#780 アリナのレベル上げ神狼の戦闘
俺たちは島に行くと早速太陽の苗木と木と銀の苗木、銀の林檎の苗木をセチアとミールが殖える。そして水樹と生命の木にユグさんたちが作った肥料を上げる。
「これで完璧です。タクト様?」
「みんないいってさ」
「では、蒼穹さん、クリュス、行きますよ」
「えぇ! 豪雨!」
ミールの雨乞いと蒼穹、クリュスの豪雨で島中に雨が降る。そして仕上げだ。
「エアリーさん、お願いします」
「ヴェ~!」
エアリーが豊穣を発動する。これで苗木たちは成長するがまだ伐採や採取が出来る状態じゃない。
「ん~…この様子ですと二日後くらいになりそうですね」
「そうなんだ。それだと杖が完成するのはかなり後になりそうだな」
「はい。初めての木ですし、月の木の武器は間に合うか微妙です」
まぁ、これは仕方ないかな。するとリリーたちが自分たちにとって重要なことを聞く。
「「「「林檎は?」」」」
「銀の林檎の木は明日には採取出来ると思いますよ」
「「「「やったー!」」」」
リリーたちが喜んでいる姿を見ると交換した甲斐があるってもんだ。その後、セチアたちに依頼をする。
「セチアはへーパイストスと一緒にイオンの魔法剣を頼む」
「はい。良かったですね。イオンお姉様」
「はい! あ、いや、これはちが」
折角満面の笑顔をしたのに、勿体無い。和狐には和服の依頼を再開して貰いたいが素材がないため、チョコレートやチョコチップマフィンを頼んだ。全然足りなかなったから対策は必要だ。これにはイオンたちも参加する。
「ちょ、ちょっと味見とかしてもいいですか?」
「用意する分をしっかり作ってからならいいぞ。ただみんなにも上げてくれよ」
「「「「わかりました!」」」」
ユウェルにはモーニングスターの作製となるがこれには色々工夫しようと思う。へーパイストスと協議した結果、基本はルナティック武器と同じなのだが、鎖には伸縮鉱石を配合し、星球の部分にはタングステンも配合することに決めた。
ミスリルはどうしても軽くなるからモーニングスターには不向きなんだよね。重いのが売りの武器だから工夫をすることにした。
それとレージングルは協議の結果、月輝夜に装備させて熱鉄の黒縄をユウェルに回すことにした。レージングルが相手にするのは巨大な敵だ。それならユウェルより月輝夜のほうが向いていると判断した。ユウェルもボス戦に恐らく投入することになるから熱鉄の黒縄を任せておくべきだと考えた。
最後にパンドラだが、コールドアイロンを使った片手剣を依頼した。
「初めての金属だが、作れるか?」
「分からないところはお父さんに聞いてもいい?」
「もちろんいいよ」
「なら大丈夫だよ! おじ様」
さて、ここからはアリナのレベル上げだ。
相手はテウメソスアレプー。因幡の白兎ではなくこいつを狙う理由は素材。銀たち経由で香子さんから依頼を貰ったのだ。やはりテウメソス装備は偵察特化の忍者にはとても魅力的な装備らしい。今後もお付き合いを続けていきたいギルドだからここは張り切って行こうと思う。
ということで討伐経験があるメルたちに協力して貰う。俺からはセーフリームニルを出す予定…やはりみんな最初は見学をする。第五進化の強さをみたいのは誰でも同じだ。選んだメンバーはグレイ、コノハ、虎徹、黒鉄、アリナだ。進化狙いです。
「テウメソスアレプーの相手はグレイに任せる」
「ガウ!」
「俺たちはアリナを全力で守るぞ」
「「はい!」」
するとここでアリナが疑問を口にする。
「お兄様もアリナを守るの?」
「あぁ。大丈夫だとは思うけど、一応刀で」
「変なの!」
今更物凄く普通のことを指摘された!まぁ、恐らく俺の出番はないと思う。それではグレイには第五進化の強さを見せて貰おう。
まず一体目。大きくなったグレイがテウメソスアレプーと相対する。テウメソスアレプーは走り出してスピードに乗っていく。それに対してグレイは叫ぶと自分の仲間を呼び出す。するとグレイにバフが発動した。
これが群狼スキル。自分の仲間を呼び出し、味方のウルフ系の数に応じて全ステータスが上昇するスキル。更に呼び出した仲間には神の加護が発生している。恐らく群狼スキルの対象になったウルフたち全てに付与するんだろう。
これは特に戦争イベントなどの大規模イベントで恐ろしい猛威を振るうスキルとなるだろうな。どれだけ強化されるか分からないが、分かることは今までの強化の比ではないことは確実だと思う。
そしてグレイの指示で呼び出された仲間たちが一斉に姿を消す。そして次の瞬間テウメソスアレプーはグレイの仲間たちに噛み付かれていた。なんだ!?今のは!?全く気配も音さえ聞こえなかった。
これは空虚スキルの仕業だな。殺気すら感じない攻撃に寒気が走ったぞ。潜伏や気配遮断の領域を遥かに超えたスキルだ。そして本来ならテウメソスアレプーは捕まえることが出来ないはずなのだが、一切気配がない存在には流石に効力は発揮しなかったみたいだ。
そしてグレイが遠くから爪を振るうとテウメソスアレプーの首が跳び、無数の引っかき傷が発生したテウメソスアレプーは倒れるしか無かった。恐らく首を飛ばしたのが神風爪。残りは多乱刃の効果だろう。
風の刃は目視で確認できるのだが、グレイの神風爪は振ったとほぼ同時に攻撃が発生していた。しかもかなりの威力だ。地面に発生した引っかき傷の痕からその威力が伝わってくる。そしてインフォが来る。
『アリナのレベルが10に到達しました。逃げ足スキルを取得しました』
名前 アリナ ドラゴニュートLv1→Lv10
生命力 5→10
魔力 10→28
筋力 3→5
防御力 2
俊敏性 30→50
器用値 5→10
スキル
浮遊Lv1 聞き耳Lv1 逃げ足Lv1 風魔法Lv1
逃げ足…空を飛びながら逃げ回って、風魔法を使うんだろうな。
「アリナは戦う気があるんですか?」
「失礼なの! イオンお姉様! アリナは皆さんと違ってか弱いから大変なの」
「つまり戦う気がないってことじゃないですか!」
ここは止めに入ろう。
「まぁまぁ。アリナはこれから強くなるんだから長い目でみようぜ。イオン」
「む~」
「流石お兄様なの!」
「タクトさんに肩車しようとしない!」
イオンは大変だな。今のうちに解体するとテウメソスアレプーの毛皮をゲット。
では、次の戦闘だ。グレイには別の戦闘を見せて貰うことにした。
「ガウ」
目を細めて余裕って感じだな。じゃあ、その実力を見せて貰おう。メルたちにテウメソスアレプーを出してもらうとグレイは毛針を使う。テウメソスアレプーが逃げ出すがなんと毛針が追尾する。これは念動力で全ての毛針を操っているのか。
テウメソスアレプーは完全に逃げ道を封鎖されて、暴風で毛針の突破を図るが念動力で操られた毛針は吹き飛ばず、テウメソスアレプーに刺さる。それでもテウメソスアレプーはスピードを上げて、俺たちに襲いかかって来る。
「っ!?」
アリナが俺の背中に隠れる。俺は頭を撫でる。今のグレイは俺たちに攻撃を許すレベルの存在じゃないさ。俺たちにテウメソスアレプーが噛み付こうとした瞬間、グレイが空間から突如現れるとテウメソスアレプーの攻撃を受ける。しかしグレイの毛並みは攻撃を弾く。神装甲だ。
弾かれたテウメソスアレプーは体勢を整え、大技で勝負に出る。息を吸い込むとグレイは堂々と正面に立ち塞がる。テウメソスアレプーは竜巻のようなブレスを放つ。これに対してグレイは口を大きく開ける。
するとテウメソスアレプーのブレスがグレイの口に吸い込まれていく。そしてグレイはテウメソスアレプーのブレスを吸い込みきってしまった。これは魔力吸収?いや、それだけじゃない。恐らく餓狼スキル。餓狼スキルはなんでも食べてしまうスキルらしい。これがブレスのような大技まで吸収することを可能にした。
そして吸収し終えたグレイは口を開けて、その姿が消えるとテウメソスアレプーの顔がなくなり、テウメソスアレプーの背後に移動している。もう死んでいるだろうが追撃で爆音と共にテウメソスアレプーが吹っ飛ぶ。これにアリナは悶絶する。
「耳が!? アリナの耳がキーンってしたの!?」
耳がいいことも問題があるみたいだな。
テウメソスアレプーの顔を失くしたのも餓狼スキルだ。そして爆音は空振だな。スキルバージョンのソニックムーブみたいだが、こちらのほうが本物のソニックムーブに近いな。そしてインフォが来る。
『アリナのレベルが20に到達しました。成長を実行しますか?』
実行を押してアリナが銀色に輝き、成長をする。
『アリナの進化が完了しました。擬似竜化スキルが解放されました』
『アリナは空気弾スキルを取得しました』
成長したアリナはいつも通り小学生高学年ぐらいに身長が伸びた。成長も合わせたスキルがこちら。
名前 アリナ ドラゴニュートLv10→Lv20
生命力 15→20
魔力 48→53
筋力 5→10
防御力 2→7
俊敏性 70→75
器用値 15→20
スキル
浮遊Lv1 聞き耳Lv1 逃げ足Lv1 空気弾Lv1 風魔法Lv1
擬似竜化Lv1
攻撃スキルを覚えて来たな。ただ武器がないからノワのような成長の仕方だな。成長したアリナはリリーたちに話をしている。
「あの頭ナデナデは反則だと思うの」
「「「「わかる!」」」」
何か意気投合していた。解体すると外れ。ふぅ…次がメルたちに出してもらう最後のテウメソスアレプーになる。恐らく試練が来るからな。
最後もグレイに任せる。テウメソスアレプーを出すとグレイは神狼の咆哮を使う。すると虎徹の虎砲の神狼バージョンが放たれる。テウメソスアレプーは躱すが神狼の咆哮は追尾し、テウメソスアレプーは貫くと吹っ飛ぶ。
そしてグレイは息を吸い込み、口に虹色の光が集まる。ゴッドブレスが放たれ、完全に伸びているテウメソスアレプーを飲み込んだ。さっきアリナを怖がらせてしまったから今度は何もさせなかったのは流石だな。そしてインフォが来る。
『アリナのレベルが30に到達しました。特殊イベント『風竜の試練』を行いますか?』
解体すると毛皮を無事にゲット。
「出してくれてありがとうな」
「私たちも第五進化の強さを見れたからむしろ得したよ」
「そっか。それじゃあ、そっちで出すな」
「お願い」
俺はメルたちのモンスターを出してから試練に挑むことにした。




