#81 初イベント発表とリベンジ
翌日の学校のお昼。海斗の奴が突然騒ぎ出した。
「誠吾! EOで初イベントの告知があったぞ!」
イベントなんて今までもあったじゃんと思ったがどうやら違う意味らしい。海斗曰く、運営が行う期間限定のイベント告知があったらしい。こういうイベントは報酬が豪華らしい。
「で、どんなイベントなんだ?」
「聞いて驚け! なんとサバイバルゲームだ!」
サバイバルゲームって、現状でも結構サバイバルしている気がするんだが?ボア倒して肉食べてるし。
「まぁ、それはイベントの表の内容だからな。実際はレイドボスイベントじゃないかという話だ」
「レイドボスってでかいボスだっけ?」
「そう! でかいボスにプレイヤー全員で挑む感じだな」
「とりあえず内容を確認させてくれ」
俺が内容を確認する。
第一回運営イベント『古の孤島』
開催期間:一週間
内容:無人島での一週間サバイバルゲーム。
プレイヤー同士協力し、一週間の過酷なサバイバルゲームを生き抜け。
モンスターの討伐、プレイヤーの協力でポイントをゲット。
ポイントは好きな景品と交換出来る。
この機会に強力な武器やアイテムをゲットしよう。
今日は金曜日。開始は来週の土曜日となっている。つまり約一週間後の土曜日に始まるゴールデンウィークにイベントをやるってことだな。
詳しい内容については明日告知か…まぁ、イベントの準備期間として一週間用意した感じなんだろうな。そしてプレイヤー同士の協力でもポイント貰えるならルインさんたち生産職は忙しくなりそうだな。
「これは激ってきたぜ。一週間あれば新しい街にも行けるだろうし、絶対にイベント上位に入ってやる!」
「頑張ってくれ」
「ん? どうした? 誠吾。あまり乗り気じゃないのか?」
「イベントには参加するよ。ただ積極的に行くよりは自分たちのペースでやっていきたいだけだ」
俺たちはいつも通り、ゲームを楽しむスタイルで行くだけさ。もちろんしっかり準備を整えるつもりだし、やるからには本気で挑みたい。
学校を終えた俺は、燃えていた。理由は昨日の白馬だ。絶対に餌付けしてやる!あの白馬に俺の料理を認めさせてやるのだ!
しかし現実の食材がないからスーパーで休日用の食材を買い込む。その後、ゲームにログインすると早速、獣魔ギルドに向かい、リスト召喚を実行する。狙いは昨日と同じホースだ!
だが、またしても二度失敗。もしも~し。息してますか?
俺がとぼとぼ召喚の間から出るとネフィさんが声をかけてくれた。
「あら? 二度とも失敗?」
「はい…昨日と合わせると四度目です」
「そんなに失敗するなんて何を召喚しようとしているんですか?」
「ホースです」
俺がそういうとネフィさんは納得する。
「それは難しいのも納得ですね」
「そうなんですか?」
「えぇ。ホースはとっても貴重な存在なんですよ? 通常の魔石召喚では呼び出せなくて、リスト召喚でしか召喚できないんですけど、肝心のリスト召喚のためにはホースを識別しないといけませんよね?」
「はい」
「だけどホースは警戒感が強くて、人前にはほとんど姿を現さないんです」
あれ?でも昨日現れたよ?
「昨日白馬に会えましたが」
俺がそういうとネフィが驚く。
「ホースの亜種と出会ったんですか!? それはなんとも貴重な体験をしましたね」
ん?亜種?貴重?そういえば白馬はホワイトホースで俺が召喚に失敗しているのはホースだ。てっきり進化先だと思っていたがどうやら違うらしい。
「すみません。亜種とはなんですか?」
「あぁ。姉さんは教えなかったのね。亜種は召喚獣に稀にいる通常とは異なる種のことですよ」
つまり通常の種とレアな種がいるってことか。初耳だな。いや、ひょっとして。
「ゴブリナもレア種ですか?」
「ゴブリナは違います。あれはゴブリンのメスという話です。そのゴブリナが普通と違っていたら亜種となりますね。名前が違うので、すぐわかりますよ」
へー。つまり召喚したものと名前が違っていたら、亜種ってことか。
「ちなみにですが何か亜種でいいこととかありますか?」
「当然あります。亜種は通常とは違う進化をするんですよ。白馬ならユニコーンやペガサスになれる可能性もあります」
さらりと重要なことを聞いた!?
「ひょっとして、通常のホースではユニコーンとかにはならないんですか?」
「なりませんね。もし通常のホースがなれていたら今頃世界はユニコーンだらけになっています」
おぉう…そう言われたら、納得するな。でもこの言い方からすると他の有名な伝説上の獣達は相当難しそうだな。
とりあえず俺は昨日のリベンジをしないといけないのだ!ネフィさんはもう二度と会えないかもしれないと言っていたがあの白馬が俺のポテトサラダを目当てで来たなら、あれ以上のポテトサラダを作れば必ず来るはずだ。
というわけでポテトサラダ作るため、町の八百屋さんを周る。面白いことにそれぞれ売られている野菜が違っており、俺は苦労の末に必要な素材を集めた。材料はじゃがいも、にんじん、たまねぎ、きゅうりだ。本来ならハムやゆで卵を加えるんだが、今回は野菜のみで勝負です。昨日と同じように完成したのがこちら。
ポテトサラダ:レア4 料理 品質E+
効果:満腹度35%回復、2時間魔力アップ(中)
じゃがいもをデッシュにした野菜料理。
ニンジン、たまねぎ、きゅうりが入っており、それぞれ触感が違う野菜を楽しむことが出来る。
レア度、品質、効果が上がった。自信作だぜ。出来上がった料理を見たセチアが言う。
「…味見したら、ダメですか?」
セチアは昨日、夜でポテトサラダを食べ損ねている。恨まれると怖いので、味見して貰おう。
「お、美味しい! …タ、タクトさん。もう一口」
「ダメだ。フィールドで食べれるかもしれないからそこでな」
「わかりました。すぐに行きましょう!」
かつてないほどのセチアのやる気を感じる。ポテトサラダの力恐るべしだな。
そして戦闘をしながら洞窟に到着。そしてポテトサラダを出すと白馬が現れた。反応早すぎだろ…待っていたレベルだ。これは既に餌付け成功してると言えるんじゃないのか?
早速ポテトサラダを上げると昨日より尻尾が動きが速く、喜んでいるのがわかる。どうだ?
だが、インフォが流れず、もっとくれアピール。あ~、この流れは…セチアを見ると顔が絶望に染まる。
結果俺のポテトサラダはまた完食されてしまった。だけど今回は反応が違う。白馬は俺にじゃれついて来てくれた。そしてインフォが流れる。
『ホワイトホースの餌付けに成功しました。仲間に加えることができます』
よっしゃー!白馬ゲットだ!そして餌付けスキルがレベルアップした。早速名前を考えよう。うーん…白馬か…馬の名前を考えていると競走馬の名前が浮かぶ。参考にするのはいいかもな。よし、決めた!
名前 リキュール ホワイトホースLv1
生命力 8
魔力 2
筋力 6
防御力 6
俊敏性 16
器用値 10
スキル
蹴り技Lv1 突進Lv1 乗馬Lv1 疾走Lv1
リキュールはお酒の総称だね。佳代姉たちの父親が白いリキュールを飲んでいたことがあったはず。白いお酒は初めて見たから記憶に残っていた。当然飲んでないから味は知らないが有名な馬でお酒の名前の馬がいたし、何となく可愛い響きだ。問題ないだろう。
そしてステータスだが乗馬スキルがある!これってやっぱり乗れるってことだよね!テンション上がってきた!しかし白馬に乗るのは勇気がいるな…いや、俺の気持ちなど些細な問題だ!俺が乗ろうとしているとリキュールは俺をスルーしてイオンにじゃれつく。か、悲しい!
「な、なんで私なんですか!?」
物凄く懐いている。お前が食べたポテトサラダを作ったのは俺だぞ!仕方ない…よくよく考えると直接乗るのは問題ありそうだな。ミュウさんはいないからNPCの革職人さんか獣魔ギルドに相談してみよう。特に獣魔ギルドは相当いいらしいし、きっと馬用の馬具があるはずだ!後で行ってみよう。
では、リキュールのレベル上げも含めて、洞窟探索の編成をしますか…編成は昨日と同じ編成で虎徹、チェス、白夜、サビクだ。ゴブリンシーフがいるからグレイはお留守番。
昨日と同じように採掘しながら、同じ戦法で戦闘を繰り返す。順調にリキュールのレベルを上がっていくがサビクはなし。なんとかサビクとリキュールは今日中にレベルを上げて、進化させたいものだ。
そう思いながら探索を続けていると広場に出る。なんだここ?
名前 タクト 中級召喚師Lv3
生命力 37
魔力 74
筋力 27
防御力 18
俊敏性 24
器用値 53
スキル
格闘Lv1 蹴り技Lv12 杖Lv15 召喚魔術Lv18 錬金Lv7 採掘Lv10→Lv12
伐採Lv10 解体Lv13 鑑定Lv9 識別Lv14 風魔法Lv18→Lv19 火魔法Lv19
土魔法Lv18 水魔法Lv18→Lv19 闇魔法Lv18 光魔法Lv22 雷魔法Lv15
爆魔法Lv15 木魔法Lv15 氷魔法Lv15 時空魔法Lv12 読書Lv5
料理Lv18 餌付けLv4→Lv5 釣りLv5 シンクロLv2
名前 リキュール ホワイトホースLv1→Lv7
生命力 8→14
魔力 2
筋力 6→10
防御力 6→10
俊敏性 16→28
器用値 10→22
スキル
蹴り技Lv1 突進Lv1 乗馬Lv1 疾走Lv1
イベントの情報を軽く公開いたしました。イベントの細かいルールなどの詳細はまたあげます。まぁ、初イベントが無人島の探索だけで終わるはずがないので、安心してください。
次回は洞窟のボス戦です。お楽しみにです。