#76 公爵の娘とジュース誕生
学校が終わり、早速ゲームにログインする。俺がゲームで目が醒めると異変。リリー達がいないのだ。今までこんなこと無かったんだが…あ、クラスチェンジして解放された能力か!確かホーム設置と単独行動が出来るようになったんだったか。俺が部屋から出るとバタバタと下から3人が上がってくる。
「タクト、おはよう。お客さんが来てるよ」
「客?」
誰だ? リフォームは終わったがまだ何もないぞ。
「この国の公爵様らしいです」
「公爵様?」
イオンに言われ一瞬でデブでボンボンの嫌な男の絵が浮かんだ。
「公爵はこの国で王族の血縁者とのことです」
セチアが説明してくれる。へー。つまり失礼なことはしたらダメってことね。
俺が3人と一緒に下に降りると執事さんとメイドさん、そしてドレスを着た小さな女の子がいた。え?この女の子が公爵様か?小さな女の子が言う。
「おぉ! やっと来たか。そなたがタクトか?」
「はい。召喚師のタクトと申します」
「うむ! 私は公爵家の一人娘で名前はリーゼじゃ。そなたの噂は聞いておるぞ。ドラゴニュートにエルフと契約した三つ星シェフの召喚師がおるとな」
え?噂になってるの?嫌なんだけど。
「なんでもとても美味しい料理を作るとか。私も食べてみたくなったので、ここを尋ねて来たわけじゃ」
「それって、何処で聞きました?」
「獣魔ギルドで聞いたぞ? アウラの奴が騒いでおったぞ」
何やってるんだー!あの人は!というか今、こっちにいるのか?それを聞いた3人の顔が青くなる。やっとアウラさんから解放されたと思ったら、これだもんな。
「それで料理を作ってくれるかの? 金ならちゃんと出すぞ」
それは嬉しいのだが問題がある。材料がないのだ。
「すみません。今、材料をきらしていまして。急いで買ってきますがどうしますか?」
「うむ。それなら待つとしようかの」
だが、ただ待たせるのは悪いな…ちょうど思い付いたものを作るか。
俺はコップ出し、コップの中にスプーン一杯の蜂蜜を入れ、更に水で薄める。最後にスプーンで混ぜると完成する。ちゃんと成功したみたいだ。
ハチミツジュース:レア2 料理 品位F+
効果:満腹度10%回復、一時間毒耐性
ハチミツを薄めて作ったジュース。甘くて美味しい。
さて、試しに飲んでみる。
「美味い!」
うん。ハチミツの味がしっかり残っていて、とても美味しい。そして俺はここに宣言しよう!この世界で初めて美味しい飲み物の開発に成功したぞ!
じー
そしていつもの3人の視線に今は更に3人プラスされている。というわけでヘーパイストスを入れ、7人分作る。
「何これ!? 美味しい!」
「甘くて優しい味ですね。美味しいです」
「ひょっとして、ポーション作りの時に思い付いたのですか?」
「正解」
ポーションに蜂蜜の味がするなら普通に水で薄めたらジュースになるのではないのか?と思ったのだ。さて、公爵家御一行の反応はどうかな?
「こんなに美味しい飲み物初めて飲みました」
「これは驚きましたな…このような飲み物私も飲んだことがありません」
メイドさんと執事さんが言う。え?うそ?普通にハチミツ薄めただけですよ?大丈夫か?この国。
そして毒味が終わったので、リーゼも飲む。
「うーまーいーのーじゃー!」
気にいって貰えたようで何よりだ。さて、買い物に行きますか。と思ったが執事さんに止められた。なんだ?
「申し訳ありません! 失礼を承知でお願いがあります。先程の飲み物、もう1つ作って下さりませんか?」
え?別にいいけど、ただのハチミツジュースですよ?
「わかるぞ。爺よ。これは何杯も飲みたくなるものじゃな!」
「お嬢様…この飲み物には毒耐性の効果があります」
うん。確かにあるね。それが重要なのか?それを聞いたリーゼも驚く。
「何!? それは本当か!? ではお姉様に?」
「効果があるかも知れませぬ」
「タ、タクトよ! この飲み物直ぐに作れるのか?」
「作れますよ」
「頼む! 直ぐに作ってくれ! 無論お金は支払う!」
そう言われてもね。とりあえず直ぐに作って、お金は現実と同じ150Gにした。そしてご飯を食べずに何処かに行ってしまった。
何だったんだろうね?
フラグばりばりの回でした。タクトのNPCへの餌付け効果半端ない。スキルレベル上げるべきか本気で悩みました。
次回はフリーティアのお店で食材探しという名の情報集めをします。お楽しみにです。