#776 イベント報告とシルフィ姫様からのアドバイス
俺はお城に向かい、エステルでの報告をする。次のイベントでもしかしたら誘えるかも知れないからな。
「そうか…ひとまずなんとかなったか」
「はい。これからが本番ですが現地のダークエルフ、ドワーフ、ドラゴニュート、ドラゴンたちの手助けを得られたのは良かったと思います。後は戦術での勝負となるかと」
「それならばそなたたちなら問題なかろう。のう? シルフィ?」
「お父様、ゾンビの大軍をもうお忘れですか? あの時より更に強くなっている魔王の力、侮ることは出来ないと思います」
シルフィ姫様のご指摘はごもっとも。しかし自分が援軍として参加する気持ちがにじみ出ている。
「結局ウィザードオーブに動きは一切ありませんでしたし、フリーティア軍が参加してもいいのではないですか? 亜人種たちも人間と手を組んで戦うんです。私たちはこのままでいいんですか?」
「むぅ…無論良くはないが今回動かなかったから次も動かないとは限らないであろう?」
「それは…そうですが…むむむ」
俺が周囲を見るとみんなやれやれって感じだ。まさかずっとこんなやり取りを繰り返していたのか?フリーティアは平和だな。しかしウィザードオーブの動きは気になるな。ちょっと聞いてみるか。
「ウィザードオーブに全く動きは無かったんですか?」
「はい。正直小競り合いは最低起きると考えて国境に部隊を展開していたのですが敵の姿すら見えない遠征となってしまいました」
サラ姫様は嬉しさ半分悔しさ半分って感じだ。遠征するのもただじゃない。ある意味無駄な遠征をすることになったことを悔やんでいるみたいだな。
うーむ…近いうちに戦争になるかも知れない国だ。ちょっと探りを入れてもいいかも知れないな。許可を頂いてスカアハ師匠に連絡を入れる。
『ここに変化か? 特に何も無いぞ。城もエルフの森も平和そのものだ』
『そうですか…すみません。変なことをお聞きして』
『別に構わん。だが戦いに囚われすぎるなよ? タクト』
あちゃ~。心配させてしまった。
『そうですね…今はまだ気が抜けませんがこれが終わったら息抜きでもしてみようと思います』
『そうするといい。ではな』
結局何も成果無しか…ただこの結果はシルフィ姫様の追い風になる。
「ウィザードオーブに動きは無かったんですよね! タクト様!」
「は、はい…城も森も平和そのものと言ってました」
「ほら! お父様!」
「はぁ…わかった。確かにシルフィの言うことにも一理ある。ギリギリまで様子を見て、フリーティアが動くか決定する。これで良いな?」
「もちろんです!」
シルフィ姫様はわかってないな。グラン国王様は一言もシルフィ姫様を向かわせるとは言っていない。まぁ、俺は何も言わない。とばっちりはごめんである。
これで報告が終わり、帰ろうとしたら、シルフィ姫様に呼び止められた。まさかグレイが第五進化したから戦おうとか言い出すのだろうか?俺はシルフィ姫様の部屋に入ると満面の笑顔のシルフィ姫様がいた。もう嫌な予感しかしない。
「グレイさんが第五進化しましたね? タクト様」
「どうしてわかるんですか…」
「ここから第五進化の光を見ればわかりますよ。因みにジークちゃんが進化もわかってます。私はドラゴンの愛好家ですから」
そりゃ、庭で進化させたから丸分かりなんだろうけど、きっと地下で進化させてもシルフィ姫様にはバレる気がする。普通に入り込んでいるからな。さて、ここからが本題だ。
「グレイさんが第五進化をしたということはもうすぐタクト様はクラスチェンジ、リリーちゃんたちは進化するということですね?」
「恐らくは…何かまずいことでもあるんですか?」
「あると言えばあると思います。タクト様はリリーちゃんたち用のウェディングドレスを用意していますか?」
あれ?指輪渡して終わりじゃないの!?
「…してません。というかあるんですか?」
「もちろんありますよ。獣魔ギルドで専用のクエストがありまして、ウェディングドレスや施設も貸し出して貰えるんですがウェディングドレスを用意することも可能なんです」
もうこれって、結婚式のクエストを受けろってことだよね!そういえば梅雨の村のイベントでウェディングドレスを見てるわ…あの時から結婚式のクエストがあることを示唆していたわけね。
しかし服の素材は専門外だ。もし作るとするなら今から集めないといけないかも知れない。ここはミュウさんに相談だな。すると笑顔のシルフィ姫様と目線があった。
「…なんですか?」
「やっぱり用意するつもりなんだなと思いまして。ウェディングドレスの素材が欲しければ、桜花に行ってみるといいですよ。最近とても人気な素材があるというお話です」
ん?桜花に素材があるのか?和式の結婚式をするという話じゃないよな?ウェディングドレスって言ってるし…意味が分からないが探ってみるしかないな。
「ありがとうございます」
「いえいえ。お礼はグレイちゃんでお願いします。神狼などの桜花ゆかりの召喚獣はここでは激レアで私も断念してしまったんです」
そういえばこの前のお祭り以外で桜花には行ったことが無いんだったな。それでもクエストは受けれると思うんだが、王女には色々あるんだろう。ということでグレイは三王女に暫く捕まった。許せ、グレイ。
「ところでタクト様? 約束の訓練は」
「これから獣魔ギルドに用事がありますので、失礼します。グレイ、行くぞ」
「ガウ!」
グレイは霊化であっさり拘束を抜けた。第五進化は伊達ではない。
「「「あぁ~…グレイちゃん~」」」
これはきっと脱走して遊びに来るな。すると騎士たちもそれを見ていたので、慌ただしく動いていた。大変だね。
俺はグレイを戻して、獣魔ギルドに向かう。いよいよ新しいドラゴニュートの召喚だ!




