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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
EOの真実と復讐ネビロス
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#781 風竜の試練と聖竜の戦闘

風竜の試練を実行した俺はアリナの白銀の光に包まれる。目を開けるとそこは乳房雲が空を覆っている何もない地上だった。


「激しく嫌な予感がするな…」


「そうなの?」


「あぁ…今まで色々なドラゴンの試練を受けてきたけど、その中でも特に嫌な予感が強い」


すると空から誠実そうな男の声が聞こえた。


『あなたは神殺しや魔神殺しを成し得た英雄。試練もそれに見合う物を用意するのが道理というものですよ』


雲を吹き飛ばし、緑の風を纏ったエメラルドのドラゴンが現れる。


疾翔龍王しっしょうりゅうおうケレリタスドラゴン?

? ? ?


ケレリタスはマニアックだな。光速の記号Cの読み方だ。スピードにおいてトップに君臨しているドラゴンの名前には相応しいのかも知れない。そしてこのドラゴンからはどことなく理知的な印象を受けるな。


「俺のことを知っているんですか?」


『もちろんです。我々風のドラゴンは他のドラゴンが知っていることは全て知っています。他のドラゴンが知らないことも全て知っているのが売りなのですよ』


あぁ…こいつは紛れもなくアリナと同じタイプのドラゴンだな。


『あなたたちの賑やかな冒険も最初から全て見てましたよ。あなたの試練内容や恥ずかしい告白まで』


「詳しく教えて欲しいの」


「知らなくていい!」


さっきまで背中に隠れていたのに恥ずかしい告白と言った瞬間に飛び出すとは…本当にこういう話が好きなんだな。


『それは彼らから聞くと良いでしょう。情報を集めるのも風竜の仕事です』


「わかったの! 帰ったら、皆を問い詰めるとするの」


『それでこそ風竜です。では、そろそろあなたたちの試練を始めましょう』


何が来るかな?そう思っていると突如正面から体を持っていかれそうな風が吹く。


「きゃ~!?」


「おっと。しっかり捕まっていろ。アリナ」


「う、うんなの」


飛ばされそうになったアリナを腕で抱えていると目の前で超巨大竜巻が発生する。


『では、試練内容を発表します。あの竜巻に呑み込まれて、無事に地上に着地出来たら、クリアとします』


「出来るか!」


「無理なの!」


まず竜巻に呑み込まれてからスタートするのがおかしい。現実なら完全に自殺行為だ。するとケレリタスドラゴンは追加の説明をする。


『あの竜巻は自然発生したものなのでダメージは発生しません。ただ地面に墜落した場合はダメージが発生します。後はあなたたち次第です』


つまりダメージが発生しない竜巻に飛び込んで無事に着地しろってことか…建物とかないし、これならスキルを使えば可能かな?


「わかりました」


「え!? 行く気なの!? お兄様」


「あぁ。二人でクリアすればいいんですよね?」


『はい』


ならこのままアリナを抱えて行ったほうがいいな。俺はもう片方の手にファミーユを持って準備完了。


「行くぞ。アリナ」


「お兄様は怖くないの?」


「もちろん怖い。でもケレリタスドラゴンが考えていることがなんとなくわかったし、試練のクリアの仕方もわかった。俺を信じてくれ」


「わ、わかったの。でももし墜落したら、一生この失敗の事を言い続けるの」


物凄い脅された。


「わかった。行くぞ!」


「本当に突っ込んで行くの!? 嫌なの~!?」


俺たちは巨大竜巻に飛び込むと巻き上げられていく。竜巻は地上から雲に伸びる高速な渦巻き状の上昇気流だ。現実なら建物の残骸などがこの気流の中を飛び交っているから生身では相当運がないと助からない。


しかしこの試練ではそういう危険は排除されている。石や砂すら無い中、俺たちは竜巻の思いのまま、気流に流されていく。


そしてしばらくすると風が止む。ここだ!


『フライ』


俺はフライで体勢を整える。


「え…風が止まったの。わぁ」


俺たちの目の前には真っ青な大空と太陽だけある世界が広がっていた。まるでこれが空という世界だと言っているような絶景だった。


「でも、何が起きたの? お兄様」


「下を見たらわかるよ」


「下? え!? これって竜巻なの? というかアリナたち、雲の上にいるの!?」


俺たちが今いるのは竜巻が発生した雲の上空。竜巻の目がはっきり見えるこの光景は恐怖の絶景だな。その圧倒的な大自然の力の光景の前に畏敬の念を感じてしまう。


竜巻で巻き上げられた俺たちは気流の勢いで雲の上まで跳ね飛ばされたんだ。そしてこの一瞬だけ竜巻の気流から解放されるからフライを使って落下を防げば竜巻から逃れることができる。ただ問題はある。


「さ、寒いの…」


雲の上だから当然寒いし、現実なら急激に雲の上に行くから意識を失うかも知れない。


「ローブの中に入ってくれ」


「わ、わかったの…温かいの~」


俺はロープから顔を出しているアリナを連れて、竜巻から完全に離れた所に着地する。これで試練クリアだ。


因みにフライを使わなかったら、上昇気流で発生した下降気流と自由落下で地面に激突していたことになっていたと思う。ケレリタスドラゴンが俺たちの前に来た。


『お見事です。風竜の試練のクリアを認め、祝福致しましょう。』


「お、お願いしますなの!」


『あなたは今日空の恐ろしさと美しさを学びました。これからはこのことを忘れずに大空を飛んで下さい。今日からあなたはドラゴニュート・トロポスフィアです』


アリナが白銀の光に包まれて進化する


『アリナがドラゴニュート・トロポスフィアに進化しました』

『アリナは投擲、風刃、竜技、風波動、風竜の加護スキルを取得しました』

『竜技【ドラゴンウィンド】を取得しました』

『擬似竜化スキルが竜化スキルに進化しました』


名前 アリナ ドラゴニュートLv30→ドラゴニュート・トロポスフィアLv1


生命力 25→45

魔力  65→85

筋力  12→27

防御力 8→23

俊敏性 95→115

器用値 25→45


スキル


浮遊Lv1→飛行Lv1 投擲Lv1 聞き耳Lv1→音響探知Lv1 逃げ足Lv1→疾走Lv1 風刃Lv1 

空気弾Lv1 風魔法Lv1 風波動Lv1 竜技Lv1 擬似竜化Lv1→竜化Lv1 

風竜の加護Lv1


進化したアリナは背丈の他に三つ編みが長くなった。それとユウェルと同じで小さな角が出来てた。流石にまだ竜角のレベルではないらしい。


トロポスフィアは地球の大気の層の一つである対流圏の英語読み。旅客機が飛んでいる高度やエベレストの山頂付近が対流圏に当たる。


そしてステータスを見るとアリナに初めて武器スキルが追加されたな。これでアリナの戦闘スタイルが確定した印象を受ける。筋力が無いから手裏剣とか投げて戦う遠距離攻撃特化だと思う。


ドラゴニュート随一のスピードと空での機動力にこの能力は相当ウザいことが出来そうだぞ。将来リリー、ユウェルは苦労しそうだな。イオンとの勝負はかなり見ものだと思う。ノワとも結構いい勝負しそうな気がするな。どちらも操るタイプだからね。


『これで私の試練は終わりです。あなたたちの旅路に良き風が吹くことを祈っていますよ』


そう言われて俺たちは島に戻った。すると直ぐにリリーたちが気がつき、イオンが確認してくる。


「無事に進化出来たみたいですね」


「そんなことはどうでもいいの! 恥ずかしい告白について詳しく教えて貰うの!」


「「「「えぇ!?」」」」


アリナがリリーたちに問い詰めている。


「訓練の再開までちょっと休憩するか」


「ガウ…」


「ホー…」


うん。虎徹とコノハの進化のためでもあるからがっかりする気持ちはわかるよ。今のうちにグレイを戻してジークを呼ぶと流石に時間が厳しくなってきた。


「おーい。早く訓練を再開しないとアリナの歓迎会をする時間が無くなるぞ」


総出でアリナが連行されてきた。歓迎会が無くなるということはご馳走のお預けを意味している。リリーたちが必死になって当然だ。


「むぅ…後で絶対に聞き出すの…」


執念が凄いな。それじゃあ、訓練を再開させよう。俺がテウメソスアレプーを出せるのは二回だ。これで今日の戦闘は終わりだな。


「ジーク、お前の強さを見せてくれ」


「きゅ!」


一応俺も準備を整えて、テウメソスアレプーを出す。次の瞬間、ジークは光速激突と竜爪、多乱刃でテウメソスアレプーを吹っ飛ばした。そして翼をテウメソスアレプーに向けて羽ばたくと羽投擲と聖雨がテウメソスアレプーに襲い掛かり、最後は聖波動で倒した。強いな。


ここでアリナの10レベルアップ更新が途切れた。テウメソスアレプーだとこんなもんか。解体すると毛皮をゲット。そしてもう一度ジークが戦う。


すると今度のテウメソスアレプーは高速戦闘となった。テウメソスアレプーがジークの攻撃を上手く躱して、攻撃を当てている。それに対してジークのダメージは直ぐに回復している。竜鱗がダメージを軽減し、超速再生で回復をしているんだ。これは倒すのは苦労するぞ。


こうなるとテウメソスアレプーは狙いを俺たちに変更して来る。新魔法の準備は出来ている。


「黒鉄」


黒鉄がテウメソスアレプーの攻撃を受けて、止まった所を狙う。


『『『『レールガン』』』』


展開された魔方陣から稲妻を帯びた閃光が四発、テウメソスアレプーに二発命中する。流石のテウメソスアレプーも四発の雷速の光線全てを回避出来なかったようだ。二発躱しただけでも大したものだと思う。


テウメソスアレプーは命中した衝撃で吹っ飛んだ。雷魔法のレールガンは魔法ダメージと物理ダメージの両方のダメージが確認されている。衝撃で吹っ飛んでいるのが、その証拠だ。このためレールガンは光線よりもダメージが大きくなっている。その反面、スピードが落ちる弱点はあるのだが、あくまで光線と比べての速さだ。そこまで気にする必要はないと思う。


黒鉄と魔法のレールガンとの違いだが、流石に一発の大きさは黒鉄のほうがある。代わりに俺は連射出来る。どちらがいいのかケースにより異なると思う。


吹っ飛んだテウメソスアレプーはジークの方に飛んで行き、ジークは尻尾で跳ね上げるとジークの口に虹色の光が集まっていく。


「きゅーーー!」


集束された虹光がテウメソスアレプーに命中して、テウメソスアレプーは倒された。ここで念願のインフォが来た。


『アリナのレベルが10に到達しました。防風スキルを取得しました』

『コノハのレベルが32に到達しました。進化が可能です』

『虎徹のレベルが32に到達しました。進化が可能です』


ギリギリ来てくれて助かった。やはりアリナは風を使うか。解体すると外れ。今日は結構外れたが、もう出せないので訓練は終わり。さぁ、コノハと虎徹の進化と行こうか!

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最新作『動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います』を連載開始しました。
以下のリンク先で連載中です。


動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
― 新着の感想 ―
なんか試練の難易度おかしくない?と思ってたけどやっぱり個人で難易度違いましたか... リリーの進化試練とかどう考えても他の召喚士じゃクリア出来ないですよね
[一言] 思考して成長するNPCが関わってくるなら仕方ないのかもしれないけど、試練の難易度は上がるのに進化の内容変わらないのは中々にシビアよね。笑 まあだからこそ、楽しめるゲームになっているのかな?
[良い点] コミック登場3者全員が第五かぁ、感慨深いですねぇ。 リリー?そりゃノーマルのテイムした子との必要経験値に差があって当然なので
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