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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
始めてのVRMMO
62/1716

#60 それぞれの国と交渉

リリーとイオンが正座から開放されるとモッチさんが話しかけてくる。内容はバイト代の受け渡し。そして受け取るとモッチさんが聞いてくる。


「タクト君、知らない間にお金稼いだわね。賞金首でも倒したの?」


「まぁ、そんなところです」


ある意味、間違ってない。しかしこの大金どうしたものか…俺が悩んでいるとモッチさんが思わぬ提案をする。


「そんなにお金があるなら別の国に移り住むことができるね」


ん?ちょっと待て、その発言おかしくね?


「あの…若木の森に恐ろしく強いモンスターがいるんですが」


「え?あ、あぁ。守り神様のことかな?」


え…あのボスさん神様なの?


「ひょっとして、戦ったりしたの?」


「いえ、別の人が戦ってやられたので、逃げましたよ」


「それはいい決断したね。若木の森はね。この世界の木々が生まれた場所って呼ばれてるんだよ。そこを守護する守り神様を倒すことは国から禁止されているんだよ」


こわっ!?何その設定!?


「えっと、では、どうやって他の国に行けばいいですか?」


そう、肝心なのはそこだ。


「そんなのお金を払って許可証を貰って馬車とかで移動すればいいんだよ」


え、えぇ…何その現実で電車の切符買って、電車に乗ればいい的なノリは…


「では、その許可証はどこで貰えんですか?」


「各ギルドで貰えるよ。ある程度、レベルがないと貰えないらしいけど、タクト君たちなら大丈夫じゃないかな?」


えぇ…それなら結構早く他の国に行けたのかな?


「ちなみに許可証っておいくらで?」


「行く国によって値段が違うよ」


マジですか…というかその話だと色んな国があるみたいだな。聞いてみるか。


「ちなみにどんな国がありますか?」


「この町からだと鉱山の国ヴェインリーフ、自由の国フリーティア、産業の国ワントワーク、神皇国ゴネス、ライヒ帝国に行けるね」


一気に国名が出たな。ヴェインリーフは英語だな…確かヴェインとリーフ両方鉱脈や石の意味だったはず。


フリーティアは自由の涙か?自由となって涙を流した国なのかな?


ワントワークは多分、英語で働きたいって意味の熟語から取った気がする。


ライヒはドイツ語でより大きな国家って意味だったと思う。


ゴネスはゴッドネスから取ったのかな?女神って意味だけど女神を信じてる国なのかな?とにかく色々聞いてみよう。


「それぞれの国の特徴とかってありますか?」


「もちろんだよ。ヴェインリーフは鉱山の国だから当然武器や防具の作成がメイン。鍛冶職人の聖地って呼ばれているんだよ」


ほう、クロウさんが選ぶとしたらここになるのかな?


「でも、別名鍛冶職人の墓場とか言われてもいるね」


だから設定が怖いって!だがなんでだろう?


「どうしてそんなこと言われているんですか?」


「この国は実力主義だから鍛冶の腕があったら、上に行けるけどないと他の職人に潰されちゃうんだよね。山の所にある国で年中寒いらしいから借金がかさんで国を出て、強いモンスターと山と寒さで死人が続出してるらしいよ」


怖い怖い…リアル過ぎるだろ…そして何故だろう?クロウさんがボロボロの服装で山を彷徨っている絵が一瞬頭を過ぎったんだが…うん。気のせいだな。忘れよう。


「自由の国フリーティアはタクト君達には一番合ってる国かな?なんといってもこの国は他種族の差別が無い唯一の国で、色んな種族と友好を結んでいる国だからね」


へー。いい国っぽいな。というか差別とかあるのか…いや、あったか。料理コンテストバトルの時の金髪イケメンがそうだったな。


「ワントワークはこの町もワントワークだから概ねこんな感じかな?もちろん首都には比較にならないほどお店がたくさんあるよ。お金を稼ぐならワントワークって呼ばれているくらいだからね」


凄い言われ方だな。


「ゴネスとライヒについては情報はないんだよね」


情報がないだって?


「どういうことですか?」


「ゴネスはゴネスの神を信仰していてね。ゴネス教徒しか国に入ることが許されない国なの。正直ゴネス教徒には関わらないほうがいいとか言われている国だよ」


典型的な宗教国って感じか…確かに関わりたくないな。


「ライヒは軍事国家だね。徹底的な法と軍事力が特徴かな。頭の固い人には向いてると思うよ」


はい。穏やかじゃないですね。ゲームの世界で戦争を体験でもさせるつもりか?さて、どうしたものか…今聞いた所だとフリーティアかワントワークに行くべきなんだろうな。リリー達のことを考えるとフリーティアで決まりかな?しかし気になることがある。


「モッチさんは大丈夫ですか?」


「確かにタクト君がいなくなるのは大打撃だね。だからお姉さんと交渉しない?」


流石商売人、何か考えがあるらしい。


「とりあえず話だけお聞きします」


「簡単な話、タクト君の作った料理を私に売って欲しいって話だね。運搬費は勿論こっちが持つからさ」


へ~。それは便利だな。宅急便や貿易みたいな感じか。


「そんなことが出来るんですね」


「どこの国でも出来るわけじゃないよ。ゴネスとライヒはまず出来ないから」


なんというかいいイメージがないな。この二国。


「タクト君ならやっぱりフリーティアだよね?」


「はい。リリー達には楽しんでいて欲しいので」


「じゃあ、提案その二。実はフリーティアに私のお父さんが作ったお店があるんだよね。もう破産して使われていないんだけどさ」


それはご愁傷様です。


「それでタクト君達、そのお店で暮らしてみない?」


なんだと…?


「えっと、お店をしろってことですか?」


「それをするかどうかはタクト君に任せるよ。私はお店の家と土地をタクト君に貸すって感じになるかな?その代わり、タクト君の料理の値段は格安にして貰うのが条件。どうかな?」


なるほどね…新天地で拠点があるのは助かるだろうな~モッチさんにはお世話になったし、ここは話に乗るかな。


「その話、お引き受けします。でも、マイナスになりませんか?」


「そんなことないよ。三つ星シェフの料理が格安で食べれるお店なんてそうそうないよ。そ・れ・に」


モッチさんが意味ありげに周囲を見た。なんだ?


「タクト君は冒険者だからね。ボア肉やアブラハヤ以外の絶品料理がこのお店で並ぶかも知れないからね」


その言葉にお店にいたお客様が全員立ち上がる。あー、話聞いていたのね。確かに色々な新しい料理が出るお店なら人気で出そうだ。この町だと特にね。


「というわけだから。交渉成立だね。料理が終わったら早速ギルドに行こうか」


「はい」


というわけで俺はまだ見ぬ町や国、自分たちの家に心を躍らしながら、つくねを作り続けた。

ガーベラグロウとの戦いを期待していた人はごめんなさい。まぁ、タクト達が戦っても現状ではどうしようもないくらいガーベラグロウは強いです。お気づきかも知れませんがガーベラグロウにはまだ隠し要素があるので、お楽しみにです。


次回は問題の事件に関わった一人の人物が謝罪する話です。ゲームのこととは言え、謝罪は必要と考えたためです。リリー達の決断に注目していただけばと思います。

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