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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
EOの真実と復讐ネビロス
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#783 エデンの試練

ジークのスキルに竜魔法が書かれていませんでした。ジークは竜魔法でリリーが使っているシューティングスターライトが使えるようになっています。

学校が終わり、俺はゲームにログインするとアリナの寝顔があった。


「すー…すー…」


「…」


何故かアリナの三つ編みが気になって、手を伸ばすとアリナが起きる。


「起きたか?」


「ん…ふわ~…よく寝たの」


手を三つ編みではなく、頭に移して誤魔化した。セーフ。


今日はいよいよエデンの試練に挑戦だ。俺はブランを連れて、グリフォンの島に行く。


「エデンの試練を受けに来た!」


俺がそういうとセグメントが現れる。


『エデンの鍵を持ちし挑戦者の声に馳せ参じた。我が背に乗るがいい』


え?乗せてくれるの!?やったぜ!


『着いたぞ。ここがエデンのヘブンズゲートだ』


「…」


「あ、主? 楽しむ余裕すらない一瞬の出来事だったことは理解しますから落ち込まないでください」


本当に乗った瞬間にすぐ到着だった。いつか電車でも発車しますと言った瞬間に目的地に着く時代が来るんだろうか?風景を楽しみたい人間の一人として、是非普通の電車を残して欲しいと思った。


気持ちを切り替えて、ヘブンズゲートにブランと共に向かうと俺たちの前に光の柱が発生する。


「上位天使が来ます! 主」


光から現れたのは金髪の天使。


「ようこそ。エデンのヘブンズゲートへ。私はここを主の命で守っているケルビムのソフィアといいます。よろしくお願いします」


純粋無垢な笑顔を浮かべる子だな。だが、ケルビムということは智天使でブランより位が上のはずだ。


エデンの園を守っている天使は色々な話で異なる。ソフィアという名前は旧約聖書に登場する。智天使の智をソフィアといい、このゲームではエデンの園を守る智天使の名前に当てたようだ。


エデンの園を守る智天使の中にはウリエルの名前もあったりするから期待してたんだけど、あてが外れた。


「こちらこそよろしくお願いします」


「礼儀正しい人間は大好きです! それでは、試練を始める前に挑戦資格であるエデンの鍵を私に頂けますか?」


俺はエデンの鍵をソフィアに渡すとソフィアはヘブンズゲートの鍵穴に差し込む。すると門が開いて行く。


期待していると強烈な熱波が俺たちを襲う。そして門の中を見ると絶句。門の中は炎が渦巻いていた。俺が開けた門はヘルズゲートだったのだろうか?


「では、試練内容を発表します。お一人でこの門に入り、無事に出口であるエデンの園に到達してください。出口は真っ直ぐ走っているとたどり着けます」


「出来るか!」


俺の叫びを無視してインフォが来る。


特殊イベント『エデンの試練』:難易度SS

報酬:称号『エデンの到達者』

参加者:エデンの鍵を所有するプレイヤー

制限:装備効果無効、スキル無効、アイテム無効

リタイア:可能

再挑戦:可能

エデンのヘブンズゲートを突破し、エデンの園に到達せよ。


内容と目の前の光景が一致しないな~。しかもスキルや装備、アイテムの効果を封じて来るって…生身で飛び込めってことだよね。無理無理。


「お気持ちはわかりますが始めに伝えておきますと門から見える炎は贖罪の炎と言いまして、殺傷能力がない炎です」


「つまりこの炎に触れても火傷や燃えることが無いってことですか?」


「その通りです。しかしご覧の通り熱さと痛みは発生します」


熱さや痛みに耐えることが贖罪と言いたいわけだな。この場合の罪はエデンの園で知恵の実を食べた罰のことだろう。俺が食べた訳じゃないのに、こんな試練を受けることになることに納得行かないがやるしかない。


「殺傷能力はないのは炎だけですか?」


「はい」


俺の質問にソフィアは笑顔で答える。これは俺の予想が当たってるな。俺はウォーミングアップを初めて、状況のイメージを固める。するとブランが聞いてくる。


「主、行くつもりですか?」


「あぁ。神様が人間に用意した試練。突破してやろうじゃないか。心配か?」


「当たり前です。私は主の召喚獣なんですよ? それに主は私の為に挑もうとしてますよね?」


まぁ、気付かれるよな。冥界と同じで天界も複数あるゲーム設定だが、ほぼ間違いなく天使のふるさとはエデンだ。ブランが天使である以上、一度はふるさとを見せてやりたい。


「それも確かにあるが、結局挑みたいから挑むんだよ。俺たちが冒険をしているのは、新しい国や町を見たいからだ。当然そこにはブランのふるさとも含まれてる。だからブランが気にする必要は全然ないよ」


「はぁ…リリーお姉様の頑固な性格は絶対主が原因です」


あれ?なんでそうなるの!?


「では、せめて挑む前に水を掛けさせてください。あまり意味がないと思いますけど」


「頼む。向こうに着いたら、召喚するな」


「はい」


俺はミールを呼んで、桶に水を入れて貰うとブランに水を掛けて貰い、ソフィアに話しかける。


「挑みますか?」


「はい」


「では、試練を開始します! 挑むタイミングはあなたの自由です」


俺は息を思いっきり吸い込み、目をガードするため腕をクロスさせるとエデンのヘブンズゲートに飛び込んだ。


ヘブンズゲートの中は予想通りの地獄。激しい熱さと痛みを歯を食い縛って走り続ける。


『焼き肉屋の料理人が火にビビってどうする! 火はマイフレンドだ!』


ヤバい…なんか昔聞いた焼き肉屋店長の意味がわからない発言が脳内再生された。でも、なんか渇を入れられた気がする。


そうだよ!料理をする人間が熱さや痛さしか感じない偽物の火に負けるわけにいかない!


俺が呼吸を止めて、走り続けていると何かが回る音が聞こえた。俺は腕のガードに隙間を開けて、目で確認する。


そこには巨大な炎の剣が横一列に並びながら回転していた。これが神様が智天使と共にエデンの園に設置した炎の回る剣か!ソフィアの話ではこの剣は普通の剣だ。


そしてこの先に出口である門が見えた。俺が想像していた物よりかなり緩い。正直もっと高速回転をしていると思った。これからなんとかなる!


そう思った瞬間、炎の剣たちの配列が変化した。俺は足を止める。危ない…あのまま突っ込んでいたら、斬られてた。


動きが遅いから回転ドアのように動けば余裕だと思っていたが、その途中で炎の剣を配列を変えられたら、突然斬られる可能性がある。何せ歯車のように回転している所や刃と刃が触れ合うギリギリのラインを回転している剣がある。


俺が考えていると息が苦しくなってきた。考えてる暇はない。これに賭ける!


俺は歯車のように回転する炎の剣の刀身に左手で触れながら回転する。その瞬間に手のひらに強烈な痛みが発生するが想定していた痛みだ。我慢出来る。


問題はここからだ。配列が変わった瞬間、俺の左手は斬られる。それを想定していた俺は回転する剣の隙間に逃げる。


「く…は」


しかし痛みで口を開けてしまった。焼けるような痛みが身体中から発生する。そして強制ログアウトの警告が表示されるが無視する。ここまでして強制ログアウトなんて冗談じゃない。


やはり歯車のように回転するパターンと刃が触れ合うギリギリのパターンは交互に入れ替わっているみたいだ。


それなら回避が出来ない歯車パターンを先に触っておいて、同時転移。手を斬られるが回転する隙間が存在するパターンになるから命は助かる。


後はまた配列が変わるまえに出口があるほうに飛び出せばいい。だが回転速度が遅いために飛び出した瞬間、配列が変わり、左足を斬られて倒れ込む。


またうるさく警告が出る。俺は右腕の力で這いながら、出口に向かう。そして遂に出口にたどり着いたところでインフォが来る。


『特殊クエスト『エデンの試練』をクリアしました』

『称号『エデンの到達者』を獲得しました』


称号『エデンの到達者』

効果:エデンの園に行くことが出来る、熱無効

天界の楽園『エデンの園』に到達した者が獲得できる称号。

エデンの園に自由に出入りできるようになる。


その瞬間、痛みから解放された。


「はぁ…はぁ…はぁ~~~」


生きているって素晴らしい。なんか這いながら運営の悪口を連呼していたら、たどり着いたな。


俺がジュースで喉を潤しているとソフィアがブランを連れて現れた。この状況をブランに見られるのは非常に不味い気がする。


「主!? 手と足がありませんよ!?」


「あぁ…少しドジった。でもクリアしたぞ。どんなもん」


「主! 主はいつもいつも無茶しすぎです! 私のためを思うなら今後は無茶しないと約束してください!」


押し倒してきたブランは涙目だ。これは反則です!それを運営が約束してくれるならそうするんだけどなぁ。


「あ、る、じ!」


「いや~…約束したいんだけどな~」


「それは約束させるのではなく、あなたたちがさせないようにする方がいいと思いますよ」


第三者の声だ。


「ウリエル様!?」


声だけじゃわからなかった。というか動けないんですけど。


「ブラン、まずは彼を回復させてもらっていいですか?」


「へ? あ!? その…お願いします」


完全に俺を押し倒している自分の姿に気が付いたブランは顔を真っ赤にして、離れる。


「ふふ。ソフィア、お願い出来ますか?」


「はい!」


俺はソフィアに治して貰い、完全復活する。


「それでは改めて、エデンの試練の突破おめでとうございます。我らが主もあなたたちのエデンの園への立ち入りを許可されました」


「ここがエデンの園…」


草木がある普通の園だな。だが、空を見ると変なのがいた。


プリズムケルビム?

? ? ?


クリスタルに天使の羽と輪がある謎のモンスターだ。今はウリエルたちがいるから大丈夫だろう。ウリエルの話に集中する。


「はい。エデンの園は私たちの天界『エデン』の最下層にあります」


あぁ…天界の名前がエデンって設定なんだな。


「このエデンの園には地上では手に入らない草木などがあります。我が主は自由に収穫していいと許可しているので、欲しいものがあればなんでも取っていいですよ」


太っ腹。でも気になることがある。


「知恵の木の実とかもいいんですか?」


知恵の木の実はエデンの園を追放されるきっかけとなった木の実だ。恐らくここにあると思うんだが、さっきの話では食べていいってことになる。


「はい。我が主の話では既に食べてしまったので、どれだけ食べても意味がないそうです」


なるほど。そういうことなら俺は遠慮しないぞ。するとウリエルが気になることを言う。


「ただ知恵の木の実を取るのはかなり難しいと思いますけどね」


「どういうことですか?」


「あの地は現在、主の怒りが封じられた地であり、この世界の中でもトップクラスの二匹の化け物が封じられている土地となっています」


一匹はなんとなくわかる。もう一匹は何が来るんだろう?匹ってことは動物でトップクラスならあれかな?俺の想像が正しいなら俺は知恵の木の実は諦めるな。するとソフィアが補足する。


「試練の途中にあった炎の剣は人間の試練であると同時にその二体の化け物が地上に行かないようにするためのものなんです」


そういう設定なんだ。そんな化け物対策の剣で左手と左足を斬られたことにゾッとする。


「見に行って見ますか?」


「いいんですか!?」


「はい。奴らを見ることで勉強になることがあるでしょう」


ということで俺たちはウリエルに連れられて、知恵の木の実がある場所に行くこととなった。

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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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