表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
674/1718

#645 ウィザードオーブ強襲と秘密兵器

翌日、朝食を食べてゲームにログインするとエルフに提供された部屋で目を覚ました俺のベッドにセチアとミールの姿があった。なんか久々だな。


起こして、朝食を作っているとセチア曰く護衛らしい。


「ここはある意味敵地ですからしっかりタクト様を守らないといけないんです」


俺は知らない間に守られていたらしい。


その後、みんなでパンとシチューを食べて、森の水やりをしているとサバ缶さん通信が来た。


『タクトさん! 大変です。魔王タルウィが大量にウィザードオーブの都に現れました』


『…大量にですか?』


『はい。人間サイズの魔王タルウィがウィザードオーブの都のあちこちに現れて大混乱となっているそうです』


これは陽動か?それとも何か狙いがあるのか…いずれにしてもやることは決まっているか。


『わかりました。こちらで対処します。また何かあれば通信してください』


『はい。ご武運を』


俺はみんなを集める。


「たくさんの魔王タルウィがウィザードオーブを襲撃中だそうだ。これに対し、俺たちはここに残る班と救援に向かう班二手に別れようと思う」


「タクトは防衛で決まりだろう? なら救援に行くのは俺たちだな」


「俺もそっちに手を貸すぜ。いいだろう? 師匠」


「そうだな。行ってこい」


クーフーリンが参加するなら大丈夫そうだな。これでエルフの森に残ることになった俺、シルフィ姫様、スカアハ師匠とこちらの防衛を選んだ数人の召喚師だ。残りは全員ウィザードオーブの救援に向かった。


ルークたちがウィザードオーブに着くとそこはSF映画でエイリアンに襲撃されているような状況だった。


「俺は先に行くぞ!」


クーフーリンがすぐにタルウィに襲いかかると一撃で倒す。


「こいつら、全部分身体か…面倒臭いが全部倒せばいいんだろうが!」


そういうと次々、タルウィを倒していく。


「俺たちは一応二人一組で行動するか」


「数が多いみたいだし、それでいいと思うぜ」


「ボスを見つけたら、通信だけは徹底しましょう」


「それじゃあ、全滅させるぞ!」


全員がレギオン召喚をすると一斉に散る。するとすぐに異変を感じる。


『なんか変じゃねーか?』


『はい。敵が外に集中していますね。国の中に出現出来るのに絶対変ですよ』


『こちら、チロル! タルウィビームを受けたプレイヤーがタルウィになっちゃったんだけど!』


『そうやって、自分の分身体を増やしているわけか…だが、妙に引っかかるんだよな』


すると全員が言う。


『『『こういう時は勘を信じよう! ギルマスならそうする!』』』


『決まりだな。俺たちは城に向かう! 雑魚の掃除を頼む!』


するとフェルトが話す。


『それなら外の指揮は私たちが引き受けるね。ララ、フェルト、マヤさん頼める?』


『『『もちろん』』』


『みんな…私、みんなのこと忘れないからね!』


『変なフラグを残している暇があったら、さっさと行って! チロル』


ルーク、チロル、烈空さん、雷電さん、アロマ、タクマの六人は中心部に向かった。


お城の衛兵にフリーティアからの救援に来たと話し、一行はお城の中に入る。するとチロルの獣モンスターたちが一斉に地面に向けてうなりだした。


「おい。その獣を仕舞え」


「失礼しちゃうね! それよりもお城の地下に案内してくれないかな?」


「残念ながら関係者以外立ち入り禁止だ」


すると烈空さんが衛兵を壁に押し付ける。


「いいか? 今、この国は魔王の襲撃を受けていて、危険予知や気配察知に長けた召喚獣がこの地下に反応を示したんだ。いいから質問に答えろよ」


「ふん。大方そんなことを言って我々の研究成果が望みなんだろう? 残念ながら王への謁見は無しだ。救援に来たなら外にいる魔王を退治しろ」


「へぇ…つまり何か研究しているわけだな?」


衛兵がしまったという顔をする。


「アロマ! タクマ! 地面をぶち抜け!」


「はい! 紫電の槍です!」


「任せろ! 花火! ドラゴンブレス!」


「何を考えている!? やめろーーー!」


烈空たちは城をぶっ壊し、城の地下に強行突破するとそこには巨大な魔導装置と魔石があった。更にその施設は魔王タルウィだらけだった。


全員がこの状況で瞬時に察した。あの謎の魔導装置を魔王タルウィは使おうとしていると。そして全員が一斉に指示を出し、動く。


しかし魔王タルウィたちから触手が伸ばされ、行く手を阻もうとする。


「邪魔よ! 竜技! ドラゴンダイブ!」


花火ちゃんが触手を破壊して、装置に群がっている魔王タルウィを一気に倒す。


「どんなもんよ!」


「いや~、素晴らしい活躍です。お陰で助かりました」


「え!? ま、まぁ。当然のことをしただけよ」


花火ちゃんに話しかけたのは研究員だった。その研究員がそのまま装置に向かうと花火ちゃんが尻尾でそいつを吹っ飛ばした。


「ぐは…何を」


「舐めないでくれる? この状況で一人だけ人間がいるなんておかしすぎるわよ」


そういう花火ちゃんだが、タクマが指示を出して、内心ギリギリだった。すると研究員が魔王タルウィになる。


「やれやれ。上手くいかないもんだね。まさか城を壊して最短距離でここに来るとは思ってなかったよ」


「だろうな。俺も普通ならしないが思ったら即実行がギルマスの教えなんだよ」


俺は確かにそういうところはあるが別に教えているわけじゃない。


「まさかあの召喚師じゃない奴らに邪魔され」


「ケロちゃん! ゴー!」


チロルの進化したケロベロスが襲いかかるとタルウィは土潜伏で逃げる。


「逃がしません! ドリモール! 地脈操作です!」


雷電さんが呼び出したドリモールが地脈操作で地面に逃がしたタルウィを地上に引っ張り出す。


「何!? な」


目の前にはケロベロスだ。大きな口で噛み砕かれる。すると顔だけとなった魔王タルウィがいう。


「残念だけど僕の勝ちだ」


全員が装置を見ると操作パネルに触手が触れていた。そして巨大な魔導装置が動き出す。


『魔導集束砲、起動。目標地点。X-73、Y36地点』


巨大な砲身がユグドラシルに向けられる。


『エネルギー充填開始。発射までカウント10』


「まずいぞ! チロル、そいつを殺せ! 俺たちは…この装置を破壊するぞ!」


『おぉ!』


しかしシールドで守られており、破壊できない。


『3…2…』


全員が諦めそうになった時だ。クーフーリンが穴から現れた。


「ぶち抜け! ゲイボルグ!」


ゲイボルグが巨大魔石を貫き、木っ端微塵になる。


『…エネルギー充填に問題が発生。魔導集束砲、起動停止します』


『よっしゃーーー!』

『やったぁーーー!』


みんなが喜び合う。そこにクーフーリンが来た。みんなが感謝する。


「いいってことよ! それよりも聞きたいことがあるんだが…これ壊して良かったのか? なんか勢いで壊しちまったけどよ」


『え…?』


彼らの罪状はお城の破壊と機密兵器の破壊などだ。当然ギルマスである俺は呼び出され、怒られたが完全に言い返した。


みんなの決断で無事だったが、こいつらが作った兵器がユグドラシルに直撃してたかも知れないんだ。しかも魔王タルウィに侵入され、兵器を利用された。挙句の果てに都の中の魔王タルウィをかなり退治したのはみんなだ。それなのに謝罪も無ければ礼の一言も無かった。


「帰るぞー」


牢屋にぶち込まれたみんなを解放し、エルフの森に帰る。


「あの…タクトさん。機嫌悪いですか?」


「あぁ。どうしてあの城ごとぶっ壊さなかったんだよ」


『そこまで!?』


それほど態度が悪かった。あれが一国の王とは世も末だ。


「魔神アンラ・マンユをこの国に誘導出来ないかな」


「口に出ているぞ…」


「そんなに酷かったんですか」


「あぁ。弁償しろだの俺が持っている魔法剣を寄越せとかイクスを寄越せとか要求ばかりしてきて、流石にブチギレた。この国の救援要請とか今後一切受けないからな。ギルマス命令」


全員が引く一方でクーフーリンが笑う。


「随分派手にやりあったらしいな」


「あぁ。そもそもここの国はテロリストの拠点があったり、俺の中でいい国のイメージがない。ある意味この国の狙いがはっきり分かって良かったよ。この国は俺の敵だ」


魔法剣とイクスを狙うというなら、俺は容赦しない。


「いいねぇ。お前でもそういう顔をするんだな」


「あいつらはゲイボルグも欲しがっていたぞ。なんでもあの槍は元々あいつらの物とか言っていたな」


「ははは! はぁ~…悪いがお前がするより先に俺が殺すわ」


そうなるよな。因みにみんなが無事でゲイボルグがここにあるのは、俺が脅したからだ。何せ俺はあいつらが欲しがる力全てを持っている。対するあいつらは魔王タルウィに襲われ、切り札はぶっ壊れている。どちらが強いか比べるまでもない。


「俺がまだ大人しくしているうちにこちらの要求を聞いてもらおう」


王様たちは完全に屈して今の状況となる。心臓に悪かったよ。アルスターの戦士っぽい人たちもいたんだもん。それでも彼らよりバトルシップのほうが強いとはっきり言える。


「ふふ。面白い奴がいたものじゃ」


俺たちの様子をお城の塔から眺めている存在がいた事に気づかないまま、俺たちはエルフの森に帰るとみんなに出迎えられた。


「お前も私と同じ道を選んだようだな」


「そうなんですか?」


「あぁ…あいつらは私の力を欲してな。お前らの力になどなるか! と言って騎士どもをボコボコにして国を出たのだ」


それはよく似ているな。俺はボコボコじゃなく国消すぞって感じだったけどね。続けてシルフィ姫様が言ってくる。


「フリーティア王国に正式に抗議が来たそうですよ」


「へー。それでフリーティア王国はなんと返事をしたんですか?」


「私がいるここに非公開の兵器を向けた事実を言った内容だったらしく、アンリが国際会議の場できっちり追求すると言ってくれたようです」


それなら大丈夫だろう。ここに照準を向けたのを魔王のせいにするとそれを多少強引にでも止めたルークたちの判断は正しかったことになるはずだ。完全にウィザードオーブの尻拭いをしたんだからな。


魔王のせいにしなかった場合は全ての責任をこちらに向けようとするだろう。しかし非公開の兵器でシルフィ姫様とユグドラシルを狙ったのがウィザードオーブということになる。そうなるとフリーティアと戦争。最悪他の国まで敵に回すことになる。


まぁ、今回そこまでいかないだろう。恐らくどの国もバトルシップの能力を見たら、宣戦布告する気は無くすだろうからな。その代わりに放置することも出来ないから国際会議の場である程度の取り決めを定める必要が出てくるだろう。


俺はウィザードオーブをどのように孤立させるか考えながら、ログアウトした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最新作『動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います』を連載開始しました。
以下のリンク先で連載中です。


動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ