#66 交流会と情報交換
夕飯とお風呂を済まし、ログインする。時間的に少し早いが集合場所に向かおうかな。
そして集合場所に着くと沢山のモンスターを連れたプレイヤーがいた。こんなにいたんだな。
感心しているとルークを発見した。ゴブリンだから目立つな。
「あ、タクトさん!」
「久しぶりと言っても二日ぶりか…またゴブリン増やしたのか?」
「言わないでください…もう掲示板でゴブリンサモナーとか呼ばれているんですから…」
あ、やっぱりそうなんだね。俺が納得していると知らない男性に声を掛けられた。
「あんたのほうが遥かに有名だけどな。幼女サモナーさん」
「やっぱりそう呼ばれているんだな…」
「当然だろ。何せ三人もいるんだからな。しかし意外だな。召喚して来ないと思ってたぞ」
「ん? 召喚しないでいいなら代えるぞ?」
『代えないで下さい! マジお願いします!』
うお!?びっくりした。いきなり大勢のプレイヤーにお願いされてしまった。
「あー…俺が悪かった。代えないでくれないか? じゃないと俺がPKされそうだ」
「大変ですね…リリー達を連れてきたのはルークからリリー達を心配しているプレイヤーが沢山いると聞いたからです。ここにいる人たちは動画などで事情を知っていると思いますから話しますけど、リリー達にプレイヤーとの交流は必要だと判断して、連れてきました」
俺の話を聞いてルークが皆から褒められている。
「なるほどな。おっと、自己紹介がまだだったな。俺は烈風。後から来るが相方のテイマーで雷電と二人でプレイしている。よろしくな」
烈風と雷電…日本の戦闘機の名前だな。昔のそういうものが好きな人っぽいな。
「召喚師のタクトです。こちらこそよろしくお願いいたします」
リリー達はチロルさんと女性プレイヤーに連れてかれたので、俺はルークと烈風さんと会話していると雷電さんが合流する。
「雷電です。テイマーをしています。よろしく」
「よろしくお願いします。召喚師のタクトです」
「幼女サモナーって名乗ったらどうだ?」
俺はチェスとゲイルを召喚する。
「白熊に青いライオン!?」
「チェス、ゲイル。烈風さんが二人と遊びたいらしいから遊んでもらえ」
チェスが烈風さんを捕まえる。
「ま、待て…話せばわかる…」
白熊に捕まる烈風さんに雷電さんがいう。
「自業自得でしょう。人が嫌がることを言うからそうなるんですよ」
「お前は助けろよ!」
「助けられるわけないでしょ? ホッキョクグマにライオンですよ?」
ですよね。現実なら助かりませんよね。この状況。そして彼の召喚獣であるウルフやタイガー達はあっさり主人を見捨てて、雷電のテイムモンスターであるウルフ達と混ざって擦り寄っている始末です。
「えーっと。そろそろ移動しましょうか。ここにいつまでもいると迷惑ですから」
「だな。どこに行くんだ?」
「南門のそばのフィールドをルインさん達に頼んで確保して貰ってます。料理も作っているようですよ。お金は取るらしいですが」
流石。なんでも商売にするよね。
そしてぞろぞろ集団で移動。途中小学生のプレイヤー達にチェスに乗りたいと言われて、チェスに確認を取ると頷いたので、許可してあげた。結果チェスに子供達が集まり大変だった。まぁ、白熊と言わず、熊の背中に乗るのは子供の憧れかもしれないな。完全に金太郎の影響だとは思うが。
因みに俺はしません。なんとも間抜けな絵になるだろうからな。
そして、目的地に到着して本格的に交流会が開始された。今回の名目は召喚師の交流会だったが他の沢山のプレイヤーが集まってきた。ルインさんたちからしたら、料理を買ってくれるなら大歓迎だろう。
リリーたちは依然と女性プレイヤーたちに囲まれている。俺がルークたちと話しているとひよこばかりのプレイヤーさんが来た。
「初めまして。アルです。実はお聞きしたいことがありまして」
「ひよこについてですね?」
「その通りです…ルーク君からタクトさんがひよこを育てていると聞いたので」
「はい。進化させました。進化先はホーク、ハヤブサ、カラスでした。自分はホークにしましたが他の二羽も強そうでしたよ」
「そ、そうですか…安心しました」
まぁ、ひよこばかりだと心配になるわな。他にもまだ知られていないベアー、ライオン、フクロウについても聞かれた。俺が丁寧に答えていると一人の男性プレイヤーが聞いてきた。
「リリー様達のスリーサイズを教えてください!」
知るわけないだろ。まぁ、この場の空気でそれを聞いてきた勇気は褒めてあげよう。彼の周囲に女性プレイヤーとその召喚獣が集まり、強制連行。彼が帰ってくることはなかった。
彼の作り出した空気を変えるためかルークが俺に聞いてくる。
「え、えーっと。タクトさんはボスに挑まないんですか?」
「お! それは俺も気になるな。元々は攻略組と挑むつもりだったんだろ?」
「えぇ。ですが、挑むのはやめました。というかあのボス挑んだらダメなボスみたいなんですよね」
『はぁ!?』
代表して、ルインさんが聞いてくる。
「ちょっと待って! どういうことよ!? それ!」
「どうもこうも、あのボスは若木の森の守り神らしくて、国から討伐禁止されているようです。実際に冒険者ギルドに行って職員さんに聞いたので間違いないです」
「なんじゃそりゃ…じゃあ、どうやって他の町に行くんだよ」
クロウさんが当然の疑問を口にする。
「ギルドにお金を払って、馬車で移動するそうですよ」
『…』
プレイヤー全員絶句。まぁ、そうなるよね。俺もそんな感じになったからな。
「タクト君はそれを知ったのはいつ?」
「えーっと…確か例の事件の後ですね。泊まっているお店の店長さんにそんなにお金があるなら別の国に移り住めるという話がきっかけです」
「つまり一定金額以上稼ぐのがトリガーみたいね…意地が悪い設定ね…」
「同感だ。攻略組じゃあ、中々このトリガー引けないだろ」
確かにボスに挑んでばかりだとお金は貯まらないわな。
「タクト君はもしかしなくても次の国に行く予定は立てているわね?」
「えぇ。明日、自由の国フリーティアに向かいます」
「ほう。国名は判明しているのか?」
クロウさんに聞かれたので、全部の国と特徴を話す。
「なるほどね。それならタクト君がフリーティアを選ぶはずね」
「というかサモナーやテイマーはその国を目指すようになっているな。あえて他の国を選ぶこともできるが」
「クロウさんは鉱山の国ヴェインリーフですか?」
「当然だな」
あぁ…クロウさん、頑張ってくれ。
「…タクト君、何か知ってない?」
「えーっと、ですね。実は昨日若木の森でとあるNPCを助けるクエストが発生したんですよ」
「それはよくあるクエストね。そのNPCの名前ってわかるかしら?」
「ヘーパイストスです」
ルインさんが固まった。まぁ、そうなるよね。
「誰だ? そいつ」
クロウさん、あんたが知らないんかい。
「クロウ…あなた…鍛冶師やめたら?」
あ、ルインさんと意見が一致した。それからヘーパイストスのことを話した。
「あの狼男とまた戦ったのね」
「狼男がボコボコにされる絵しか思い浮かばないね!」
ミュウさんがそういうが…まぁ、酷い戦闘だったか。それからも俺の情報公開は続いた。
他の召喚師たちですがまだ序盤なので特徴があまり出てません。これから色々個性を出していく予定です。タクト、ルークとアルは既に個性が出てますけどね。
次回は交流会の続きです。第一章でタクトの召喚獣で一番強いのは誰か決定いたします。予想してみてください。