#567 騎士の国パラディンロード
朝食を食べて、ログインした。今日は俺にとって、初めての国だ!するとセチアから提案された。
「予想より手こずりそうなので、へーパイストスさんに依頼があるなら先に出してください」
かなりやばい武器が出来る予感をひしひし感じる。そういうことなら依頼を出そう。
「千影用の刀を頼めるか?」
「任せてください!」
これで依頼は終わり。その後、昨日のじゃんけん大会の結果を聞くと恋火、ブラン、和狐、ルーナ、伊雪に決まった。なんか保護者と子供の旅みたいだ。
ギルドにパラディンロードの所属のペガサスが来るとそれに乗り、暫くするとパラディンロードに到着した。
パラディンロードの都はお城を中心に出来た町みたいだ。城壁が三つもあり、城壁の間に町がある作りになっている。
出迎えてくれたのはランスロットと杖にローブを着た少年。アーサー王伝説で該当するのは一人しかいないな。
「ようこそ! 騎士の国パラディンロードへ! 僕はマーリン。この騎士の国で宮廷魔術師をしている。なんで騎士の国に魔術師がいるかは聞かないでおくれ! 僕にもわからないからね!」
テンション高いな…マーリン。マーリンはアーサー王伝説で出てくる魔術師だ。アーサー王の助言者や予言者として有名だね。アーサー王の父であるブリテン王ユーサー・ペンドラゴンを導いた人物でもある。
「お招き下さり、ありがとうございます。召喚師のタクトです」
「知っているとも! フリーティアの英雄にして、ドラゴンに愛されし者!」
恋火たちが頬を膨らますから他の子たちもちゃんと評価してくれ。
「マーリン…いつまで話しているつもりだ?」
「そうだね。アーサー王もお待ちかねだし、歩きながら話そうか」
お城に向かったのだが…パラディンロードは変な国であることが確定した。
「ランスロット! 勝負しろ~!」
「隣のお前もだ~!」
何度決闘させられただろうか?酷い国だぞ。しかもマーリンは逃げ出しているし。
「いや、悪いね~。この国では強い者が上に立ち、弱い人が下となる国でね。アーサー王もこの国で最強を示して王になったんだ。アーサー王はこの制度をなんとかしたいらしいんだけど、直せないんだよね」
「どうしてですか?」
「この国は大陸の中では暗黒大陸に一番近い国でね。長い間、暗黒大陸の魔王たちと戦ってきた歴史があるんだ。王様や国を守る騎士が弱いと話にならないということだね」
この国が大陸の中で一番暗黒大陸に近い国なのか…メルたちの話ではイベントで勇者や第四クラスの騎士たちがここに入ることが出来るらしい。それ以外の方法は俺が初という話だ。
「つまりこの制度で弱者を育て、より多くの強者を増やすことで魔王たちに抵抗しているわけですね」
「その通り! 流石に生活が掛かっていると国民も必死になるからね。ただ弱いから貧困になるのはやはりアーサー王は疑問に思っているところではあるね」
なるほど…苦労している国のようだ。因みに生産職は存在せず、食料は他国から無料で毎日貰っているそうだ。魔王軍から命を張って大陸を守っている国だからそれぐらいはしてもらえるらしい。
国の話を聞きながら俺たちはお城についた。流石にここからは俺だけだ。
そして謁見の間に通される。そこにはやはり有名な円卓があり、そこには強そうな騎士たちがいた。
「彼がランスロット卿を救った召喚師ですか? マーリン」
「そうだよ。ガウェイン。アーサー王はいるかな?」
「ちゃんといますよ。いつもあれぐらい玉座にいてくれたなぁと皆と話していたところです」
アーサー王はどうやらじっとしていられない性格みたいだな…意外だ。
そして俺はアーサー王と面会する。
「よくぞ来てくれた。タクト殿。我が国は貴殿を歓迎しよう」
その歓迎は決闘のことかな?
「早速ランスロットを救って頂いたお礼をしたいのだが、私の我が儘を聞いてもらえないか?」
なんだ?国の事とか相談されてもわからないぞ?肩書きだけのギルドマスターだからね。
「私と全力で決闘して貰いたい」
『特殊クエスト『アーサー王との決闘』が発生しました』
『アーサー王との決闘』:難易度なし
報酬:アダマンタイト
アーサー王と決闘せよ。勝敗に関係無く報酬は手に入る。
いやいや。普通にアダマンタイトをくれよ。なぜ決闘?意味不明だ。
「アダマンタイトは我が国が厳重管理している金属でね。ランスロットを救っただけで渡すわけにはいかないのさ。君たちがアダマンタイトを手にする資格があるのか試させてくれ」
そりゃアダマンタイトはファンタジーでは最強の金属の一つだからね。仕方ない…負けていいなら当たって砕けるだけだ。
道中の話から見てもアーサー王は恐らく有名NPCの中でも最強クラスのNPCだろう。今の俺たちがどれくらい戦えるのか試してみるとしよう。




