#681 レオナルドの城二階
お昼を食べ終えて、俺たちは二階にやってきた。すると廊下の景色が変化する。
変化した景色にはいくつものマスがあった。そしてサイコロが現れる。人生ゲーム…いやすごろくか。また時間がかかりそうなゲームを持ってきたな。
それにこれは全然いい予感しない。すごろくのマスの命令は全てレオナルド、つまりはここの運営が考えたものだ。これでいい予感がするはずがない。
マスはどうやらスタート地点も合わせて二十。どうやら順番に投げていくスタイルらしい。誰でもいいからゴールしたら、終わり。
順番はリリー、イオン、セチア、恋火、ノワ、俺となった。
「これを投げればいいの? タクト?」
「あぁ。軽くな」
「わかった! えい!」
サイコロの出目は三。リリーが消えてマス目に移動すると指令が出る。
『青汁を飲み干せ』
大ジョッキ一杯の青汁がリリーの前に現れる。リリーが涙目で何かを言いながらこっちに来ようとするが透明な壁に阻まれ、声も聞こえない。
「簡単な指令ですね」
「セチアならそうだろうな」
「リリーにとっては地獄でしょうね…次は私の番です!」
イオンがサイコロを投げると出目は六。イオンの指令はこちら。
『猫なりきり装備を装備する』
イオンが猫耳、猫尻尾、猫グローブ、猫ブーツ、鈴がついた首輪を装備させられる。イオンが何やら叫んでいる。怒るのも無理はない気がする。さっき猫まねしたばかりだからな。
「次は私ですね」
セチアがサイコロを投げると出目は二。指令はこちら。
『激辛肉団子を完食せよ』
セチアが一口食べると顔を真っ赤にして、暴れる。かなり辛いらしい。
「次はあたしです!」
恋火が投げると出目は五。すると指令がでない。恋火が何やら説明を受けると俺たちは恋火のところに転移する。すると恋火が振り返る。
「え~と」
恋火が握り拳を両手で作り頬杖のポーズを取ると恥ずかしがるように動くと恋火が言う。
「恋火、わからな~い」
『…』
俺たちの時間が止まると転移で元の場所に戻る。そして指令が表示された。
『全員の前でぶりっ子をする』
これはきつい。恋火をみるとこちらに背を向けて体育座りをしている。恋火は傷をおったな。というか俺もこれをするのか?こわ。
次はノワの番だ。サイコロを振ると出目は四。指令は一回休みと普通だった。
最後に俺のサイコロを振る。四が出ますように!出目は三。リリーのところに転移する。
「タクトだ!」
嬉しそうなリリーだが、青汁は一人で飲まないといけないらしい。さて、俺も青汁か。指令が出る。
『ストローを使い、二人でトロピカルジュースを飲め』
出てきたのはストロー二本がくっついた恋人が使うストローだった。これを使えってか。
「これ、飲んでもいいの! タクト!」
リリーは飲む気満々だ。俺たちは向かい合わせに座ると二人でトロピカルジュースを飲む。ここまで至近距離でリリーを見ることはあまりない気がする。
そんなことを考えていたからか俺に悲劇が訪れる。リリーの吸引力が凄まじく、一瞬でジュースを飲み干すと俺のストローが掃除機のノズルみたいになる。
喉仏にストローが!声が出ない!?ま、待ってくれ!リリー!吸われるぅうう!?
「ふぅぅ…ご馳走様でした! あれ? どうしたの? タクト?」
「が…えほ…な…なんでもない」
まさかストローで死にかけるとは…俺の内臓は無事か?大袈裟ではあるが初体験の事態に俺も混乱中だ。
「苦~い」
文句をいいながらも飲みきったリリーを褒めて、サイコロを振る。出目は二。恋火がいるマスだ。
何やらレクチャーを受けて、俺たちは転移をする。すると二人は振り返って自分を人差し指で指差すと言う。
「ねぇ? リリーのこと、可愛いと思う?」
「ねぇ? 恋火のこと、可愛いと思う?」
俺たちは元の場所に戻ると指令が表示される。
『全員の前で二人でぶりっ子をする』
だろうね。見ると恋火が地面を転がっていた。羞恥の限界を迎えたらしい。リリーは…たぶん理解していないな。
ぶりっ子は個人的には無し派だったんだが、リリーたちの姿を見ると可愛いと思ってしまった。なんか負けた気がする。
次はイオン。出目は三。指令はこちら。
『スライムまみれになる』
イオンの上から大量のスライムが落ちてきて、スライムまみれになった。猫姿のイオンが怒りに震えている。
次はセチアだ。出目は六。初めてのマスだ。指令はこちら。
『椅子に座る』
セチアは意味不明な様子で現れた椅子に座る。だが、椅子だと豪語するそれは洋式トイレだった。このゲームにはトイレという概念はない。だからこそセチアは状況を理解していない。
ここは俺もスルーしよう。見たら、運営の思うツボな気がする。次は恋火だ。出目は二。初めてのマスだ。指令はこちら
『ダニが大量発生』
恋火が身体をかきむしりながら転がり回っている。あれは地獄だろう。ノワが休みで次は俺。出目は五。セチアのマスだ。指示はこちら。
『向かい合って椅子に座り、見つめ合う』
く…俺は洋式トイレ椅子に座る。
「あの…タクト様? あまり見ないで貰えると」
「視線がずらせないんだから仕方ないだろう? 我慢してくれ」
見つめ合わないといけないのが、罠だな。
三週目。リリーの出目は四。イオンがいるスライムマスだ。二人がスライムまみれになる。イオンは完全にとばっちりだな。
イオンの出目は五。もうイオンにはさっさとゴールしてもらいたい。すると俺たちは転移する。
そして俺たちの前に現れたのは魔法少女の衣装に魔法のステッキを持った猫姿のイオンだった。
「魔法少女マジカルイオンにゃん☆」
俺たちは元の場所に戻る。イオンが魔法のステッキを地面に叩きつけていた。猫ポーズまでさせられて可哀想だったが、可愛かった。
次はセチアの番だ。これで解放される。出目は二。指令が出る。
『一マス戻る』
一マス戻るとスライムマス。リリーとセチアがスライムまみれになる。これは酷い。運営がスライムが大好きであることがここに証明された気がする。
恋火は急いでサイコロを振る。出目は四。するとまた転移する。恋火、多いな。さて、指令はなんだ?
「えーっと…じ、実は尻尾は敏感なんです!」
元の場所に戻る。これはどんな指令だ?
『恥ずかしい秘密を全員に教える』
あぁ…王道的だな。それにしても恋火って、さっきのセリフは恥ずかしい言葉だったんだ。敏感なのにいつも手入れしていて、いいのだろうか?後で聞いてみたら、良いらしい。
次はノワ。出目は四。俺のマスで今度はノワと向かい合わせになる。く…しかし次は俺の番だ。俺の出目は三。恋火のマスだ。指令が出る。
『壁ドンをして、「俺のものになれよ」と言う』
恥ずかしい秘密じゃないのか!?しかもセリフまで固定かよ!まぁ、考えるよりマシか。恋火の後ろに壁が現れ、壁を勢いよく叩くと言う。
「俺のものになれよ」
「? もうなっていますよ」
「…そうだな」
これで学んだこと。格好つけたと思って、素で返されるって結構精神的に来るんだな。まぁ、ダメだしされるよりかはマシか…相手が恋火で助かった。リビナ辺りだとレクチャーされそうだ。
四週目。リリーの出目は二。俺たちがいるマスだ。すると俺の後ろに壁が現れる。今度はされる番か。
リリーが壁ドンをすると壁が粉々になる。
「リリーのものになってよ!」
ロマンチックなはずなんだが、俺は脅されていないか?恋火も同じことを思ったのか困った顔で俺を見る。そうなるよな。
次はイオン。頼む。ゴールしてくれ。出目二。ダメか…すると指令が表示される。
『うなぎの水槽に入る』
イオンが大量のうなぎが入っている水槽に入れられるとイオンが暴れ出す。魔法猫少女イオン、大ピンチである。
次はセチア。出目は三。初めてのマスだな。すると何やら椅子が現れて準備している。準備が終わったらしく転移する。セチアが素足で椅子に足を組んで座っている。なんだ?
「私の足を舐めなさい。この下僕!」
「セチアーーーー!!」
元の場所に戻った俺は大絶叫だ。そんなことを言ったら、いけません!リリーたちに慰められ、指令を見る。
『女王様の仕草で女王様の言葉を言う』
これは酷い。たぶん指示されたんだろうが、俺の中でかなりの衝撃だった。
次は恋火。出た目は二。初めてのマスだ。指令はこちら。
『一マス進む』
本来ならラッキーマスだが、一マス先は魔法少女マスだ。ここに運営は魔法少女も大好き疑惑が発生した。そして俺たちは転移すると魔法少女恋火がポーズを決める。
「魔法少女マジカル恋火コン☆」
狐ポーズを決めた恋火は魔法のステッキを落とし、崩れ落ちる。きっとこの経験は恋火を強くすると思う。こんなことばかりされていたら、ある程度の恥ずかしいことに対して耐性を持つだろう。
次はノワ。出目は一。スライムマスだ。最後は俺。出目は六。トップに躍り出たな。当然初めてのマス。指令はこちら。
『正座で一回休み』
ここに来て地味!普通の人なら足が痺れてきつくなるが、俺は爺さんのところで結構正座していたから苦ではない。残念だったな。運営。
五週目。リリーの出目が五。イオンと一緒にうなぎ送り。そのイオンがすぐにサイコロを振る。出目は二。指令はこちら。
『触手に襲われる』
魔法猫少女イオン、最大のピンチを向かえる。しかも正座で待機している俺の前で…俺は正座のまま、向きを変えた。背後にはうなぎに襲われるリリー、前には触手に襲われているイオンだ。これは偶然だろうか。
次はセチア。出た目は三。初めてのマスだな。指令はこちら。
『くすぐられる』
マジックハンドにセチアが捕まると他のマジックハンドにくすぐられるがノーリアクション。セチア曰く俺の頭なでなでと比べて、全く話にならないレベルとのこと。俺の手はマジックハンドを超えているらしい。
次は恋火。出目は三で俺の所に来る。指令は出る。
『召喚師の膝に座る』
「やりま」
一瞬喜んだ恋火だが、自分の魔法少女姿であることを思い出し、固まるが恥ずかしながら俺の膝に座る。照れくさそうにしていた恋火が何かに気がつき、尻尾や耳が飛び跳ねると普通の様子に変わった。なんだ?
「「…」」
うなぎと触手に襲われながら、リリーとイオンが睨んでいた。これは怖い。
次はノワ。出た目はまた三で女王様マスだ。ノワの準備が終わり転移する。普通でありますように。ノワが生足を組む。
「…おしおき。覚悟はいい? この変態」
「ノワぁあああーーーー!!」
「タクトお兄ちゃん、演技です! 演技」
だとしてもこれは…ダメージが半端ない。俺は休みで六週目へ。リリーが振ると出目は一。俺の所に来ると恋火と半分こして座る。魚臭い。
イオンが振ると出目は二。惜しいな。ゴールマス手前だ。その指令はこちら。
『最初のマスに戻る』
出たよ。ゴール手前にある悪質なやつ。最初のマスでイオンが何かを叫んでいる。次はセチア。出目は四。最初に戻る。
恋火は休みでノワが振る。出目は六。触手マスへ。最後は俺。ここで決める!出目は二。最初に戻る。三人が最初に集まる。凄く嫌な予感がする。
七週目。恋火の膝に座っているリリーはお休みでイオンが嫌そうに振る。出目は四。ぶりっ子マス。最初の恋火と同じポーズ、同じ言葉を要求される。
「イオン、わからな~い」
イオンが頭を抱える。イオンにとって、これはきつい。しかも猫、魔法少女コスプレ姿でだ。次はセチア。出目は六。ダニマスだ。セチアが転がり回る。
次は恋火。頼む、ゴールしてくれ。恋火。出目は六。ゴールだ!ゲームが終わり、イオンたちの格好も元に戻る。更に景色も元の廊下に戻ると俺たちは階段の手前にいた。二階はこれで終わりか…恐らく時間がかかるゲームだからだろうな。
俺たちは精神的な傷をおったから、安全エリアで休憩をすることにした。




