#836 リアム王VSペリノア王
みんなが驚いている間にテグスターさんがみんなを回復させてくれるとペリノア王がテグスターさんを斬り裂くが幻と消える。
「王と術使い…忌まわしい記憶を思い出させてくれるな」
「そうなのか? 生憎お前の過去に興味はない」
リアム王の姿が消えるとその攻撃をペリノア王が受ける。
「それはそうだろうな!」
ペリノア王が剣を弾き、斬りかかるがリアム王は避けて斬りかかるとペリノア王は後方に飛び去る。これにはみんなが絶句する。
「ペリノア王とまともに戦闘しているぞ…」
「私たちの中であれに対応できたのは鉄心さんとランスロットさんだけだったのに…」
ペリノア王の圧倒的な速さに対応出来たのはプレイヤーでは神息を持っている鉄心さんのみだった。しかしその鉄心さんもペリノア王のパワーと技量に対応出来ず、完全に追い込まれている状態だった。
しかもペリノア王は剛剣が凄まじく、まともに受けただけで武器が壊される被害が続出した。これはみんなも予想していた。エクスカリバーすら折ったペリノア王に通常の武器が通用するとは思わない。
だからこそペリノア王にはランスロットをぶつける決断をしたのだ。何せランスロットのアロンダイトはエクスカリバーと打ち合って折れなかったとされている。ペリノア王に対抗するためにはアロンダイトしかないと考えていたのだが、まさかの展開だ。
「驚きましたかな?」
「「「「はい」」」」
テグスターさんの問いかけにみんなが即答するとテグスターさんは自慢げに言う。
「あなたたちの大陸の王はどうか知りませんがリアム王はずっと魔王たちと戦い続けていました。いつ魔王たちに襲われるかも知れない恐怖と毎日戦い、それに勝利するためにずっと鍛錬を続けていたのです。玉座に座って政治をしている王とは格が違うと断言致しましょう」
それを証明するかのようにリアム王はペリノア王をやや押している。
「…暗黒大陸にまさか貴殿のような王がいるとは思いもしなかった。世界は広い物だな!」
「それについては同意見だ!」
この場にいる全員がなぜこの砦のボスがペリノア王なのか理解した。円卓の騎士の繋がりで考えていたがそれは違った。リアム王とペリノア王は似ている王様なのだ。戦闘スタイルもそっくりでお互いに伝説の剣は持たず、ただ武を追い求めた王様。
これがわかったペリノア王は歓喜する。
「素晴らしい武だ! エステルの王よ! 私はお前のような王と戦える日を待っていたぞ!」
ペリノア王はずっとこういう戦いを待っていたのかも知れない。何せアーサー王と戦ったのはまだアーサー王が若く、技量も未熟な時期だからだ。
どれほど剣を打ち合っていただろうか?全員がこの戦いを見守っていると終わりは唐突に訪れた。お互いの大剣が限界を迎えたのだ。
「…楽しい時間というのは長く続かないものだな」
「だからこそ最高の時間が輝くのだろう?」
「違いない」
お互いに最後の必殺技の構えを取る。
「アーサー王が剣、エクスカリバーを折りし、この剣の一撃を受けてみるがいい! エクスバスタード!」
「くだらぬ! 魔王からの解放を願う人々の思いが宿りし、この剣の一撃がお前を倒す! エステルアーク!」
ここまで戦闘スタイルが同じだった両者だが、必殺技が明暗を分けた。ペリノア王は広域の攻撃に対して、リアム王は一点集中型の必殺技だった。これは両者の生き方の違いと言うべきものが反映された形なのだろう。
ペリノア王は戦に勝つための剣だ。そこには個人戦も含まれてはいるが結局はより多くの敵を倒した者が戦では勝利する。そのため、必殺技は広範囲のほうが効率的なのだ。
逆にリアム王は魔王を倒すための剣だ。戦に勝たなければ元も子もないと思われるだろう。しかしリアム王にとって、戦に勝っても、魔王を倒さなければ元も子もないと考えている。それ故に必殺技は魔王個人を仕留める一点集中型の必殺技となったのだ。
「「おぉおおおおお!」」
リアム王の必殺技がペリノア王の必殺技を貫いていく。メルたちはペリノア王の必殺技の余波を受けるがそこはテグスターさんが防いでくれた。
そしてペリノア王は遂に必殺技が直撃し、壁に激突する。
「勝ったか…」
リアム王の剣が砕けて、地面に膝を付く。ギリギリだったことが伺えたが、そこにペリノア王が襲いかかってきた。それをランスロットが止めた。
「戦いに横槍を入れるか! ランスロット卿!」
「勝敗はさっきの一撃で付いたはずです! ペリノア王! お互いに武器を失ったところに新たな武器で襲いかかるとは騎士道から外れる行いだとは思われないのか!」
「最後に勝てば良いのだ。それを示したのはほかならぬアーサー王だぞ? ランスロット卿」
「それを諌めてこその忠臣! 生前のあなたはそんなことを言うあなたではなかった! アーサー王が言っていました。若い自分がここまでの王になれたのはペリノア王がいたからだと!」
「アーサーがそんなことを言っていたか…しかしその忠臣の果てに私はガウェイン卿に暗殺されたのだ!」
これにはランスロットも何も言い返せないがリアム王が言う。
「嘘が下手だな…ペリノア王。あなたほどの王ならそれぐらいは理解できたはずだ。暗殺などされる王ではないことはこの場にいる全員が肌で感じているぞ?」
ランスロットすら追い込んだペリノア王は確かに暗殺が簡単に出来る存在ではないだろう。だとすれば答えは一つだ。
「老いていたあなたは最後の忠臣として怨み役も暗殺も全て受け入れて死んだ。違うか?」
今度はペリノア王が黙った。すると全員の目がペリノア王に宿っている悪霊を目にする。
『戦いなさい。ペリノア王。あなたが救われることは私が絶対に許さない』
「エレイン…」
ペリノア王は冒険中に助けを求める一人の娘を見殺しにしてしまっている。その娘の名がエレイン。ペリノア王に『自分が最も困っている時に誰からも助けて貰えなくなる』という呪いを掛けた娘だ。
これを見たランスロットはアロンダイトを構える。
「救いは誰にでもあっていいものだ!」
「あぁ…彼を救う役目は君に譲ろう。皆も良いか?」
何も出来なかったメルたちは頷くことしかできない。
「感謝する! アロンダイト! 聖剣解放! 怨嗟を消し去れ! 聖剣技! スリン・オグウェン!」
『やめろぉおおお!』
聖水は二人を呑み込んだ。その結果、二人が消えていく。
「済まなかったな…エレイン」
ペリノア王がそう言うとエレインは消滅する。
「ランスロット卿にエステルの王、それに次世代の英雄たちよ。迷惑をかけたな…ランスロット卿よ。アーサーに一言伝えてくれるか?」
「なんでしょうか?」
「お前など、まだまだひよっこ。エクスカリバーが折れるまでは死ぬことは許さないと伝えてくれ」
「このランスロット。ペリノア王の最後の言葉、必ずやアーサー王にお伝えするとお約束致します」
ランスロットがそう言うと満足そうな笑みを浮かべてペリノア王は消えた。そしてインフォが来る。
『おめでとうございます! 第三の砦を攻略しました!』
『第三の砦で防衛することが可能となります』
どうやらモルドレッドの戦いも決着が付いたようだ。意気揚々とモルドレッドが部屋に入ってきた。
「ペリノアの旦那に勝ったのか…すげーな」
「リアム王の助力があってこその勝利です。アグラヴェイン殿は?」
「おう! エクスカリバーをぶっ壊して、消し飛ばしてやったぜ! ん? どうした?」
アーサー王より先にエクスカリバーを壊したモルドレッドになんとも言えないメルたちだが、突然砦内で爆発が発生する。
「な、何これ!? どうなっているの!?」
「罠か!」
この質問に悪霊となったアグラヴェインが親切に答える。
『ははは! 最後に勝つのはこのアグラヴェインだ! 貴様らはここで生き埋めとなり、死ぬがいい!』
そう言うと外に飛び去った。
「く…転移します! 皆さん! こちらに!」
テグスターさんが転移をしようとするが封じられていた。
「や、やばいよ! これ!」
「最後にこんな終わり方ありかよ!」
罵詈雑言の中、救いの声が響く。
「喚いている暇があったら、しゃがみなさい! ウェルシュドラゴン! ドラゴンブレス!」
建物の屋根が消し飛び、タクマたちが助けに来た。こうして全員が脱出することに成功するのだった。




