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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
お月見イベントとパンドラ
757/1718

#724 桜の女神と黄泉の女神

ちょっと早い夕飯を食べてからゲームにログインする。


夜は桜花に向かって神様について、情報を集めることにした。まずはやはり帝である聖徳太子に話を聞きに行こう。


チャルメラさんが作った味噌ラーメンを買って、桜花に行くと何やら屋台が複数並んでいた。話を聞くとこの時期は秋祭りをしているそうだ。いいよね!秋祭り!俺はお祭りに参加したい気持ちを我慢して聖徳太子さんに面会する。


「うむ…このラーメンも美味いな。それで聞きたい話というのはなんだ?」


「実は緋緋色金が手に入りまして。この桜花の神様について、何か知っていませんか?」


「なるほどな。我が国には主に寺と神社、二種系統の神たちがいる。例外には空天狐、ダイタラボッチなどがいるな」


やはり日本とほぼ同じみたいだ。ただ問題は地形が違うということ。何せ平安京は京都で近くにあった山が富士山だ。地形が変なのは言うまでもないだろう。


かぐや姫の舞台という設定なら諸説ある中で富士山の近くという話があるみたいだが、町並みが平安京だったからな。あるまじき遊郭があったからこれも絶対とは言えないけどさ。するとこの桜花の都が現実の関東県付近にあることが判明した。


「この都の近くにいる神なら武甕槌大神たけみかづちのおおかみ)経津主大神ふつぬしのおおかみ)伊弉諾尊いざなぎのみこと伊弉册尊いざなみのみことがいる。桜花の民の間では短くタケミカズチ、フツヌシノカミ、イザナギ、イザナミと呼ばれている。この四柱の中でなら武甕槌大神と経津主大神を薦めよう」


うむ。それなら短く呼ぼう。一応様付けで。


「イザナギ様とイザナミ様ではダメなのですか?」


「チャンスがないわけではないか…神々の夫婦喧嘩に飛び込み、解決する必要があるぞ? 最悪この二柱の神を敵にすることになる」


あぁ~…それは無理だ。俺のステータスにそんなスキルは無いからな。


「タケミカズチ様とフツヌシノカミ様はどうすれば契約出来るんでしょうか?」


「彼らとは戦闘で勝てば契約出来るはずだ。何せ戦神だからな」


やっぱり戦闘することになるよな…しかしこれなら他の神様でも難易度は対して違わない気がする。それなら俺は別の神様を狙いたい。


因みにこの四柱の神様は茨城県、千葉県、埼玉県の神社のご祭神となっている。一応簡単にそれぞれの神様について説明しよう。


まず武甕槌大神。聖徳太子様がいったがタケミカズチのほうが知られているだろう。漢字では建御雷神と書く。日本神話最強の武神と言っていい神様だろう。有名な話は俺が魔導船につけたスクナビコナと共に日本国を創った大国主神おおくにぬしのかみという神様から国譲りの談判をおこなったという話だ。


この話で大国主神の子である建御名方神たけみなかたと力比べすることになった建御雷神が勝利して国譲りすることになる。これが相撲(すもう)の起源とされている。俺とはきっと合わないだろう。


次は経津主大神。同じくフツヌシノカミという名前のほうがのほうが知られているだろう。漢字では経津主神と書く。建御雷神と対で語られることが多い神様で日本神話最強の剣神と言っていい神様だろう。何せ建御雷神と共に語られている神様だからな。


何故剣神かと言うと建御雷神が日本の初代天皇、神武天皇じんむてんのう)がピンチの時に渡した剣で布都御魂(ふつのみたま)という霊剣が登場する。この剣と最初の文字がふつで一致していることなどからフツヌシノカミは神剣の化身ではないか?という説話がある。正直経津主大神は滅茶苦茶気にはなっている。


イザナギ、イザナミはセットで説明したほうがいいだろう。この二柱は天地開闢(てんちかいびゃく)のときに生成した七代の神の内、最後の兄妹神として生まれる。


この二柱が結婚することで日本列島を構成する島々を創成し、多くの神が誕生することになる。しかし火の神である火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)を産んだことでイザナミが死んでしまい、イザナギは火之迦具土神を殺してしまうという話だ。


俺としてはイザナギとイザナミに共感出来るところがある。リサと兄妹喧嘩をしたことがあるからな。しかし俺は他には神様がいないか聞いてみると俺が狙っている神様の情報を貰うことが出来た。


「この国で一番高い山に行けるなら天照大御神(あまてらすおおみかみ)須佐之男命(すさのおのみこと)月読命つくよみのみことを探すといい。詳しい場所は残念ながら分からない。平安の都の領主なら何か知っているかもしれん」


「わかりました。聞いてみます。色々ありがとうございました」


平安の都方面に俺が目当ての神様がいるというだけで充分だ。この三柱はイザナギがイザナミに会いたいがために黄泉国に行くのだが、逃げ帰ることになり禊ぎをした際に誕生したとされる三貴神だ。


月読命については目立った神話はないが天照大御神、須佐之男命は強さは疑いようがないだろう。何せ天照大御神は現在日本の神様の主神で須佐之男命は八岐大蛇を殺したことで知られている神様だ。


この中でも俺が狙うのは須佐之男命。普通なら天照大御神を狙うんだろうけど、どうしても俺の脳裏に荒神の姿が思い出してしまう。きっと俺と荒神が似ていたせいだろう。


須佐之男命は暴力的な側面と正義心がある神様だ。武器で剣を使うし、どうせ戦うなら経津主大神より須佐之男命と戦ってみたいと思ってしまった。


ということで平安の都の領主様に三貴神について聞いてみた。


「私ではその三柱の神様がどこにいるかはわかりません。しかし知っているかも知れない神様なら心当たりがあります」


「誰ですか?」


木花之佐久夜毘売このはなのさくやびめという女神様です。サクヤビメと短く呼ばれることもありますね。あの山と桜花のシンボルである桜の花を象徴する女神様です」


おぉ!天照大御神の孫と結婚した女神様だ。当然天皇家と関わりがある神様でこの結婚の時にサクヤビメの姉も一緒に結婚するはずだったのだが、結局サクヤビメとのみ結婚することとなる。その結果天皇家は神様の血筋にも関わず、神様ほどの長寿を失ったそうだ。


天照大御神と一応繋がりはあるから何か知っていそうではあるね。


「サクヤビメはどこにいるんでしょうか?」


「森を抜けた先に彼女がいるとされている神社があります。恐らくはそこにいるのではないかと」


時間を確認し、行くことにした。


「ありがとうございます。行ってみます」


「そうですか。今から向かうのであれば夜の森には死者の魂が集まりますので、ご注意してください」


俺は頭を下げて、領主様の家を後にした。それじゃあ、一気に行くとしますか。一応ノワ、リビナ、セフォネ、コノハ、スピカで向かうことにした。


「ふっふっふ! タクトとの二人乗りは気持ちいいのじゃ!」


「「…」」


「ホーホー…」


じゃんけんの結果、スピカにセフォネと二人乗りしている。コノハの声がやれやれと聞こえるのは気のせいではないと思う。正直簡単にサクヤビメのところに行けると思っていたんだが、危険察知が反応する。


「下から攻撃来るぞ!」


「あぶなーい! タクト」


「…なーい」


「うおい! 二人揃って何タクトに抱きついてべ!?」


スピカが回避行動を取る。すると森から銃撃が飛んできた。


「ひ…ひた(舌)…噛んらのひゃ(噛んだのじゃ)」


「ヒール。ほら、二人共戦闘だ」


「仕方ないな~って危な! 障壁!」


結構な銃撃だな。俺はコノハにシンクロビジョンを使い、敵を捉えた。


落ち武者Lv32

通常モンスター 討伐対象 アクティブ


落ち鉄砲隊Lv32

通常モンスター 討伐対象 アクティブ


地味に強いな。名前から判断出来ないがアンデッドみたいだ。頭に矢が刺さっていたりするからな。恐らくこの森のモデルが富士の樹海のせいだろうな。あそこは自殺や幽霊とかで有名な場所だから。


落ち武者の武器は刀で落ち鉄砲隊の武器は火縄銃みたいだ。ここは逃げてもいいと思うんだが、成仏させてやろう。


「スピカ! そこだ!」


「ヒヒーン!」


スピカの星雨が敵に降り注ぐ。これで完全に動きを封じた。


「セフォネ、ハルペーで止めを頼むぞ」


「任せるのじゃ!」


「二人は倒せないから足止めに専念してくれ」


「りょーかい!」


スピカで突っ込み、セフォネがハルペーで倒していく。その間にノワは影呪縛で動きを封じて、リビナは淫夢結界で吸い上げ、死にそうになったところでコノハがサンクチュアリを発動し、まとめて消滅させた。


完全に楽勝だと思っていると全く予期しない方向から銃撃が飛んできた。スピカの残像で躱し、反撃で光線を放つと森の奥から落ち武者と落ち銃士が大量発生していた。これ以上の戦闘は利点がないな。


『森に凄い数の敵がいる。全員引くぞ!』


ノワとリビナは俺たちの影に入り、コノハを抱き抱えてるとスピカで一気にその場から離脱した。


森を抜けた俺たちは平原に辿り着くのだが、そこでも落ち武者たちの襲撃を受けた。しかし完全に無視して、目的の神社を発見した。わざわざ明かりをつけていてくれたから非常に助かった。


俺たちが神社に入ると夜桜がとても綺麗な場所だった。ここにサクヤビメがいるならこの神社は浅間神社(あさまじんじゃ)ということになるんだろうけど、流石に桜が多すぎるな。俺たちが圧巻の夜桜に魅入(みい)っていると声をかけられた。


「桜、お好きなんですか? 異国の旅人様」


そこには白を基準とした桜の着物に桜の髪飾りをした黒髪の女性が立っていた。夜桜と合わさってとても綺麗。


「こら! やめろ! 三人とも!」


「ボクは何もしてないよ?」


「…変なにぃ」


「なんのことかさっぱりわからないのじゃ」


明らかにお前たちの尻尾で攻撃してきただろう!セフォネに至っては完全に声を出して足を踏んできていた!


「ふふ。仲がよろしいんですね」


「まぁ、仲はいいと思います。あなたが木花之佐久夜毘売様ですか?」


「はい。よく私の名前を言えますね。正直長いと思うので、サクヤビメと呼んで下さいませ」


自分でそれを言っちゃうんだ。俺が呆れているとサクヤビメ様が聞いてくる。


「ここには夜桜を見に来たんですか?」


「本当はそうと言いたいところですが、今日はあなた様に天照大御神様、須佐之男命様、月読命様の居場所についてお聞きしたくここに来ました」


「あのお三方様の居場所ですか…天照大御神は海沿いを西にずっと進んでいくと大きな神社があり、そこにおられると思いますよ」


伊勢神宮だろうな。次は須佐之男命。頼むから出雲大社とか言わないでくれ。ここが静岡県なら島根県まで行くことになる。電車で乗り継ぐ距離を移動とか勘弁して欲しい。スピカならすぐに付くが途中でボスとかの戦闘とか間違いなくあるから本当にやめて欲しいぞ。


「須佐之男命は…破天荒な方なのでどこにいるかはわかりません」


「…スサノオなら一番大きな山の先にいると思う」


いきなり第三者の声がした。声がしたほうを見ると空に月型の船に寝そべり、眠たそうな目でこちらを見ている女の子がいた。服装は紫の着物で月がデザインされている。この子はもう疑いようがないな。


「ツクヨミ様!? どうしてここに?」


やっぱりツクヨミ様なんだ。それにしてもツクヨミ様からノワと同じ雰囲気を感じる。ツクヨミ様が

月型の船に寝そべったまま、こちらに来た。


「…にぃ、あれ欲しい」


ほら~!こんなことを言い出す。すると聞こえていたツクヨミ様が話す。


「…ダメ。これは私の寝所だから上げれない」


「…なんという贅沢。ノワもいつか自力でそれを作る」


「…そう。頑張って」


「…ん」


なんだ?この会話。とにかくノワに一つの目標が誕生したことだけはわかった。


「あの…ツクヨミ様?」


「…そうだった。今日は月が綺麗だから遊びに来た」


「そ…それだけですか?」


「…ん」


完全にノワじゃん!


「…そしたら、スサノオの話が聞こえたから答えた」


「スサノオ様の居場所をどうして知っているんですか?」


「…アマテラスに八岐大蛇が復活しそうだと注意されたら、「やっべ。忘れていた」と言って山に向かったから間違いない」


あぁ…ここで位置の謎が解けた。長野県には八岐大蛇をスサノオが倒した時に魂が石となった蛇石がある神社が実在している。恐らくスサノオはそこに向かったんだろう。


「それならスサノオ様が退治してどこかに行かれる前に急いだほうがいいのでは?」


「…その心配はない」


「どうしてですか?」


「…スサノオは周りの被害より、八岐大蛇との戦いを優先する。だから必ず八岐大蛇の復活を待つはず。八岐大蛇もスサノオがいる時に復活するようなことはしない」


そりゃ天敵だからな。つまりお互いに待ちの状態だから時間は十分にあるということだろう。


「…もういい? 私はそろそろ帰るけど」


「あの! あなたの神珠を手に入れるためにはどうしたらいいですか?」


「…ここでは渡せない。黄泉国にある私の神社に来たら、あげるよ」


そういうとツクヨミ様が消えてしまった。出来れば黄泉国の行き方を教えて欲しかった。するとサクヤビメ様が変わりに教えてくれた。


「黄泉国には色々な行き方があります。イザナギ様が封じた入口を使う方法やこの辺りでは一番大きな山の畔にある湖に月が写っている状態でそこに飛び込むと黄泉国に行けるとされています」


「そうなんですね。わざわざありがとうございます」


「いえいえ。どうやらあなた様も桜を育てているようですし、お好きならいつでもここに来てください」


あぁ…桜を育てているから友好的だったのかな?ということは聖徳太子はそれがわかっていて、俺をここに誘導した感じになるのか。相変わらずだな。あの人…スサノオの大体の居場所の検討が付いたから今日はここまでだな。


俺は帰る前にサクヤビメ様に桜花の都で売られていた桜饅頭を上げると大好物だったらしく、非常に喜んでくれた。それから帰ろうとするとノワたちに桜饅頭をせがまれることになり、全員分買うことになったのは言うまでもない。


名前 セフォネ ヴァンパイアクイーンLv20


生命力 217

魔力  320

筋力  190

防御力 140

俊敏性 176

器用値 240


スキル


鎌Lv24→Lv25 影翼Lv24 吸血Lv26 暗視Lv33 吸血爪Lv10 

影潜伏Lv23 影操作Lv12 影召喚Lv30 影移動Lv8 隠密Lv20 

暗黒魔法Lv10 氷魔法Lv17 時空魔法Lv16 引力操作Lv4 夢幻Lv3 

譲渡Lv5 蘇生Lv22 不死Lv29 血流操作Lv22 出血弾Lv18 

血竜Lv10 金縛Lv7 障壁Lv9 血晶Lv16 斥力操作Lv6 

重力操作Lv1 黒霧Lv1 魔法侵食Lv3 魔素解放Lv6 呪滅封印Lv27 

暗黒波動Lv18 血醒Lv2 吸血鬼の加護Lv11


名前 スピカ ペガサスLv14


生命力 152

魔力  206

筋力  250

防御力 82

俊敏性 310

器用値 134


スキル


回転角Lv41 光速激突Lv38 物理破壊Lv34 集束Lv25 騎馬Lv33 

水上走行Lv18 危険予知Lv29 気配遮断Lv14 残像Lv20 星雨Lv15→Lv16 

雷放電Lv15 光線Lv20 光鎖Lv6 暴風Lv30 疾駆Lv37 

飛翔Lv24→Lv25 衝撃波Lv12 英雄騎手Lv30 浄化Lv13 幻影Lv32 

木魔法Lv18 海魔法Lv5 神聖魔法Lv11 雷魔法Lv21 雷霆Lv10 

狂戦士化Lv8 蘇生Lv4 譲渡Lv3 逆鱗Lv5 星獣の加護Lv15

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最新作『動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います』を連載開始しました。
以下のリンク先で連載中です。


動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
― 新着の感想 ―
[一言] 満月ゲートみたいなもんがあるのか あれは黄泉じゃなくて1000年前と繋がってるんだったか 満月ゲートがある湖にはネッシーみたいなのがいるけど、此方にもいるのかな?
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