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#654 スプンタ・マンユ解放戦

翌日、朝食を食べてからログインする。するとキキが起き上がっていたので、ベッドに強制連行。リリーたちに監視の任務を与えた。


「うぅ…もう大丈夫なのに…」


「タクトがこの一件が終わるまで、安静にするように決めたんだから守らないとダメだよ。キキ」


「私たちもキキさんのお手伝いをしているんですから、家事くらいちゃんと出来ます」


掃除をしているはずなのに転ぶ音や物が壊れる音、リリーたちの悲鳴やイオンたちの怒る声がして、休憩が終わったら、家事頑張らないとなと思うキキであった。


そんなことになっているとは知らない俺は島で生産作業。みんないないから俺たちがしているのだが島単位の恐ろしさを知った。


お昼まで終わらずホームに帰るとマーメイドたちがいた。みんなでご飯を食べ、ログアウトする。再びログインして生産作業を再開。終わったのは午後三時だった。メルたちに手伝ってもらってこれだ。俺は最初の頃に島の管理は一人で出来ると言っていたが訂正しよう。無理だ。


その頃には武器の修復は終わり、遠征の準備を終え、早めのログアウトする。


そして夕方、俺たちはバトルシップに乗り込み、フリーティアの人たちの声援を受けつつ、出発する。


ゴネスとの国境手前に停泊していた俺は時間を確認すると作戦開始時間となった。


「バトルシップ、発進!」


「機関最大! バトルシップ、発進します!」


ゴネスに入った俺たちが見た光景は巨大なクレーターばかりの大地となったゴネスの姿だった。木々どころか草すら生えていない。まるでここだけ別の星の大地みたいだった。


そして俺たちはかつて王都があった場所にやってきた。


『何もないよ? タクト君』


『だな。でも俺たちの目的地は地表じゃない。地下だ』


霞ちゃんの報告では地下にアカ・マナフとサルワが守る扉があった。恐らくその奥でアンラ・マンユの儀式を行っていた。それならそこに何かがある可能性は十分ある。


俺たちが王都に接近したその時だ。いきなりバトルシップが攻撃を受けた。


「地下より敵出現! 中央モニターに出します」


そこに映ったのはザッハークだった。


「狙えるか?」


「もちろんです。下部エネルギーバルカン、ロックオン完了」


「撃て」


エネルギーの銃弾の雨がザッハークたちに襲い掛かり、倒れる。これは簡単に地下には進ませてくれない感じだな。


バトルシップを着陸させ、全員が地上に降りる。


『イクス、バトルシップを頼むな』


『イエス、マスター』


メルたちは地面から出てくるザッハークを退治しつつ、霞ちゃんの指示で見事に地下へ続く道を見つけた。


「よく場所がわかるな」


「…逃げるときに歩いた歩数で覚えただけです。別に大したことは」


『凄いだろう…』


普通歩数なんて数えるか?俺には出来そうにない。


メルたちが地下に進むとやはり地下の道はザッハークたちの巣窟となっていた。しかしこれで確信した。


「モンスターが出るってことは当たりっぽいね! いくよ! みんな!」


メルたちが次々、倒していく。それを必死に我慢しているリリーたち。俺たちはジャンヌたちの護衛という役目を与えられている。ジャンヌがこの地に来たことで狙われる可能性が高いと考えられたからだ。


俺たちは順調に進み、目的地に到着した。扉を開けるとまた大群のザッハークが来るが、ニックたちが通路を壁錬成で敵を分断し、確実に倒していく。全て討伐し、部屋に入るとそこは中央が吹き抜けになっている部屋だった。


吹き抜けのところから下を見ると魔方陣が見え、魔方陣の中央にボスがいた。


シャー・ザッハーク?

? ? ?


そいつは中央の首が人間の巨大なザッハークだった。ちゃんと人間の手もあり、蛇が巻き付いた大剣を二本持っている。


「あれの相手も我々に任せてくるかい?」


「どうぞ」


俺たちとジャンヌたちは上から見学する。階段を下り、先頭の満月さんが魔方陣に触れると敵が雄叫びを上げ、みんなに襲いかかった。


上から見ていると全員の動きがわかって面白いな。


「あぁ! メルが毒液かかっちゃった!」


「シフォン、今です! 今! あぁ~…遅いですよ」


「リサ! ガードはこうじゃなくてこう!」


「…ミライ、(らく)そう」


最初はリリーたちは不満そうだったのに…楽しみ出したな。


「トリスタンさん、そこです! 目! 目を狙ってください!」


「あ! 鉄心さんが斬りました!」


「満月さんたちの盾捌きは流石ですね」


「あ、レイジさんたち! 頑張ってください!」


みんなが色々言っていると通信が来る。


『うるさいんだけど!』


『俺にも応援をくれ!』


ですよねー。シンクロで話すようにした。戦闘を見ると大剣には変な効果があることがわかった。満月さんたちの盾に攻撃すると盾に毒が付着し、盾から煙が出る。恐らく腐食かな?急いで倒さないと満月さんたちの盾が持たなくなる。


更にこの効果は体を斬ると武器にも発動をした。ならば魔法で遠距離攻撃に出るが反射能力がある上に魔法耐性もあるからあまり効いていない。


こうなると猟師、銃士が光ってくる。ここで『ブルーフリーダム』の銃士ちゃんと与一さんたちの神業、跳弾攻撃が出た。壁や階段の鉄筋や階段の廊下を使って、四方八方から銃弾が命中する。


すると声を上げると姿が変化する。人間の皮膚がドラゴンの鱗になり、大剣には毒液バーションの海錬刃となる。更に毒沼まで発生した。


それでも全員が怯まず、とどめの態勢を取る。しかし必殺技を使おうとした瞬間、毒沼から蛇が現れ、必殺技の邪魔をしてきた。


するとトリスタンさんが鈎縄を取り出すと階段に引っ掛ける。すると縄が自動で上がり、上から狙撃した。まるで怪盗や泥棒が使っているロープみたいだ。あんなスキルあるんだ。楽しそう。


そしてトリスタンさんの攻撃が安定したことで毒液から蛇がでなくなり、全員の必殺技でボスは倒される。


「お疲れ様」


『…うん』


『あぁ…』


全員毒液まみれだから元気がない。さて、これで何かしらイベントが発生すると思うんだが…俺がそう思うと魔方陣が光り輝く。


すると光の神が降臨した。


スプンタ・マンユ?

? ? ?


ようやく出会えたな。すると話しかけて来た。


『私は光の神スプンタ・マンユ。闇の神アンラ・マンユの対の神です。私を解放してくれたことに感謝します。勇敢な人間たち』


やはり封印か何かされていた感じだな。すると全員が俺を見る。俺が話すのね。ここの攻略には殆ど関わってないのに。


「俺たちはアンラ・マンユを倒すためにあなたを解放しました。あなたならアンラ・マンユを倒すことが出来ますか?」


『残念ながら今の私ではアンラ・マンユに手も足も出ないでしょう。アンラ・マンユは配下をこの地に送り込み、巧妙に私の信仰心を人から離れさせ、自らの信仰心に変えて行きました。そして弱まった私を人にここに封じさせ、自らの肉体を持った状態で降臨しました』


そういう流れだよな。問題はここからだ。


『しかしそんな彼を止めることが出来る存在がいます。私たちを生み出した最高善神アフラ・マズダーです』


ここでその名前が出てくるか。


「その最高善神アフラ・マズダーはどこにいるんでしょうか?」


『私たちの故郷…天界の更に上層、神界という場所にいます』


…行けないじゃん。


『力を失っている私ですが一人ぐらいならアフラ・マズダーのところに送ることが出来ます。ただし、出会えたからといってどうにかなるものでもありません。行った者はアフラ・マズダーの審判に挑むことになります。どなたが行きますか?』


全員が俺を見る。どうして責任重大な役割を俺にするよ。しかしここは腹をくくろう。


「俺が行きます」


『わかりました。では、世界の命運をあなたに託します』


俺は光に包まれ、転移する。最後までプレッシャー掛けないでくれよ。


俺がいなくなるとメルが話す。


「私たちはどうしよっか?」


「あ、あの…私にもお話を」


ジャンヌが懇願しようとした時だ。スプンタ・マンユが慌てる。


『ッ!? アンラ・マンユに気づかれました! 急いで逃げて』


とんでもない振動がメルたちを襲う。これにより地下が崩壊を始め、レッカたちが飛行魔法を全員にかけて、外に出るとそこにはアンラ・マンユがいた。


『アンラ・マンユ…』


スプンタ・マンユがそういうとアンラ・マンユは杖を掲げると紫色の光が天から落ち、スプンタ・マンユに障壁でガードするが徐々に押される。


『く…ジャンヌ・ダルクにシャルル…あなたたちの祈りは確かに私に届いていました。それが無駄ではないことを証明しましょう。私が時間を稼ぎますから皆さんは今の内に逃げてください』


メルたちが全力で逃げ出すとスプンタ・マンユが力尽き、地下が消し飛ぶ。メルたちは余波で吹っ飛ばされる。そしてアンラ・マンユはメルたちを見る。


『うそ…』


メルたちが絶望しているとアンラ・マンユは天を見上げると姿が消えるのだった。

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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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トリスタンこっちにも居るの何で?682話に居なかったっけ?
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