#664 アクアスの町の旱魃
俺はその後、へーパイストスに殺生石を見てもらうことにした。するとすぐに危険性をヘーパイストスは察した。
「この石に宿っている毒や魔素は相当な量です…対策を考えないと死人が出ますよ。これ」
ということでギルドにこの石を届けたときに厳重注意する。クロウさんたちと話あった結果、使うときはマスクなどの毒対策を取ることが決定した。
やることが終わり、リリーたちのお手入れをしていると連絡が来る。アクアスの町のリーシャさんだ。
『タクトです』
『タクトさん、今お時間ありますか? 実はアクアスの水樹の様子がおかしくて、見てもらいたいんです』
『わかりました。すぐに向かいます』
俺はセチアとミールを連れて、アクアスの町に向かうと絶句する。水が全くないのだ。
「タクト様、急ぎましょう」
「だな」
俺はリーシャさんのところにいくとエルサリオンさんとアインシュタインさんがいた。
「よく来てくれたの」
「国際会議前に呼び出してすまんかったな。見ての通り状況は最悪でな」
「アクアスの水樹は無事なんですか?」
「それが…水樹の精霊がかなり弱っていて、セチア様も水樹の精霊と契約したとエルサリオンさんからお聞きしたので、タクトさんを呼ばせて貰いました」
俺はセチアを見ると頷き、水樹の精霊を召喚する。すると水樹の精霊は心配するようにアクアスの水樹に触る。この子にしてみればアクアスの水樹は親に当たるはずだ。心配は当然かも知れない。
ミールも触れて診断するとミールが何かを察知する。
「タクト様、地下です。地下から何者かがアクアスの水樹に攻撃を仕掛けています」
「リーシャさん、確かヒュドラの時に地下に避難していましたよね?」
「はい。ご案内します」
俺たちはリーシャさんの案内でアクアスの町の地下に行くとそこには謎の植物モンスターがいた。
旱魃魔草Lv30
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
俺たちを見つけたそいつらは蔓を伸ばして来るとミールが聖水で流そうとすると旱魃魔草は聖水全てを吸収するとバフが発生する。余程美味しかったのかミールを狙ってくる。
「ミールは下がってくれ。セチア、援護頼む」
「はい。無限の矢筒の的にしてあげます」
俺はグランアルヴリングを出す。ミールを狙う以上、俺は加減をしないぞ。
「いやー、楽でいいわい」
「やはり労働は若い者がせねばな」
化物老人コンビは手伝う気全くないよ。まぁ、ミールとリーシャさんを守ってくれているから安心して戦えるわけだけどね。
「もうすぐアクアスの水樹の主根です」
たぶんボスがいそうだな。するとやはりいた。
旱魃寄生魔草Lv35
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
さっきの奴より巨大な奴だ。それがアクアスの主根にくっついている。
「バーストアロー!」
セチアの弓が炸裂するが旱魃寄生魔草がこちらを見ると蔓を伸ばして来る。俺が蔓を斬り裂くと斬り飛ばした蔓が俺を縛って来た。
「「タクト様!?」」
「心配するでない」
「あの程度で死ぬヤワな男ではあるまい」
少しは助けてくれてもいいと思う。俺は衝撃波で吹き飛ばし、一気に斬りかかる。
なんか顔みたいな葉から火炎を吐いてきたがそんなもので英雄障壁は破れない!貰った。
「百花繚乱!」
花びらの斬撃が旱魃寄生魔草に襲い掛かり、ズタズタに斬り裂いた。俺は解体すると何も残さない。他の奴らも全て外れたからイベントの延長のモンスターっぽいな。
「セチア、ミール。頼む」
「「はい」」
二人が診断すると後はうちの水樹の精霊の力と水樹の水を与えれば少しずつ回復するとのこと。早速水樹の精霊がアクアスの町にグラスレインを使う。するとアクアスの水樹の精霊が現れて、全員がホッとする。
その後、水やりと今島の水樹に上げているユウナさん特性の栄養剤と肥料を持っていき、使うと僅かに水が出た。
「良かった…ありがとうございます。タクトさん、セチア様、ミール様。あのお礼を」
「それはエリクサーラピスが出すわい。この町はお礼を出す余裕がある状況ではなかろう?」
「う…でも」
「支援は他の国でもする予定ですから、大丈夫ですよ」
細かい話は国際会議で決めるが俺たちはウィザードオーブを除く全ての国に救援をするつもりで現在ルインさんが色々考えている。
「それよりも問題はこ奴らじゃな。恐らくこやつらは魔王ザリチュが残したモンスターじゃ。各地でも旱魃被害の報告を見るとこやつが原因である可能性が高そうじゃ」
「それにこやつらは水に群がるみたいじゃし、水樹の護衛にはエルフから派遣するわい。金は取らんから安心するといい」
「ありがとうございます。エルサリオン様」
結構各地で問題が起きているんだな。さて、俺は帰って早めにログアウトしよう。なんといっても国際会議だからね。




