#74 進化したリリーの力とお仕置き
リリーが光りだし、姿が少し大きくなっていく。そして光が収まると小学生高学年くらいの金髪ロングヘアの美少女が立っていた。髪の毛は少し長くなり、顔も幼さが少し抜けてきたような気がする。胸は…小学生高学年だからね…この件は触れないでおこう。
後の変化は服装だな。少し豪華になったというか、女の子らしさが増した気がする。これはかなりヤバイんじゃないか!?
「タクト? どう?」
「へ? あぁ…可愛くなったな」
「えへへ」
俺が頭を撫でると目を細める。こういう所は変わらないんだな。いや、突然リリーが反抗期になったりしたら、ショックなんだけどね。とはいえ、このままだと次の進化は中学生ぐらいになるだろう。あ、ありえるのか?…リリーにはずっとこのままでいて欲しいと切に願う。
さて、ステータスを確認する。
名前 リリー ドラゴニュートLv20
生命力 30→35
魔力 20→25
筋力 60→65
防御力 21→25
俊敏性 16→20
器用値 12→15
スキル
素手Lv6 片手剣Lv16 大剣Lv1 闘気Lv6 擬似竜化Lv1
『リリーの進化が完了しました。擬似竜化スキルが解放されました』
『大剣スキルが解放されました。武技【チャージスラッシュ】を取得しました』
大剣スキルは何となく予想してた。今も大剣使っているからね。そして大剣スキルの初期武技はチャージスラッシュ。名前からして溜め技…進化したリリーで溜め技は凶悪な気がする。
だがそれ以上に凶悪なスキル臭がするのがあるね…擬似竜化?名前からして、ヤバくないか?
そう思っていたら、リリーが自慢げに言い出す。
「ふっふっふっ。これでイオンちゃんよりお姉ちゃんだね! これからはリリーの事はお姉ちゃんと呼ぶように!」
まだ諦めてなかったのか…当然イオンは怒る。
「は? それは勝負で私が勝って無しになったでしょ!」
「でも、今は明らかに私がお姉ちゃんだし! 今ならイオンちゃんよりリリーのほうが強いもん」
あ~あ~。強くなって天狗になってるな~。リリーのやつ。
「…いいでしょう。タクトさん、リリーと戦わせてください!」
うむ。許可しようかな。
「いいよ。ルールは前回と一緒でいいな?」
「はい」
「返り討ちにしてあげるよ!」
そして三度目の決闘へ。セチアは心配そうに聞いてくる。
「いいのですか?」
「ここで放置してもいつかは戦うことになるだろ? リリーの奴も調子に乗ってるし、お灸を添えるなら早いほうがいいだろう」
「なるほど納得しました」
それに進化したリリーの性能を早めに確認するのはいいことだ。今はもう帰るだけだからな。
「二人とも準備はいいか?」
「はい」
「いいよー」
「じゃあ、始め!」
俺が合図して、戦闘が始まる。まず初めにリリーが大剣を横に構えると大剣が赤色のオーラを宿す。そして徐々にオーラの光が増していく。あれがチャージスラッシュか。完全な溜め技だな。初期武技にしては強すぎる気はしていたが初期技の理由は見たまんまだな。チャージ時間が長すぎる…イオンが俺の意図を察して仕掛けないがイオンが本気ならリリーは今頃ぼろ雑巾になってるはずだ。
ようやく溜めが終わったみたいなので、リリーがイオンに突っ込みチャージスラッシュを使う。
イオンは余裕を持って避ける。どの程度の威力か見たのは正解だったな。風切り音が半端じゃなかった。俺が普通に受けていたら、武器が壊れて、真っ二つになっていただろうな。
回避されたらリリーは流石にチャージスラッシュは使わなかった。代わりにいつものヘビースラッシュを使うがイオンはカウンターで切り刻む。ですよねー。
リリーがむきになって、大剣を大振りして、イオンが避け、カウンターを繰り返す。つまり今のところ最初以外、以前と変わってない!
だか今のところはだ。リリーが奥の手を出す。擬似竜化だ。
「いっくよー! 擬似竜化」
リリーが剣を天に掲げると光の柱に包まれ、擬似竜化する。光が収まり、現れた擬似竜化したリリーの姿は耳が東洋のドラゴンのような黄色い角になり、背中には黄色いドラゴンの翼、お尻からは黄色いドラゴンの尻尾が生まれた。かっこいいな。
しかしあの尻尾どうなっているんだ?スカートは捲れていないぞ?リリーのスカートは今まで通り普通のスカートのはずだ。俺の中でドラゴニュートの不思議が生まれた。
ステータスを確認するとステータスが劇的に変わっていた。
名前 リリー ドラゴニュート(擬似竜化)Lv20
生命力 35→55
魔力 25→45
筋力 65→85
防御力 25→45
俊敏性 20→40
器用値 15→25
スキル
素手Lv6 片手剣Lv16 大剣Lv1 闘気Lv6 擬似竜化Lv1 飛行Lv1 竜技Lv1
器用値を除く全ステータスが20アップ。器用値は10しか上がらないのはリリーらしい。だが、これ強すぎるんじゃないか?
新たに飛行スキルがあるってことは空中戦が可能になるってことだろうな。それに新しい竜技というスキルが気になる。恐らく擬似竜化時の限定スキルなんだろうが…俺が絶句しているとリリーが言う。
「これがリリーの本気モードだよ! イオンちゃん、覚悟!」
リリーが空を飛びながらイオンに向けてスキルを放つ。
「竜技! ドラゴンクロー!」
いきなり気になる竜技を使ってくれたリリーに感謝したい。
ドラゴンの爪の幻影がリリーの大剣に重なり、上段から振り下ろされた攻撃がイオンに迫る。
だがイオンは冷静だった。あっさりリリーの攻撃を避ける。ま、冷静なら避けられるわな。現在のリリーの俊敏性40。それに対してイオンは俊敏性56だ。強くなっても16のスピードの差がある以上、攻撃は中々当てられないだろう。
リリーの渾身の攻撃は空振り、地面に直撃。地面にはドラゴンの爪痕が残ってる。これがドラゴンクローか…ドラゴンの爪の攻撃を大剣に付与する技みたいだな。かなりの威力だ。
俺がそう思っているとリリーに異変が起きる。擬似竜化が解け、倒れこむ。イオンは攻撃していなかったが、なんだ?
「か、体が…動か…ない~」
リリーの情けない声が聞こえた。これはひょっとして…
「スキルの反動みたいですね。恐らく擬似竜化とドラゴンクローで魔力を使い果たして、元に戻ったんだと思います」
セチアに言われ、リリーのステータスを見ると魔力がゼロになってる。それと擬似竜化スキルが灰色になり、24時間の表示がされている。つまりこのスキルは1日に1回しか使えない本当に奥の手か。
俺が分析しているなか、動けないリリーにイオンが近付く。イオンは満面の笑顔だ。
「そうですか。動けないんですか」
「イ、イオンちゃん!? ちょっと待って!? 何する気!?」
「散々言ってくれましたからね。罰としてリリーにはお尻ペンペンです」
「えぇ!?」
イオンの発言にリリーの顔が絶望に染まる。まぁ、調子に乗ったリリーが悪い。
「タ、タクト~」
リリーが俺に助けを求めるがイオンがそれを許さない。
「なんですか? タクトさんにお尻叩かれてる所を見てもらいますか?」
え?見ていいの?俺は思わずそう思ったがリリーが顔を真っ赤にする。
「ダ、ダメだよ!? そんなの絶対にダメ!」
なんてことだ。あのリリーが恥じらってる!マジか!?
「というわけです。タクトさん、少し席を外してくれますか?」
笑顔のイオンが怖いです。
「あぁ、じゃあ時間を無駄にするのもなんだからウッドゴーレムの解体と鉱石や薬草集めるか」
「はい」
俺とセチアがその場を離れたがお尻を叩く音とリリーの悲鳴が聞こえたのは言うまでもない。因みにウッドゴーレムからは檜がゲット出来た。木性石を期待していたが外れたか…
採掘では鉱石がゲットできた。ヘーパイストスにいいお土産ができた。採取では若木の森より品質が高いキュアリーフが手に入った。これはハルさんに教えないとね。
音が聞こえなくなり、帰ると笑顔で小学生低学年に見えるイオンと涙目でお尻を触ってる小学生高学年ぐらいに見えるリリーの姿があった。シュールな光景だな。
「気分爽快です」
「お尻…痛い…」
なんと言うか進化してもリリーはリリーだな。トレントのクエは達成していないが目標は達成したし、全員ボロボロだ。今日のところはリターンでお店に戻るしかないな。
名前 リリー ドラゴニュートLv20
生命力 35
魔力 25
筋力 65
防御力 25
俊敏性 20
器用値 15
スキル
素手Lv6 片手剣Lv16 大剣Lv1→Lv2 闘気Lv6 擬似竜化Lv1
名前 セチア エルフLv18
生命力 24
魔力 58
筋力 12
防御力 10
俊敏性 15
器用値 58
スキル
杖Lv8 弓Lv1 木工Lv1 採取Lv4→Lv6 調薬Lv5 水魔法Lv10 土魔法Lv10
木魔法Lv10 樹魔法Lv3 エルフの知識Lv5