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#633 アジ・ダハーカ、イエローオッサ山頂戦

お待たせいたしました。漫画化の詳しい日程が決まりましたので、明日告知させていただきます。

依然として山頂に佇むアジ・ダハーカが俺とリリーたちを見て言う。


『ほう…我の強さを見てなお前に立つか。それにドラゴニュートに森の田舎者、先ほどの狐の眷属、異星の機械人形か。あいつが我らをここに寄越すわけだ』


「悪いが加減はなしだ。レギオン召喚!」


更にグレイたちを召喚し、全員が叫ぶと戦闘態勢になる。


『ほぅ…これはこれは。なかなか面白い面子だな。しかし星止まりか…話にならんな』


「それぐらいわかっているさ。だが、それでも挑ませてもらう! リリー! イオン! セチア!」


「「「うん(はい)!」」」


「「「「エンゲージバースト!」」」」


バエル戦以来の竜騎士姿になる。俺の手にはグランアルフリングと聖剣グラム。周囲には今まで俺たちを支えてくれた武器たちがあり、腰には迅雷がある。


それを見たアジ・ダハーカは態度を変えた。


『我らの前に立つだけはあるか…いいだろう。だがその前に』


アジ・ダハーカが俺たちから視線を逸らすと九尾とそれを運ぼうとしている葛葉たちを見る。やらせるか!


『反射!』


アジ・ダハーカが手から放たれた光線を弾こうとしたが弾けず、俺たちは聖剣グラムとグランアルフリングで受けると押される。


「くぅうう…らぁああ!」


なんとか斬り裂いた。ただの光線でこの重みかよ。


『ほぅ…よく防いだな。剣の腕もあるようだが、あの程度で苦戦しているようでは話にならんぞ?』


「あぁ…だから俺たちの全力で相手をさせて貰う!」


「『『『宝玉解放』』』」


「魔力解放! 全宝玉解放! 伝説解放!」


これが俺たちの今の全力だ。他のみんなも使える切り札を投入する。とにかく俺たちの第一目的は九尾の救出だ。そのためにはまず遠距離攻撃をさせるわけにはいかない。


俺たちが先陣を切り、アジ・ダハーカにグランアルフリングで斬りかかる。しかし巨大な障壁に阻まれる。全然斬れる気がしない。まるで鋼鉄の城に普通の刀を打ち付けているようだ。しかしそれでもやるしかない!


「はぁあああああ!!」


俺は周囲の武器たちを投げ、イオンが操作しする。そして連続で斬りまくる。


『タクトさん!』


イオンの声に俺は剣を構える。


『「グランドサザンクロス!」』


十字の斬撃が障壁に当たり、光の爆発に包まれるが無傷。


『気は済んだか?』


アジ・ダハーカの三つ首全ての目が光る。やばい!


「リリー! セチア!」


『はい!』


『セチアちゃん! 魔法はダメ! 波動技で迎え撃って!』


俺たちの波動技とアジ・ダハーカの光線がぶつかり合うがあっさり押される。すると飛行戦力のみんなが俺たちの周囲に集まり、押し返そうとするが、押されるスピードが遅れただけだ。しかしこれならいける!


「押し返すぞ!」


俺たちは力を集束させて、ぶちかます。


「『『『いけぇえええ!』』』」


アジ・ダハーカの光線の渾身の攻撃は拮抗し、超爆発すると俺たちはその衝撃波で全員が雪原に落下する。対するアジ・ダハーカはその場を動かず、障壁も無傷だ。本当に嫌になる。


すると俺たちに変わるように恋火たちが仕掛ける。最初に仕掛けたのは千影だ。


「黒竜解放! 空間歪曲!」


上手い!空間歪曲ならあの障壁も擦り付けて攻撃出来る。そう思っていたが千影たちが現れたのは俺たちの近くだった。そしてアジ・ダハーカがブレスの体勢になる。やばい!


『消えよ』


『させないぞ!』


地面から現れた竜化したユウェルが竜角で激突した。しかしアジ・ダハーカはそれを片手で受け止めていた。すると今度は植物の蔓と鋼線がアジ・ダハーカの体に巻きつく。


『くだらんな』


アジ・ダハーカの体が紫色に光る。くそ!間に合わない。するとユウェルの体中から武器が飛び出し、それがアジ・ダハーカに当たるが弾かれる。


それでもユウェルは防御せず、ドラゴンブレスや石波動、宝石投擲で攻め続ける。ユウェルを援護するようにミールとアラネアが更に縛り上げようとする。そこに空間歪曲に飛び込めなかった黒鉄と月輝夜、ディアンが攻撃を加える。


するとアジ・ダハーカは翼で月輝夜、ディアンのブレスを受け止め、首の一つが黒鉄のほうを見るとレールガンロケットパンチが消滅した。なんだ!?あのスキルは!?


俺が驚いていると未来を見る。ユウェル…お前。


「行くぞ! 全員ユウェルに続け!」


俺たちは総攻撃の体制を取る。


『ふん…面白い。守れるものなら守ってみろ』


『守ってみせる! 金属壁! 集束!』


アジ・ダハーカの周囲に金属の壁が次々、作られる。そしてアジ・ダハーカの紫の衝撃波による全体攻撃が発動すると全ての金属の壁が消し飛ばされ、ミールとアラネアは召喚石に戻る。それでもこの瞬間、アジ・ダハーカの障壁は無くなっていた。


『うがぁあああ!』


起死回生で蘇生したユウェルが再び飛び込むがアジ・ダハーカはユウェルを手で捕まえる。そして手に魔力が集まる。やらせるか!


イクスがエネルギースナイパーライフルを放ち、俺たちとゲイル、ヒクス、スピカが飛び込む。それに対してアジ・ダハーカはイクスの目を狙った攻撃を額で受け、俺が更に目を潰そうとしたが聖剣グラムの突きでも硬く潰せなかった。


それはゲイル、ヒクス、スピカも同じで俺たちはとりあえず、ユウェルを助けるために手当たり次第攻撃していくが傷すら付かない。


『ふん』


そしてアジ・ダハーカは手から暗黒波動をユウェルに浴びせ、ユウェルは召喚石に戻る。更にアジ・ダハーカの翼の羽ばたきだけで俺たちは吹っ飛ばされる。俺はダーレーに受け止められ、アジ・ダハーカを見ると再び障壁を貼ろうとした。


それを阻止しようとエアリーの天罰を使う。その間にルーナとクリュスにロコモコと伊雪が幸福と運勢操作で運気を上げると、二人は空に妖精の輪を描く。


「「妖精の輪!」」


上空に多くの妖精が現れ、一斉攻撃がアジ・ダハーカを襲うが効いていない。アジ・ダハーカが攻撃しようとしたとき、グレイが幻狼の連携で襲い掛かった。先制を上手く利用したようだ。


するとルインさんから通信が来る。


『タクト君、こっちは準備完了よ』


『了解です。こちらもわかったことがあります。まずアジ・ダハーカに魔法を使ってはいけません。操られてその魔法がこちらに発動してしまいます』


『千の魔法を操るという設定があるわけですね』


『他にも空間歪曲なども操ってきたので、何か特定の条件のスキルはアジ・ダハーカに操られる可能性があります』


サバ缶が言ったようにアジ・ダハーカは千の魔法などを駆使して敵対する勢力を苦しめたという話がある。俺が知る限りここまで魔法に精通したドラゴンはアジ・ダハーカ以外知らない。


『それとまるでビクともしない障壁ですが地面の中までは及んでいません。後は…』


俺が説明を続けているときにも戦闘は続いている。


グレイに続くように恋火、リビナ、和狐、ファリーダ、コノハ、虎徹、白夜、優牙、狐子、蒼穹、コーラル、ジーク、ハーベラス、千影が襲いかかる。


「炎竜解放! 狐技! 火炎車! やぁああ!」


「ほらほら! これでもくらいなよ!」


『ハーミットテイル! 放射熱線!』


「今度はこれよ! 衝撃波!」


「行くであります! 影分身!」


やはりどの攻撃も効いておらず、しかしアジ・ダハーカの攻撃は千影が影分身と変わり身、見切りで上手く捌いている。するとアジ・ダハーカは戦略を変えた。


『無駄な攻撃ほど見苦しいものはないな。消えよ』


アジ・ダハーカの中心に謎の空間が発生する。


「これって!? く! 魔力妨害!」


ファリーダが何かを察して、魔力妨害を使うが止められていない。


『我らにその程度の妨害が通用するはずがなかろう? 己の実力を弁えよ。デッドリーフィールド』


『きゃあああああ!?』


恋火たちの生命力が一瞬で消し飛んだ。逃げられたのは予め距離があったコノハ、蒼穹、コーラルだけ。自分を中心に一定範囲にいる敵全てに対しての即死攻撃。あんなものがあったら、近接戦も出来やしない。


それでも俺たちは障壁を貼られる前に飛び込むしかないんだよ!そしてやはりアジ・ダハーカは障壁を貼ろうとする。すると今度はアジ・ダハーカの影から竜化したノワが爪を突き出すが逆に砕かれてしまった。


『邪竜のドラゴニュートか…お前たちならわかるはずだが?』


『…みんなわかっている。それでもにぃが戦うと決めたならノワたちは戦う!』


『ふん。良かろう』


雪山全体に無数の魔方陣が展開される。嘘だろう。しかもアジ・ダハーカは九尾たちまで狙ってやがる。


『魔法阻害!』


セチアが魔法阻害を使うと一瞬、魔方陣が輝きを失うが再度輝きを取り戻す。こうなったら、全部消し飛ばすしかない!


『魔方陣は俺たちがなんとかする! みんなは攻撃を続行してくれ!』


『わかった!』


『やるぞ! イオン!』


『はい!』


俺とイオンで連携が発動する。俺が回転し、イオンがミーティアエッジを使うことで周囲に多乱刃と魔力切断が加わった斬撃を飛ばし、魔方陣を破壊する。


その間にもノワは影竜と共にアジ・ダハーカに噛み付きつつ、黒死病を使うがこれも効果がない。アジ・ダハーカの左右の首がノワに噛み付こうとするとジークと炎化したコーラルが襲い掛かり、それを止める。


二人は噛み付かれ、吹っ飛ばされる。ヒクス、ストラが再び左右の首に襲い掛かるが同じように噛み付かれてしまう。そこにチェス、ディアンと月輝夜が駆けつけ、二人を助けると直上からノワが噛み付いている中央の首を狙い、スピカが回転角で激突する。しかし衝撃波で全員が吹っ飛ばさせる。


攻撃を止めないように蒼穹が空から雷雨を降らし、エアリーが激突するが手で止められ、投げ飛ばされるとブレスを食らい、そのままアジ・ダハーカは首を動かし、蒼穹までブレスを食らう。


ロコモコが助けるように天罰をお見舞いし、黒鉄が殴りかかる。黒鉄の体にくっついていたぷよ助がアジ・ダハーカに絡みつく。


それを見たアジ・ダハーカは不快そうに紫色に光ると蘇生したエアリーが激突。落下していた蒼穹が立て直し、アジ・ダハーカに噛み付き、蒼雷を使うとサフィに騎乗したリアンが連携で襲いかかる。しかし全員が吹っ飛ばされ、ぷよ助とエアリー、蒼穹は召喚石に戻ってしまった。


そしてアジ・ダハーカの目が光る。その瞬間、俺は未来を見る。あの野郎!


「暴風雪!」


「行くわよ! 氷竜解放!」


「雷化!」


伊雪の暴風雪とクリュスの氷竜解放でアジ・ダハーカが凍ったように見えるが攻撃は止められていない。俺たちは雷化して九尾たちの上に移動すると天空から紫の光が落ちてくる。


「黄金障壁! 英雄障壁!」


『星壁!』


『星氷装甲!』


『精霊結界!』


俺たちは受ける。


『ふん』


アジ・ダハーカの声がするとアジ・ダハーカの氷が砕け、リリーたちのスキルが消滅する。あの野郎、防御スキルまで対象なのか!


「パパ!」


「ホー!」


「メェ~」


するとルーナとコノハ、ロコモコが守護を使ってくれて、なんとか耐える。


『ぼえ~!』


サフィの声が聞こえ、サフィが考えた未来を見る。


『やらさせてください! タクト先輩! 必ず守ってみせます!』


『…わかった。こい! ダーレー! セチア、今だ!』


『行きますよ! 二人共! シフトチェンジ!』


白霧を発生されたサフィと擬似女神化したリアンと俺たちの位置が入れ替える。結果、サフィとリアンが九尾たちを庇い、俺たちはダーレーの背に立った状態でアジ・ダハーカに飛び込む態勢になる。


サフィとリアンが考えた作戦、無駄にはしない!


「逆鱗!」


『ノワ! みんな! 合わせてくれ!』


『…ん!』


『ガウ!』


生き残っている全員が同時に大技を使う。俺たちの全力攻撃、受けてみろ!アジ・ダハーカ!


「聖剣技シュトルムヴァータン!」


『ガンマレイバースト!』


『冷凍光線!』


『魔法剣技! アルティメットシャリオ!』


杖や他の武器からイオンの冷凍光線が放たれ、アジ・ダハーカの地面と羽、顔を凍らせるとグランアルヴリングと聖剣グラム、エストオラシオンの攻撃にダーレーとの連携で炎まで追加した攻撃がアジ・ダハーカに直撃する。


「「くぅうう! きゃあああ!?」」


サフィたちのほうで爆発が起きる。サフィたちはいなくなってしまったが九尾たちはなんとか逃げ切ったようだ。とりあえず任務完了か…さて。


『上手く逃がしてくれたな。それに今のは効いたぞ』


ちょっとはダメージがあったみたいだ。俺たちの全力攻撃で一センチほどのダメージ…泣きたくなる。


「よく言うな…本気で潰す気なかっただろうが」


こいつが最初から俺たちを瞬殺する力を持っていることぐらいわかる。それでもしなかったのは俺たちで遊んだからに他ならない。


九尾にもまた挑まれてもこいつは脅威には感じていないだろう。それでいて九尾を狙い、それを守る俺たちの様子を楽しみやがったんだ。


『理解していたか。我らは悪。故にどんなこともする。雑魚を殺すのも弄ぶのも我らの自由だ。異論があるなら力で示せ。我らを倒せればお前たちこそ正しい』


清々しいほど単純明快。これこそがゾロアスター教の善悪二元論ぜんあくにげんろん。悪を倒せば善となり、善が負ければ悪となる。


何もしない人間もそれを悪とする人もいれば、それが善とする人もいる。いずれにしてもこの世は善と悪で構成されている。これが善悪二元論と呼ばれる認識法だ。


アジ・ダハーカはあらゆる悪の根源故に自分に勝った者こそ正義であると言っているんだ。


すると俺たち全員に強烈な重力が発生する。重力結界!?いや、規模が桁違いだぞ!?


『遊びは終わりだ。褒美をくれてやる。禁呪グラビティーコラプス!』


禁呪!?しかも グラビティーコラプス…重力崩壊だと!?惑星が終わるだろう!?


俺たちの周囲が真っ暗になる。すると桜の杖から桜色のシールドが貼られる。その瞬間、俺たちは自由になる。


『星間雲!』


『氷牢! 水圧結界!』


『列石結界!』


リリーたちがなんとかしようとするがグラビティーコラプスは止めることが出来ず、テレポーテーションで逃げることが出来ないと知った俺は装備をインベントリに戻すとシールドが消えて体が崩壊が始まった。


最後に起死回生も発動するが、グラビティーコラプスが発動中に蘇生しても無意味だ。それでも通信だけは送ることが出来た。


『すみません。代わりを送ってください』


それだけ残し、俺たちは仲良く全滅した。

ステータスアップは持ち越します。

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最新作『動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います』を連載開始しました。
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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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[一言] MMOとしては負けイベントって好まれないけど、読み物としては楽しんでるっす
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