#692 イベント告知と伝説の黄金郷エルドラド
翌日、俺は学校のお昼休みの時に海斗からイベント発表があったことを聞いた。
「次のイベントは運営イベントで舞台は桜花みたいだぞ」
「桜花はまだ行けていない人がたくさんいるからな。それでどんなイベントなんだ?」
「イベントの名前は『お月見と平安の都』だとよ」
あぁ…お月見シーズンだもんな。
「月と平安時代ということは竹取物語か?」
「あぁ! かぐや姫の奴か! あれって平安時代なのか?」
「確か平安時代の初期だったはずだ」
すると副委員長が来た。
「問題。竹取物語の作者は誰?」
「おいおい。副委員長、俺を馬鹿にするのもいい加減にしろよ。紫式部だろ?」
「お前は期待を裏切らないな。紫式部が書いたのは源氏物語だ。竹取物語の作者は分かっていないんじゃなかったか?」
「流石に誠吾は引っかからないわね。つまんない」
つまんなくて悪かったな。すると海斗から衝撃発言が飛び出した。
「え? 竹取物語と源氏物語って同じじゃないのか?」
「「…」」
絶句。作品の名前が違うのに同じなわけがないだろう。
「俺はつまらない男だから副委員長に説明してもらえ」
「はぁ!? 何、私にまる投げしているのよ! 誠吾!」
因みに源氏物語は主人公が光源氏の物語で竹取物語は先ほど海斗が言ったようにかぐや姫がメインで書かれている。つまり主人公からして、全く違う物語ということだ。
そんな馬鹿なことをしている間に学校が終わる。俺はスーパーで買い物をしてからゲームにログインすると早速イベント告知のインフォが来た。
『運営イベント『お月見と平安の都』を開催致します』
運営『お月見と平安の都』:難易度D-~C
内容:平安の都に向かい、お月見に関係するクエストをクリアせよ。
・今回のイベントはクエストを達成して、報酬を貰うクエストとなります。
・イベント期間は三日間です。この間にいくつか用意されているクエストをクリアしてください。
・報酬にはアイテムの他に次回ワールドクエストの情報もあるので、積極的にクリアを狙ってみてください。
・クエスト報酬は内容により変化します。ご注意ください。
・食料、素材アイテムは持ち込み不可です。装備などは持ち込み可能です。
・今回はイベントの参加人数は自由。人数が多いほどクエストのクリア難易度は下がりますが貰える報酬は少なくなるためご注意下さい。
・事前に参加メンバーを決めて登録してください。
・イベント参加者は桜花の町の一つ『平安の都』に行けるようになります。クリアの内容次第でNPCの態度が変わりますので、ご注意下さい。
いつもよりは緩い内容な気がするが最大難易度がCまで上がるってことはそこそこ強いモンスターが出てくるんだろうな。
後、何気なく食料持ち込み出来ないってことは最初の古の島イベント以来だな。イベントを見た感じ、今回はソロ挑戦になりそうだ。だとすると人数が多い俺は結構食材に苦労しそうだ。舞台が都だから食材を買えるなら助かるんだけどな。
イベントのことは取り敢えず置いといて俺たちはマーメイドたちの島に集合する。太陽のコンパスを見るとちゃんと起動していた。昨日潜入したシャローさんたちがベガス島で買った海洋のオーブを使って、俺たちはまだ見ぬ島に向かって出航した。
俺のメンバーはリリー、イオン、リアン、ルーナ、伊雪を選んだ。安全な航海なため、リリーと伊雪に駄々をこねられたので、了承した。みんなはシャローさん以外の人たちの海釣りを観察している。俺は操舵しているシャローさんにベガス島の話を聞く。
「まぁ、予想通りいくつものカジノがあるギャンブルの町で如何にも大富豪みたいな人たちがたくさんいましたよ。どのお店も高級なものばかりで庶民にはきつい街でしたね」
俺もいきなりそんな町に行ったら、くらくらしそうだ。
「昨日はひとまず町の雰囲気に慣れることを優先して、そこまでの調査をしていないのですが、個人的には危ない感じを受けました」
「それはギャンブルとしてですか? それとも誰かに狙われているような?」
「なんと言えばいいんでしょうね…踏み込んではいけない島に入ってしまったような感じを受けたんです。恐らく誰かに狙われている感じが近いと思います」
うーん…ブラッティウォーズたちの拠点だからそう思っても仕方無いのかも知れないがシャローさんの感じからすると直接狙われているというより、罠に引っかかっている感じがするな。
「私もそんな感じなんですけど…罠ともなんか違うんですよね。すみません…上手く説明出来なくて」
「いえ、かなり危険な島であることは十分伝わりましたよ」
出来ればこの太陽のコンパスが示す場所は平和なところであってほしいものだ。すると太陽のコンパスがいきなり指針が変化した。
「「は?」」
普通コンパスでこんなことは有り得ない。現実なら壊れたことを疑うがこれがゲームである以上、その可能性はないだろう。
「シャローさん」
「はい。指針の通りに動きますね」
するとどんどん指針が動く、なんだこれ?みんながヘンテコな操舵に文句を言っているが残念ながらコンパスがこう動く以上、俺たちは従うしかない。
やがて指針が落ち着いて来ると太陽のコンパスから金色の光が放たれ、空間を指し示す。どうやらゴール…なのかな?
「島は全くないですけど、行くしかないですよね?」
「ですね。全員、戦闘用意! 突入します!」
俺たちは太陽のコンパスが示す空間に入った。
その瞬間、俺が目に飛び込んで来たのは、巨大な黄金の神殿とその頂上にある松明の火に囲まれたエメラルドと謎の石で作られたドラゴンの像だった。
というか俺たちは船に乗っていたはず。しかし俺たちが立っているのは地面、というか金で作られた石床の上に立っていた。そして当然のようにスクナビコナはない。周囲を確認するとそこには金で作られた遺跡が広がっていた。
この光景はまさに黄金郷。多くの冒険家が夢を見た幻の都。
「ようこそ。伝説の黄金郷エルドラドへ。太陽のコンパスに選ばれし冒険者よ。私はあなたたちを歓迎しましょう」
俺たちが声をしたほうを見るとドラゴンの像から一人の女性が俺たちの前に着地した。その女性の先住民の格好をしていた。
「私は名はククルカン。この空間を創造した創造神です」
はい。最強クラスの神様のご登場です。ククルカンはマヤ神話の創造神だ。 そしてあのドラゴンの像はケツァルコアトルで確定だろう。
ケツァルコアトルはアステカ神話で人間の味方をした文化神であり、太陽神とも呼ばれた蛇神だ。因みにエルドラドは南アメリカにあるとされた伝説の黄金郷の名前。マヤ神話とアステカ神話はメキシコ周辺だから個人的には違和感がある。
「初めまして。召喚師のタクトです」
「知っていますよ。魔神アンラ・マンユを倒したエクスマキナと契約した召喚師さん」
バレている。
「良くご存知ですね」
「あなたを知らない神様はそうそういないと思いますよ? 神域で最高神の試練を突破し、魔神を見事に倒した人など、なかなかいませんからね」
よくよく言われると凄いな。
「あぁ~…ところで俺の仲間たちはどこでしょうか?」
「彼らには私の試練を受けてもらっています。彼らはあなたたちと違って、太陽のコンパスに選ばれてはいませんでしたからね」
なるほど。太陽のコンパスはこの場所を教えてくれるアイテムであると同時に試練なしでここに入ることが出来るアイテムだったわけか。どんな試練かは後でみんなに聞くとしよう。
「それでは俺たちはどうなるんでしょうか?」
「あなたたちにはここに到達した最初の者として一人一つずつ、この遺跡にある物を差し上げましょう」
「え? それはリリーたちの分もですか?」
「はい。私は太っ腹なのですよ。実際はスリムですけどね」
マジで!?太陽のコンパスが六つのアイテムに変わることが決まった。俺の判断は間違っていなかったぞ!しかしこれはリリーたちのご褒美だからちゃんとリリーたちに選ばせようと思ったら、リリーたちが言う。
「タクトが選んで!」
「いつも頑張っているタクトさんにご褒美です。いいですよね? 三人」
「「「はい!」」」
く…なんていい子だ。帰ったら、ご馳走に何か作ってあげよう。それじゃあ、みんなでどんなものがあるのか見てみよう。
黄金の王冠
黄金の杯
黄金の十字架
黄金のロザリオ
黄金の骸骨
黄金のチャンピオンベルト
黄金の像
アレキサンドライト
サンストーン
イエローダイヤモンド
コロナタイト
ゴールデンフリース
タスラム
ブリューナク
フラガラッハ
ゲイ・ルーン
アーラーワル
ウェーブスウィーパー
クルージーン
デル・フリス
オハン
インテリジェンスソード
クリス
アポロンの弓
キューピッドの矢
ブラマダッタ
アポロンの竪琴
ブラギの竪琴
ゴールデンイーグル
金の子牛
ケツァルコアトルの封印石
たくさんあるな。黄金シリーズはいらないな。説明を見ると高値で売れるアイテムらしい。チャンピオンベルトだけど決闘イベントの優勝者の称号をゲット出来るアイテムみたいだが、もう持っているからいらない。
問題はここからだ。凄いラインナップだぞ。初出の物を見ていこう。
サンストーンは太陽の宝石。以前にムーンストーンがあったがそれと対極の宝石みたいだ。ケツァルコアトルの像に使わている謎の石はこれだな。
ゴールデンフリースはアルゴー船の旅の目的である金羊の毛皮。ロコモコより遥かにいい毛皮だが、俺はこれを取るのはやめよう。ロコモコへの裏切りな気がするからな。
ブリューナクはケルト神話の光の神ルーが持っている必勝不敗の槍と説明されている。
どうやらこのゲームではブリューナクは四秘宝の一つに数えられるルーの槍みたいだな。ブリューナクはよく聞くがこれは確か神話などでは登場しない槍だったはずだ。一説では魔神バロールの魔眼を撃ち抜いたのがこの槍という説もある。間違いなく最強クラスの槍だ。
フラガラッハはルーがマナナン・マクリルから与えられた剣だ。説明を見ると全自動で敵を貫く剣らしい。魔剣ティルフィングに似ている剣かも知れないな。違いはティルフィングのように効果を他の剣に与えることは出来ないこと。
その代わりにフラガラッハには太陽神の加護があり、光速激突、万物貫通を持っている。使い方次第ではあるが単純な性能ではこちらのほうが上だろうな。
ゲイ・ルーンはたぶんアルスターの戦士ケルトハルの槍のことだな。説明では敵も持ち主もフィールドまで燃焼させる魔槍と書かれている。水で消せるらしいが自分まで燃える槍なんて使いたくない。
アーラーワルはペルシアの王ピサルが所有する槍。神話では都市の溶かす槍として出てくるが、このゲームでは刺した箇所から溶岩のフィールドを発生させる槍みたいだ。どうやらこの槍は武器というより、兵器という感じだな。自分の地面に刺したら溶岩のフィールドに発生させることになり、たぶん自爆することになるからな。
ウェーブスウィーパーはマナナーンの船。行き先を入力すると自動で目的地まで連れて行ってくれる船らしい。凄い船だが、シャローさんたちが廃業する危険性がある船だな。まぁ、彼らなら釣りをすると思うけどね。
クルージーンはクーフーリンが使った光の剣。このゲームは剣から放たれる光の刃が自在に伸び縮みする剣らしい。イクスのエネルギーソードと被っているが気になる。
デル・フリスはクーフーリンの杖だ。能力は詠唱破棄、同時詠唱、連続詠唱、無詠唱、幻術と俺にとってはお馴染みのラインナップだった。これはいいや。
オハンはケルト神話で登場する盾だ。危険を知らせる盾として知られているがこのゲームのオハンを見て絶句する。普通に顔がある。試しに剣を向けてみる。
「おい。危険が迫っているぞ」
怖いわ!この盾!思いっきりおっさんの声じゃん!リリーたちもドン引きだ。次はインテリジェンスソードはお喋りする剣。普通でありますように。
「ようやくシャバの空気だぜ~! さて、俺様の持ち主は…あぁ~。そこの人魚がぎり合格だな。残りは胸がーーぐぽ!?」
「タクトさんはこんな下品な剣選びませんよね?」
イオンよ。気持ちはわかってあげるが交換前の武器を殴り飛ばすのはいけないと思うんだ。損害賠償で押し付けられたら、大変だぞ。
クリスはマレーシアの伝承で登場する左右が非対称となっている短剣。その能力はなんと不死と自動防御。滅茶苦茶強いんだろうが短剣かぁ。
アポロンの弓はギリシャ神話の太陽神アポロンが使っていた弓だ。その能力は男に即死と疫病。これは大体神話の通りだな。
アポロンの竪琴はアポロンがもっている竪琴だ。アポロンは音楽神でもあり、アポロンの像や絵には竪琴があるものが実在している。その能力は太陽神の加護と魅了の上位スキルと思われる魅惑、竪琴によるバフ効果の範囲が最大になるというとんでもない性能だった。
しかしルーナに渡すなら次の竪琴がいいな。理由はアポロンが個人的に好きではないからだ。
ブラギの竪琴は北欧神話でオーディンの息子であるブラギが持っていたとされる竪琴。ブラギは目立った神話は無いが詩の神と言われ、詩においての才能はオーディンを超えていたとされている。
その効果はアポロンの竪琴とほぼ変わらない。違いは太陽神の加護と魅惑はなく、代わりに全魔法の威力が最大まで上がり、音を聞いた人の状態異常を回復させると言うものだった。一応オーディンの息子だ。それぐらいの効果はあるだろう。
最後は金の子牛はリリーが超反応を示す。
「タクト! これにしよう!」
見事な手のひら返しだ。
「リリー! あなたにはタクトさんに対する感謝の気持ちとかないんですか!」
「いっぱいあるよ! でも牛が」
リリーは誤解しているな。現実を見せてあげよう。俺が金の子牛を出すと現れたのは鋳造された子牛だ。つまり食べ物ではない。
「……タクトが好きなの選んでいいよ」
「何も言わなければいい話だったのに、変なところで転びますよね。リリーは」
「そんなこと! …ないよ」
きっと俺との告白を思い出したな。
金の子牛はモーセの話で登場する牛の像だ。モーセが神様から十戒の石版を授与されるためにシナイ山で40日間の期間を要したのだが、イスラエルの民は時間が経つにつれて、モーセが死んだんじゃないかと思うようになり、新しい神様としてこの金の子牛を作ったとされている。
これを知った神様は激怒し、民を滅ぼし尽くすと言うがモーセになだめられ、モーセに下山を命じる。山を降りたモーセが見た物は宴を開いて、金の子牛を拝んでいる民の姿だった。これにモーセは激怒し、十戒の石版を破壊し、金の子牛を燃やすとこれを崇拝していた民全ての殺害を命じるんだ。
この神話の通りだと金の子牛は存在していないわけだが、何故かあるんだよな。鑑定するとこんな感じ。
金の子牛:重要アイテム
金で作られた黄金の子牛の像。神の怒りと破壊の呪いがかかっており、触れた者に最も重い天罰を与えるとされている。
これを見て、俺はロデのカリュブディスの話を思い出した。牛で他の主神クラスの天罰。このキーワードが金の子牛には揃っている。
恐らくカリュブディスのキーアイテムってことで間違いないだろう。シャローさんの読みは見事に正解だったわけだ。問題はこれを使っていいかどうかなんだよな。破壊の呪いとか書かれているし。
改めて何を交換するか決めてみよう。まず確定はケツァルコアトルの封印石。俺は召喚師であることを忘れていないとも。太陽神クラスの封印石だ。間違いなくぶっ壊れだろう。それにここにあるということは二度と手に入らない可能性もあるからこれは取らないとね。
武器の候補はブリューナク、クルージーン、フラガラッハ、アーラーワル、クリス、タスラム、ブラギの竪琴。宝石はアレキサンドライトとサンストーン、イエローダイヤモンド。重要アイテムとして金の子牛。これらから五つ選ぶ。
アレキサンドライトは何度もゲット出来なさそうだから決まり。サンストーンは初だから一応選んでおこう。いつか手に入ることを考えらた他のほうがいい気がするが、少しはみんなにもいいことがないとね。
金の子牛は選ぶとなると残り二つ。ブリューナクは決まりで後、一つどうするかな。候補はクルージーン、フラガラッハ、ブラギの竪琴だろう。タスラム二発もありだとは思ったけど、最初に出てきてから結構見ているから初見の物を優先したい。
アーサー王と戦っているからどうしてもクルージーンが欲しいがここまでかなり自分の欲望を優先したきたからブラギの竪琴を選ぼう!一応これを選んだ理由もちゃんとある。それはジャンヌたちが抜けた穴だ。
ジャンヌたちのバフ効果の影響はかなり大きいものだったことは俺自身がよく知っている。それが今後使えないというのは実はかなりの戦力ダウンなんだよね。それをこれならカバーしてくれると考えたのだ。
クルージーンやフラガラッハはいつか誰かが手に入れるだろう。ここにあると分かれば早い者勝ちになる。多分メルたちは真っ先に狙うだろうな。
俺はククルカンに交換するものを告げ、金の子牛は触らずインベントリに入れて、それ以外は直接受け取る。改めて鑑定してみよう。
ブリューナク:レア度10 槍 品質S+
重さ:150 耐久値:2500 攻撃力:800
効果:神気、即死、万物貫通、必中、帰還、無限のルーン、光神の加護、神威解放
光の神ルーが所有する必勝不敗の槍。貫けば相手を必ず殺し、投げれば光の速度で敵に必中する。槍の中でも最強クラスに君臨している。神威解放をすると無敵の強さを得ることが出来る。ただし神ではないものが神威解放を使うと相当なリスクが発生する。
ブラギの竪琴:レア度10 竪琴 品質S
重さ:30 耐久値:1000
効果:支援効果アップ(究)、支援範囲アップ(究)、全魔法威力アップ(究)、状態異常回復、神気
詩の神ブラギの黄金の竪琴。味方の支援に特化しており、琴の音色を聞いた者に生きるための活力を与え、あらゆる魔法を強化し、状態異常を治すと言われている。
サンストーン:レア度8 素材 品質B+
太陽石とも呼ばれる宝石。男と特に相性がいい宝石として知られている。
ケツァルコアトルの封印石:レア度10 封印石 品質S
ケツァルコアトルが封印された石。封印石召喚で一時的にケツァルコアトルを召喚することが出来る。ケツァルコアトルは太陽を司るドラゴンで周囲を太陽光で焼き払うなど攻撃に特化している。
ブリューナクは制限付きか。これは仕方無いだろう。無敵の強さをずっと使い続けられたら、大問題だからな。
ケツァルコアトルは殲滅特化な気がするな。太陽の光なら悪魔に効くだろうし、後でセチアに頼もう。
俺はククルカンにどうしても気になっていることを聞くことにした。
「どうしてこのエルドラドにこれらの武器があるんですか?」
「少し遠いですが、黄金の島があるんですよ。昔は大陸から多くの冒険者が大陸を目指していました。しかし旅に犠牲は付き物です。これらの武器は持ち主を失い、ここに同じ性質を持つが故に流れ着いた武器なんですよ」
色々納得がいった。たぶんウィザードオーブは黄金の島の存在を知っている。だからケルト神話の武器がここにはたくさんあるんだろう。
そして黄金の島の途中の停泊島として繁栄したのがベガス島。こう考えるとあそこに金持ちが集まり、カジノの島が出来たのもわかる気がする。
「そういうことだったんですね。答えていただきありがとうございます」
「いいんですよ。世界を救った英雄に私からの特別サービスです。もうあなたたちはここには来れませんが活躍をここから見させてもらいますね」
もう来れないんだ。かなり残念だが、伝説の黄金郷なら何度も来れるのは変な気がするな。
「頂いた大切な物たち、大事に使わせてもらいます」
『ありがとうございました!』
みんなとお礼を言うと俺たちはスクナビコナに戻った。
『あ、戻ってきた』
どうやらみんなのほうが速かったらしい。それもそのはず。ケツァルコアトルスという史上最大級の翼竜の大群に襲われてボコボコにされたらしい。俺は何が起きたのか説明する。
「なるほど…このゲームではエルドラドはそういう解釈なんですね」
「というと?」
シャローさんが説明をしてくれる。
「エルドラドは南米にあると言われていますが、それを言い始めたのはスペイン人なんです。昔のスペインはアメリカや南アメリカで取れる黄金を独占していて、それをカリブ海の海賊たちが襲撃していました」
「カリブ海はメキシコ周辺。マヤ文明、アステカ文明とスペイン人とカリブ海の海賊を組み合わせて作ったってことですか?」
「私はそう思います。カリブ海の海賊はイギリスやフランスが作ったものです。それでケルト神話などのヨーロッパの神話の武器が登場したのではないでしょうか?」
もしそうだとしたら、随分大掛かりな物を作ったなぁ。俺たちは帰るとやはりまた新しい神話武器について突っ込まれる。それならメルたちも行けばいいと思うのだが、太陽のコンパスは全く反応をしなくなってた。
「まぁ、自分たちで手に入れて行くんだな。クルージーンやフラガラッハはかなり強かったから頑張ってくれ」
『むぅ~』
そんな顔をされてもね。これは俺がちゃんと太陽のコンパスを選んで手に入れたものだ。俺が持つ権利があるのだよ。その後、メルたちはすぐさま太陽のコンパスを求めて黒ひげのところに行ったらしいのだが、船はないままだったそうだ。
そんな簡単に伝説の武器はあげないという運営からのメッセージだと思った。
名前 タクト 寵愛の召喚師Lv23
生命力 144
魔力 364
筋力 212
防御力 70
俊敏性 150
器用値 226
スキル
格闘Lv39 蹴り技Lv38 杖Lv43 片手剣Lv50 槍Lv35
刀Lv43 二刀流Lv10 投擲操作Lv18 詠唱破棄Lv36 魔力操作Lv18
魔力切断Lv24 危険察知Lv16 超感覚Lv16 召喚魔術Lv41 封印魔術Lv40
ルーン魔術Lv33 阻害無効Lv9 騎手Lv42 錬金Lv27 採掘36
伐採Lv39 解体Lv52 鑑定Lv46→Lv47 識別Lv49 疾魔法Lv15
炎魔法Lv11 地魔法Lv15 海魔法Lv12 暗黒魔法Lv12 神聖魔法Lv23
雷魔法Lv47 爆魔法Lv53 木魔法Lv36 氷魔法Lv36 時空魔法Lv53
獣魔魔法Lv9 遅延魔法Lv17 連続詠唱Lv40 水中行動Lv30 空脚Lv4
読書Lv20 料理Lv46 釣りLv22 シンクロLv32 エンゲージLv14
連携Lv28




