#788 ケストルの正体と究極の召喚師
ホームに帰った俺は準備を整えることにした。まずは最初に進化出来る物を見てみよう。
究極の召喚師
大賢者
大英雄
禁呪魔導師
剣聖
それぞれ確認してみる。
究極の召喚師…召喚師の頂点に君臨する召喚師。その強さは神さえ認め、契約に応じるとされている。
あれ?シルフィ姫様が使ったと聞いた神召喚は召喚魔術の一番最後の技じゃなかったのか?これは予想外。もうこれで決まっているが他も確認してみよう。
大賢者…数々の国を渡り、知略を以って国を救った者がなれる職業。精霊魔法や宇宙魔法など禁呪魔導師が覚えることが出来ない強力な魔法を多く取得する。
精霊魔法や宇宙魔法まで使えるようになるんだ。これは強そう。ただ禁呪と比べるとどうなんだろうね?
大英雄…幾度も国を救い、伝説の武器を持つ者だけが慣れる英雄を超えた職業。その力は一人で国を制圧してしまうほどの力があると言われている。
説明では一騎当千を超えているね。というか伝説の武器を沢山持っている俺はひょっとして、大英雄になれる人を減らしているんだろうか?
禁呪魔導師…全ての禁呪を覚えることが出来る魔法使いの頂点に君臨している職業。その力は世界の明暗を左右するほどで各国が厳しく管理している。
あ、禁呪魔導師はあくまで全ての禁呪を覚えることが出来る魔法使いなんだ。これで色々な人が禁呪を使える謎が少し解けた。
これだと大賢者と禁呪魔導師は悩むだろうな。制限がない魔法を自由に使うか。究極の魔法を複数使える人を選ぶか…ま、俺には関係がない話だ。悩むのをやめて次に行こう。
剣聖…剣の道を極め、伝説の剣を持つ者がなれる剣士の頂点に君臨している職業。数多くの剣の必殺技を会得し、神剣や魔剣をデメリット無く使うことが出来る。
再び俺が減らしている職業が現れた。そしてデメリットが無くなるって強すぎだと思う。これで槍兵の職業だとブリューナクの神威解放をノーリスクで使うことが出来るようになるってことだ。まだ使ったことが無いけど、出鱈目な強さになることは間違いないと思う。ぶっ壊れ職業だな。
さて、俺は迷わず究極の召喚師を選ぶわけだが、インフォが来る。
『特殊クエスト『究極の召喚師の試練』を実行しますか?』
この試練がどんなものか知らないがわかることはネフィさんやアウラさんはこの試練をクリアすることが出来なかったという事実だ。ということで試練の準備をしっかりして、気合を入れる。
「頑張ってね! タクト!」
「応援してます!」
「あぁ。行ってくる」
リリーたちから応援を貰った俺は試練開始のボタンを押した。
俺は眩い光に包まれると寵愛の召喚師の時に訪れた空間に立っていた。そして目の前にはチート幽霊のケストルが立っていた。
「ようこそ。ボクの試練へ。『究極の召喚師の試練』の内容は簡単。ボクと勝負して、勝ったら試練クリアだ」
「それは召喚獣を使ってか?」
「なんでも構わない。ただお兄ちゃんが召喚獣を使うならボクも使うし、使わないならボクも使わない。能力値もスキル、アイテムも全てお兄ちゃんと一緒。ここは夢の世界のようなものだからどれだけデメリットがある武器やスキルを使っても、今後に影響は出たりしないから安心してボクと戦ってくれていいよ。武器が壊れても同じ。試練では使えなくなるから注意してね」
完全にドッペルゲンガー状態だな。さて、そうなると伝説の武器を使うのは危険な気がする。召喚獣は論外。あいつは全ての召喚獣を持っていると言っていた。ここで使うわけには行かないだろう。あいつに勝つ一番の高い可能性は一対一で慣れ親しんだ戦闘スタイルで挑むのがいいと思う。
つまり俺は迅雷一本で挑む。
「くす…準備はいいかな?」
「あぁ」
「じゃあ、試練開始だ!」
迅雷を持ったケストルが一瞬で間合いを詰めてきた。俺はそれを予想し、抜刀するとケストルの姿が消える。な!?これはフェイント!?
俺はケストルに蹴り飛ばれる。
「ぐ…効いた…っ!?」
俺は現れたケストルの攻撃を受け流し、斬りかかろうとパンチが飛んで来た。それを避けて再び斬りかかると鍔迫り合いになる。そして同じタイミングで蹴りを出し、お互いに距離が空く。そして再びぶつかり合う。
戦闘していれば嫌でもわかる。こいつが使っているのは間違いなく俺と同じ御剣流だ。それだけじゃなく俺が攻撃を出すタイミングや繰り出す技が全く同じと来た。これじゃあ、本当にドッペルゲンガーを相手にしている気分だ。
ただし相手は子供でリーチが長さはこちらに分がある。その代わりケストルの攻撃は基本的に下から飛んでくる。こっちは斬るためには振り下ろさないといけない。振り下ろす攻撃はパワーがある分、隙が生じやすいため、御剣流はあまり得意としていないから非常にやりづらい。
「どうしたの? 受けてばかりじゃ勝てないよ!」
「余計なお世話だ! 猿真似小僧!」
「猿真似とは失礼だね。これでもお兄ちゃんと一緒、御剣流の使い手なんだよ」
「なん…だと? んぎ!?」
金的攻撃をくらった!やばい!
「勝負は一瞬の隙だよね。居合い斬り!」
俺は咄嗟に居合い斬りの刃を迅雷の鍔で叩いて、攻撃を反らし、ケストルの顔に初めてパンチが入った。その結果ケストルのローブのフードがめくれて顔があらわになった。
「な…」
俺は絶句する。俺の目の前には子供の頃の写真に写っていた俺そっくりの顔のNPCがいた。
「ど、どういうことだ? なんで子供の頃の俺そっくりの顔なんだ?」
こんなことがあり得るのか?いいや、あり得ないだろう!現実のしかも子供の頃の俺の顔なんだぞ!何が起きたら、こんなことが起きるんだ?
「勝負に集中出来なくなったみたいだから答えるとボクがこの顔なのはこの世界の神がボクをこの顔で作ったから、ボクはこの顔なんだよ」
「…運営がこの顔で作ったって言うのか?」
「運営っていうのはこの世界を管理している人たちのことだね。残念ながらボクを作ったのは彼らじゃないよ。もっと上の存在さ」
はぁ?全然意味がわからないぞ。運営がこいつを作っていないだと?そんなことがあり得るのか?だって、運営会社がキャラクターのデザインとかをゲームに反映させて動かして管理しているはずだ。そうじゃないキャラクターなんてあり得ないと思う。そこらへんは詳しく知らないけど。
「ま、そこら辺を知りたかったら、試練の後で聞いてみるといいよ。どうせ運営が動くだろうしね。いくよ!」
「ちょっと待て。金的のダメージが…うお!?」
待てと言っているのに斬りかかってきやがった!躾がなってないぞ!子供の俺!再びぶつかり合うとお互いに酷い顔になってくる。最初は嫌悪感があったが次第に高揚感が支配して来る。
「酷い顔をしているね! 大人のボク!」
「お前に言われたくねーよ! 子供の俺!」
「はぁあああああ!」
「らぁあああああ!」
何度ぶつかりあったか分からない状態で俺はある事を確信した。ケストルは本当に俺そっくりの動きと判断をするが微妙にズレる時がある。俺はこの原因に当たりを付けた。
そして俺は姿勢を低くして、胴を放つ。当然のようにケストルはガードするがその瞬間、頭突きをした。
「く…」
やはりケストルの御剣流は俺が子供の頃に爺さんから習った御剣流だ。そこで止まっている。俺が感じた差異は恐らく経験。
俺は爺さんの影響で結構武術系の漫画を読んだり、刑事ドラマの動きを見て来た。正直ここは違うだろうと思うことはあるがそれでも御剣流にはない良さを感じることもあるのだ。
使える物はなんでも使い、相手を斬れ。
これが御剣流の基本の教え。だから御剣流はどんどん進化していく。戦闘の知識が増えた分だけ攻撃の幅が出来ていく。この知識の差が俺とケストルとの決定的な差だった。
「ら!」
「んぎ!?」
俺はケストルの股間を蹴り上げる。お返しだ!この野郎!そして同じ反応をするな!
「は!」
更に俺は迅雷を斬り返すがそれは防がれ、ケストルは吹っ飛ぶ。
「く…」
「雷竜解放! 疾風突き!」
「…雷竜解放! バスターカリバー!」
雷竜のバスターカリバーが放たれようとしたが俺のほうが速く首を貫き、万雷が発動する。インフォが来る。
『ケストルに勝利しました。特殊クエスト『究極の召喚師の試練』をクリアしました』
「やっぱり負けちゃったか…強いね。お兄ちゃんは」
「そのお兄ちゃんはやめろよ。気持ち悪い」
子供の頃の俺にお兄ちゃんと言われてもお兄ちゃんの気が全くしない。するとケストルが言う。
「一応間違いないじゃないよ。ボクが生まれたのはお兄ちゃんの後だからさ」
「…お前は一体どこまで知っているんだ?」
「大体は知っているよ。この世界はお兄ちゃんたちが生まれた世界の人間が作った世界で、ボクたちを作ったのもお兄ちゃんたちの世界の人間であることも知っている」
NPCがこんなことを理解しているのか…運営が教えたってこと?いいや、さっきの言い方だと運営じゃない。もっと上の人って社長?あの人か?それもしっくりこない。だって、あの人は俺の事をそこまで知らないはずだ。
俺はある予感が過るとケストルが話し掛けて来た。
「それじゃあ、クラスチェンジをしようか…」
「あ…あぁ。それが本題だったな。頼む」
「うん…ボクの全ての力…お兄ちゃんとお兄ちゃんの召喚獣たちに託すよ」
そう言うとケストルの体が光り、俺の体に宿る。そしてインフォが来た。
『究極の召喚師になりました。リスト召喚から合成召喚の全てが出来るようになりました』
『リスト召喚に第三進化の全ての召喚獣が解放されました』
『合成召喚の第二進化が解放されました』
『究極クラスのスキルが解放されました』
『召喚魔術【神召喚】の使用条件を満たしました。神と正式契約することで使用が可能となります』
『マリッジスキルを取得しました。マリッジ【マリッジバースト】を取得しました』
『【エンゲージバースト】のデメリットがなくなりました』
『シンクロスキルに【ユニゾンバースト】を取得しました』
『【シンクロバースト】のデメリットが三日に減少しました』
『召喚出来る召喚獣の数が5つ増えました』
『全プレイヤー中、初めて究極位のクラスチェンジを実行しました。称号『究極位職の先駆者』を獲得しました』
名前 タクト 寵愛の召喚師Lv30→究極の召喚師Lv1
生命力 146→186
魔力 402→442
筋力 224→264
防御力 70→110
俊敏性 167→217
器用値 247→287
スキル
格闘Lv40 蹴り技Lv40 杖Lv43 片手剣Lv50 槍Lv37
刀Lv45 二刀流Lv15 投擲操作Lv26 詠唱破棄Lv39 魔力操作Lv22
魔力切断Lv29 危険予知Lv2 超感覚Lv30 召喚魔術Lv43 封印魔術Lv41
ルーン魔術Lv40 阻害無効Lv15 騎手Lv45 錬金Lv27 採掘Lv38
伐採Lv42 解体Lv52 鑑定Lv47 識別Lv55 疾魔法Lv16
炎魔法Lv12 地魔法Lv18 海魔法Lv14 暗黒魔法Lv13 神聖魔法Lv27
雷魔法Lv50 爆魔法Lv56 木魔法Lv37 氷魔法Lv42 時空魔法Lv58
獣魔魔法Lv12 遅延魔法Lv18 連続詠唱Lv44 水中行動Lv31 空脚Lv7
読書Lv20 料理Lv49 釣りLv23 シンクロLv35 エンゲージLv17
マリッジLv1 連携Lv30
相変わらずインフォが多いな。とりあえずいつも通り称号からだ。
称号『究極位職の先駆者』
効果:スキルポイント30pt、ステータスポイント30pt獲得
初めて究極位職にクラスチェンジした者に与えられる称号。
かなり多いな…ステータスポイントは全て俊敏値に回すとかなり早くなったなと思う。そしてスキルポイントは184ptとなった。しかしそれも一瞬で無くなることになるだろう。何せ強力なスキルが解放されているみたいだからな。俺はケストルを見ると透明になっていた。
「お別れだね。本当はもっと色々話したかったな」
「話さず、襲いかかって来たのはお前だろう?」
「そうだね」
「最後に一つ。聞かせてくれ。お前に御剣流を教えたのは爺さんか?」
ケストルは苦笑を浮かべると俺は転移した。あの顔が全ての答えだった。
帰った俺にリリーたちが飛びついてきた。
「お帰り! タクト! どうだった? 試練」
「クリアしましたか?」
「あぁ…一応したよ」
「「「「おぉ~!」」」」
「「「「流石です!」」」」
それぞれ反応が違うな。するとメールが来た。運営からだ。
『先ほどの試練について、社長から重大なお話があります。お時間が大丈夫なら転移ボタンを押してください。また他のお時間がよろしい場合はご都合の時間を指定の上、運営にメールを送信してください』
どうやらゲームの中で会って話をするみたいだな。
「悪いな。ちょっと野暮用で出かけて来るな」
「「「「え? い、いってらっしゃい」」」」
俺は転移ボタンを押して転移した。




