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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
希望の国エステル
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#765 太陽神の戦車と竜殺しの聖剣

翌朝、起きると姫委員長と副委員長が朝ご飯を作っていてくれた。


「おはよう。わざわざ作ってくれたのか…」


「今日はイベントの大一番だから私たちの大将にはしっかり栄養をつけて頑張ってもらわないといけないからね」


「朝からプレッシャーを掛けるなよ」


昨日の夜はすぐには寝れずにずっとあの侯爵をどうボコボコにするか考えていたからな。ちょっと寝不足だったりする。


「ふぁ~…あ、失礼」


「ふふ…大きな欠伸だね」


「眠気を飛ばすためにも朝食を食べましょうか。海斗の奴を起こして」


「はいよ」


海斗を叩き起こす。


「…(かあ)ちゃん、もう少し寝かせて」


「…」


朝からオカマにされました。俺は足を海斗の息子にロックオンする。流石に母親はこんなことはしないだろう。


「三秒以内に起きないとお前の大切な息子を踏み潰す。三」


「どわぁ! やめて! 朝は敏感なの!」


「そんな情報はいらん! 気色悪いことを言ってないでとっとと起きろ。朝食は姫委員長と副委員長の手料理だぞ」


「マジで! 急いで行く!」


海斗が急いだ結果、ジーパンのチャック全開で現れる。


「か、海斗君! 前! 前!」


「ちょっと誠吾! なんで海斗の奴のチャックを閉めないのよ!」


「逆に聞くがなんで俺が海斗のズボンのチャックを閉めないといけないんだよ」


いくら混乱しているとはいえ副委員長のこの発言は問題発言だろう。そんな事件が起きた朝食だったが料理は和食で大変美味しかった。二人には料理スキルを取ることを薦めた。


片付けは男二人が担当して、ゲームにログインする。


まずは作戦司令室に顔を出し、報告を受ける。すると深夜にデビルドラゴンの襲撃があったらしい。襲撃したお返しと見るべきかな?これで敵は正面と邪竜の住処がある方面から攻撃を受けることが確定し、ドラゴンたちの防衛戦参加が決まった。


「ここまでの流れだと夜にはまた新しい敵が来るんでしょうね」


「だと思います。しかし次に来るのは大体予想できます」


「サバ缶さんはどんなのが来ると思いますか?」


「キメラの進化であるキマイラが来ると思います。後は亜種になっているトロールの進化か代わりのモンスターが現れるというのが私の予想です」


うわー…有り得そう。俺がげんなりしているとサバ缶さんがビックニュースを教えてくれた。


「我々にもいい報告がありますよ。昨日の深夜にへーパイストスさんとパンドラさんが例の物を完成させたようです」


マジか!これは見に行かないといけない。俺がへーパイストスたちの作業場に向かうと既にプレイヤーが集まっていた。俺が通して貰うとそこには黄金のチャリオットが堂々と置かれていた。鑑定してみよう。


太陽神のチャリオット:レア度10 戦車 品質S+

効果:疾駆、強激突、光速激突、烈日、日光、紅炎、浄化、守護結界、太陽神の加護

元は太陽神ヘリオスが使っていた戦車を改造したもの。チャリオットの側面には太陽石が設置されており、ここから太陽光線で側面にいる遠くの敵を攻撃することを可能にした。更には正面にはミスリルの槍、車輪にはミスリルの刃が追加されており、通常の太陽神のチャリオットを遥かに超えた性能となっている。


え?ヒポグリフが使っていた烈日を使えちゃうの?しかも強激突、光速激突、紅炎のコンボは激しくやばい組み合わせな気がする。直線の敵を逃げることを封じて、光速でひき逃げ。更にぶっ飛ばされた敵は紅炎で燃え上がることになる。


チャリオットは孤立しがちな弱点があったが敵陣に突っ込んで烈日を使ったら、敵の部隊が消し飛ぶことになるんじゃね?それに側面から太陽光線って何?現代の戦車を一気に超えてない?


俺が言えることはただ一つ。うちのギルドに新たな超兵器が誕生しました!これだけは間違いないだろう。さて、これを作った功労者たちはどこにいるのかな?あ、二人揃って寝ていた。滅茶苦茶頑張ったみたいだし、そっとしておこう。


問題はこれを誰が使うかだ。疾駆の効果があるなら普通の馬でも空を走ることが可能となっているはずだ。ただ普通の馬だとどうしても敵にやられるリスクがある。それを感じさせない性能だけどね。万が一、馬がやられてチャリオットを壊すことになったら、申し訳がなさすぎる。


「ここはグリフォン使いのチロルの出番!」


「落馬係がこれを使われると困る」


「その係の名前はやめてください!」


確かに変な係の名前だな。でもこういうしかないと思う。


「チロルが無理ならコゼット、ララいけるか?」


「「私たち!?」」


驚かれる。でも俺は自信を持って推薦しよう。


「二人のグリフォンもオピニンクスになっているし、これまでチロルと一緒に戦場で戦ってきたんだ。二人の息も合っているし、問題ないと思う」


「私も二人なら大丈夫だと思う!」


「ギルマス、チロル…」


「わ、わかりました! やってみます!」


これで馬は確保出来た。後は乗り手だ。これはチャリオット経験者のレイジさんと重装歩兵の二人がとりあえず乗ることとなった。守り役は守護結界があるから大丈夫だと思うが、一応結界が破られた時の保険はいると判断した。


その後、俺は交換チケットを持って、冒険者ギルドを訪れる。


「すみません」


「お前さんか…交換チケットを使うのか?」


「はい。アスカロンと交換をお願い出来ますか?」


「ドラゴン対策か…わかった。ちょっと待っていろ」


俺はチケットを店員さんに渡すとそれを持って店の中に消えていった。そこから光が発生すると店員さんが持ってきたのは黄金の大剣。あれがアスカロン。するとリリーが感想を言う。


「凄い剣だけど、凄くビリビリするよ~タクト~」


いつもなら欲しがるリリーが俺の背中に隠れてしまった。店員さんが言う。


「この剣は竜殺しの剣だからな。ドラゴニュートにはきついだろう」


「うぅ~」


大剣だから欲しいけど、嫌われているから手出し出来ないリリーである。先に鑑定しよう。


聖剣アスカロン:レア度10 大剣 品質S

重さ:200 耐久値:1000 攻撃力:1200

聖剣効果:竜特攻(究)、光属性ダメージ(究)、万物切断、黄金障壁、聖剣解放、聖人の加護

聖ゲオルギオスが魔女カリブから与えられた聖剣。聖ゲオルギオスはこの剣で巨大なドラゴンを退治していることから竜殺しの聖剣と呼ばれている。しかしこの聖剣はどちらかと言うと鉄壁の守りに優れており、いかなる魔法も効かず、どんな悪意にもさらされることはないとされている。


レガメファミリアが伝説の武器に勝った!いや、勝ち負けを付けるべきじゃないのかも知れないがそれでも重さが同じで耐久値や攻撃力は上回っているからちょっと自慢したい。


説明を見て、改めて今回のイベントで大活躍する武器だと認識する。恐らくこれならあの魔力と満腹度を減らしてくる謎スキルも効果が無いんじゃないかな?


能力的にはノートゥングとほぼ同じ感じかな?大剣だからこちらのほうが重く、耐久値と攻撃力は高くなっている。俺はこれを評価したいな。アスカロンは黄金伝説で登場する剣なのだが、知名度はグラムなどと比べると下がってしまう。それを同列に扱ったことは剣好きとしては素直に嬉しい。


俺はこれをミランダとメルに貸し出す予定。普通ならメルよりユーコに貸し出すんだが、ユーコがメルの圧力に屈した。俺?野暮なことは聞いちゃいけないよ。副委員長たちを泊めている俺が勝てるわけがない。


ここからはみんなで生産作業をする。最初に出来上がったのはユウェルのルナティック武器のトンファーだ。


ルナティックトンファー:レア度9 旋棍 品質S

重さ:20 耐久値:1000 攻撃力:300

効果:悪魔特攻(究)、万物破壊、浄化、魔素吸収、地獄の加護無効化

ルーンサイトとミスリルの合金で作られたトンファー。ミスリルの浄化能力のおかげで魔素を取り除く時間なく戦うことを可能にした。死後の世界の力を宿した存在に極めて強力な能力を誇っている。


やはり殴打武器だから攻撃力はそこまで高くないな。その分軽く丈夫に出来ているから今までのトンファーより更に連打の速度と攻守の切り替えの速度が上がっている。ユウェルはかなり使い易そうだ。


「タク…」


「一戦だけな」


「やった!」


はい。負けました。迅雷の攻撃を見事にガードされ、カウンターの攻撃が鳩尾(みぞおち)に入った。吐きそう。


「タ、タク? 大丈夫か?」


「だ…大丈…夫。ユウェルは…みんなの武器の…修復…頼む」


「わ、わかった!」


俺はなんとか回復して邪光石に光のルーンを仕込む作業をしていると和狐がリビナの着物を完成させた。


カトレアの着物:レア度9 防具 品質S-

重さ:5 耐久値:1000 防御力:30

効果:魔素攻撃無効、精神攻撃無効、天の加護

天の衣から作製した花魁の着物。黒色の布地に薄紫の花が描かれており、通常の着物より肌の露出が多く色っぽい着物となっている。天の衣の効果で精神攻撃と魔素から身を守り、天の加護で全ての武器に神聖属性を付与することが出来る。


カトレアの花言葉は成熟した大人の魅力や魅惑的という意味がある。リビナにそういう意味の花を選ぶようにお願いされていたのだ。リビナには秘密だが、優美な貴婦人という意味もある。これに首をひねると怒られるだろうから秘密としている。


「ボクの着物デビュー! どう? どう? タクト? ボクのお、と、な、の、み、りょ、く、は?」


わざわざ大人の魅力を強調している時点で背伸び感を感じてしまうな。


「おぉ~…色っぽくなったな。でも遊兎の真似をしたからお仕置きな」


「なんで!? あぁ~、ダメ~!?」


そこにへーパイストスが入ってくる。


「すみません! タクトさん! 寝坊を」


俺とリビナを見て停止してしまった。着物をわざと着崩しているリビナをお仕置きしている俺の姿を見たら、誤解しても仕方ないかも知れない。更にはリビナが拍車を掛ける。


「もう。タクトったら、強引なんだから」


「パ、パンドラーーー! 来ちゃダメ…ごばぁ!?」


「おじ様~。次は何を作ったらいいの?」


パンドラを必死に止めようとしたへーパイストスが飛んでいって、凄い音がした。因みにリビナはパンドラを察知して俺の影に潜った。見事な判断だ。こういうところはリビナはしっかりしているんだよね。


それにしても今から武器を注文しても恐らく間に合わないな。正直イベントとは全く関係がないが、ここはあれを注文しよう。


「またへーパイストスと一緒に作って欲しいものがあるから連れてきてくれるか?」


「ラジャー!」


また誰かの影響を受けたな。敬礼まで完璧だ。するとパンドラはボロボロになったへーパイストスの片足を持って、引きずってきた。こんな扱いされたくないな。


「連れてきたよ! おじさま!」


「あぁ…大丈夫か? へーパイストス?」


「だ、大丈夫です…何か色々失った気がしますけど」


男のプライドとかボロボロだろうな。


俺が二人に注文するのはケーキ用の石窯だ。これについては俺が案を伝える。


「それなら昼までには完成すると思います」


「そっか。それならよろしく頼む」


「任せてください。パンドラ」


「お手伝い、頑張るよ!」


二人が行ったところでリビナが影から現れたところを捕まえた。


「え? 何かな? タクト」


「お仕置きをすると言ったよな?」


リビナの角を撫で回す刑を実行する。


「くぅ~…今までボクの角はノーマークだったのに…もうダメ」


これで生産作業に集中出来る。

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