#756 第四砦防衛戦
ドワーフの住処の攻略開始時間にログインした俺は和狐からイクスの服を見せてもらった。
紫電の着物:レア度9 防具 品質S-
重さ:5 耐久値:1000 防御力:30
効果:魔素攻撃無効、精神攻撃無効、天の加護
天の衣から作製した女物の着物。艶やかな紫色の布地に雷紋が描かれており、大人の女性のデザインとなっている。天の衣の効果で精神攻撃と魔素から身を守り、天の加護で全ての武器に神聖属性を付与することが出来る。
雷紋は模様の一種で分かりやすいの例だと中華そばのラーメン鉢によく描かれていると思う。渦巻き模様や迷路っぽい模様といえばわかるかな?
なぜこの模様を選んだかは深い意味はない。ただイクスには雷のイメージがあり、今回はこれを選んだ。イクスに渡すと一言。
「これで無敵ですね。マスター」
「それは大いなる誤解だぞ。有利になることは事実だろうけど、油断はしないようにな」
「もちろんです。マスター」
その後、リリーたちとご飯を食べていた俺は敵襲の知らせを受ける。
「ギルマス! 敵しゅ…あ。お食事中でしたか」
「この状況を見てそういうのか?」
「ちゅ~…ぷは! 正しいではないか」
確かにそうだけど、思っきりセフォネに噛まれる状況を見て、その発言は問題だと思う。
「それで敵が来たのか?」
「はい! 至急第四砦に向かってください」
「わかった。行くぞ。みんな」
「「「「むぐ!? むぐっぐ(わかった)!」」」」
出撃と聞いて慌てて口の中に料理を詰め込みすぎだ!少しは後で食べるとか考えて欲しい。
今夜はリープリングのメンバーと攻略組に時間の都合で参加出来なかった人たちとダークエルフたちにエステルの騎士たちで防衛戦だ。どうしても数が少ないから今夜は全力で暴れるつもりだ。
「思いっきり戦っていいんだよね! タクト!」
「あぁ。みんなも今夜は思う存分暴れていい。リアンやルーナも好きなように戦ってくれ。どうしても必要になったら、指示を出すからさ」
「「わかりました!」」
どれぐらいの部隊が来るか待っているととんでもない数を捕捉した。
「…昨日の夜より遥かに数が増えたな」
「モンスターの種類も増えましたね」
イクスとのシンクロビジョンで確認した新たな敵がこちら。
アングリィ・キメラLv48
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
ヘル・グリフォンLv48
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
ヘル・ドラウグルビースト?
? ? ?
ホーンデッド・オルトロス?
? ? ?
キメラとグリフォンは新しく追加された飛行戦力。アングリィは怒るって意味の英語だ。きっと逆鱗とか使うんだろうな。
下の二つは新しい地上戦力だ。完全にゾンビイベントの時に出てきた奴の上位版なんだろうな。他にもいるかも知れないが敵が多すぎて識別することが出来ない。するとエステルの軍師が心配そうに聞いてくる。
「だ、大丈夫なのか? あんな大軍をこんな砦で対処するなんて」
昨日と違い、今日は迷宮を作製する人数がいないため、地上では砦とランパードで作った三つの防衛線を作っている。心許無いのは仕方ないだろう。
「普通は無理ですね。この砦も攻撃されたら、足場が崩れるレベルらしいので」
クロウさんからくれぐれも敵の攻撃を砦に当てないでくれとお願いされている。
「や、やっぱり無理」
「大丈夫ですよ。切り札はこちらにもありますから。みんな頼むぞ」
「「「「竜化!」」」」
「「獣化!」」
リリーたちが竜化し、恋火たちが獣化する。他にも花火ちゃんなども竜化して、他のセリアンビーストたちの獣化を使用し、なんとも圧巻の光景を作り出した。
「これでも心配ですか?」
「い、いや…これなら大丈夫…か?」
『『『『むー!』』』』
心配されるのが納得がいかないリリーたちだ。今回リリーたちは空中部隊の主力戦力として最前線で戦うことになる。空中部隊の中にはヒクスに乗るシフォン、スピカにトリスタンさん、ジークにメルが参加している。サフィは相変わらずリアンと一緒だ。他の人たちも余っている召喚獣にそれぞれ騎乗している。
地上では第一防衛ラインを守るのは満月さんを中心にしたプレイヤー中心の本体だ。グレイたちがここに参加している。第二防衛部隊にはダークエルフを中心にした部隊と黒鉄、ディアン、月輝夜がいる大型召喚獣部隊とダークエルフたちをサポートする妖精たちが参加している。
セチアもここに参加しているのだが、本人は納得が行かない様子だった。
「一緒にいてくれないんですか? タクト様。寂しいです」
「…困らせるために言っているだろう? セチア」
「そんなことはありません。わりと本心です」
わりとってどれだけ本気なんだよ。
「はいはい。行きますよ。セチアお姉様」
結局伊雪たちにつれて行かれた。まぁ、こうは言ってもやるときはやるのがセチアだ。
第三防衛ラインには与一さんたち狙撃部隊とエステルの騎士たちが展開している。最後に俺と一緒に砦を守るのはまず俺が騎乗しているダーレー。本当に主人に忠実ないい子だ。隣にはイクスと支援要請で呼んだミア、ディオの遠距離攻撃班がいる。
それとレッカたち魔法使いたちは遠距離支援係だ。後は切り札の部隊と砦の後ろに生産職の支援部隊が伏せてある。
俺はグランアルヴリングと久々にスカーレットリングを取り出す。これぞ魔法剣二刀流!すみません。やってみたかっただけです。イオンがやっているから少し憧れがあったんだよね。
俺の役割はみんなが暴れるから砦の防衛と作戦指揮、それとレッカたちと同じ魔法の支援だ。一応ヴィオレや俺たちなりの呪滅撃対策を考えたけど、呪滅撃のダメージを完全ガードは出来ないから回復がメインの支援になると思う。敵がもしリリーたちを抜けてきたら、雷魔法を使う感じかな。
『ノワ、頼むぞ』
『…ん。ノワにお任せ』
俺はグランアルヴリングを敵に向ける。
「まだ疑問に思われるなら実力で証明しましょう。まずは敵の空中戦力を叩く! 開戦だ!」
「「「「おぉ!!」」」」
俺の合図で空中戦力のみんなが敵空中部隊とぶつかり合う。するとやはりこれぐらいのレベルになるとみんな苦戦している。するとメルが指示を出す。
「スピードが速い人はグリフォンを狙って!」
『わかった!』
「リリーたちがグリフォンを狙うみたいだからボクらがキメラと雑魚だね!」
「私は後ろで守りを固めます」
ブランが後方に下がる。俺たちもいるから突っ込んでもいいのに…この万が一のために備えるのはブランの長所だな。すると空に三つの竜の魔法陣が描かれる。いきなりかよ。フラストレーションが溜まっていたのかな?
『竜魔法! シューティングスターライト!』
『竜魔法! クワトロシースパウド!』
『竜魔法! プロミネンスノート!』
空から光の光線が降り注き、敵の大軍の四方から水の竜巻が襲いかかる。更におまけに空から小さな太陽が落下してくる。これは一気に敵の数が減ったなと思ったが、地上にいる敵部隊のあちこちでファランクスガードや結界が貼られてしまう。
『『『えぇええ~!?』』』
驚く三人に呪滅撃が発動する。流石に全部隊のガードは出来なかったらしい。俺には呪滅撃をわざと発動させるために守らなかったように見える。本来ならこれでリリーたちは終わりだからな。しかしリリーたちの前に竜化したノワが前に出て口を開ける。
『…影召喚! 吸収!』
ノワは召喚した影のドラゴンと共に呪滅撃を吸い込んで無効化した。これが出来ることをヴィオレから聞いたんだよな。因みに普通の吸収スキルは魔法などを吸収するスキルでノワのような真似は出来ない。これを可能にしているのが邪竜の加護だ。
邪竜の加護は呪滅撃などの効果アップさせる効果を確認している。それに加えて呪い系のスキルを無効化が出来るらしい。ただノワが一人でこれだけの数の呪滅撃を吸収するのは無理がある。そこで影召喚を利用する方法をヴィオレに教えてもらった。
因みに教えて貰ってから召喚師ならきちんと能力は把握しておいた方がいいと指摘されました。おっしゃる通りです。
それにしても結界を使ったのは夕方に見たフォートタートルか?いや、あれほどの巨体ならすぐにわかる。ファランクスガードを使った敵も今まで報告はないし、新しい敵かな?
「シンクロビジョン! イクス」
「はい。敵を捉えます」
俺は敵の識別に成功する。
マレフィカ?
? ? ?
ロイヤルデュラハン?
? ? ?
マレフィカはローブで顔が認識出来ないが人間タイプの敵に見える。ルインさんに確認するとラテン語で魔女や女妖術師という意味があるらしい。結界を使ったところを見ると女妖術師ってことだろうな。
ロイヤルデュラハンは漆黒の馬鎧を装備している黒馬に騎乗しているデュラハンだ。装備もいつもと違うように見える。
俺はこの情報を司令部に伝えて、全軍に敵の正体を伝える。するとリリーから通信が来る。
『タクト! どうしよう!』
『大丈夫だ。とにかく空の敵を倒してくれ。砦が壊れる』
『わかった! わ!?』
しかしリリーたちの反応が遅く。ヘル・グリフォンたちに攻撃を受けて抜かれてしまう。ヘル・グリフォンたちは機動力がかなりある。リリーのシューティングスターライトを躱すほどだ。
しかしそんな彼らの前に天敵が立ち塞がった。
『…引力操作。黒死病』
漆黒に靄に包まれたノワにヘル・グリフォンたちは引き寄せられると次々地面に落下していく。
『…三人ともしっかりして』
『『『ッ!?』』』
普段面倒臭がりのノワのこの言葉は効くな。それにしても今日のノワはいつになくやる気がある。ヴァインたちの影響かそれともフラストレーションが溜まっているのか…まぁ、やる気を出してくれたならいいことだ。
『わ、私はしっかりしています! リリーと花火の筋力コンビと一緒にしないでください!』
『何よそれ! 物凄く失礼よ!』
『そうだよ! イオンちゃん! リリーが一番しっかり者だよ!』
「「…ぷ」」
いかん…つい笑ってしまった。でもイクスまで我慢出来ずに笑ってしまうほどの驚き発言だった。因みにグレイたちも笑っていた。
「「「ギャァアア!!」」」
『『『五月蝿い!』』』
アングリィ・キメラたちがリリーたちに襲いかかると完全にとばっちりを受けた。そして空ではブレスや魔法の撃ち合いとなる。アングリィ・キメラとヘル・グリフォンは魔法も使うようだ。これに対して、敵の魔法を妨害しつつ攻撃を加えていく。
「私たちも行くよ! こいつらには呪滅撃がない! リリーたちを援護しつつ、急いで倒すよ!」
「「「「おぉ!」」」」
メルたちも敵の部隊の迎撃に向かうが当然のように砦にも攻撃が飛んでくる。それをミライなどが結界を発動し、ガードする。神道魔術は桜花の神社で巫女さんに弟子入りするクエストをクリアすると覚えることが出来るらしい。他にも霊符、式神、護符も覚えることが出来るそうだ。
さて、敵側の結界やファランクスガードの対策を考えないとな。そう思っていると先にセフォネが動いた。単身で敵部隊のど真ん中に降り立った。
当然攻撃を受けるが逆に呪滅封印を発動させて、更にはセフォネを中心に血が広がると血竜が周囲の敵を蹴散らす。これで呪滅撃がセフォネに発動するが死んでもセフォネは復活する。
するとマレフィカたちが魔法を詠唱する。
「魔法侵食!」
マレフィカたちの魔方陣がセフォネの血で侵されると不発する。更に影移動でマレフィカの影に移動したセフォネはハルペーで胸を貫く。
「タクトの血を吸ったから今宵は加減無しなのじゃ!」
セフォネの無茶な行動で敵の部隊で僅かに混乱が生まれた。今の内に指示を出そう。
『結界やファランクスガードは下からの攻撃に弱い。地脈操作や影移動が出来る者は優先して攻撃してくれ。自力で突破するならそれでもいいです』
これに鉄心さんの代わりに侍部隊を指揮している人と満月さんが答える。
『了解した! 侍部隊はマレフィカに向かうぞ! 結界ごと斬り裂く!』
『大剣やハンマー、斧装備はロイヤルデュラハンを狙え! 盾破壊のスキルで突破する! 敵は不死。イベント装備持ちで!』
『『『『了解!』』』』
いやー、指揮が楽だ。するとイクスが報告してくれる。
「マスター。敵地上部隊、攻撃範囲に到達しました」
『空中部隊、後方支援に注意! ユグさん、お願いします!』
『待ってました! 後方支援行くよ! 刮目せよ! 移動式カタパルトと移動式アーバレストの威力!』
ニックさんたちお手製の金属の塊と矢が放たれる。ヘル・グリフォンやアングリィ・キメラたちが破壊しようとするが流石にこれは無理だ。寧ろ隙が出来てシフォンたちに斬られる始末となっている。
そしてカタパルトとアーバレストの攻撃をロイヤルデュラハンたちが防ぎにかかるが味方が前にいる状態でファランクスガードを使った結果、弾かれた鉄の塊や矢が前にいる味方を結果的に潰してしまう。
これで本来なら呪滅撃で生産職は全滅するが、ニックさんたちが作ったこの金属の中には俺がドラゴンの試練で手に入れたスモーキークォーツが仕込まれている。この水晶は強力な破邪の効果があると説明されており、ナオさんの話で呪いや呪滅撃を無力化する効果があると伝えられたため、今回使用することにしたのだ。
これは余談だが、このスモーキークォーツを持ち込んだのはナオさんで武器の他にもアクセサリーにしても破邪は効果を発揮するため、プレイヤーにバカ売れした。元々は俺が見つけた物だからちゃんとお金を貰えたので、俺もうはうはだったりする。
移動式となったアーバレストとカタパルトは攻撃を飛ばす場所を変えれるようになった。その結果、ロイヤルデュラハンたちはわざわざ飛んでくるところに移動しないといけない。しかも周囲にたくさん味方がいる中での移動だ。見ている俺たちとしては中々面白い。
「あれではまるで下っ端だな…」
「新入社員時代を思い出す…」
「俺は寧ろ部下の失敗に奔走する上司に見える」
「「「それだ!」」」
俺もいつかこんなことになる日が来るのかな?嫌だな。
「マスター。そろそろです」
「だな」
呪滅撃をする厄介な敵はだいぶ数が減っているはずだ。
『地上部隊本体! 攻撃開始!』
「「「「おぉ!」」」」
一気に地上部隊が敵の地上部隊に襲いかかった。するといつもは先陣を切るグレイが動かない。グレイが見つめているのは、ホーンデッドオルトロスだ。
グレイはどうしてもあいつを仕留めたいらしい。その気持ちはわかる。グレイはスカルオルトロスと因縁があるからな。ここはグレイの意志を尊重しよう。
すると砦が振動する。このタイミングで来るか。本体を動かしたところで狙ってくるとはなかなかだな。しかし対策は出来ている。
『レッカ!』
『分かっている! アースクェイク部隊! 発動!』
「「「「アースクェイク!」」」」
ドラゴンの住処がある山が方向にアースクェイクを発動すると地面から悪魔の角がある蛇タイプのドラゴンが飛び出す。
イビルワームLv46
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
こいつらの狙いは砦とユグさんたちだ。
「遅延魔法発動!」
飛び出したところをレッカたち魔法使いたちは待っていた。こいつらには呪滅撃がないことは昼の襲撃の時に判明している。それなら攻撃出来ない敵本隊を狙うより、イビルワームを狙ったほうが魔法使いたちはお得だ。
「マスター、上空に多数の魔力反応を感知。来ます」
ま、ここは畳み掛けてくるよな。
『マールス・ゲニウスが来るぞ。準備はいいか?』
『『『『はい!』』』』
マールス・ゲニウスたちが砦上空に出現し、前回同様俺に群がってくる。同じことを繰り返すのは愚策だろう。
「イクス、ミア、ディオ、ダーレー。目を瞑れ」
「「「はい! マスター」」」
「「「「かかった! リージョナル・エクソシズム!」」」」
神官たちのオリジナルの浄化魔法が炸裂する。この魔法は広域浄化魔法で展開される魔法陣の範囲上にいる霊、アンデッドモンスターたちに神聖魔法を超えるダメージを発動中、与え続ける。事実上の霊、アンデッドモンスターたちの即死魔法と言っていい魔法だ。
生身の俺たちには一切ダメージが発生しないからこういう囮作戦が成立する。この案が出た時にアーレイが言った一言がこちら。
「これはまさにタクトホイホイだな!」
これを言ったアーレイは当然ボコボコにした。
リージョナル・エクソシズムを使った神官たちはジャンヌ親衛隊からお願いされて、今回選んだ人たちだ。神官職は今までかなり不遇だったらしいのだが、ゴネスが正常の状態となり周囲にはアンデッドが増加したため、神官職にとっては経験値天国の国になっているらしい。
「活躍出来た~!」
「やったぞ~!」
本当に苦労してきたんだ…危険察知が反応する。俺は突如現れた死神の攻撃をグランアルヴリングで受け止める。
マールス・リーパー?
? ? ?
「俺を本当に狙いすぎだろうが!」
俺がダーレーの力も借りて鎌を弾いた瞬間、イクスがテイルエネルギーガン、ミアとディオがエネルギーマシンガンを撃つがマールス・リーパーのマントに弾かれる。俺がスカーレットリングで斬りかかると後方に逃げられた。
「どうした? 俺を殺したいんだろう? こいよ。相手してやる」
俺が挑発するとあっさり乗ってくる。鎌で斬りかかってきた。俺はグランアルヴリングで攻撃を受け止めようとした瞬間、不自然に鎌のコースが変化する。リリーが使う星剣と同じ技か!
俺はスカーレットリングで辛うじて、鎌をガードするとグランアルヴリングで鎌を挟み込む。これで死神の鎌は封じた。
イクスがツインエネルギーブレードで斬りかかるとマールス・リーパーは鎌を手放し、後ろに下がる。ミアとディオの援護射撃に得意げなところ申し訳ないがマールス・リーパーの後ろにはレッカがいた。
「ブリーシンガメン!」
「燃やせ。ダーレー」
「ヒヒーン!」
マールス・リーパーがブリーシンガメンの火炎とダーレーの炎に焼かれて消失した。死神のマントも女神の炎が相手ではガードしきれないか。そして折角敵から奪ったのに鎌まで消えるのは納得いかない。
ま、こいつらの敗因は集団戦で俺だけを狙うからだ。レベルは俺が独走しているが強さでは既にそこまでの差はない。もちろん伝説の武器とかは使わない前提の話だけどね。
俺は戦場を見渡すと空の敵はかなり減ってきた。するとリリーたちがドラゴニュートの姿で帰ってきた。
「「「「「魔力がなくなった…」」」」」
「随分早く無くなったな」
この様子じゃ、大技を連射したな。道理で敵の減りが早いわけだ。
「「「「「チョ、チョコレート…」」」」」
「…まさかとは思うがチョコレートが食べたいから張り切っていたのか?」
五人の尻尾や耳が飛び跳ねる。花火ちゃんまで巻き込んで何やっているんだが。リリーたちが倒れながら両手を差し出してくる。新しいお願いポーズだな。
「はぁ…まぁ。頑張ったみたいだし、ほら。チョコレート」
「「「「「やったー! あ」」」」」
俺の疑いの視線を感じ取って、五人はチョコレートを持って俺から退避する。やれやれだ。その後、空で戦っていたみんなが交代するように帰ってくるとチョコレートを上げることになる。
当たり前だが、補給に帰るということはそれだけ戦力が落ちるということだ。まぁ、空中部隊を抜けてもイクス、与一さんの狙撃にダークエルフたちの魔法や弓を突破しないといけない。それでも一部のヘル・グリフォンが抜けてくるとレッカたちが撃ち落とそうとする。
するとレッカたちの魔方陣が砕かれる。これは魔法妨害。マレフィカの仕業か。だが、俺には通用しない。
「「「「マグネットサークル!」」」」
『『『『マグネットサークル』』』』
俺は飛び込んで来るヘル・グリフォンの正面に網のようにマグネットサークルを展開するとヘル・グリフォンは止まりきれず、囚われる。そこをイクスが狙い撃った。ピンチを脱した俺は地上戦に視線を向けた。




