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#647 三國志の英雄とゴネス法王の手紙

翌朝、ご飯を食べてログインすると俺はシルフィ姫様と共にエルフの森から一旦フリーティアに戻り、孫尚香たちと面会する。


「魔王たちとの戦いの最中、面会に応じて下さり、感謝いたします。タクト様」


「いえ、こちらもせっかく足を運んでくださったのに留守ですみません。えーっとそちらの方々は?」


「紹介いたします。兄の孫策と孫権、我が町の軍師をしている周瑜と呂蒙です」


うわ~。三國志の呉の英雄たちですよ。周瑜は孫策の親友にして赤壁の戦いでは呉の軍師として、曹操を負かした名軍師。


呂蒙も赤壁で戦っていたはずだが、やはり関羽討伐のエピソードが一番有名だろう。これには当時無名だった陸遜の貢献も大きいんだけどね。しかし呂蒙の活躍があったことは確かだろう。


三国志で呂蒙が人気な理由が貧しい身からの出世を果たした数少ない武将だからだ。しかも大都督となっているが最初は軍師ではなくガチの武将だったが、勉強して当時大都督だった魯粛(ろしゅく)を驚かせて跡目の大都督として任命されることになる。


貧しい身で努力を重ねて大都督まで上り詰め、関羽討伐を果たした武将が呂蒙だ。人気になるもの分かる気がする。俺が感動していると孫策が話しかけて来る。


「孫策だ。最初に言っておくことがある」


「? なんですか?」


「妹は絶対やらんからな! ゴフッ!?」


恐らく八極拳の頂肘(ちょうちゅう)が孫策に決まった。孫策はシスコンキャラなのか。


「…周瑜。兄は気分が優れないようですから連れて行ってくれますか?」


「…はい。姫様」


あ、あれ?なんか周瑜が孫尚香に頭が上がらない感じだ。


「こら! 尚香! 兄上になんてことを」


お!孫権が注意した!なんとなく応援したくなる。


「なんですか?」


「…なんでも…ありません」


おぉい!孫権弱くね!?睨まれて一発KOじゃん!注意してちょっと格好いいと思った気持ちを返してくれ!


「あ~…すみません。うちは大体こんな感じで…大都督(だいととく)、姫様、私が話をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」


「あぁ。頼む」


「まずは我が町の姫様を助けていただいたこと、我が町を代表して感謝いたします」


中国式のお礼をされる。良かった…呂蒙は知識人っぽい。


「この度、お伺いしたのは姫様たってのお願いもあったのですが、魔神討伐の鍵を知っているであろう人物との橋渡しのためです」


いぃ!?この状況でそうくるのか。しかしこの状況で名前が上がる人物ってもしかして…。


「どなたでしょうか?」


「ワントワークが誇る我が町の大都督と双璧を成す軍師、諸葛孔明(しょかつこうめい)です」


キター!そして双璧と言われてちょっと不機嫌になる周瑜。そこは伝説と一緒なんだな。


しかし諸葛亮にそんな話はなかったはず。たぶん色々知ってそうな人物ってだけで使われた気がするな。俺は劉備たちがいる場所に案内される。凄い緊張している。


「呉の軍師、呂蒙です。ギルド『リープリング』のギルドマスターをお連れしました」


「入りなさい」


『失礼いたします』


俺が案内された部屋に入るとそこには三國志の蜀の英雄たちが揃っていた。


「お初にお目にかかる。ワントワークで蜀という町の領主をしている劉備だ。此度の救援に感謝する」


あくまで呉と蜀はワントワークという国に入っている町の名前なんだな。ただわざわざ町の名前を出しているから独立している国だと宣言しているように聞こえる。


「ギルド『リープリング』のギルドマスターをしております。タクトと申します。救援についてはこちらにも思惑があってのことです」


『ほぅ…』


全員から睨まれるがここで怯むわけには行かないな。


「呂蒙殿から魔神アンラ・マンユの討伐の鍵を知っているかも知れないとお聞きしましたが?」


「残念ながらこちらにも事情があるので、まずはこれで勝負をしてくれませんか?」


机の上にあったのは、将棋だった。ちょっと待って、全員に囲まれた状態で将棋をするの!?


俺は趙雲、関羽、劉備と勝負して、なんとか勝利した。それぞれ個性が出た将棋だった。趙雲は中飛車、関羽は向かい飛車、劉備は居飛車という形になった。


これらは将棋の基本的な戦法の名前で飛車の位置から名付けられた。


中飛車は飛車の位置が真ん中で中央突破を狙う戦法。槍使いの趙雲らしいと思う。向かい飛車は飛車同士が向かい合う戦法。一対一で戦いたい関羽らしい選択だ。居飛車は飛車が動かず戦う最も基本的な戦法。基本に忠実な劉備が選びそうな戦法だな。


「それでは最後に私と対戦するといたしましょう」


出てきたよ。諸葛亮。


「よろしくお願いします」


「はい」


将棋を打っていると諸葛亮は話しかけてくる。


「先日のゴネスでの戦法は見事でした。あなたが指揮をしていたそうですね?」


「俺は大まかな作戦を考えただけです。まだ細かいところまで指揮は出来ません」


「ふふ…まだということはいずれそうしたいということですか?」


俺は考える。


「そうなりたいと思いますがみんなと作戦を考えるのが楽しくもあるので、このままで良いとも思ってます」


「それはいいことですね」


俺たちの将棋が進む。


「おいこれ…何時間やっているんだ?」


「休憩も入っているが四時間やっているな…」


なんか引かれている。プロは二日使うものもあるんだぞ。すると周瑜が話す。


「ふん。この勝負を味わわないとはな…呂蒙はどう見る?」


「互いの読み合いが凄まじい。止まっている時間の間にまるで戦場を見ているかのようです。一体何手先まで読んでいるのか…しかしどうやら勝負あったようですね」


だな…。


「参りました」


やはり諸葛亮には勝てなかった。こちらの打つ手全てに対応させ、切り崩された。悪手も打ったんだけどな。滅茶苦茶強かった。


「いいえ。素晴らしい知謀でした。あなたのこともわかりましたし、教える資格は十分にありそうです。それではこちらへ」


俺は一人だけ諸葛亮の部屋に案内され、教典のようなものを諸葛亮が取り出す。その中に挟まれていた手紙を俺は渡される。明らかに中国の物ではないな。


「これは私の先生から受け継いだものです。読めますか?」


諸葛亮の先生?それって、(ほう) 徳公(とくこう)のことかな?諸葛亮を臥龍(がりゅう)と名付けた人だ。流石に登場しないみたいだな。


「はい。大丈夫です」


俺は手紙を読む。そこにはゴネスの歴史が書いてあった。


『最初に神が降臨した。神は人には善と悪の心があると告げ、光の神と闇の神を作り上げた。そして神は人々に判断を委ね、この地を去った』


『人々は光の神を信仰し、闇の神は消え去った。そしてこの地に光の国を作った』


『しかし我々は忘れてはならない。我々は悪の心で悪の神を追放してしまったのだ』


『我々の罪はいずれ災厄となって、我々に牙に向くだろう』


『私はその時のためにここに記す』


『我々の罪と向き合う者よ。悪を認めよ。光を求める者よ。己の心を信じよ。神の審判に挑む者よ。神に自らの答えを示し、汝の心の力を証明せよ。さすれば我らの罪が許される日が来るかも知れない』


『私はそんな未来が来ることを信じ、この手紙を残す。私の書物を持った者よ。願わくば我々の罪と向き合う強き者にこの手紙を預けて欲しい。 ゴネス初代法王』


それはまるで懺悔の手紙のようだった。ゴネス初代法王は悪の神、アンラ・マンユを認めなかったことを後悔していた?いや、というよりもっといい道があったんじゃないかと思った感じだな。


悪を認めた上で自分の心を信じよか…。


「この教典は初代ゴネスの法王が残した物です。残念ながら今のゴネスの教典とは全く異なる物で、ここには神興国ゴネスの歴史が書かれています」


俺は受け取り、再び読む。なんか色々な決まりとか書かれていたが俺は最も知りたいことを探る。


最初の神と光と闇の神が降臨した場所はゴネスの都で間違いないみたいだ。そして教典の最後に闇の神のことが書かれていた。


『光の神を信仰し続けていても、そこには必ず悪の心が生まれる。人は善と悪の心を持つ生き物であるからだ。光はこの地で闇に呑み込まれようとしている。しかし忘れてはならない。我々人は悪の心だけではない。善の心も持っているということを』


光はこの地で闇に呑み込まれようとしている。ということはやはり光の神はゴネスの王都にいる可能性が高まったということになるな。


しかしサバ缶の話ではゴネスへの障壁だけは未だに突破出来ていないらしい。恐らく残りの魔王を倒さないと道は開けないんだろう。


そして現在、アンラ・マンユは劉備たちの国を滅ぼし、ワントワークの王都に向かっている。王都を滅ぼした後は位置的にライヒの帝都を目指すだろう。そこにはサルワがいる。この二人を合流させるのは非常にまずい。


俺たちはそれまでに戦力を集めて、サルワを撃破しないといけない。撃破した後はライヒの帝都を守る部隊とゴネスに向かう部隊に分かれて、ゴネスの光の神と接触して、アンラ・マンユを弱体化。その後、バトルシップのエビデンス・ゼロを使う流れになるかな。


「大まかな作戦が見えたようですね。皆に作戦の説明をしてくれますか? 細かいところは私が助言をいたしましょう」


なんか凄いことを言われた!諸葛亮をそんな風に使っていいだろうか?いや、これは鍛えられている感じがするな。


「わかりました」


その後、俺は呉と蜀の人たちに大まかな作戦の流れを説明する。


「勝負を決めるのは、スピードか」


「パラディンロードの魔王はどのくらいで倒せると思いますか?」


「今日の夜には決着をつけます」


「自信あり気だな。先程話したエクスマキナの船があるからか?」


まぁ、それもあるんだけどね。もっと根本的なことがある。


「それもありますが案外船を使わなくてもあっさり決着をつけることが出来ると思います」


「どういうことだ?」


俺が説明すると全員がパラディンロードの騎士たちに同情した。


「そういうことならパラディンロードは大丈夫だな。エリクサーラピスも戦力は十分…残す問題は魔神とライヒの魔王か」


「ライヒの魔王は話を聞く限り、猪突猛進なタイプ。時間稼ぎの策はいくらでもあるでしょう」


「当然だ。まずは」


ポンポン作戦が出てくる。流石、名軍師たちだな。しかし彼らでも魔神相手では手が思いつかないみたいだ。


「誘導などが出来る相手なら手はありますが進行速度を変えず、誘導先にあるもの全てを破壊して来るので、打つ手がない状況です」


「どんな力も策で突破出来ると考えていたが、あの魔神の力は異常だ」


だよな…あんなのまともに戦える奴なんていないだろう。すると俺が話を一生懸命聞いているとリリーたちから連絡が来た。


『お腹、ペコペコ~』


やべ、ログアウトしてない!俺は事情を説明し、一度ホームに戻る。そこで俺はファリーダを見る。そこで俺はある案が浮かぶ。


「どうしたのよ? タクト」


「なぁ、ファリーダ。ジンって確か魔神だったよな?」


「そうよ? 今はランプが無いから見る影もないけどね」


「ならランプがあったジンはアンラ・マンユと戦うとどうなるんだ?」


ファリーダが俺の考えに気がつき、考える。


「流石に強さではアンラ・マンユのほうが上でしょうね。ただ戦いにはなると思うわ。あくまで最大パワーでの話だけどね」


ならやるべきことは決まったな。全員の料理を作った後、ログアウトした。お陰で暫くログイン出来ない。これは運営の罠に違いない!


名前 タクト 寵愛の召喚師Lv17


生命力 140

魔力  340

筋力  170

防御力 70

俊敏性 120

器用値 214


スキル


格闘Lv38 蹴り技Lv37 杖Lv41 片手剣Lv50 槍Lv34 

刀Lv43 投擲操作Lv14 詠唱破棄Lv34 魔力操作Lv18 魔力切断Lv23 

召喚魔術Lv41 封印魔術Lv40 ルーン魔術Lv31 阻害無効Lv9 騎手Lv42 

錬金Lv27 採掘36 伐採Lv39 解体Lv52 鑑定Lv45 

識別Lv49 疾魔法Lv15 炎魔法Lv11 地魔法Lv15 海魔法Lv12 

暗黒魔法Lv12 神聖魔法Lv20 雷魔法Lv45 爆魔法Lv50 木魔法Lv36 

氷魔法Lv35 時空魔法Lv53 獣魔魔法Lv8 遅延魔法Lv17 連続詠唱Lv39 

水中行動Lv28 空脚Lv3 読書Lv16→Lv18 料理Lv46 釣りLv22 

シンクロLv31 エンゲージLv12 連携Lv27

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最新作『動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います』を連載開始しました。
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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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