#604 パーティー戦訓練
現実で佳代たちと町をぶらついてから、再度ログインする。義父さんは何も不思議に思っていない。完璧だ。
午後の後半訓練は俺たちの集団戦闘。相手に選んだのはセチア、イクス、和狐、ブラン、セフォネ、ファリーダだ。かなり強いと思う。
「なんでボクを選ばないのさ~」
リビナが文句を言うが嫌な予感しかしないからだよ。さて、俺抜きでどこまで機能するかお手並み拝見だ。
決闘
対戦:タクトチーム、セチアチーム
時間制限:なし
勝敗:相手チームの全滅
審判:リアン
「では、始め!」
こちらはいつも通りリリーが飛び出し、イオンと恋火もそれに続く。対する相手はファリーダ、ブラン、イクスが対応に動いた。
リリーとファリーダのパワーが激突する。
「む!」
「リリーと戦うのは初めてね! どちらのパワーが上か決めましょう」
「望むところだよ!」
そしてイオンには予想外のブランだ。
「ブランが来ますか」
「はい。以前のリベンジをさせてください! イオンお姉様!」
「望むところです! また返り討ちにしてあげますよ!」
イオンとブランは空で高速戦闘を開始した。そして恋火にはイクスだ。イクスがツインエネルギーソードを構えて、恋火に言う。
「マスターの連携相手に一番相応しいのはわたしです」
「違います! あたしです!」
「では、どちらが相応しいか」
「勝負です!」
剣撃のラッシュが開始された。なんというか物の見事に挑発に乗ったな…これを考えたのはファリーダだな。
「アローレイン!」
魔法ではなく弓で来るか…いい判断だ。
「ユウェル!」
「任せろ! 金属壁!」
すると俺の背後からセフォネが現れた。
「貰った!」
「…竜技ドラゴンテイル」
「ぬぅぅ!?」
俺の影からノワの強烈な尻尾の一撃がセフォネを捉え、ぶっ飛ばした。
「やはり妾の前に立ちはだかるのはノワか!」
「…にぃの影を使うなんて百年早い」
「ぬぅ…しかし強さでは妾のほうが上じゃ!」
「…負けない」
さて、こうなると和狐がポイントになるな…どうくるか。
「む!? タク!」
金属壁から飯綱がすり抜けて、飛んできた。俺はそれを迅雷で斬り裂く。いい作戦だが、それだけじゃダメだぞ。どうくる?
すると金属壁を飛び越えてファリーダとイクスが来た。なるほどね…よく考えられているよ。どうやらリリーと恋火は結界に閉じ込められたな。
「はぁああ!」
「む! はぁああ!」
ファリーダとユウェルの斧がぶつかり合う。
「ユウェルとは面白い勝負が出来そうなのよね。お相手願えるかしら?」
「もちろん!」
勝負を吹っ掛けられるとすぐに乗るのはドラゴニュートの弱点だな…そして俺の相手はイクスだ。
「久々の一騎打ちですね。マスター」
「だな。ただ今までのようにはいかないぞ。イクス」
「わかっています! 全力で行かせてもらいます!」
結果俺たちの敗北。無理無理、イクスはミア、ディオを呼ぶし、俺のところに和狐まで来たら、対処不可能だ。召喚師の弱点は召喚師自身であることを証明するような戦闘だった。
「見事に作戦にハマっているじゃないですか!」
「イオンちゃんも結界に閉じ込められそうになった癖に…」
「そうですよ」
「う…私は逃げれたからいいんです!」
話を聞いたら、どうやら最初に和狐が結界でリリーを閉じ込めて、その間にセチアが杖に持ち替えて、精霊結界を使い、和狐が飯綱を使った流れになるそうだ。
「アローレインでわざと金属壁を使わせたわけか?」
「はい。見えていたら、タクト様が私を狙いますからね」
「イオンは動けなかったのか?」
「イオンちゃんはブランちゃんとの戦闘に集中していたんだよ。タクト!」
リリーの指摘にイオンは顔を逸らす。恐らく普段のイオンなら冷静な対応をしたはずだ。それをしないほどイオンもブランとの戦闘を楽しみにしていたんだろう。あの時はまだブランは進化していなかったからな。それも踏まえて、イオンにブランをぶつけたんだろう。
「ファリーダの作戦勝ちだな」
「まぁね。でもタクトも人が悪いわね…私たちまで試していたでしょう? タクトなら誘いには乗るはずがないもの」
「…これでも召喚師だからな」
俺の回答にリリーたちが文句を言うが俺が一騎打ちの邪魔をしたら、怒るだろう?と聞いたら、無言になった。まずはこれを教えないとな。
「集団戦だと必ずしも一対一とは限らない。それは前の戦いでも経験しただろう?」
『うん(はい)』
「俺たちがこれから戦う人たちは誰に人数をかけるべき考えて攻めてくる。一対一の時に不意打ちされることは当たり前だと思って戦うようにな」
『はーい!』
なんか学校の先生のようだ。大丈夫かな。その後、メンバーを変える。次の相手はグレイ、虎徹、ゲイル、白夜、優牙、ハーベラスの獣編成だ。
「負けられないよ! タクト! 指示頂戴!」
今回はちゃんと聞いてきたな。なら指示出しをしよう。
「そうだな…たぶん全員飛び込んで来る。グレイには幻狼があるから数的有利は向こうにある。まずはこれを潰さないといけない」
グレイの幻狼に一々奇襲を受けたら、たまらないからな。故に初手が勝敗を左右するだろう。
俺は作戦の指示を出し、次はそれぞれの相手の指示を出す。
「グレイの相手はイオンが頼む。イオンのスピードなら幻狼に対処出来るはずだ。虎徹の相手は恋火が頼むな」
「「はい!」」
「白夜はリリー、優牙はノワ、ハーベラスはユウェルにしよう。ゲイルは俺が止める」
『わかった!』
ゲイルは次の宝珠クエストでもあるからな。お相手願おう。更に作戦を指示して準備完了。
決闘
対戦:タクトチーム、グレイチーム
時間制限:なし
勝敗:相手チームの全滅
審判:ファリーダ
「行くわよ。試合開始!」
『ガァアア!』
やはり開幕速攻狙いだよな。でも簡単には行かないぞ。グレイ。
「竜技! ドラゴンウェーブ!」
六匹に波が押し寄せる。全員が飛び上がろうとする。そうするしかないよな。だがそうはいかない。
「…魔眼! 影縛り!」
「重力操作!」
「「ガウ!?」」
優牙が動きとスキルを封じられ、ハーベラスは重力に押しつぶされ、強制お座り状態。逃げ場はない。
更に空でリリーが白夜に襲いかかるとこれがいい勝負になった。心を読む白夜と未来を見るリリーの勝負だから当然かも知れない。ただリリーは白夜にとって、天敵と言っていいだろう。実際にやりにくそうだ。
これにも理由がある。他心通はかなり強力なスキルだが本能で戦う敵に対しては恐らく弱い。何せ瞬時に行動を変えるから心を読んでも突如行動を変えられたら、あまり意味がないからだ。
しかもリリーは自覚なく白夜と戦っているが白夜は霊化が出来ない。霊化をした瞬間消されるからな。結果互いに探り合いの戦いになるわけだ。
虎徹は恋火に襲いかかられて跳躍した勢いを無くし、詰むと思ったがゲイルが下から支え、恋火と激しい剣戟を交わしている。あれの邪魔をするのは無粋か。実際の決闘なら爆魔法で一網打尽なんだけどな。今回はゲイルの実力を知りたいから見逃そう。
イオンのドラゴンウェーブで無事だったのはグレイ、虎徹、ゲイル、白夜だ。虎徹と白夜は戦闘中だ。
するとグレイが幻狼を出してきた。それに対応に動いたのはイオンだ。
「ミーティアエッジ!」
流星の斬撃が幻狼を消し去り、そのままグレイに襲いかかるがグレイは爪でイオンを吹っ飛ばす。先制を上手く使うようになったな。
一方俺たちは多勢に無勢状態だが、ノワは俺の影にユウェルは土にひそんだ。そして俺は迅雷でゲイルに襲いかかると黄金障壁でガードされる。やはり黄金障壁は硬いな。
俺は連続で斬ってもビクともしない。するとゲイルは電磁操作で迅雷は引き寄せてしまう。その手があったな。そして迅雷は自在に飛ばしてくる。しかしそう来るなら俺も容赦しないぞ。水樹の杖を取り出す。
『『『『ディメンションボム』』』』
黄金障壁内部を起爆するが逃げられ、体制を整えると閃電を使ってくる。
「「「「マグネットサークル!」」」」
「ガァ!? ガァアア!」
「ルーンアクション!」
一度はマグネットサークルに囚われたゲイルだが、すぐに電磁操作でマグネットサークルをなんとかしようとする。しかし俺の追い打ちのルーンアクションで身動き出来なくなった。
「ガァアア!」
ゲイルは雷魔法のブリッツを使って来た。あそこでサンダーヴォルテックスを使わず、速さ優先で攻撃したのはセンスだな。しかし俺は余裕で躱すとブリッツが曲がり、俺に命中した。
なるほど…電磁操作で雷魔法の動きを操作出来るのか。今まで見たこと無かったがこれは今後、使い道がありそうだな。しかしやられっぱなしではいられないな!
『デトネーション』
ゲイルに爆轟が炸裂した。しかしゲイルは生きていおり、突っ込んできた。一発にしたのはミスだったか。
「竜技! ドラゴンアーマー!」
地面から出てきたユウェルがドラゴンアーマーを使い、閃電のゲイルと角同士がぶつかり合う。結果はユウェルがゲイルを弾いて見せた。ここまでの防御力があるんだ。と感心している場合じゃないな。
「デトネーション!」
これでゲイルは終わり。残りはグレイ、虎徹、白夜だが、戦闘を見守るつもりがグレイだけはしっかり俺を狙ってきた。
「む! 強制! あぐ!?」
大盾を取り出し、強制を使うユウェルに大盾を踏み台にしたグレイが飛び上がり、ブレスの体制になる。
「冷凍光線!」
そこに幻狼を処理したイオンの冷凍光線が命中し、グレイが倒された。その後はリリーと恋火も勝利し、俺たちチームの初勝利となった。そして話し合い。
「やはり初手が結構重要だな」
「数的有利をどれだけ早く作り出すかで戦況がだいぶ違いますね」
「さっきの勝負も普通ならもっと横槍が入るものね」
それから俺たちはリビナ率いるルーナ、伊雪、ミール、クリュス、千影の妖精、妖怪チームと戦う。俺たちはイオンのドラゴニックサイクロン発動までの耐久作戦を選び、イオンを守り切り快勝。
「酷いよ! タクト! 完全に本気だったじゃん!」
「リビナだってしつこく誘惑スキルとか使って来ただろうが!」
「封印魔術でずっと足止めなんて酷いであります!」
「また首を切られるのはごめんだからな!」
生憎自らの夢魔の加護で誘惑が効かず、千影は速攻でルーンアクションとルーンスキルで完全封殺させてもらった。後は伊雪をリリーが対処し、ルーナがノワ、ミールが恋火、クリュスをユウェルが抑えた形だ。
「強いとは思っていたけど、ユウェルは本当に強いわね」
「クリュスも強かったぞ! わたしも尻尾に刃が欲しくなった!」
ユウェルは結構コレクター思考があるな。最後に黒鉄、ヒクス、ディアン、ストラ、スピカ、月輝夜の弩級パーティーと戦闘。普通なら負けそうだが、俺に秘策がある。
最初にヒクスとスピカが突っ込んできた。リリーと恋火が対処する。その後はユウェルが中心となり、俺、イオンが守りに入る。やはり封印魔術の範囲拡大はでかい。厄介なブレスやスキルを封殺出来るからな。
そしてノワのイヴィルグラントペインが発動する。魔方陣から現れた影の蛇に噛み付かれ、黒鉄たちは仲良くデバフにかかる。これで戦況が一気に逆転した。俺たちが黒鉄、ディアン、月輝夜にダメージを与えるとみるみる生命力が減っていく。
再生持ちはこの魔法の餌食だ。ディアンにも効いているということは星の加護でも対処出来ない魔法なんだな。
これを見たヒクスたち三人は俺を狙いに来るがストラはユウェルのフレイルモーニングスターをモロに受け、ぶっ飛ぶと石波動で石化する。
しかしこれで俺はフリー。スピカの光速激突を俺は止める。光速激突は必ず直線で飛んでくる。戦争中にしっかり弱点は研究していたさ。
俺はスピカを逸らすと更にヒクスが来るが俺はカウンターで迅雷を斬り裂くと万雷が発動し、更に恋火が斬り裂いた。これで残ったのはスピカのみ。しかしまぁ、苦戦した。
スピカを一度倒してからが大変だった。蘇生したスピカは狂戦士化と逆鱗を使用し、光速激突の連続攻撃をしてきた。こっちはスピードに更に筋力が上がった攻撃は対処出来ず、守りの一手となり、最後はスピカの魔力切れで詰み。改めてスピカの強さを実感した戦闘となった。
これで訓練は終わりにして、ログアウトしよう。
名前 ユウェル ドラゴニュート・コアLv1
生命力 150
魔力 110
筋力 202
防御力 266
俊敏性 94
器用値 104
スキル
鉄拳Lv2 万物武装Lv5→Lv6 採掘Lv1 鍛治Lv10 堅牢Lv6→Lv7
強制Lv6→Lv7 竜角Lv1→Lv2 激突Lv3→Lv4 超感覚Lv5→Lv6 竜眼Lv3→Lv4
高速再生Lv5 格納Lv3 練気Lv6→Lv8 荷重操作Lv3→Lv4 金属装甲Lv5
金属壁Lv3→Lv7 宝石投擲Lv1 重力操作Lv3→Lv4 土魔法Lv10 土潜伏Lv5→Lv7
集束Lv1 石波動Lv3→Lv4 逆鱗Lv1 竜魔法Lv6 竜技Lv4→Lv5
竜化Lv2 ドラゴンブレスLv2 起死回生Lv1 星核竜の加護Lv5
名前 白夜 白虎Lv9
生命力 90
魔力 123
筋力 145
防御力 76
俊敏性 188
器用値 100
スキル
噛み砕くLv28 風爪Lv33 他心通Lv20→Lv22 神足通Lv31→Lv32 跳躍Lv19→Lv20
天耳通Lv13→Lv14 防御無効Lv17→Lv18 暗視Lv26 威圧Lv13 風魔法Lv28
地魔法Lv2 雷魔法Lv20 森林操作Lv5 地脈操作Lv5 仙気Lv30
霊力Lv20 霊化Lv13 聖波動Lv8 暴風Lv17 咆哮Lv16
縮地Lv30 荒魂Lv4
名前 スピカ ペガサスLv5
生命力 150
魔力 192
筋力 223
防御力 82
俊敏性 274
器用値 132
スキル
回転角Lv37 光速激突Lv34 物理破壊Lv32 集束Lv21 騎馬Lv31
水上走行Lv18 危険予知Lv26 気配遮断Lv13 残像Lv13→Lv14 星雨Lv7
雷放電Lv6 光線Lv9 光鎖Lv2 暴風Lv27 疾駆Lv35
飛翔Lv18 衝撃波Lv10 英雄騎手Lv28 浄化Lv13 幻影Lv30
木魔法Lv18 海魔法Lv4 神聖魔法Lv11 雷魔法Lv21 雷霆Lv2
狂戦士化Lv3→Lv4 蘇生Lv2→Lv3 譲渡Lv3 逆鱗Lv2→Lv3 星獣の加護Lv13




