#770 天界の勇者VS死侯爵
地面に落下した侯爵が起き上げる。
「だぁ! この私を馬で蹴落とすとは! 覚悟出来ているんだろうな! 貴様!」
「それはこっちのセリフだ。やるぞ。ブラン」
「はい! 我が主!」
「「エンゲージバースト」」
ブランが白い光となり、俺の指輪に吸収させると光の柱が発生し、そこから八枚の天使の翼に青い鎧、手にはグランアルヴリングにパッラースの盾を装備した天使の勇者の姿となった。
『これが主と私のエンゲージバースト…あ、あの!』
『ん?』
『その…主の天使姿、とても素敵だと思います』
『あ、ありがとう』
正直コスプレだから褒められても素直に喜べない俺がいるんだが、ブランの気持ちが伝わってくるからやっぱり嬉しいもんだ。
「天使とのエンゲージバーストか! しかしそんなもので私に勝てると思うな!」
「そうか? 俺はこれで勝てると思うぞ? 他の仲間には手出しさせないから安心しろよ」
「舐めるな! 空波動!」
こいつは本当に格闘家よりの奴だな。俺は侯爵の拳から放たれた空気の波動を躱す。
「聖弾!」
グランアルヴリングから聖弾が放たれる。
「くだらん! ふん!」
『甘い! 魔力操作!』
「ぐわ!?」
聖弾を殴り飛ばそうとした侯爵の手前で聖弾が止まり、パンチを空振りさせてから命中した。やはりこいつは脳筋だ。
「こんなもの、通用はせんぞ!」
「そうかよ。なら試させてもらうぞ」
『天輪!』
「聖弾!」
天輪と聖弾が自在に動き、侯爵に襲いかかる。侯爵は聖弾を受け、天輪を警戒する。俺が聖弾で浴びせていると侯爵が動く。縮地で姿が消える。ほら、かかった。俺は前に出て蹴りを放つ。
「ぬ!? ぐわ!?」
俺の巨人の加護が加わった蹴りで侯爵はぶっ飛ぶと後ろから追っていた天輪に斬り裂かれ、壁にぶつかる。
「聖波動!」
『光芒!』
グランアルヴリングから放たれる聖波動が直撃し、空から光芒が侯爵を照らし、ダメージを与える。
「ぐぁああ!? 貴様ぁあああ!」
空脚で侯爵は襲いかかって来る。
『聖弾!』
ブランが左右に聖弾を放つ。
「魔拳!」
「踵落とし!」
俺は魔拳を羽ばたいて躱すと踵落としをする。すると侯爵は踵落としをガードした。
「ぬぅ! はぁああ!」
「よ、ほ」
侯爵の踏み込みに合わせて、空脚で距離を取る俺には攻撃が届かない。
「この! 暗黒ーーぐわ!?」
暗黒波動を使おうした侯爵に聖弾が当たる。
「光雨!」
『羽投擲!』
「ぐぅうう! うぉおお!」
無数の光の雨と天使の羽が侯爵に襲いかかると腕で顔をガードしながら突っ込んで来る。そんなので勝てると思っているのか?甘いな。こいつは何も分かっていない。空脚で挑めば空を飛ぶ者と同等に戦えると思うのは勘違いだ。それを証明しよう。
「「「「アクセラレーション!」」」」
「な!? ぐぅうう!?」
俺は空を自在に高速で動くと連続で斬り裂く。相手の気が邪魔だな…それなら。俺はグランアルヴリングを上に投げると侯爵に手を向ける。
「光鎖!」
「な…ぐ!?」
「おぉらぁあああ!!」
俺は光鎖で侯爵を捕まえるとそのまま振り回して壁にぶつけて、放り投げる。
『『『『デトネーション』』』』
『『『『デトネーション』』』』
ファミーユとブライトタクトを使って、攻撃を加えている間にグランアルヴリングをキャッチしようとした瞬間、侯爵が飛び込んできた。
「発勁!」
「く!?」
俺はパッラースの盾でガードしたが吹っ飛ばされると地面にぶつかる。ガードしたのはミスったな。これは効いた。
「貰ったぞ! 死ね! 小僧!」
侯爵が飛び込んで来る。俺は背中に手を回し、切り札を侯爵に向ける。
「ッ!?」
パッラースの盾で隠れていたゴールデンイーグル改を見る。既に射撃体制になっているゴールデンイーグル改の引き金を俺は迷わず引き金を引くと雷速の銃弾が侯爵の体に命中し、侯爵は反動で吹っ飛ぶ。
「ぐ…小癪な武器を隠し持っていたか…しかしこの程度ではわしはーーッ!? ぐわぁあああ!?」
「お前が死なないことは知っているよ。だから銃弾に細工をさせて貰った」
ルナティック装備と同じ弾丸にセチアに頼んだ細工がされている。
「き、貴様…何をしたぁああ! 体が! 体が焼けるぅううう!」
俺が頼んだルナティック装備と同じ弾丸の中身には火薬が使われていない。そうなると何かを入れたくなるというものだ。そこで俺は衝撃に反応して破裂する爆石とミールの聖水に粉末化した浄化草を混ぜ合わせた液体を中に入れた。
これにより、侯爵に命中した瞬間、銃弾に衝撃が加わることで中にある爆石が破裂し、弾丸が破裂することで中の液体が飛び散るように作った。完全にオリジナルの銃弾となったので、俺が命名した。
聖水の銀月弾:レア度9 通常アイテム 品質S
効果:悪魔特攻(究)、浄化、魔素吸収、地獄の加護無効化、30分間聖水ダメージ(極)
ミスリルとムーンサイトで作られた銃弾。命中すると弾丸が破裂し、中にある高純度な聖水と破裂した破片が敵の体内に残る仕組みとなっている。
銀じゃなくてミスリルだけど、悪魔に浄化なら銀のイメージがあるんだよね。効果はご覧の通りだ。体内に入った聖水を更に強化した液体は取り出せないだろう。銃弾の効果があるがあるから復活もない。
俺はゴールデンイーグル改を仕舞い、ブランが操作してくれたグランアルヴリングをキャッチすると侯爵に言う。
「苦しいか? それはお前がここに住んでいたドラゴニュートたちとドラゴンたちに与えた苦しさのほんの一部だ」
「ぐぅうう」
「覚悟はいいな? グラン国王様たちから許可も貰っている。フリーティアを代表して、俺がお前を消し去ろう。全宝玉解放」
グランアルヴリングの能力が解放される。
「ま、待て! 待ってくれ! また死にたくない」
シルフィ姫様を侮辱したこいつを許すわけないだろう。
「そうだ。殺す前にお前にいいことを教えてやるよ。お前の屋敷、俺たちが使っているから」
「な、何?」
「それとお前の悪趣味な銅像とかは撤去して、売ったから」
これを聞いた侯爵は目を見開き、聞いてくる。
「何ぃいい~!? どういうことだ! 貴様!」
「じゃあな。魔法剣技! アルティメットシャリオ!」
「ちょっと待て! 教えてから殺せぇええ!」
跡形もなく消し飛ばした。そんな彼に言おう。ちゃんと教えてから殺したよ。
「侯爵は片付けたがドラゴンたちはどうだ?」
「まだ暴れているぞ! タク」
「でも攻撃の手数が心無しか減っている気がします」
やはり召喚師、召喚した奴は姿を消すか…でも。
「ギャオオオオーー!」
フォールンエルダードラゴンは消えてない。ここは援護に向かうとしよう。俺は自分とみんなの生命力と魔力を回復させて、リリーたちの援護に向かった。




