#723 カリオストロの研究所とへーパイストスの料理
俺たちは研究所の探索を開始した。いくつかの部屋で宝箱があり、持ち運びが出来無かったため、一度ホームに戻り、解錠の木鍵を持って宝箱を開ける。すると外れ。頭の中に全て外れの未来が過る。カリオストロならそれぐらいやってもおかしくないからだ。
しかしどうやら俺の嫌な予感は今回外れてくれた。宝箱から出てきたのはこちら。
ダイヤモンドのネックレス:レア度8 アクセサリー 品質S
効果:女性の全ステータス+5、光属性アップ(極)、暴走無効
大きなダイヤモンドが使われている女性用のネックレス。身につけた女性の美しさを更に引き立てるネックレスで王族などが身につけていることで知られている。
アクアマリンのネックレス:レア度7 アクセサリー 品質A-
効果:天使の魔力アップ(究)、水属性アップ(極)、状態異常耐性、生命力アップ(極)
大きなアクアマリンが使われている女性用のネックレス。美しい見た目から王族などが身に付けるようなネックレスで能力としては天使と非常に相性がいい。
アクアマリンはブランに贈るかな?イオンやリアンには睨まれると思うけど、やはりこれは天使が装備すべきネックレスだろう。
ダイヤモンドのネックレスは…ナオさんに相談しよう。指輪に出来るなら指輪にしたい。
「お姉ちゃんにですか?」
「まだ分からないよ。ナオさんに相談しないとな」
「私たちより、大きいですね」
ならどうしろと?他の人にあげても文句言われるし、かと言って自分以外の人に上げても文句を言われるだろう。詰んでいるじゃん。
この他に金貨や銀貨、銅貨が入っている宝箱があった。これらは恐らくマリー・アントワネット関連のものかな?マリー・アントワネットはダイヤモンドとアクアマリンを特に愛したと言われている。まぁ、フランスの王妃なら大きな宝石ぐらい余裕で手に入るだろう。
次に見つけたのもネックレスだが、普通ではなかった。全部ダイヤモンドで作られた見た目からとんでもない代物だったわけだが、これはいわくつきのネックレスなんだよな。
ラ・モットのネックレス:レア度9 アクセサリー 品質S+
効果:女性の全ステータス+20、破滅の呪い
全てダイヤモンドで作られたネックレス。本来の価値ならとんでもない値段が付くネックレスだが身につけた物を破滅させる呪いがかかっている。どのような形で破滅するのか人により異なり、一度装備すると外れなくなる呪われたネックレス。
先ほど話したカリオストロが逮捕されるきっかけとなったネックレスだ。これはそっとしまっておこう。呪われたアイテムは持っているとろくな結果にはならないからな。
その後も宝箱を開けていくと色々な物が出てきた。初物がこちら。
アルミニウム:レア度8 素材 品質A-
ボーキサイトを電気分解することで製錬することが出来る金属。高い熱伝導性と電気伝導性を合わせ持ち、柔く軽量で加工しやすい特徴を持っている。耐食性もあるため機械部品から日用品まで様々なところで使われている素材。
マグネシウム:レア度7 素材 品質B
マグネシアを電気分解することで製錬することが出来る金属。空気中で加熱すると炎と共に強い光を発して燃焼する特徴がある。水に濡れても発火させることが出来るため、キャンプをする際には非常に役に立つ金属
ジュラルミン:レア度9 素材 品質S
アルミニウム、銅、マグネシウム、マグネタイトの合金錬成で作製することが出来る金属。アルミニウムを超える軽さと強度が両立された合金で飛行船などに使われている素材。
遂にジュラルミンが来た!これはノアに見せないといけないな。素材もあるし、錬金術師に頼めば結構な量を作ることが出来るかも知れない。因みにアルミニウムとマグネシウムは既にワントワークとエリクサーラピスで発見されている。
宝箱を開けていくとミスリルがあり、うはうは気分になっているとある部屋にたどり着いた。そこには白衣を着た骸骨がいた。
「彼がカリオストロだ」
『きゃあ!?』
突然地面からバルトアンデルスが現れた。もうセチアたちは完全に警戒態勢だ。
「ふふ。そんなに見ないでくれたまえ。少女たちよ。照れてしまうではないか」
「なぜ照れるのか意味不明です」
「君たちが彼に見られるのと同じ理由さ」
「絶対違うと思います」
イクスとセチアの口撃にもビクともしないな。するとバルトアンデルスが話す。
「君が最初にここにたどり着いたということで私も彼との約束を果たそう」
「約束ですか?」
「あぁ。一応ここは彼の許可を貰って使わせて貰っている。その条件として私は彼と約束していてね。この場所に最初にたどり着いたものに三つの鍵を託すという約束だ。来たまえ」
俺はカリオストロに近づくと首にある二つの鍵と箱を持っていることに気がついた。
「首にある二つの鍵はゴクマゴクが封印されている場所と彼が生涯を掛けて作った装置が眠っている場所の鍵だ。そしてもう一つの鍵については聞いていない。ただ彼の伝言はこうだ。この鍵をどう使うかは君に任せるそうだ」
またこのパターンだよ。とにかく鑑定してみよう。
ゴクマゴクの鍵:重要アイテム
ゴクマゴクが封印されている扉を開くための鍵。
カリオストロ研究室の鍵:重要アイテム
カリオストロの研究室の鍵。
第三の鍵:重要アイテム
とある研究所の三番目の鍵。
一つだけ謎アイテムだが、第三ということは第一、第二があるということだろう。しかも恐らくは錬金術師の研究施設。どうするべきかな?これ。とにかく貰っておこう。
その後、カリオストロの研究室を見に行く。するとそこには装置が二つあった。
合金錬成装置:魔導アイテム
効果:合金錬成
素材を入れるだけで合金を作り出せる装置。錬金術や鍛冶スキルより遥かに早く、形も自由に設定することが出来る。更に大量生産も可能で生産性に優れた画期的な装置。
金属降霊装置:魔導アイテム
効果:降霊錬成
金属に霊を宿すことを可能にした装置。素材さえ集まれば様々な話す武器を作ることが出来る。
合金錬成を頼む手間がなくなってしまった。というかクロウさんたちがニックさんたちの仕事がなくなりそうなんだが、大丈夫だろうか?
金属降霊装置はエルドラドで見たインテリジェンスソードが作れる装置なんだろう。迅雷とかの武器と何が違うのかは謎。
「タクトお兄ちゃん…あれ」
恋火よ。言ってしまうか…恋火が指を刺したところには貼り紙が貼られていた。
『金属降霊装置の素材。絶対にこれを使うなよ』
明らかにこれを使えと言っているな。
「使うなと書いてあるんだから放置しよう」
「鬼だな! 君は! 意図は理解しているだろうに」
「そこがマスターの魅力です」
「こういうところは注意するべきだと思いますよ。イクス」
まぁ、いいことじゃないことは理解している。でも問題がある。
「今俺が持っている金属はここで手に入ったものだからな…ジェラルミンを作製したいし、ミスリルは勿体無い。作るにしてもここは出直そう。一応みんなにも相談したい。あ、ここに他の人間が来てもいいか?」
「試練を突破しないとここには入れないぞ」
あ、そうなんだ。それならミスリルゴーレムと一度島で戦ったほうがいいな。とにかくサバ缶さんに報告するとやはりジェラルミンが欲しいとのこと。マグネシウムは既にエリクサーラピスで発見されているらしいので、素材を集めるということで話は纏まった。
一度フリーティアに帰った俺はナオさんにダイヤモンドのネックレスについて相談する。
「喧嘩しちゃうなら、このネックレスを交換に出すというのはどうですか? ダイヤモンド二つ分にはなると思いますよ」
「交換ですか?」
「はい。ダイヤモンドは大きなイベント後に市場に出ることがあるんです。それをゲットするのは難しいんですがダイヤモンドを取っておく細工師もいるんです。細工師用の掲示板でそういう書き込みがありましたから、既に商品として完成している通常よりも大きなダイヤモンドならすぐに飛び付くと思います」
なるほど。多分その人はまだいい素材が集まっていない人なんだろうな。それかダイヤモンドに相当のこだわりがある人か。まぁ、交換して貰えるならそれに越したことはない。
「それならお願いします。ついでにそのまま指輪をお願いしていいですか?」
「わかりました。指輪のデザインは和狐ちゃんとブランちゃんですよね?」
「はい」
一度ホームに帰るとみんなが話していた。
「ネックレスは絶対に私にくれるはずです!」
「イオンお姉様は色々貰っているじゃないですか。順番的に私ですよ」
「リアンも貰っているじゃないですか」
二人共結構あげているからアクアマリンのネックレスはブランのだよ。一方でリビナたちはダイヤモンドの話していた。
「ダイヤモンド、どうなるかな?」
「タクトのことじゃ。そのまま使うということはないと思うぞ」
「うちもそう思います。そういうのをタクトはんは嫌いそうやから」
「正解だ」
俺がそういうと全員が固まり、俺を見て驚く。気づいていなかったらしい。
「驚かさないでよ。タクト」
「アクアマリンのネックレスはどうしたんですか? タクトさん」
「ダイヤモンドもどす!」
「はいはい。気になるのはわかるが秘密だ」
『えぇ~!? なんで秘密なの~!?』
ここで話しても良くない気がするからだよ。リリーたちの追撃を躱すために俺はへーパイストスを呼ぶ。そしてパンドラも連れて島に行くと料理の準備をする。
準備は簡単、枯れ木や枯れ草、石を集めるだけ。これを見たリリーは最初の頃を思い出したのか反応する。
「お肉を焼くの!? タクト」
「残念ながら外れ。今日はへーパイストスが作ってくれるから楽しみにしていような」
「お父さんの手料理!」
これを聞いたパンドラが喜ぶはみんなは不安みたいだ。
『ちょっと、タクト。食べて大丈夫なんでしょうね?』
『そうだよ。ボクとしてはやばい感じしか受けないんだけど』
『まぁ、多分大丈夫だろう』
『『『多分…』』』
不安そうにしているが俺は既に美味しかったことは実証しているから安心だ。料理方法は至ってシンプル。じゃがいもやさつまいもを洗って、紙で包んだ後、水に濡らす。その上からアルミホイルで包んで焚き火の中に入れるだけ。そう…俺が教えた料理とは焼き芋だ。
アルミホイルがワントワークとエリクサーラピスから手に入るようになったので、作ることが出来なった料理。ずっとアルミホイルなしで料理してきたからやっとアルミホイルがない苦労から解放されることになった。
へーパイストスが時々焚き火から芋たちを取り出して、啄いて確認する。
「そろそろいいかな?」
「わーい!」
飛び出そうとしたリリーの頭を掴んで止める。一番はパンドラに譲らないとダメだろう。出来上がった料理はこちら。
じゃがいもの焼き芋:レア度1 料理 品質B-
効果:満腹度25%回復
じゃがいもを焚き火で焼いた料理。じゃがいもの表面が焦げてなく、中はしっかり熱が通っている。味付けはお好みで食べることが出来る。
さつまいもの焼き芋:レア度3 料理 品質B-
効果:満腹度25%回復
さつまいもを焚き火で焼いた料理。さつまいもの表面が焦げてなく、中はしっかり熱が通っている。
レア度などが味付けで変化する。塩やバター、マヨネーズ辺りが候補だろう。俺はじゃがバター派。
「はい。パンドラ」
「わ~。美味しそう! いただきます! はふはふ…美味しい~! こっちのは甘~い。とっても美味しいよ! お父さん」
「そ、そう? 良かったぁ~」
ヘタれこんじゃったよ。まぁ、これにはホッとするだろう。
「タクト~離して~」
「そうだな。俺たちもへーパイストスの料理を食べるか」
みんなそれぞれ食べているとへーパイストスが来た。
「…ありがとうございます」
「良かったな」
「はい」
「そういえば新しい金属が手に入ったんだ」
俺は神珍鉄を見て貰った。
「これも知らない金属です…何か欲しい武器がありますか?」
「あぁ。これで千影用の錫杖を作って欲しい」
「わかりました。リリーさんの魔法剣が完成したら」
お馬鹿!口滑らせやがった!当然のようにリリーが超反応する。
「え!? 今、リリーの魔法剣って聞こえた!」
「あ…えーっと…タクトさん」
「リリーの新しい剣があるの!? どこー!」
リリーが熱々のじゃがいも持って、突進してくる。危険察知が反応した。やばい!俺は咄嗟にへーパイストスを盾にした。
「ぐはぁ!? あっつ!?」
ふぅ…危なかった。
「なんでボクが…」
「口を滑らしたからだろう」
「ねぇねぇ! リリーの新しい魔法剣はどこ! 二人共」
「まだ出来てないし、じゃがいもをまず下ろせ」
するとリリーはじゃがいもを隠す。
「え…これはリリーのだよ! タクト!」
「食べたいわけじゃない! そんなものを持って走り回ることが危ないと言っているんだ!」
その後、へーパイストスを心配したパンドラの突撃をへーパイストスが食らうなど賑やかな食事を終えて、ログアウトした。




