#686 セチアたちの成長とルネサンス報酬
翌日、俺は学校で海斗の愚痴ばかり聞かされた。最後のボス戦に使った武器はアインシュタインたちが特別に使用を許可したもので没収されてしまったからだ。
「あのままあれが報酬で良かっただろうが!」
これが言い分だ。今回のことでプレイヤーの間でエクスマキナの武器が人気であることがはっきりわかった。その気持ちはわかるが一日中それを言われる流石にうざい。
俺は学校の帰り道にスーパーに立ち寄り、買い物を済ますとゲームにログインする。
俺はイクスと一緒に起きようとするが俺は動けない。そうだった…ペナルティがまだ残っているんだ。
イクスが部屋を出て行くとリリーたちが入ってきた。俺がリリーたちを見ると手には『反省中』と書かれていた紙を持っていた。しかもリリーたちの目が死んでいる。
『リビナ、セフォネ、ファリーダ。ちょっと来い。これはやりすぎだ!』
俺の部屋で喧嘩になるが、俺はお互い叱り、謝られる。これで仲直りだ。するとインフォが来る。
『セチアのレベルが20に到達しました。成長を実行します』
『恋火のレベルが20に到達しました。成長を実行します』
『ファリーダのレベルが20に到達しました。成長を実行します』
このタイミングで成長というのも変な感じだが、来てしまったものはしょうがない。それじゃあ、成長行ってみますか。リリーたちは退出し、セチアたちだけその場に残る。
それじゃあ、成長ラッシュ行ってみようか。まずはセチアからだ。セチアが緑に輝き、成長する。
『セチアが成長をしました。ルーン魔術、自然波動を取得しました』
『セチアが精霊召喚の代償がなくなりました』
お!ルーン魔術に初めての波動技だ。名前からして木属性の波動技かな?しかも精霊召喚の代償がなくなったのは大きい。まぁ、消費する魔力は同じだと思うけどね。
「情けない姿を見せてしまった後ですが…どうでしょうか? タクト様?」
「強くなったと思うぞ? さっきも言ったが俺も一人じゃクリア出来なかったんだ。お互いにもっと精進しような?」
「はい! 名誉挽回してみせます!」
そこまで名誉が落ち込んでいるのだろうか?たぶんセチアはみんなの模範となる意識が強いんだろう。だからこそリリーたちより、今回の失敗のダメージを大きく見ているのかも知れないな。後でフォローしておこう。
さて、気をとりなおして成長したセチアのステータスを確認してみる。
名前 セチア ホーリーエルフLv20
生命力 152→182
魔力 356→396
筋力 138→168
防御力 93→113
俊敏性 124→154
器用値 303→333
スキル
杖Lv25 魔法弓Lv44 鷹の目Lv35 射撃Lv35 木工Lv32
採取Lv38 調薬Lv20 刻印Lv16 宝石魔術Lv12 宝石細工Lv12
封印魔術Lv10 ルーン魔術Lv10 連続詠唱Lv24 同時詠唱Lv24 魔力操作Lv13
風魔法Lv22 炎魔法Lv1 海魔法Lv1 土魔法Lv23 闇魔法Lv15
神聖魔法Lv11 雷魔法Lv24 爆魔法Lv24 木魔法Lv27 氷魔法Lv20
樹魔法Lv28 罠設置Lv5 魔法阻害Lv2 阻害無効Lv1 森林操作Lv12
自然波動Lv1 ホーリーエルフの知識Lv32 精霊召喚Lv11 精霊結界Lv13 精霊魔法Lv3
列石結界Lv7 使役Lv16 料理Lv25
改めて考えてみるとセチアが波動技を覚えたのは結構大きい気がするな。どうしても矢と杖では隙が生じやすい。ここにすぐに放つことができる波動技が加わったことで隙が埋まることになるだろう。
ルーン魔術で剣のルーンを覚えれば更に近接戦に対応が可能となる。これはいいのを覚えたんじゃないだろうか?これも一人で作るのに苦労していたし、これからはセチアにも手伝って貰うとしよう。
次は恋火だ。恋火の体が赤く輝き、成長する。
『恋火が成長をしました。荒魂、蒼炎を取得しました』
『恋火が獣化の代償がなくなりました』
成長した恋火は新たなに荒魂を宿した勾玉があるネックレスタイプの数珠が装備された。
恋火の進化は獣化の時に見たものの解放だな。荒魂はエンゲージバーストでどんな影響が俺に来るのか心配になるスキルだ。まぁ、強くはなるんだけどね。
蒼炎も獣化の時に獲得していたスキルだ。恋火は純粋に火特化の道を進んでいるな。これからは蒼炎が宿る刀を見ることが出来るだろう。格好良い気がする。
「うぅ…このネックレスが落ち着きません…」
「荒魂だからそう感じるんだろう。大丈夫、似合っているぞ。恋火」
「そ、そうですか! それなら良かったです!」
恋火はリリーと同じように切り替えが早いな。では、ステータスを確認しよう。
名前 恋火 ハーミットビーストLv20
生命力 160→190
魔力 216→246
筋力 264→304
防御力 100→120
俊敏性 314→354
器用値 164→184
刀Lv43 二刀流Lv35 鎌鼬Lv25 炎魔法Lv12 時空魔法Lv19
黒炎Lv23 聖火Lv35 火炎操作Lv9 天耳通Lv36 他心通Lv23
危険予知Lv37 気配遮断Lv12 魔力切断Lv24 物理切断Lv26
霊力Lv18 仙気Lv27 仙術Lv21 幻影Lv14 神道魔術Lv16
見切りLv24 縮地Lv32 神足通Lv30 妖術Lv12 血醒Lv14
料理Lv28 蒼炎Lv1 紅炎Lv8 鬼火Lv6 ハーミットブレスLv10
狐技Lv12 荒魂Lv1 神降ろしLv2 獣化Lv8
これを見て、改めて思ったことがある。聖火、黒炎、紅炎、蒼炎を刀に宿すことは可能なんだろうか?恋火に聞くと全部は無理らしい。だが相性が悪くないものなら同時使用が可能かも知れないとのこと。
恋火の話では聖火と黒炎、紅炎と蒼炎は相性が悪く使えない。しかし聖火と紅炎は相性が悪くないため、使える可能性があるらしい。余った時間で見せてもらう。
最後はファリーダ。ファリーダが黒く輝き、成長する。
『ファリーダが成長をしました。重力操作、諸刃の一撃を取得しました』
『ファリーダが擬似魔王化が魔王化に進化しました』
ファリーダはセチアたちと違い体も成長する。
「ようやくここまで来たって感じね。あら? どうしたの? 二人共」
「「ファリーダ(ちゃん)だけ身体が成長してずるい(です)!」」
「あのね…あなたたちも身体が成長してきたはずでしょう? どこがずるいのよ」
ごもっともな意見。するとセチアたちが指摘する。
「私たちの時とタクト様の反応が僅かに違っていました」
「そうです! 違っていました!」
「あら? そうなの?」
聞いてくるなよ。というかおちょくられているな。
「いきなり成長したら、驚いて当たり前だろう?」
「どこが成長したら、驚くのかしら?」
胸を強調するな。しかし俺には最強の逃げ手が存在している。
「身長に決まっているだろう?」
「…上手く躱したわね」
ここで胸とか言うとスケベとなり、体重というと地雷。身長はエロくなく地雷にもならない安牌である。躱しきったぜ。難を逃れたところでステータスを確認しよう。
名前 ファリーダ 魔将Lv20
生命力 102→122
魔力 170→190
筋力 260→280
防御力 80→100
俊敏性 132→152
器用値 132→152
スキル
斧Lv28 魔拳Lv29 舞踊Lv10 投擲操作Lv12 縮地Lv23
荷重操作Lv22 邪気Lv45 暗黒魔法Lv10 時空魔法Lv23 集中Lv34
誘惑Lv15 物理破壊Lv33 防御無効Lv4 戦闘高揚Lv4 魔力妨害Lv26
引力操作Lv12 重力操作Lv1 暗黒弾Lv23 暗黒波動Lv15 衝撃波Lv15
連撃Lv13 乱刃Lv12 諸刃の一撃Lv1 魔将技Lv7 魔素解放Lv19
擬似魔王化Lv5→魔王化Lv5
純粋なパワー強化だな。恐らく次の進化で魔王となる。どれだけ強いことになるかだな。成長が終わり、三人が出て行くとイクス、リアン、和狐、ブランが入ってくる。
「先程は流石の手腕です。マスター」
「あのな…リアンたちも止めろよ」
「そうしたかったんですけど…リリーお姉ちゃんたちも負い目があるみたいで」
「タクトはんに任せて、すっきりさせたほうがええと思うたわけどす」
喧嘩の解決も召喚師の仕事か…大変な職業だよ。全く…するとキキがやってくる。
「シルフィ姫様がお越しです。こちらにお呼びしますか?」
「あ…あぁ。頼む」
「では、私たちは席を外しますね」
イクスたちも出て行った。く…モナ・リザがシルフィ姫様に化けるから変に胸が痛む。
「お邪魔いたします。わー…ここがタクト様の部屋なんですね」
そういえば入れたことなかったかも知れない。
「すみません。エンゲージバーストの反動で」
「わかっていますよ。私はエリクサーラピスからのお礼品をお持ちしただけですから」
俺はシルフィ姫様から報酬を受け取る。まずは今回のニュートンさんからの報酬だ。
エーテル融合炉:レア度9 魔導アイテム 品質S
エーテルと魔力の融合反応を利用した装置。高エネルギーを作り出し、そのエネルギーは巨大ロボの動力源として、十分な力を持っている。
魔神核デモンスフィア:レア度:10 素材 品質:S+
魔神の力と魂が宿っていると言われている核。人間が到達し得ないほどのエネルギーを宿しており、使い方次第で繁栄や破滅をもたらすと言われている。負のエネルギー源として最高峰に君臨している。
ゴールデンイーグル改:レア度9 銃 品質S
重さ:80 耐久値:800 装弾数:1 攻撃力:1000
効果:電磁、回転射出、必中、反動
レオナルドが魔改造したゴールデンイーグル。電磁誘導を利用した加速装置を組み込まれており、恐ろしい速度で銃弾を発射されることで通常よりも破壊力が増している。その代わり、反動も凄まじい。
レオナルドの手稿:重要アイテム
万能の天才レオナルドが書いた手稿。様々な発明品の設計図が書かれている。
これにまたピンクダイヤモンドだ。報酬見て一言。偉い物を送ってきたな。エーテル融合炉は間違いなくサバ缶さんたち送りだ。
魔神核デモンスフィアは恐らく魔導機神ウィトルウィウスに使われていた素材だろうな。結果討伐報酬として、俺の所に来た感じか。名前から見ても神核アニマスフィアの真逆のアイテム。こんなアイテム早々使えないだろう。
更にエリクサーラピスが開発したエクスマキナの武器も正式にみんなに贈れたらしい。俺は何も送られてないが代わりに貰ったのがレオナルドが改造したというゴールデンイーグル。
結構交換するの悩んでたやつを貰えて良かった。しかも電磁誘導の加速ってレールガンじゃん!イクスには見つからないようにしよう。こういう武器を使うとイクスが不機嫌になるからな。
さて、問題はレオナルドの手稿だ。これって、現実なら大図書館などに収蔵されるほどの代物だ。俺が貰って良い物なのだろうか?普通にエリクサーラピスの国家財産な気がするんだが…するとシルフィ姫様が話す。
「その銃と手稿はエリクサーラピスのレオナルドさんの秘密の研究所で見つかったものなんだそうです。ニュートンさんが『これをどうするかはレオナルドを止めた君の判断に任せる』といっていました」
「そんなことを言われてもな…」
俺に任された以上、ほいほい公開するのも変な感じがするし…取り敢えず読んでから判断しよう。しかしここで見るわけにもいかないし、回復してから読むとしよう。
「あぁ~…しんどい」
「ふふ。今までと立場が逆ですね」
しまった。シルフィ姫様がいるんだった。
「お薬でも持ってきましょうか?」
「結構です。病気じゃないですから」
「それは良かったです。今、下でリリーちゃんたちが反省の手料理を作っていましたから頑張って食べて上げてくださいね」
な、何ぃいいい!?
「今すぐ止めてください!」
「もう手遅れだと思いますよ?」
く…シルフィ姫様、やってくれたな。
「英雄にも休息が必要です。今はゆっくり体を休めてください」
「リリーたちの料理を見てから言ってください」
「ふふ。美味しそうでしたよ? お城では見たことがない料理でした」
そこが一番問題なんだ~!
俺はその後、強制ログアウトすることになる。何が起きたかは察して欲しい。ただ一言言うなら俺は頑張って食べた。これだけは言わせて欲しい。




