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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
パラディンロードと第二回決闘イベント
635/1718

#608 決闘イベント本選Bブロック一回戦

お昼を食べた後、俺たちはコロッセオの控え室にいた。


「本当にやるんですか? タクトさん?」


「あぁ。俺たちはみんなと違って情報をほとんど知らないからな。やるなら一番最初だろう」


「本当に成功するんでしょうか?」


「成功するんじゃなく、させるんだよ。こういうのはな」


俺たちが作戦の最終確認をしていると第一試合が始まった。控え室にはモニターが設置されており、見ることができる。対戦カードは『フォールンアーク』と『プロテイン』。アロマのチームだ。メンバーはフォールンエクスシーア、グレーターデーモン、バンシー、ガーディアンガーゴイル、オーガだ。


バンシーはピクシーの進化であるシルキーの次の進化だ。ガーディアンガーゴイルはガーゴイルの進化だな。一見すると悪魔の軍団だ。


対する相手はパーティーメンバー全員がタンクトップ姿…恐らく格闘家パーティーだろう。何やらポーズを決めている。俺にはアロマだけじゃなく、召喚獣全てが引いているのがわかる。


「タクト~あの人たちは何をしているの?」


「…俺にもちょっとわからないな。世の中にはわからないことがたくさんあるんだぞ。リリー」


「ふーん」


『誤魔化した』


なら教えてやれって。筋肉を見せびらかしているだけだって。そしたら、なんで?とかの質問が来るだろうが!それを答えることは俺には出来ない。だって、理解できないんだもん!


そうこうしているうちに試合が始まった。


アロマの動きはまずはフォールンエクスシーアは空を飛び、無数の紫電の槍が『プロテイン』の人たちの襲いかかった。


『筋肉が! 痺れる~~~!!』


そういいながらタンクトップ軍団は全員アロマ目掛けて全力ダッシュだ。効いてないみたいだな。いや、ダメージは入っているが格闘家の自己回復スキルで治っているみたいだ。


あれには麻痺効果もあるはずだが、状態異常無効かな?食らいながら走っているから堅牢もありそうだ。それにしても悪夢の映像だな。リリーたちの口が開けっ放しだ。


しかしパワー自慢ならアロマにはグレーターデーモンとオーガがいる。


グレーターデーモンとオーガが大剣と斧を振りかぶる。


「「いい筋肉だ! だがプロテインが足りてないぞ!」」


『うそ…』


グレーターデーモンとオーガのフルスイングの攻撃をそれぞれ一人で受け止めていた。どれだけ筋力差があればあんな芸当が出来るんだろうか?それに見た目に惑わされそうになるがあの人たち、技術も相当ある。武器を素手で受け止めるなんて誰でも出来ることじゃない。


俺も真剣白刃取りの訓練を受けたが動体視力と技術、度胸などが要求される。間違いなく強敵だ。


残りの四人がアロマに迫るとアロマのバンシーが動いた。


バンシーは手を合わせると突如絶叫した。すると『プロテイン』のメンバー全員にデバフが掛かり、倒れる。状態異常無効を擦りぬける全体デバフ攻撃か…強いな。


『筋肉が…足りない…』


「今です!」


全員が襲いかかる。全員が決まったと思ったがやはりここまで勝ち上がってきたパーティー。弱いはずが無かった。


『肉体覚醒!』


デバフが解除され、タンクトップが千切れるほど筋肉が膨れ上げる。それと同時に彼らの気も爆発的に上がった。


『ぬん!』


筋肉の塊となった格闘家たちに飛び込んだ召喚獣たちは見事にカウンターを食らってしまった。防御自慢のガーディアンガーゴイルは生き残ったが他の召喚獣たちは倒された。


『ふぅ~…ふぅ~…ふぅ~』


「う…」


全身から気?それとも湯気を出している筋肉集団の悪夢の光景にアロマはガーディアンガーゴイルと共に空に逃げた。そして上空から魔法攻撃を続けるが流石に勝負あった。


「そこまで! 勝者! 『プロテイン』!」


『マッスル!』


決めポーズまで完璧だな。バカっぽく見えるが計算された作戦も垣間見れた。要注意しないとな。するとリリーたちにつつかれて、振り返る。


『戦いたくない…』


まぁ、女性には悪夢のような存在だろう。この反応は当然かも知れない。


悪夢の試合が終わり、次は第二試合。対戦カードは『鉄鋼師団』と『レンジャー』だ。『鉄鋼師団』はバエル戦で一緒に戦った帝さんのパーティーで『レンジャー』は迷彩服に銃にヘルメットを装備している恐らく狩人パーティー。


さて、これも不気味なパーティーだ。どんな戦闘をしてくるか。


「試合開始!」


『レンジャー!』


最初に『レンジャー』の人たちは煙幕が投げた。本格的な作戦で来たな。帝さんたちは密集陣形で守りを固める。流石だな…この煙の中、無闇に動くのは相手の思う壺だろう。


案の定、銃撃が開始されるがしっかり防いでいる。しかし俺は違和感を覚えた。


「…数の割に銃撃の音が少ないな」


「え? そう言われてみれば少ないような?」


これは帝さんたち、やられたな。


煙が晴れて、帝さんたちは打って出る。


スナイパーのような体制の狩人を見つけ、襲いかかるとワイヤートラップに引っかかってしまった。


「な!? しまっ」


「これがレンジャー部隊の戦い方だ」


ヘッドショットをくらい、一人倒された。


「く…」


帝さんたちは身動きが取れなくなってしまった。しかし一人倒されてしまったからには打って出るしかない。結果狩人たちが仕掛けた地雷や毒ガスの餌食となり、帝さんたちは敗北した。


『勝者! 『レンジャー』!』


『レンジャー!』


ここの組は叫ばないといけないグループなんだろうか?


それにしてもレンジャーは恐らく陸上自衛隊の精鋭部隊の名前だったはずだが、当然そんな人たちがゲームしているはずがないだろう。レンジャーまでなった人が自衛隊を辞めるとも思えないし、きっと元自衛隊とか憧れているだけのパーティーなんだろうな。


しかし戦略は見事なものだ。俺はくじ運がいいのかも知れないな。


「リープリングの皆さん、リングの方に向かってください」


「…行くぞ」


『うん(はい)!』


俺たちがリングに上がるとフードを被った怪しげな集団がいた。あれが俺たちの対戦相手か『騎士でも魔法が使いたい』のメンバーか。折角フード被っているのに個人戦で魔法剣士が出たから名前でどんなパーティーかバレバレだ。これで全く違うパーティーだったら、びっくりするけどな。


俺の武器は水樹の杖を選択。相手が魔法剣士パーティーなら勝負を決めるのはスピードだ。


「試合開始!」


『アクセラ』


「ミスト!」


やはりアクセラレーションで来るよな。予想通りだ。


「隠れても無駄だ! トルネード!」


「星壁!」


竜巻で霧が飛ばされ、リリーが竜巻を星壁でガードする。貰った!


「ユウェル! お前の必殺技を見せてやれ!」


「任せろ!」


「何!?」


「何か来るぞ! 備えろ!」


魔法剣士たちが警戒する中、ユウェルの必殺技。地面で丸くなるが発動した。


『?』


相手パーティーを含む、会場全てに?が出た気がした。そうなるだろうよ。


「「ごめんなさい」」


『へ? ぎゃあああああ!?』


魔法剣士たちは霧に紛れていたイオンと恋火に斬られて倒された。


「勝者! リープリング!」


『えぇえええええ~~~!?』


誰もが予想しない一種のだましうちに会場が驚きに包まれるのだった。


「…もういいか? タク」


「あぁ。お疲れ様。ユウェル。見事な必殺技だったぞ」


「当然だ!」


この作戦は一種の賭けだった。こういうのは最初にやったもん勝ちな側面が強い。一度誰かがすると次の人たちはまず引っかからないからな。運が良かった。


俺たちが観客席に戻る時にユウェルファンが急増していた。丸まるユウェルの可愛さにやられてしまったようだ。戻るとアウラさんが鼻にティッシュを詰めていた。


「さいほう(最高)だったわ…タクト君」


幸せそうで何よりだ。


「なんというか…タクト君らしい作戦だったね」


「全くだよ…普通こんなことしないよ?」


「だから引っかかるんだろう?」


『これだよ』


全員から呆れられた。さて、次は俺たちの次の対戦相手を決める試合だ。対戦カードは『流れ星』と『スカイインパルス』だ。バエルイベントで戦ったシリウスさんたちとアルさんの勝負だ。


アルさんのメンバーはグリフォン、ワイバーン、朱雀、サンダーバード、キメラだ。キメラはキングコブラ、スケープゴート、レーヴェの三体合成召喚で召喚できたらしい。その時はレッサーキメラで今では進化している。アルさんはグリフォンに騎乗している。


これは派手な戦いになりそうだ。


「試合開始!」


始めるとやはり空中攻撃と地上からの銃撃の勝負となった。最初にアルさんたちはシリウスたちが撃った純銀散弾を受けてしまった。あれはうちでしか作っていないはずだが、ライヒから救援に来てくれた人たちが持ち帰ってしまったのか、それとも俺たちの物を見て真似したのか謎だ。


かなりのダメージを受けたアルさんだが、朱雀やサンダーバード、ワイバーンが守りに入ったため、ピンチを脱することができた。


そしてここからはアルさんが有利となる。次々、空から攻撃をされ、シリウスさんたちは後手に回っている。それでも回避しながら正確な射撃するから大したものだ。


さて、こうなるとどちらも決め手には掛けることになる。しかしこのままズルズル行くはずがないだろう。そしてその予感は当たった。シリウスさんたちがなんとカルバリン砲を取り出した。


それを見たアルさんは破壊の指示を出す。当然だ。あんなものに狙われたら、たまらないだろう。それをシリウスさんたちは見越していた。急降下したアルさんたちに放たれた弾がアルさんたちの手前で破裂すると鉄の網が張られ、アルさんたちは見事に全員捕まってしまった。


「く…破壊して」


「残念ながら終わりです」


最後はアルさんが撃たれて終わった。


「勝者! 『流れ星』!」


それを見てメルたちが呟いた。


「あれがアパオシャを捕まえたカルバリン砲だね」


「ライヒ帝国の切り札らしいからシリウスさんたちが持っていても不思議じゃないかな?」


あれが切り札なんだ。するとシリウスさんたちと視線があった。面白い…その勝負受けて立とう。

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