表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
EOの真実と復讐ネビロス
848/1718

#808 有名ゾンビと空城の計

俺たちは第五砦に集まり、敵を迎え撃つ。すると敵の中にゴネスの騎士を初め各国の騎士たちが敵の部隊にいることを確認した。


更にヤバい事実が判明した。敵の中に英雄クラスの敵がいるらしい。確認された武将クラスの敵はこちら。張遼、龐徳、于禁、曹仁、平将門の五人。この報告に上杉謙信さんが言う。


「平将門殿…正義感が強いあなたと戦うことになるのか…」


どうやら平将門は結構いいキャラみたいだな。個人的には安心した。さて、敵部隊の編成を聞く。まず部隊は前衛後衛に分かれており、前衛部隊は張遼、龐徳、平将門が部隊を率いており、後衛が于禁、曹仁とのことだ。それぞれの性格が出ている編成だと思った。


前衛の編成にはゾンビの騎兵が中心で他にはライダーズにゴブリンたちが操るチャリオット部隊が確認された。後衛には銃と弓持ちの騎兵に盾持ちも確認された。


「前衛ではなく、後衛に盾持ち?」


俺の疑問に帝さんたちが教えてくれた。


「不思議に思うだろうが曹仁と于禁はそう言う編成を組むんだ。自分の命が大切な奴らだからな」


「しかもこっちの言うことは絶対に聞かない上に絶対に勝てると思ってから動くんだよ。負けると思ったら、直ぐに逃げ出すしな…」


「その癖に追い込まれると強くなるんです」


どうやらライヒプレイヤーは曹仁と于禁にはだいぶ手を焼いたみたいだな。


「どうします?」


「平将門と張遼は怖いですが敵に人間がいるのはむしろ好都合です。作戦に変更はありません。一度、ぶつかりましょう。合図をお願いします!」


「はい!」


俺たちは一度ぶつかり、敵の手の内を探った。俺はリリー、イオン、グレイ、コノハ、虎徹を抜きで挑む。この五人を使うと作戦が壊れるから除外した。


「そんな!? 折角暴れられると思ったのに!」


「ちょっとだけ! ちょっとだけでいいですから!」


「そのちょっとで敵軍を全滅させちゃうだろう? 夜には暴れられるから我慢してくれ」


「「…ぶー」」


大人になって、そういう抗議をされるとやっぱりまだまだ子供だなと思う。俺も大人とは言えないけどね。俺がダーレーに乗って、敵に向かうと旋風を使った張遼が俺に向かって突っ込んできた。


「させへんわ!」


これにはレイジさんが対応した。互いに旋風がぶつかり合う。


「いきなりギルマスとは戦わせられへんな」


「俺の突進を阻むか! 誰だ?」


「リープリングのレイジ。お前の相手は俺がしたるわ」


「生意気な! だがいい気概だ! はぁ!」


二人が戦っていると今度は平将門の部隊が突っ込んできた。これに上杉謙信さんの部隊と鉄心さんたちがぶつかり合う。


「鉄心!」


「おぉ!」


「ふん!」


平将門に左右から上杉謙信さんと鉄心さんが攻撃すると馬がその場で飛び上がり、二人に平将門の馬が蹴りを放つ。なんだ!?あのアクロバティックな馬は!?


「く…はぁああ!」


「まだだ!」


二人は落馬したが体勢を整えて斬りかかるが馬から発生した衝撃波で吹っ飛ばされる。すると真っ直ぐ俺を見つけて来る。挑発されているな。するとメルたちが襲いかかる。


「やぁああ!」


「タクト君ばかり見ているんじゃないわよ!」


メルとユーコが攻撃をすると二人の攻撃を仰向け状態になりながら躱して、二人の馬を刀で斬った。やはり騎馬での戦闘が俺たちより慣れている。するとリサが飛びかかった。


「聖魔爆裂拳!」


平将門はリサの聖魔爆裂拳の最初の拳の手首を掴むとリサをポイ捨てした。


「うそ!?」


「シールドタックル!」


ケーゴが馬に乗りながらシールドタックルをする。これに平将門の馬が前両足を上げて、ケーゴに盾に蹴りを二連続で入れる。一発目の蹴りでシールドタックルの効果を消して、二発目の蹴りで盾を押し返すためだ。


この結果、ケーゴはバランスを崩し、馬は自動で衝突を避けた結果、バランスを崩したケーゴは見事に斬られた。


「…悪いな。ダーレー」


「ヒヒーン」


本来ダーレーもあれぐらいは出来るはずだ。それをしないのは俺が指示をしていないからにほかならない。正確には騎乗戦の発想が俺にはないから指示することが出来ないが正しい。平将門とその愛馬を見ていると本当にそう思う。だからダーレーには謝らないといけないと感じた。


俺が感傷に浸っていると別の敵が攻撃してきた。


「ホワタ!」


「ホワァアア…アタァアア!」


三節棍で攻撃された攻撃を避けて、迅雷を抜刀すると三節棍の攻撃より速く敵を斬り裂くと流星錘が飛んで来る。これをダーレーは真似をするように蹴り返し、流星錘が流星錘を使ったゾンビが乗っている馬に命中した。


「ブルル…」


「あいつに出来て俺に出来ないことはないって感じだな…」


俺とダーレーはまだまだ強くなれる。そう思っているといきなり暗闇に包まれてしまった。


「うわ!?」


「きゃ!?」


「ぐわ!?」


味方が攻撃を受けている。これは夜になった感じじゃないな…すると第六感がダーレーの正面下に反応する。


『ダーレー! 向きを変えろ!』


ダーレーを横向きにし、俺は馬に横向きで姿勢を低くしながら騎乗する平将門の下からの斬撃を迅雷で受け止める。危なかった…もし止めていなかったらダーレーの首が斬られていたかも知れない。そして平将門の刀が黒く光っていた。この刀は間違いなく名刀だ。そしてこの暗闇はこの刀の力か。


平将門は体勢が悪いと判断したのか刀を受け流し、馬を走らせ俺たちとの距離を開けると愛馬にしっかり乗り、刀を構える。それに俺も答えた。お互いに馬を走らせたその時、第六感が発動する。


「風波動なの!」


俺を狙った毒矢がアリナの風波動によって、撃ち落とされる。この暗闇の中で恐らく弓矢を射る音と風切り音だけを頼りに弓矢を落としたのか…凄いな。


アリナの援護のおかげで平将門に集中して、交差する。


俺たちが引き返そうとすると再び第六感が発動する。しかし俺を狙おうとした敵は横から乱入してきた恋火によって、邪魔される。


すると暗闇が解除された。状況を確認するとアリナが龐徳。恋火が謎のマント姿の敵と対峙していた。龐徳がアリナに聞く。


「何故俺の攻撃がわかった?」


「暗闇の中で一つだけ弓矢を射る音が聞こえたら、嫌でもわかるの。アリナは風のドラゴニュート。おじさんの弓矢はアリナには通じないの」


「ふん! 舐めるな!」


「竜技! ドラゴンウィンドなの!」


アリナは翼を羽ばたかせると突風が発生し、龐徳の毒矢を落とした。


「言ったはずなの」


「く…」


一方恋火も会話する。


「タクトお兄ちゃんとダーレーさんの真剣勝負の邪魔はさせません! あなたは誰ですか!」


恋火が聞くと暴風となった上杉謙信さんが謎の敵に斬りかかった。


「玄明ーーーー!」


藤原玄明も登場するのか。上杉謙信の攻撃を受けて、マントがボロボロになり、藤原玄明は姿を見せた。恋火がその姿を見て、驚く。


「鬼!?」


藤原玄明は鬼独特の角があったが他の鬼とは明らかに違っていた。鬼やオーガはこのゲームでは基本的に筋肉質で登場している。だが藤原玄明は皮膚が焼きただれ、紫に変色した人間がベースの姿だ。


「それが悪逆非道を繰り返したあなたの成れの果ての姿ですか…」


「そうだ…閻魔どもに地獄に落とされ、獄卒どもに罰を受けた結果、この姿となった。あいつらから罰を受け続けるよりネビロスについたほうがいいだろう?」


「罪を償う機会を自ら放棄するとは哀れな…」


地獄は罪を犯した者に罰を与えて、地獄の服役期間を終えたものは輪廻転生によって、生まれ変わるとされている。


「黙れ! 死んだことがない貴様に分かるものか!」


「わかりませんね。私が分かることはあなたが桜花の民を苦しめた事実だけです」


「ふん! 身分の低い人間が身分が高い私に金や食べ物を差し出すのは当然のことだ! それが一体何が悪い!」


藤原玄明は領地の収穫物の横領や今で言うところの税金を一切納めなかったことで、地方行政府は藤原玄明を逮捕しようとするのだが、平将門に庇護を求めて、平将門は匿ってしまうんだよね。地方行政府からしたら、犯罪者を平将門が庇っている形になるから平将門に対して宣戦布告をすることになったんだ。


因みに藤原玄明は平将門のところに逃げる道中でも略奪などをしたと言われており、平将門の乱の顛末を描いた『将門記』という軍記物語に国の乱人、民の毒害など酷評されている。このゲームでも悪人ポジションみたいだな。


「腐った性根は地獄に落ちても治ってないようですね…あなたはこの世にいてはならない存在。あなたが苦しめた桜花の民に代わり、私があなたを再び閻魔様たちのところに送ってあげましょう。恋火殿、よろしいですか?」


「は、はい! あ!」


恋火が相手を謙信さんに譲っていると藤原玄明の手が謙信さんに伸びる。それを謙信さんは斬り裂くと一瞬で間合いを詰めて、藤原玄明の首を飛ばす。速い…平将門を相手にしていた時より、遥かに強い。やっぱり戦うことに迷いがあったのかな?


「む!?」


謙信さんが何かを感じ取り、距離を取ると藤原玄明は黒い泥になると再び復活する。


「無駄だ。俺は将門と結びついている。あいつが死なない限り、俺が死ぬことはない。俺は弱いからよ。強い奴に守ってもらわねーとな」


「っ! そのために将門殿を巻き込んだのか!」


謙信さんの言葉に藤原玄明は嫌な笑顔で返す。すると敵部隊が俺たちに襲いかかってきた。代わりにこちらも白夜たちが集まってくれた。俺が平将門を見るとプレイヤーたちに襲われているが押している。


『タクト! 聞こえるかい!』


『どうした? レッカ』


『良かった…繋がった。敵の後続部隊がすぐそこまで来ている! 今、撤退しないとまずいことになるよ!』


それはマズイな。


『わかった…撤退する! 合図と撤退の援護を頼む!』


『了解!』


「全軍撤退! 急げ!」


俺たちは魔法使いたちと銃士、狩人たちの援護を受けて、逃げると第五砦を放棄して、全員が第三砦に撤退すると敵の情報をまとめる。


「敵はルナティック武器以外ではすぐさま蘇生して、ルナティック武器で倒すと消えるか」


「たぶん倒した敵は一定時間内に復活してくる感じだと思うよ」


「ゲームではよくある定番だね。多分敵の拠点に何か秘密があるはずだよ」


「古の島にあった奴みたいな感じだね!」


メル、レッカ、リサに説明させて納得する。だとすると尚の事作戦を成功させないとな。俺は第四砦に向かうとそこで香子さんたちから報告を受けた。


「敵は第五砦を占拠しました」


「敵の砦に動きがあり、敵部隊を次々送り込んでいます」


「予定通り。夜の戦闘に備えている感じだな」


暫くすると敵は大部隊で第四砦に進行してきた。


「第五砦の情報はわかりますか?」


「曹仁のみ残ったようです」


曹仁は守りに定評があるからな。第五砦を完璧に占拠したいなら妥当な人選と言える。帝さんたちの話を聞くと戦いたくないだけに聞こえるけどね。すると香子さんたちが聞いてくる。


「本当にこの作戦をするんですか?」


「はい。実際に諸葛亮がした作戦とは意図などが違うことになりますけど、やる意味はあると思います」


「ただやりたいだけに見えますけど?」


「否定はしません」


香子さんたちは第四砦から退き第四砦には俺たちだけとなる。


「レーダーで敵部隊を補足しました。マスター」


「そっか。飛行部隊はいるか?」


「います」


それだとすぐバレるだろうな。さて、この状況に敵はどう動いてくるかな?


敵は第四砦に到着するとプレイヤーの姿がなく、無傷の砦だけがあった。この状況に張遼、龐徳、平将門は考える。


「これはどういうことだ? 何故城門が開いている? 俺たちを誘っているのか?」


「砦の中にはフリーティアの英雄と召喚獣が数人確認されただけだ」


「…何かの罠か?」


これが諸葛亮が考えた空城の計。罠など何もなく城門が開けっ放しにすることでまるで敵を招き入れるかの様な状況を作る。これを見た敵は罠があると考えてしまい、お城に攻めにくくなる。


この計略で司馬懿は諸葛亮しかいないただの城を攻め込めず、諸葛亮を逃がしてしまうこととなった。司馬懿にとって、恐らく最大級の屈辱だっただろう。女装もさせられているからどっちが屈辱かは司馬懿に聞かないとわからない。


ただこれは生きている人間の話で俺たちの敵はゾンビや不死だ。罠が怖くないなら決断するのにそこまでの時間は掛からない。恐る恐る敵が砦の中に入ってくる。それでも俺たちは動かない。


「マスター、そろそろ危ないかと」


「だな…退くか」


俺たちはテレポーテーションで撤退する。


「「「「なんだったんだ?」」」」


敵の武将たちは不思議がる。そしてその後、砦の中は本当に何もないことを知る。ゴブリンアサシンたちに調べさせたから間違いない。後から来た于禁と話をする。


「嫌な感じだぜ…」


「考えすぎだと思うぜ? この砦自体作りが良くないから防衛は出来ないと考えて明け渡すことにしたんだろう」


「于禁様の言うとおりだ」


「夜はネビロス様のアンデッド部隊も加わる。敵がどれだけ準備をしているか知らないが第三砦はもう落ちたようなものだ」


張遼の心配は的中しており、彼らが知らないところで俺たちの防衛作戦は既に始まっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最新作『動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います』を連載開始しました。
以下のリンク先で連載中です。


動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ