・キマイラとイビルバリアタートルは大丈夫だと思っていると体や結界が粒子分解され、その粒子がグレイに吸い込まれている。
これはナベルスも同様で必死に攻撃するが全ての攻撃が吸い寄せられ、地面から尻尾の蛇で攻撃するが通らず、蛇の頭が粒子分解される。そして自慢の復活が発動しない。これは冥府の加護の効果だ。
『こ、こんな化物がいるなんて聞いてないぞ!? 何者なんだ!? 貴様は!?』
グレイが口を閉じるとナベルスの障壁をすり抜け、ナベルスの顔を爪が貫くとそのまま門に押し付けた。
『先ほど告げたはずだ。しかしあえて別の答えをしてやろう。我が名はグレイ。召喚師タクトを守護せし、神狼だ』
グレイが爪を抜くと下がる。
「神罰!」
「精霊魔法! アースフォース!」
「「「「獣技! ビーストノヴァ!」」」」
「「「「ドラゴンブレス!」」」」
全員の全力攻撃が一斉に放たれ、城門ごとナベルスを消し飛ばした。
『アスタロト様ぁあああああ!?』
ナベルスの最後の声が響いたところでインフォが来る。
『ナベルスを討伐しました。東の城門の結界が解除されました。残りの結界は二つです』
そしてグレイが元の姿に戻ると倒れる。みんなが慌ててグレイに集まると無事を確認し、感謝するが南から敵の大軍が押し寄せてくる。チロルたちは合流したフリーティアの騎士団と共に南側の敵と戦闘を続けることとなった。
改めて、皆さん、新年明けましておめでとうございます!
皆さんの本年が御健勝で御多幸でありますよう、心からお祈り申し上げます。




