#816 セフォネたちの着物と約束の決闘
翌朝、俺は久々に義母さんの朝食を食べた。そこまでは良かったんだが、問題はここからだ。
「「「…今日は学校休む」」」
佳代姉たちがごねだした。
「馬鹿なことを言ってないで早く学校に行きなさい」
「だって、兄ちゃんは休みなんだよ!」
「…ずるい」
「誠吾君は日曜日、文化祭をしたから休みなんですよ」
義母さんの言い分は正論だ。それに対する佳代姉たちの言い分は酷いものだった。
「「「私たちも文化祭に行った!」」」
「お客としてね。馬鹿なこと言ってないで早く行きなさい」
「「「あぁ!? ちょっと待て!」」」
強引に三人を外に追い出し、ドアの鍵を閉めた。これが歴戦の主婦の力か!スーパーのタイムセールやバーゲンセールを勝ち抜いてきた義母さんが相手では佳代姉たちなど相手にならないのは当然だな。
その後、俺のスマホに同じメールラッシュ。いじめだろう…これ。
『夜のイベント終わってから帰る予定だから今日は帰ってきたら、俺が保護者になってやるからすぐにゲームが出来るぞ』
メール攻撃が止まった。それじゃあ、平日のゲームを楽しむとしようか。ログインした俺は早速和狐の着物のチェックをする。
蝙蝠の着物:レア度9 防具 品質S-
重さ:5 耐久値:1000 防御力:30
効果:魔素攻撃無効、精神攻撃無効、天の加護
天の衣から作製した女物の着物。黒色の布地に赤褐色の蝙蝠がデザインされており、妖艶な大人の着物となっている。天の衣の効果で精神攻撃と魔素から身を守り、天の加護で全ての武器に神聖属性を付与することが出来る。
焔の着物:レア度9 防具 品質S-
重さ:5 耐久値:1000 防御力:30
効果:魔素攻撃無効、精神攻撃無効、天の加護
天の衣から作製した女物の着物。黒色の布地に揺らぐ炎がデザインされており、かっこいい女性の着物となっている。天の衣の効果で精神攻撃と魔素から身を守り、天の加護で全ての武器に神聖属性を付与することが出来る。
セフォネとファリーダが着替えて来る。
「うむ! なかなか妖しい感じがして良いな! 妾の下僕たちを描いてくれて、感謝するぞ! 和狐」
「気に入って貰えて良かったどす」
セフォネの着物にはセフォネが影召喚で召喚する蝙蝠がデザインされている。これのせいで俺には子供っぽく見えているんだが、赤褐色だから確かに妖艶さを感じるな。
「こういうのもいいものね。気に入ったわ。どうかしら? タクト」
「色々悩んだけど、これで良かったな。セフォネも妖艶な感じになっているし、ファリーダの着物は俺も着たいデザインだな」
「あら? お揃いを希望かしら?」
「それはダメどす」
和狐に止められた。まぁ、そんなことをしたら、リリーたちも抗議するだろうから出来ないだろうな。次はユウェルとアリナの着物だ。リクエストを聞くとユウェルはかなりの難題なリクエストをして、アリナは俺にお任せだった。
俺は和狐と話し合い、デザインを決めると依頼をした。
さて、流石に今日は人数が少ない。それでも何人かプレイヤーがいるけど、現実の詮索はしないでおこう。まずは鬼夜叉を誰が持つかだ。持てる可能性があるのは、槍、刀、棒持ちの人となる。例外はなんでも装備出来るユウェルだ。
「恋火と和狐はどうだ?」
「自信がないです…葛葉ちゃんの薙刀を見ているので…」
「うちも無理どす」
「となるとやっぱり千影がいいかな?」
天狗は烏の他に色々な動物で登場するが流石に鬼はいないと思うが、俺たちの中で最も薙刀を使えるのはやはり千影だと思う。
「わかったであります。薙刀『鬼夜叉』、大切に使わせてもらうであります」
「あぁ。さて、この後、どうするかな…」
予定を決めてない俺である。するとリリーがねだってくる。
「訓練? 訓練だよね? タクト」
「そうなるかな~…でも先に黒の砦の様子だけ見に行こうか」
「「「「はーい!」」」」
という訳で黒の砦にやって来るとみんな防衛の準備を進めていた。するとヴァインとヴィオレに遭遇した。邪魔だと思ったが、これはいい生贄…いや、練習相手と巡りあった。
「そういえば二人は戦う約束をしてなかったか?」
「そういえばそうだった! 勝負だよ!」
「あん? 別にいいけど、手加減しねーぞ?」
一応デメリットが発生するスキルは禁止で戦う。
「ん? お前、剣を二本持っていたか?」
「持ってなかったよ?」
「は…慣れない二刀流を使うとは俺も舐められたもんだな」
「私が審判をしよう。両者準備はいいな? では、始め!」
二人が同時に飛び出し、大剣同士がぶつかり合う。
「やぁああああ~!」
リリーの筋力にヴァインが押され、もう一本の剣でリリーが攻撃をするとヴァインは地面を踏ん張りながら後ろに下がらせられる。
「うぐ…なんだ!? こいつの筋力!? お前は聖竜だろう!?」
「そうだよ! やぁああ!」
「ぐ…らぁ!」
「ふん!」
ヴァインはリリーの攻撃を避けてからカウンターで斬りかかるがリリーは簡単に受け止める。リリーが外した剣で再度攻撃したことでヴァインは決闘フィールドに追い込まれないように下がる。
ヴァインは口調が乱暴だが、軍を率いているから馬鹿ではない。決闘フィールドに追い込まれないようにした判断は流石だと思う。いい勝負だが、同じパワータイプでヴァインは両手、リリーは片手で互角だったことは筋力の差でリリーが有利にたったことを意味している。
こうなるとリリーはどんどん押してくる。それに対して、ヴァインが躱したり、受け流すことでなんとかリリーに攻撃を繰り出す。ずっと下がっていては追い込まれるだけ、受けてばかりではなく、攻撃をする判断は正しい。するとヴィオレと側近のドラゴニュートが言う。
「なんだ…そんな戦いがちゃんと出来たんじゃないか。ヴァイン」
「ヴィオレ様との訓練はしっかり身を結んでいたようですね」
「あぁ…しかし慣れていない戦いをするから隙が多いな」
どうやらヴァインはリリーと同じで筋力に頼った戦闘をしていたようだ。これに対してリリーは気持ちよそさうに左右の剣を振り回している。大剣二本を振り回せるだけで凄いがこれは剣術とは言えないな。しっかりヴァインの攻撃に対応しているからなんとも評価しづらい。
結局リリーが終始ヴァインを押し続けて、勝利した。
「勝った~! タクト! 褒めて褒めて~」
「はいはい。よく頑張ったな」
「俺が負けた…あんな奴に…」
ヴィオラが聞いてくる。
「試練を突破して、進化したみたいだな?」
「はい!」
「それは朗報だな。では、強くなった力を私にも見せてもらうか」
「負けませんよ」
次はイオンとヴィオレの戦いだが、こちらはいい勝負となった。パワーと剣の腕前ではヴィオレが優勢だが、スピードでは圧倒的にイオンだ。恐らくスキルを使い出すとイオンが優勢になると思うが二人は終始二刀流での戦闘をして、ドローとなった。
「いや、恐ろしい速さだな。いい勝負だった」
「はい! ヴィオレさんの剣捌き、凄かったです!」
「ふふ…素直に褒められるというのはいいものだな」
「次はリリーと戦ってくれませんか? ヴィオレさん」
俺は逃げようとしていたリリーを捕まえて、差し出す。
「構わないぞ」
「負けないよ!」
リリーはヴィオレさん相手に防戦一方となり、振り回され続けた結果、最後に一撃を貰い、負けた。
「うぅ…強い」
「これでもヴァインに負けたことがないのが私の自慢だ。ただ振り回している剣では私には通じないぞ」
その後、恋火、ユウェル、千影が戦いに参加した。なかなか白熱した。そして戦ってくれたお礼というわけではないが俺はヴァインと戦う。
「召喚師に俺が負けるわけないだろうが」
「言ったな? ヴァイン。負けたら、どうする?」
「へ。防衛に必要な資材を俺一人で運んでやるぜ」
これには準備していた騎士たちが大喜びで俺の応援に回る。
「タクト! そんな奴、ボコボコにしちゃえ!」
「タクトさん、頑張ってください!」
「タクなら勝てるぞ!」
「タクトお兄ちゃんの剣術の凄さを教えてあげてください」
これは負けれない。
「ふぅ~…」
俺は自分が考えた技のイメージを固める。俺の前に立ち塞がるのはあの爺さんだ。あの人相手に御剣流じゃ、勝ち目がない。それならこのゲームのシステムを使った俺の剣術を完成させていくしかない。
「試合開始!」
「行くぜ!」
お互いに飛び出す。
「空間歪曲! 転瞬!」
勝負は一瞬で決まった。俺はヴァインの背後から迅雷を抜刀し、斬り裂いた。
「近衛流、瞬転閃」
「な…ぐわぁあああ!?」
迅雷の万雷が発動し、勝負あり。
「なんだ? 今の攻撃? いつ背後に回ったんだ?」
「空間歪曲ですよ。モルドレット。自分の目の前に空間歪曲を作り、出口を敵の背後に作ったんです」
「空間歪曲に転瞬で飛び込み、背後から敵を一閃する技のようですな…」
はい。ランスロットさんとオリヴィエさんにすぐバレた。そうだよね…空間歪曲を使ったら、バレバレだよね。いい技だと思うんだけどな。改良の予知あり。
「勝負あり。ヴァインはしっかり荷物運びをするようにな」
「くっそ! あぁ! やってくるよ! なんでも運べばいいんだろうが!」
みんなから容赦ない注文が殺到したのは言うまでもない。そして俺にも問題発生。
「「「「また新しい技…」」」」
リリーたちから抗議の視線攻撃だ。
「あぁ…わかった。それじゃあ、ちょっと研究してみるか」
「「「「うん!」」」」
俺たちは色々戦闘を研究しているとコノハの魔法付与でやばい組み合わせを見つけた。それがレールガンだ。そのまま使うと閃電のようになる。これに転瞬を組み合わせるとやばいことになった。他にもそのまま投げるだけで刀のレールガンとなる。これは色々試し甲斐がある。
後はディメンションフォールト。これを刀に使うと魔法を刀で弾けた。きっとバットに使えばファイアーボールで野球をすることが可能となるだろう。つまらない発想だが、炎の魔球を打つのはバッターの夢だと俺は思う。
他にもダイヤモンドダストを使うと氷雪刃。レッドスプライトを使うと万雷のようになった。他は属性付与みたいな感じだな。刀でレーザーを撃てたのは、かっこよかったが普通に撃てるなら刀に付与する意味がない。他のもこんな感じだ。
「コノハ~、リリーにも魔法付与して~」
「ホ~…」
コノハにリリーたちが懇願していたがコノハは首を振ると俺の頭に避難する。
「「「「頭に乗せてあげるから!」」」」
「これのおかげで付与出来ているわけじゃないと思うぞ」
ここで時間を確認するとお昼でログアウトすることにした。




