#627 カレーライスと魔神降臨
俺は夕飯を食べてからログインするとインフォが来た。
『本日午後九時よりワールドイベントが発生します。最終ログアウトポイントの国の王都に強制転移されますので、ご注意ください』
珍しく告知がきたな。何か批判でも受けたんだろうか?それにしては突然な気がするけどな。
ギルドに顔出しているとルインさんがシャローさんたちを叱っていた。助けを求める顔をされるがスルー。ルインさんの何本も金ピカの釣竿選んでどうするの!という主張は正しいと思う。
俺はホームに帰ると朝から仕込んでおいた料理を完成させる。出来上がったのがこちら。
カレー:レア度9 料理 品質A+
効果:満腹度全回復、二時間筋力(極)、二時間魔力アップ(究)、二時間魔力自動回復(究)、蘇生
牛肉、玉ねぎ、人参、じゃがいもにオリジナルのカレールー、ブイヨンで作られた老若男女に愛されているスープ料理。これをご飯に掛けて、食べるのが一般的。隠し味にすりおろしたりんごが使われており、お肉は柔く、フルーティーな高級感があるカレーとなっている。
カレールーの材料はターメリック、クミン、コリアンダー、唐辛子、金羊毛のバター、小麦粉で作れる。他にもガーリックパウダーを使ったものや唐辛子を使わないカレールーも作っておいた。
ブイヨンの材料は鶏、牛のお肉を角切りにして、野菜くずと一緒に煮詰めて作った。この他に魚介のブイヨンや野菜くずだけのブイヨンも作った。
カレーは結構好みが分かれるから大変な料理だ。それと同時に料理人によって、味が大きく変化する代表的な料理と言っていいだろう。それ故に面白い。ということで色々試してみた。
シーフードカレーライス:レア度9 料理 品質A+
効果:満腹度全回復、二時間筋力(極)、二時間魔力アップ(究)、二時間魔力自動回復(究)、蘇生
エビ、あさり、イカ、玉ねぎ、人参、じゃがいもにオリジナルのカレールー、ブイヨンで作られた老若男女に愛されているスープ料理。これをご飯に掛けて、食べるのが一般的。魚貝たっぷりのカレーとなっている。
野菜カレーライス:レア度9 料理 品質A+
効果:満腹度全回復、二時間筋力(極)、二時間魔力アップ(究)、二時間俊敏値アップ(究)、蘇生
玉ねぎ、人参、じゃがいもにオリジナルのカレールー、ブイヨンで作られた老若男女に愛されているスープ料理。これをご飯に掛けて、食べるのが一般的。
これに砂糖やチョコレート、キムチを隠し味に使ったりする。するとキキが来た。
「リリー様たちがお腹を鳴らして机で倒れているので、そろそろお料理を出してあげてください」
楽しみ過ぎたらしい。まぁ、結構自信作だから自信を持って出そう。
「やっと食べれる~!」
「ずっと美味しそうな匂いがする中、待たされるのは拷問ですよ。タクトさん」
「朝からずっとでしたからね」
「つまみ食いを阻止するのが大変でした」
キキの言葉に全員がバツの悪い顔をする。かなりの戦いがあったみたいだ。俺はカレーを持っていくと全員が疑問に思う。
「量が少ないよ? タクト」
「悲しそうな声をしないでくれ。色々味が違うカレーを作ったから全部の味を食べてみて。どれが美味しかったか教えてくれ」
『わかった(わかりました)!』
たくさん食べれるとわかると元気になるリリーたちである。まぁ、予想はしていたが全員の好みはバラバラ。しかも毎日違う味を食べたいとか言い出した。これにはストップを掛ける。
更にシグルドさんたちやリーゼたち、リープリッヒやギルドにお城にもカレーを届けた。みんな美味しいと言ってくれるがやはり好みはバラバラだ。リープリッヒではお客同士の口論までに発展しそうだったので、俺のカレーを出さない宣言で終息させた。
まぁ、これを振舞ったのは俺たちなりの対策だ。サバ缶さんにカレーをたくさん作る話をするとワールドイベントでこの国が狙われる可能性が高いからやれることはやろうという話になったのだ。
そして時間となるとフリーティアの上空に映像が流れた。
『ご機嫌よう! 愚かなる異教徒ども! 私はゴネスのピエール枢機卿! いずれ法王となり、この世界を支配する者だ!』
うーわー。痛い奴が現れたよ。凄いダサいセリフ。こう言う奴は長生きしないんだよね。一種の死亡フラグだ。プレイヤーの殆どがそう思っているだろう。それにしても演説場所が何故か城壁の上だな。
「外に出るぞ」
『うん(はい)!』
俺はサバ缶さんに連絡する。
『与一さんたちはいますか?』
『全員強制的に転移されましたからギルドにいます』
『予定通りタスラムの準備をお願いします。ギルド全員にも戦闘の用意を』
『はい! もうみんな動いていますよ』
でしょうね!でも一応ギルマスだからこういうことはしないといけないと思うわけですよ。俺たちが外に出るまで演説は続いている。庭には招待したシグルド、ブリュンヒルデ、レギン、ヘリヤ、ジャンヌ、ベルトランさん、リーゼ、オリヴィエさんがいた。
『私は今日! この日こそ我らが神の誕生の日となることを全世界の人間に対して宣言する! さぁ、見るがいい! 我らが神の姿を!』
映像にはゴネスの都全てを覆う超巨大な魔方陣が展開されたところだった。そして祈りを捧げている市民や騎士が絶叫して消えていく。
「なんじゃ、これは…」
「見てはいけません。お嬢様」
「なんということを…」
「人が…ゴネスの人々が…ピエール! 正気か貴様!」
ジャンヌたちが膝をつく中、それを見ていたファリーダが告げる。
「タクト…これは最悪の事態よ」
「ファリーダ?」
「あの魔方陣は魔の頂点の存在…魔神を召喚するための魔方陣! そして今、消えた人たちは魔神の生贄に捧げられた人々! あれだけの命を使うほどの魔神なんて主神クラスよ!」
まさか…あいつを召喚するつもりなのか!?ダメだ。ここからじゃあ、もうどうすることも出来ない! 俺は黄龍の杖を取り出す。
そうこうしているうちに魔方陣から赤褐色の超巨大な光の柱が魔方陣から天を貫き、町を破壊した。そして禍々しい光の中からそいつは姿を見せた。
最悪魔神アンラ・マンユ?
? ? ?
その大きさはディザスター・キマイラの比ではないほどただ巨大だった。その姿を一言でいうならドラゴンの魔王。頭には禍々しい悪魔の角を生やし、体や尻尾は蛇みたいだが、足や手はドラゴンの鱗のように見える。
背から悪魔の翼を六枚、手には巨大な杖を持っている。魔神という位を証明するように鎧や装飾を装備している。そして体中にまるで守るように多くの大蛇が巻きついていた。
あれがゾロアスター教の最強の悪神!アンラ・マンユ!そしてインフォが来る。
『ワールドイベント『魔神大戦』が発生しました』
ワールドイベント『魔神大戦』:難易度SSS
報酬:結果により変動
対象:全プレイヤー
特殊条件:町での戦闘発生
魔神アンラ・マンユを討伐せよ。
いやいや。あれを倒すのかよ。冗談きつすぎだ。




