#615 決勝トーナメント第二試合と三位決定戦
第二試合は『鉄鋼銃部隊』と『精霊姫』の試合だ。互いに必殺技を知っているもの同士の戦いだ。ただシフォンの必殺技は使ってしまったからどうなるかな?
「試合開始!」
試合は雫ちゃんの攻防戦になった。守りが硬い満月さんたちに対抗するために雫ちゃんの大魔法を求めるのは当然かもしれない。
雫ちゃんとワイフさんを固めて、それを必死にアーレイとカイが守っている形だ。そして前進してくる満月さんたちをシフォンとミランダが牽制している。
アーレイとカイはもう必死だ。与一さんたちが『ブルーフリーダム』の銃士に負けじと跳弾を披露しているからだ。しかもその中に純銀散弾などが紛れているから厄介だ。
「それにしても変だな」
「私も思いました! このままだと大魔法が発動しちゃいますよ? タクトさん」
「あぁ。満月さんたちも動かない。これは俺たちが知らない魔法対策があるな。だけどそれが誰がもっているかわからないから、シフォンとミランダは攻められないんだ」
さて、どうなるかな。雫ちゃんが魔法を発動させると同時に全員が一斉に動いた。
まずはシフォンが満月さんたちを止めに仕掛ける。
「アクセラレーション! ミーティアエッジ!」
「堅城鉄壁!」
満月さんではない重戦士の人が盾と体でシフォンの攻撃を止める。
アーレイとカイが必殺技を構える。
「「ロードーーッ!?」」
与一さんともう一人の銃士が止める。キーは与一さんじゃない?だとすると満月さんか?ミランダが構えて、雫ちゃんの魔法が発動する。
「覇撃!」
「惑星魔法! マーキュリー!」
「「ファランクスガード!」」
む!?満月さんともう一人に重戦士が覇撃のガードに回った。なら魔法を防ぐのは。
上空の魔方陣に漆黒の銃弾が飛んでいき、魔方陣に当たると魔方陣が砕け散る。撃ったのは最後の銃士の人だ。しかしまだ勝負は決していない。
「エントラスト!」
ワイフさんがエントラストを雫ちゃんに使い、魔法の体制を作ろうとした。しかしどうしても銃士と比べると遅かった。
与一さんたちの射撃が雫ちゃんを襲った時だった。ワイフさんがその身で雫ちゃんを守った。ルークの時にもあったが俺はその光景に流石にグッときた。だって、イオンと被りしかも母親。俺にはこの絵はきつすぎる。
それはカイと雫ちゃんもそうだった。雫ちゃんは魔法を忘れ、カイはワイフさんに駆け寄ってしまった。
「おい! カイ! ッ!?」
「「ファランクスペネトレーター!」」
アーレイが満月さんたちに狙われた。一つは盾で防げたがもう一つの槍は無理だった。
「…クラスターシュート」
「ッ! 雫! くそぉおおお!」
更に集まっている雫ちゃんとカイに空から銃弾の雨が降り注ぎ、カイが必死に雫ちゃんを守るが普通の盾では不可能だった。しかも自分と雫ちゃんを守ろうとしたからダメージが二人に入り、倒されてしまった。
勝負の世界だ。この攻めには文句を言っちゃいけないだろう。言い方は厳しいが勝負より私情を優先した結果だ。カイと雫ちゃんは俺のように切り替えられなかった。それは彼らの美徳だと俺は思う。出来ればこの判断に責任を感じて欲しくないな。
「…参ったね」
「えぇ…完全にやられたわ」
「でもまだ戦えるよね?」
「もちろんよ!」
二人は最後まで戦ったがやはり数的有利をどうすることも出来なかった。
「勝者! 『鉄鋼銃部隊』!」
あーあー。相手が満月さんと与一さんたちかぁ…これは大変だ。まぁ、俺は召喚師らしくリリーたちに勝負を任せるだけだ。
大変なのがこれから始まる三位決定戦。『ブルーフリーダム』と『精霊姫』。カイたちが引きずって無ければいいが…。
休憩が入り、対戦が行われたが、結果は『ブルーフリーダム』の勝利だった。
もう両者の勢いが全然違う試合になった。『ブルーフリーダム』は俺との勝負の鬱憤を晴らすように攻めまくり、シフォンたちはそれに対応しようとするが対応出来なかった。
開幕の同時にロードカリバー二発を躱されたのがでかかったなぁ。安心したのがシフォンたちは前の試合でギスギスした関係になっていないことだ。シフォンやワイフさんが上手くフォローしたんだろう。こういうのはアーレイでは無理だ。
しかし全員が攻めてくる『ブルーフリーダム』と後衛が二人いて、盾持ちの重戦士がいないシフォンたちの編成では彼らの攻めを止めれなかった。これは『ブルーフリーダム』を褒めるしかない。
彼らを真っ向から止めるなら盾持ちの重戦士が最低一人は欲しい。もちろん実力で止めれるならそれがベストだが、それが出来ないなら硬さと回復補助で耐えるのが理想だろう。
これで残すは決勝戦のみ。
俺はリリーと恋火に支えられて、リングに向かう。だって、ペナルティーがあるんだもん。




