表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
EOの真実と復讐ネビロス
878/1718

#838 サルガタナスの都、北城門の戦い

俺たちがいる北側は一番最初に飛び出し、敵の陣形がアジ・ダハーカとケツァルコアトルによって、ボロボロにされたことと戦力も多いことが合わさり、一番に城門に迫ることになった。そしてフリーティア騎士団はゼパルを捉える。


情欲魔将ゼパル?

? ? ?


魔将にまで進化したようだ。するとサラ姫様がすぐさま反応する。


「天波動!」


サラ姫様がゼパルに天波動を放つと片手で受けた。以前よりも強いことは明確だが、ゼパルは俺の予想通りに動くかな?


ゼパルは攻撃を受けたことでフリーティアの騎士たちに襲いかかる。通常の騎士では全く相手になっていない。


「野郎!」


「はぁああ!」


ガルーさんとブラスさんがゼパルに襲いかかるがゼパルの大剣とそれを扱う筋力に押されてしまう。しかしフリーティア騎士団の一番と二番の実力者としての意地を見せる。


「ディセラレーション!」


ゼパルの動きが遅くなる。これは時間遅延と同じ効果の魔法だ。そしてガルーさんが両手の気を合わせる。


「消し飛びやがれ! 太極波動!」


これを見たゼパルの姿が消えるとサラ姫様に襲いかかる。


「はぁ!」


ゼパルの真っ赤な魔剣とサラ姫様のフリーティアの宝剣がぶつかる。


「く…なんて筋力」


するとここでゼパルが初めて口を開く。それは怨念が篭った声だった。


「俺様をはめた召喚師はどこだぁあああああ~!」


俺がゼパルに恨みがあるように、ゼパルもやはり俺に恨みがあるようだ。


「話すわけが…ないでしょう!」


サラ姫様がなんとか弾き返すとゼパルは凶暴な笑顔を見せた。


「考えてくれて、ありがとよ。見つけたぞ! くそ召喚師ぃいい! 次は首を斬ってやるぅうう!」


そう言うとゼパルは消えた。


「心を読まれた…あれが本気の悪魔の実力。私ももっと強くならないといけないようです」


「それについては俺たちもだ。姫さん。ここで暗黒大陸の本気の悪魔と戦えたことはいい勉強になった。しかし哀れな奴だな」


「そうですね。蘇ってもなお、彼の手のひらの上で踊らされるとは思ってないでしょう」


俺はゼパルが狙ってくることを予想していた。だからこそ俺は北側に陣取ることにしたのだ。あいつを誘い出すためにね。


「敵将はいなくなった! 一気に北の城門を制圧する!」


「行くぜ! お前ら!」


「「「「おぉおお!」」」」


意気込む騎士たちだが、城門にはマールス・コートメイジたちがマレフィカたちに魔法の指示を出していた。そしてフリーティア騎士団に攻撃の合図を出そうとしたマールス・コートメイジの首に何かが噛み付くとマールス・コートメイジは倒れる。


マレフィカたちが警戒すると気配が一切なかったリビナが現れるとリビナを見てしまったマレフィカたちは全員倒れる。マールス・コートメイジたちは咄嗟の判断で顔を隠し、リビナに魔法を使おうとするが不発する。魔法破壊だ。そしてリビナは一瞬で一人のマールス・コートメイジの背後に回ると囁く。


「ボクを攻撃しようとしたら、ダメだよ~。殺したくなっちゃうからさ。淫獄」


マールス・コートメイジ率いる魔法使いがピンクの空間に包まれると全員が倒れて、痙攣する。


「ごち。止めは騎士たちにやられるといいよ。じゃあね~」


リビナはご機嫌で姿を消した。


こんなことになっているとは知らない北の城門を放置したゼパルが空間転移で俺たちの前に現れると斬りかかって来る。しかしブランの遮断結界に阻まれる。俺はゼパルを挑発する。


「よぅ。久しぶりだな。随分雰囲気が変わったみたいだが、今日は不意打ちして来ないんだな?」


正確にはしようとして失敗したんだけどね。ざまー!


「くそ召喚師ぃいいい!!」


ゼパルが魔剣を振りまくるが遮断結界は突破出来ない。


「くそ! 出てこい! この卑怯者が!」


「はいはい。自覚しているよ。クッキー、うま!」


「あ、私も頂いていいですか?」


「どうぞ。リリーたちもシルフィ姫様の召喚獣たちも食べていいよ」


「「「「わーい!」」」」


俺たちは完全にピクニックモード全開だ。あぁ…紅茶が美味い。


「こっちの話を」


「あなたの相手はボクがさせて貰います」


「あん?」


わざわざ声を掛けてあげるとはマコトは優しいな。しかしゼパルが振り返ると容赦なく斬りかかる。


「邪魔を…するな!」


ゼパルが攻撃を受け止めて、押し返すために大振りする。それを読んでいたマコトは剣を盾にすると身体を下に潜らせて、大剣を流し、ゼパルの懐に潜り込むと更に踏み込み、ゼパルをすれ違い様に斬った。剣の腕が上がっているな。


斬られたゼパルはマコトを睨む。


「てめぇ…良くもやりやがったな! 殺す! 体中をバラバラにしてぶっ殺す!」


ゼパルが高速で斬りかかるがマコトは対処する。


「く…おぉおおおおお!」


ゼパルがマコトになんども魔剣を振るうがマコトは冷静に対処し、押しているゼパルが何故か下がる。ゼパルが見るマコトの姿は以前の俺と被って見えているはずだろう。何せマコトが使っている剣術はゼパルを追い込んだ俺の剣術にそっくりだったからだ。


逆に言うとこれに追い込まれるゼパルは全く成長していないということを意味している。しっかり成長しているリリーたちと随分差が付いたものだ。


「くそったれ! ふざけるな! なぜ俺様が下がらないといけない! 俺様のほうが強いはずなのに…おぉ! ぐわ!?」


動揺して、大振りしたところをマコトが斬り裂く。


「それがわからないならボクには勝てませんよ」


「黙れ! お前の攻撃なんざな! ちっとも効きゃしねーんだよ!」


技量での敗北を認めました。それでどうやって勝つんだろうね?スタミナ切れでも狙うつもりなのだろうか?だとしたら、甘いね。


「確かにこのままだと再生のスキルがあるあなたのほうが強いかもしれません。なのでボクはこれを使わせて貰います」


マコトが使っている武器はミームングでこのままでは決め手に欠ける。しかし剣という武器は毒を塗ることが出来る。マコトが取り出したのは聖水と狂乱草から作った悪魔専用の毒だ。これには流石のゼパルも焦る。


「てめ!? なんだ!? それは!?」


恐らくゼパルの危険察知系のスキルが警告しているんだろう。何せ聖水も脅威だが、それよりも狂乱草の効果で発生する暴走は正常な意識を失う効果がある。つまり自分の意思でスキルが使用出来なくなるのだ。


自動回復をする再生は封じられないが回避系のスキルや武技、バフ系のスキルは封じられる上に自分の意思で攻撃と防御が出来なくなる。これは決め手として十分な代物だった。作成者はもちろん我らが毒担当のハルさんだ。


後は当てるだけなのだが、警戒するゼパルが簡単に当たるはずがない。しかしマコトにはこういうのにうってつけの技がある。剣にたっぷり毒を塗ったマコトが剣を構える。構えは突き。


「ふぅー…これで終わりです」


「あぁん!? 舐めてんじゃねーぞ! てめぇえええ!」


「三段突き!」


「ッ!?」


ゼパルが咄嗟にガードに動いたがその時点で負けが確定した。一回目の突きはガードし、二回目の突きは見切りで避けたが、三回目の攻撃は顔を捻り、回避しようとしたが、僅かにミームングが触れた。


「チッ! らぁ!」


「く…!」


技が終わったところにゼパルが大剣を振り下ろすとマコトは飛んで地面を転がり、剣を構える。


「ちょっと触れただけの攻撃がなんだって言うんだよ!」


ゼパルがマコトに襲いかかるとマコトはあっさり斬る。


「あん? な、なんだ!? 身体が」


「どうやら効果抜群のようですね」


マコトがルナティック武器を取り出すと構える。


「ま、待て! ぎゃあああああ」


マコトが美しい二刀流の舞を披露すると最後に武技を使う。


「デュアルスプラッシュ!」


マコトが放つ二刀流の連続の突きが全てゼパルに入るとゼパルは倒れる。


「て…てめぇの顔は絶対忘れねー…そこにいるくそ召喚師もだ。お前らは絶対に俺様が殺す。何度でも蘇って、お前らを…必ず…」


「ほんま悪魔ちゅう生き物は見苦しいどすな~」


「なんだ! …と?」


ゼパルは怒りをぶつけようとしたがその相手が空天狐様だと気付くと絶望的な顔をする。


「なんや? うちに言いたいことがあるなら言ってみい? あんさんの最後の言葉や。聞いたるくらいはしたるえ?」


「な…なんで」


札がゼパルの顔に貼り付く。


「それが最後の言葉やな。ほな、消滅し。六根清浄(ろっこんしょうじょう)!」


「ま!?」


ゼパルが完全消滅する。そしてインフォが来た。


『情欲魔将ゼパルを討伐しました。北の城門の結界が解除されました。残りの結界は三つです』


六根清浄の意味は欲や迷いを断ち切って、心身が清らかになること。つまりゼパルは怨念すら残すことなく、綺麗さっぱりいなくなったということだ。


「おーおー。容赦ねーな」


恋火に神降ろしした九尾は完全にくつろぎモードだ。これには和狐に神降ろしした空天狐様も九尾を蹴る。あっさり遮断結界をすり抜けたことは言ってはいけないことなんだろうな。


「九尾、あんさんにはちゃんと仕事を指示したはずどす」


「へいへい…んじゃ、行ってくるとするか」


九尾が空間跳躍した。俺はマコトに声を掛ける。


「お疲れ様。やったな。マコト」


リリーたちも拍手している。


「ありがとうございます。でも、完全に見せ物でしたね」


「立派でしたよ。マコト様。はなまるをあげちゃいます!」


「え…えーっと…ありがとうございます?」


いきなりそう言われるとこういう反応になるよな。ちなみにゼパルの戦果はしっかりマコトの物になるらしい。空天狐様はそこらへんの線引きはしっかりしている。


これで残す城門はインフォの通り、後三つ。結界が解除されたことで北側の戦力が左右に流れる。こういう戦場では一つを落とした者が戦いを有利に運ぶことが出来る。


防衛する側からすると敵の援軍の攻撃に備えないといけなくなるからかなり防衛が厳しくなる。それが分かっているから一番誘われやすいであろうゼパルに狙いを定めさせて貰った。これで各城門の戦況が大きく動くことになる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最新作『動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います』を連載開始しました。
以下のリンク先で連載中です。


動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
― 新着の感想 ―
[一言] リビナは最早吸血鬼なのかサキュバスなのかよく分からないな。笑
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ