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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
EOの真実と復讐ネビロス
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#791 ミカドシルククエスト

俺は恋火と和狐、ユウェル、へーパイストス、パンドラを連れて、桜花の都に来た。まずは安綱さんの元を訪れる。


「お邪魔しま~す」


「その声はとんでも坊主か? 今日はどうしたんだ? もう素材を集めて来たのか?」


「神石しか集めていませんよ。今日は別の物を見て頂きたくて、来ました」


「神石をもう集めたのか…一番難しいはずなんだがな。それで別の物って言うのはなんだ? 言っとくがもう金属は出尽くしているぞ」


そうだよね。でも金属じゃないんだ。


「これなんですけど」


「なんだこりゃ? 蛇の尻尾? やばい毒がついてやがるな…」


安綱さんが手袋を付けて、八岐大蛟の尾を火箸(ひばし)のような物で挟み、ハンマーで叩いて確認する。


「なんだこりゃ!? こんな刀になりそうな素材、見たことも聞いたこともないぞ!?」


でしょうね!へーパイストスが質問する。


「刀にして大丈夫でしょうか? 僕でははっきりわからなくて」


「実際に研磨してみないと俺でもわからんが、触った感じでは問題ないな。というかそこらの名刀を超えてくると思うぞ」


「そ、それじゃあ…僕が頑張って作ってみます!」


安綱さんがへーパイストスの頭を撫でる。


「わかっているじゃねーか…それでいいんだよ。この坊主の専属鍛冶師はお前なんだ。立派な刀を作れよ?」


「は、はい! 頑張ります!」


いい師弟関係だよね。


「良かったね! お父さん!」


「うん! よーし。忙しくなるぞ」


「なるぞ~」


へーパイストスが燃えている。その後、ヘーパイストスたちは鍛治の仕方について、色々教えて貰うことになり、俺は久しぶりに聖徳太子に面会する。お土産はショートケーキ。


「このような物がこの世にあるとはな…世界は広い。それで話というのは暗黒大陸の話かワントワークの話かな?」


「どちらも違います。ミカドシルクというものについてお聞きしたくて」


「ほぅ…なるほどなるほど…そういうことか。それはめでたいな」


く…思いっきりニヤついているよ!


「絶品の菓子を用意して貰ったし、そなたのギルドには世話になっている。特別にこの場でクエストを発注してあげよう」


「ありがとうございます!」


狙い通りだ。ミカドシルクという名前なら聖徳太子に聞けばクエストが発生すると思ったぜ。インフォが来る。


『依頼クエスト『ミカドシルクを収穫せよ』が発生しました』


依頼クエスト『ミカドシルクを収穫せよ』:難易度S

報酬:ミカドシルク

ミカドシルクが取れる森に入り、ミカドシルクを収穫せよ。


ただ収穫するだけで難易度S…絶対に大変だけど、こちらには第五進化のグレイ、コノハ、虎徹がいる。ただ時間がやばくなりそうなので、ルインさんとミュウさんにメールで伝えて、早速クエストに挑む。


クエストを実行すると目の前には森がある。メンバーは恋火、和狐、グレイ、コノハ、虎徹だ。


「ミカドシルクってなんですか? タクトお兄ちゃん」


「服の素材らしいんだ。天人の布と交換出来るかも知れないからなんとかゲットしたい」


「そういうことなら頑張らなあかんね」


俺たちが森に入る前に足が止まる。地響きが聞こえて来たからだ。全員が戦闘体勢になる。


「何か来るぞ」


「かなり大きいです。虎徹さん?」


虎徹が前に出る。なら俺たちは距離を取ろう。さぁ、何が来る?


帝蚕?

? ? ?


巨大な蚕の幼虫だ。頭に冠があるから帝と言いたいわけだな。生憎予想通りだ。どうせ蚕が出てくると思ったよ!だから恋火たちを選んだんだ。


巨大蚕の突進に対して虎徹は一瞬で斬り裂く。流石…すると危険予知の警告が出る。何かやばい!


巨大蚕が倒れると大量の糸が発生し、虎徹は一瞬で繭にされ、俺たちに糸が向かってくる。


「「黒炎!」」


恋火と和狐が黒炎で燃やそうとするが燃えずに向かってくる。俺はこれを糸だとは認めない!


「ワオーン!」


グレイが群狼を使うと仲間と共に爪を振るう。すると大量の糸がバラバラになる。更に虎徹も自力で脱出する。見ると虎徹の刀に竜巻が発生している。旋風刃だ。安心していると再び地響きが聞こえる。


「タ、タクトお兄ちゃん…お、多いです!」


森から現れたのは巨大蚕の群れ。


「ははは…嘘だろ」


「ど、どうしますか? タクトはん」


「やるしかない!」


俺はファミーユを展開する。


『『『『レッドスプライト』』』』


『『『『ナパーム』』』』


レッドスプライトとナパームが帝蚕たちに降り注いだが、効いてない。こちらは最早虫を辞めているな。


「…迎え撃つぞ!」


「「は、はい!」」


「ホー!」


俺の決断を待っていたコノハが影分身を使うと必殺コンボを使う。ちょっと待って…これはやばいだろう!?


「二人とも、逃げ」


帝蚕の激突の効果で逃げれなかった…終わった。コノハの呪滅殺が発動し、次々倒されるとまるで糸の津波のように襲いかかってきた。


「「きゃー!?」」


「ホー!?」


驚いたコノハは空間歪曲で逃げる。俺も魔法を使おうとしたが転移が出来ず、呑み込まれるしかなかった。


『ぐるぐる巻きにされて身動きとれまへん…タクトはん』


『燃やすことも出来ません…タクトお兄ちゃん』


『コノハ…責任取って助けてくれ』


コノハの氷雪刃で救出される。氷雪刃は基本的には氷刃のようだが、斬った後にダイヤモンドダストの時に発生する光が発生するスキルみたいだ。この光を浴びた糸が一瞬で凍りつき、脱出出来た。


しかし俺たちは粘液臭で体が臭い…最悪だ。この後、ギルドで会議なんだぞ。


「ホー…」


コノハが頭を下げて謝罪する。


「はぁ…どうせこうなっていたんだ…助けてもらったし、謝らなくていいよ。コノハ」


俺たちは森に入ると通常の蚕だらけの森で粘着糸が四方八方から飛んでくるがこれは通常の粘着糸で対処できる。それでも蚕を倒すと粘着糸に拘束されるからうざったい。


そして俺たちは森を抜けて広い所に出ると奥のほうに巨大な繭玉がたくさんぶら下がっている木々があった。やっとボス戦か。


「ガウ!」


グレイが空を見て、叫ぶと遠くからボスが現れた。


帝蚕蛾?

? ? ?


まぁ、幼虫が来たら、ボスは成虫だよね。虎徹が刀を振ると神鎌鼬の斬擊が一瞬で帝蚕蛾を両断する。めちゃくちゃ速いな…しかしこの程度で終わるはずもなく、斬られた帝蚕蛾は鱗粉となり、存在が消える。


すると全員が別々のところを攻撃する。みんなの攻撃は外れて、代わりに鱗粉が発生する。


「「え?」」


「幻術か? …う!?」


視界がぐにゃぐにゃになる。これはベニテングタケの効果に出ると言う幻覚か!


「タ、タクトお兄ちゃ~ん」


「うちどす! 恋火!」


「ご、ごめんなさい! お姉ちゃん! いた!? な、なんですか!?」


「ホー…」


恋火が和狐に間違えて抱きつき、その恋火の頭にコノハが落ちてきた。グレイたちも蹲っている。全員が状態異常になっているということは帝蚕蛾は間違いなく第五進化レベルだ。


回復しても既に鱗粉が充満していて意味がない。


『敵を誘い込む。全員、地面に倒れてくれ』


『『はい!』』


俺たちが地面に倒れたところを確認した帝蚕蛾は襲い掛かってくる。舐めるな!


『『『『リフレッシュ』』』』


和狐、グレイ、コノハ、虎徹を回復させる。


「コノハ! 猛吹雪!」


「ホー!」


突如発生した猛吹雪に帝蚕蛾は巻き込まれ、俺たちを苦しめた鱗粉が吹き飛ぶ。そして回復した虎徹が空間跳躍で帝蚕蛾の目の前に一瞬で現れる。完全に間合いだ。


しかし虎徹が斬り裂いたかに見えたが攻撃が外れた…今の虎徹があの間合いで外すとは思えない。なんのスキルだ?虎徹は再度攻撃するが先に帝蚕蛾が羽ばたくと風で吹き飛ばされる。


するとコノハが帝蚕蛾の下から帝蚕蛾の羽を狙った。氷雪刃を使ったコノハの攻撃を帝蚕蛾はギリギリで躱すが青い光の粒子が羽に触れてしまい、凍りついた。


「「「「ワオーン!」」」」


グレイとグレイの仲間たちが叫ぶと空から神雷が連続で帝蚕蛾に降り注いで落下する。虎徹と回復した恋火、和狐が止めに動くが帝蚕蛾は残像で姿が消える。すると俺に強引に突っ込んできた。


「ガウ!」


「「「「ワオーン!」」」」


グレイの指示でグレイの仲間たちが神障壁を展開する。それにぶつかる帝蚕蛾は弾かれるが空振が発動したため、追撃が出来ず更にコノハに氷結された羽の氷を砕いてしまった。


今度はコノハが背後から死滅光線を放つが躱される。すると帝蚕蛾は体勢を整えて、触覚から雷をコノハに放つ。するとコノハも負けじと躱し、空で光線と雷の撃ち合いとなり、更に近接戦でやりあいにもなっている。


その間にみんなが集まる。


「めちゃくちゃ強いな…」


「はいな…どうしますか? タクトはん」


「そうだな…グレイ、虎徹。残像で逃げた帝蚕蛾を捕らえられるか?」


「「ガウ!」」


二人には第六感があるからそれぐらいは出来るよな…よし。


「あいつを罠にかけて仕留める。みんな協力してくれ」


「「はい!」」


コノハに指示して、猛吹雪を解除して貰った。すると帝蚕蛾が目にしたのは繭玉に向かう俺と和狐の姿だ。クエストのクリア条件がミカドシルクの収穫だから必ず帝蚕蛾は阻止に動く。そこに付け入る隙がある。


帝蚕蛾は狙い通り阻止に動く。


「結界!」


和狐は先に気がついて、結界を使うと帝蚕蛾は迷わず光速激突で向かってきた。結界にぶつかった瞬間、帝蚕蛾の横からレールガンが命中する。俺はシャドールームでグレイの影に潜み、遅延魔法でストックしたレールガンで狙っていた。


そして俺に変化した恋火が襲いかかる。


「居合い斬り!」


これを帝蚕蛾は残像で躱す。貰った!


出現した帝蚕蛾の前に虎徹が現れ、武技を使う。最初の攻撃はやはり外れるが虎徹は次々連続で斬擊を放つ。多刀流の五月雨斬りだ。五月雨斬りで刀一本に付き五回斬りつける技だ。つまり虎徹の場合は四十連擊となる。ここに多乱刃の追撃が加わる。


ボロボロになった帝蚕蛾にグレイの仲間と幻狼に連携が発動し、光速激突で襲いかかる。空間跳躍によって、攻撃しては色々なところから現れるグレイの仲間と幻狼にぼこぼこにされた帝蚕蛾は力尽きた。


俺たちも準備していたが必要なかったか。因みにグレイの攻撃が終わっても、近くには虎徹、空からコノハが狙っていた。罠が決まった時点で勝負ありだったわけだね。


解体する。


帝蚕蛾の鱗粉:レア度9 素材 品質S

効果:幻惑

帝蚕蛾の羽に付いている鱗粉。触れたり、吸い込んだりすると幻惑の状態異常になる。


よし、後はセチアたちを呼んで、繭玉を採取する。結果がこちら。


ミカドシルク:レア度10 素材 品質S+

桜花が誇る最高峰のシルク。独特の光沢とハリがある重厚感が特徴で品がある美しい服を作ることが出来る。また触り心地は最高峰に相応しく、世界中の女性を魅了している。


これでクエストクリアだ。しかも繭がたくさんあるから大量ゲット出来た。みんなにお礼を言って、最後の採取を終えると元の場所に戻ると聖徳太子が鼻を隠して言う。


「派手にやられたようだな。臭うぞ」


「わかっていたなら教えてくださいよ」


「それではつまらないだろう?」


これだよ…まぁ、目標を達成出来て良かった。時間を確認するとギルド会議の時間を過ぎていた。やばい…急いで帰らないと!

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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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