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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
希望の国エステル
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#745 ゴブリンアサシン索敵トラップ

夕飯を食べ終えた俺はゲームにログインし、作製中の第三の砦に向かう。すると防衛部隊の人たちが挨拶してくれた。


「「「「お疲れ様です!」」」」


「お疲れ様。今日はよろしくお願いします」


「「「「こちらこそよろしくお願いします!」」」」


「それじゃあ、早速確認を始めようか」


防衛部隊の人たちと指揮系統と部隊、作戦などを確認する。


「ゴブリンアサシン対策はどうだ?」


「完璧です。でもこれって装備が汚れるんですよね…」


「まぁ、そのおかげで敵を見つけられるわけなんですが」


「他にも手があるんだが、そちらも問題があるんだよな…ちょっと考えるから今回はこれで我慢してくれ」


「「「「はい! よろしくお願いします!」」」」


確認が終わると俺はリリーたちを呼び、砦作製の手伝いをお願いした。リリーが元気満々に号令を言う。


「タクトの分までがんばるぞ~!」


「「「「お…おぉ~」」」」


「声が小さいよ! みんな!」


『タクトさん…リリーをなんとかしてください。人が沢山いて、物凄く恥ずかしいんです!』


イオンの言うことはよくわかる。この状況できついだろうな。まぁ、みんな微笑ましくこちらを見ているんだけどね。


「頑張るのはいいのけど、俺たちは護衛が目的だからな?」


「わかっているよ。タクト! 任せて! 敵が来てもやっつけちゃうから!」


そういうが石運びに夢中になるリリーである。一方でイクスとノワは俺の近くで索敵中。


「…頑張って、リリー」


「ノワちゃんも手伝ってよ~」


「…索敵中」


「しているように見えないんですよね」


イオンの気持ちはわかるが、ノワはやる時はしっかりやる子だ。きっと大丈夫だろう。すると通信が来る。


『タクトだ』


『トリスタンよ。タクト君の予想通りだったわ。城の中のNPCの中に変身した悪魔が潜り込んでいた。一応言っておくとさっき王様の前で発言した奴よ。こっちで処理したからこのまま魔術殺しの魔導書を使って調べるわね』


『お願いします』


やはりダークエルフだけじゃ無かったか。お城の中まで悪魔がいるとなるとどこに悪魔がいるか分からないな。一応見分けるポイントは俺たちを邪魔しようとしてくる奴が怪しいって感じかな。砦でそういう奴がいないかみんなに注意喚起する。


すると怪しいNPCの報告が数件届いた。なんでも生産職の仕事に偉ぶって口出ししてくる騎士NPCがいるらしい。これはうざいだろうなぁ。生産職プレイヤーのストレス軽減のために早めに処理しよう。


ということで俺は火影さんたちに彼らの監視を頼み、トリスタンさんに報告する。俺が指示出ししているとアルさんたちが帰ってきた。


「偵察お疲れ様です。どうでしたか?」


「異常ありませんでした。逆に怪しく感じるほどです」


「お昼攻撃仕掛けてきて、夜は来ないとは思えないんですけど」


「俺もそう思います。敵は恐らく召喚獣の察知能力をすり抜けている。だとするならそろそろ来てもおかしくない。偵察帰りで申し訳ないですが、戦闘準備をして貰っていいですか?」


「「はい!」」


偵察に引っかからないということは敵はまずゴブリンアサシンで間違いないだろう。


『信号班、黄色の花火をお願いします』


『へい!』


今回は花火の色で注意と警戒の合図とした。これで防衛部隊の見張り部隊が警戒態勢となる。リリーたちも作業を中断して俺のところにやってきた。すると最前線から連絡が来る。


『こちら最前線部隊! 泥索敵トラップ作動!』


『信号班、赤の花火をお願いします!』


『へい!』


泥索敵トラップはただ雨乞いで雨を降らして、地面を濡らしただけというぶっちゃけ罠でもなんでもないものなのだが、それ故に敵の能力から見事に逃れることが出来た。そして濡れた地面を走ることで飛び散った泥で敵の足元が僅かに見ることが出来た。


『こちらも作動を確認! 魔法飽和攻撃行きます!』


「「「「マッドボール!」」」」


まさかの土の初期魔法が砦の城壁に配置した魔法使いたちから放たれる。飛来した無数の泥玉をゴブリンアサシンはくらい、姿が完全に顕になった。ちゃんと泥玉には当たらないように泥玉ラインを引いて、そこにはプレイヤーがいないように陣形を組んでいる。


そしてゴブリンアサシンがいる泥玉ラインは防衛部隊がちょうど前後に分かれて挟んでいる場所だ。


『敵補足! 一匹残らず狩りつくせぇええ!』


『『『『おぉ~!!』』』』


これで終わりかと思ったが左右から泥索敵トラップの報告が来る。危惧が現実のものになったか。しかし対策は完璧だ。砦の城壁に配置したのは魔法使いたちだけでなく弓や銃を装備した人たちがいる。


姿がバレバレとなったゴブリンアサシンはもはやただの的だ。一度は引いてもまた飛び込んで来る。己の任務を遂行する意志は評価したいが、無策は頂けない。ただの特攻がどれだけ悲しいことか俺は戦争の話で知っている。するとリリーが情けない声を出す。


「タクト~」


「はいはい…気持ちはわかるけど、ここで待機していような。イクス、ノワ。どうだ?」


「遠距離索敵、魔力感知に反応なし。非常に不愉快です」


「…影探知も無理」


やはりこれは装備による索敵妨害の可能性が非常に高くなった。厄介な奴だ。すると危険察知が反応する。無策じゃなかったか。やるね。


「…恋火。来るぞ」


「は、はい!」


「シャアアア!」


「居合い斬り!」


透明になっていたゴブリンアサシンが突如姿を見せて、俺をナイフで刺そうと突っ込んで来るが恋火の居合い斬りにより、それを阻止させる。しかし諦めずナイフを投げてくる。


「金属壁!」


それをユウェルが金属壁でガードし、イオンがゴブリンアサシンに襲いかかろうとした瞬間、姿が消えてしまう。しかしイオンはそれを予測していた。


「ミーティアエッジ!」


流星のような連続攻撃がゴブリンアサシンを捉えた。しかしゴブリンアサシンは脱走する。


「丸見えです」


イオンが装備を傷つけた結果、ゴブリンアサシンの索敵の無効化が解けたみたいだ。結果ゴブリンアサシンはイクスの銃撃に撃ち抜かれた。レーダーをすり抜けられたことが相当気に入らなかったらしい。


「リリーの出番が…」


「え、えと…」


「気にしなくていいぞ。恋火。これで敵の能力は装備で確定したな」


すると報告がくる。


『ゴブリンアサシン。凄い身のこなしで一部が逃走!』


『追え!』


『待ってください! ゴブリンアサシンは罠設置スキルもあります! 深追いするのは危険です』


ルーク以外にもゴブリンに詳しい人がいてくれて助かる。


『聞いての通りです。追撃は諦めましょう。奇襲が失敗したなら、次は総力戦になるかも知れません。被害状況の確認と次の戦闘に備えてください』


『『『『了解』』』』


その後、砦内を歩いているとゴブリンアサシンの襲撃を二度受けたがリリーとブランが対処した。報告を聞くとゴブリンアサシンはどうやら味方を踏み台にすることで泥索敵トラップを乗り越えて、無数の泥玉を躱し、ここに到達したようだ。凄いな。


正直これで十分だと思っていたが考えが足りなかったみたいだ。作戦を強化しないとね。対策として泥玉の数を増やすか。罰ゲームとかで使われる生クリームのバズーカとか作れないかな?


俺が考えていると偵察に向かったチロルたちから通信がきた。


『偵察で飛んでいたら、ネクロドラゴンって言う幽霊の巨大ドラゴンに襲われた~。逃げ出すので、精一杯でした』


それは仕方がないだろうな。お疲れ様だ。寧ろ良く逃げ帰ったと褒めていいものだろう。次はドワーフ方面。


『ドワーフ方面は偵察部隊を運ぶことに成功しました。ただ凄い数の悪鬼やゴブリンを確認して、砦からは大砲、弓矢や投石が飛んで来ました。それに町に入るためには入口にある城門を突破しないといけないみたいです』


ドワーフの山は総力戦がお望みみたいだが、場所が山でこちらの戦力を送り込みにくい地形だ。召喚獣で運ぶことになるだろうけど、非効率だな。


『ワープポイントは設置出来たか?』


『ダメです。魔法が阻害されました。ギルマスなら設置出来るかも知れません』


すると香子さんから通信がきた。


『横から失礼します。現在ドワーフ方面に向かったギルメンから連絡が来て、敵が捜索を始めたようです。ワープポイントの設置はかなり危険だと思われます』


敵にワープポイントを抑えられたら、終わりだからな。


『わかりました。ギルメンは大丈夫そうですか?』


『はい。銀たちにも負けない優秀な人たちですから大丈夫です』


それなら安心だな。暫くするとその銀たちが緊急報告が来る。


『敵、砦に動きあり! 物凄い数の敵が出てきたよん!』


『編成はゴブリンとオークが中心…わ!?』


『どうした!?』


『敵に見つかりました! 敵は赤いゴーーきゃ!?』


どうやら戦闘が始まったようだ。きっと霞は赤いゴブリンと言いたかっただろう。だとしたら、非常にまずい敵がいることになる。


赤いゴブリンの名は恐らくレッドキャップ。イギリスの民間伝承に出てくる極めて危険な妖精とされている奴だ。今は銀たちを信じよう。


『敵の大部隊が来るぞ! 作戦準備を急いでくれ』


その後、銀たちから通信が来る。なんとか逃げることが出来たようだ。


『レッドキャップに地獄の加護を確認したよん! 後、噛まれそうになった!』


『普通のゴブリンより筋力が比べ物にならないくらい強かったです! 武器は斧でした!』


『後、敵部隊の中に他にも変なゴブリンが紛れ込んでいました! 十分に警戒してください!』


『わかった。銀たちは一度、砦に帰還してくれ』


得体が知れない敵は怖いがそれでもやるしかない。俺はリリーたちを見る。みんなやる気満々だ。


「作戦は予定通りだ。頼むぞ。みんな」


「「「「うん(はい)!」」」」


リリーたちの返事に頼もしさを感じて敵が来る方向を俺は見た。来るなら来やがれ。返り討ちにしてやる!

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