#564 表彰式と舞踏会の誘い
アプデの間は佳代姉たちの買い物に付き合う時間となって、消えた。その間、ずっと自慢話された。余程俺抜きでボスを倒せたのが嬉しいらしい。
喜んではいるがぶっちゃけ島の素材とマザーシップが無かったら、かなり厳しい戦闘だっただろう。まぁ、喜んでいるんだから俺は何も言わないけどな。
これでいつでもギルマスを交代して大丈夫だろう。
『それはない』
空耳が聞こえた気がするが両手に次々お土産を持たされているならそれくらい聞こえるだろう。
クレープ屋で奢らさせられた俺はワントワークの話を聞いた。
「ワントワークは三國志同盟が大暴れしたみたいだよ」
「こっちは召喚獣、向こうはNPC。どちらの経験値があったか議論になっていたよ」
「…召喚獣抜きでヴァインリーフを解放して、ゴネスまで攻め混んでいたから私たちが優勢。兄様がボスを任せたことにみんな驚いていたよ」
俺は掲示板ではラスボスキラーと呼ばれているらしい。それなら誰か変わってくれ。俺はリリーたちとのんびり旅を楽しみないだけなんだよ。
まぁ、今回は本気で潰しにいったけどな。休戦で止まったことはいまだに納得していない。
佳代姉が戦ったのがアエーシェマ、ワントワークのボスはタローマティだったらしい。タローマティは現実では背教の女魔王として知られている。
掲示板ではタローマティを倒したから自分たちの過ちに気がつき、停戦を申し出たんじゃないかという話もあるようだ。なぜなら背教は信仰を捨てて他の宗教に変えたり、無宗教になることを言う。つまりこいつはゴネスの本来あった宗教を自分たちの宗教に国民を変えさせた悪魔ということになる。
タローマティが黒幕な線もあるが俺にはこの能力でランスロットやフリーティアの簀巻き騎士があんな風になったとは思えないんだよな。
何故ならまるでサラ姫様たちのことを知らない様子だからだ。背教と記憶改竄が一緒のはずがない。もちろんスキルである可能性はあるんだろうが、やはり黒幕は本拠地にいるのがセオリーだろう。
そして俺にはこの黒幕には心当たりがある。その魔王はこういわれている。悪しき思考を植えつける魔王アカマナフ。
こいつなら記憶改竄などは簡単だろう。ゲームとはいえ取り逃がしたのは痛いな…一応リリーたちの切り札は最後のために取っておいたのだ。最後の最後で完全に読みが外れた形だ…ん?
「あ~…ん!」
俺のクレープを食べようとした理恋の攻撃を躱した。
「…い、痛い…なんで躱すの! そこは食べさせてくれるところだよ! 兄ちゃん!」
「これは俺の分だ! なんであげないといけないんだよ!」
「兄ちゃんは妹に全てを捧げる義務があるんだよ!」
「そんな義務あってたまるか!」
なんとかクレープを死守した。夜はみんなでお疲れパーティーをして、イベント合宿は終わった。俺は一人暮らしに戻ったぞ~!
俺は翌日ログインすると恒例のグラン国王様から報酬を受け取ることになった。
町に出るとお祭り騒ぎだ。理由はシルフィ姫様の病気が治ったからだ。そんな町を通り、お城に向かう。
報酬をもらう前にまずグラン国王様から現状の話を受けた。
「まずゴネスとは停戦することになった。これによりゴネスに攻め込んでいた我が国にゴネスから停戦のための示談金が贈られてきた。それとゴネスの港町とジャンヌ殿の村は我が国の物となった」
ノーリスクのスキルじゃなかったってことだな。この二つのところは完全に占拠したから、ゴネスは手放すことになったんだろう。
「これはあくまで停戦。いつ再開されるかわからんがお金にはかなりの余裕が出来た。以前話した新しい村や町を作るための依頼を後ほど出すので、確認しておくようにな」
遂に新しい村や町を作るのか。まぁ、これはルインさんたちの仕事だな。では、イベント報酬だ。
今回の報酬はまずフリーティアで一番活躍したギルドとしてリープリングが選ばれた。貰えたのがこちら。
最優秀ギルド勲章:重要アイテム
効果:ギルドメンバーのステータスポイント+20、スキルポイント+20
ゴネス大戦で最優秀ギルドに贈られた勲章。ギルドに飾ることで効果が発生する。
皆、大喜び。後で考えないとね。
次は個人報酬、俺は最優秀作戦指揮官と魔王ドォルジナス戦最優秀プレイヤーとして表彰された。俺が貰えた称号がこちら。
称号『英雄軍師』
効果:国所属のNPCの好感度が大幅上昇、ステータスポイント+10、スキルポイント+10
戦争イベントにおいて、作戦指揮において多大な影響を与えた者に贈られる称号。
称号『仲介者』
効果:他国のNPCや亜人種の好感度が上昇、ステータスポイント+5、スキルポイント+5
戦争イベントにおいて、他国や亜人種に多大な影響を与えた者に贈られる称号。
称号『鬼教官』
効果:国所属のNPCの好感度が上昇、ステータスポイント+5、スキルポイント+5
騎士たちの訓練において多大な影響を与えた者に贈られる称号
みんな心は一つだ。
『誰が鬼教官だ!』
そもそも俺たちに丸投げしたのはグラン国王様なのにこの仕打ちはひどいだろう。報酬は嬉しいから受け取るけどさ。
鬼教官は育成に関わった全員が貰った。仲介者は俺やルーク、ルインさんなどが受け取っていた。英雄軍師は俺以外にはサバ缶さんが貰えていた。ルインさんは貰えなかったが『英雄商人』という物を受け取ったようだ。
他のみんなも英雄称号を貰っていた。俺のギルドが英雄だらけになってしまったな。
最優秀プレイヤーにはそれぞれ個別に報酬を貰っている。俺の場合はこちら。
アレキサンドライト:レア度10 素材 品質S+
宝石の頂点に君臨している宝石。全ての属性を宿し、持ち主は伝説の大英雄や覇王になるとまで言われている宝石。
はい。ヤバい宝石が来ました。というかアレキサンドライトがどうやら宝石で一番上みたいだな。次は討伐報酬。ドォルジナスの報酬はブラックダイヤモンド。
他のみんなもそれぞれ報酬を貰って喜んでいる。
そしてドワーフ王のからも報酬を貰えた。
金鉱石:レア度9 素材 品質A-
金の原石。加工すると金を取得出来る。その美しい見た目から富豪たちに買い漁れられ、現在では滅多に採掘出来ない貴重な鉱石。
金鉱石はいいのだが…。
『(ちっさ)』
まぁ、国を一度失ったから仕方無いのかも知れない。まぁ、ギルドメンバーは島に捧げるだろう。
するとフリーティアとヴァインリーフとの間で条約が結ばれたらしく、フリーティアのプレイヤーがヴァインリーフのドワーフに鍛治依頼することが出来るようになったらしい。
完全にうちの素材が目をつけられた気がするのは気のせいだろうか?
まぁ、今回はマザーシップの生産力に頼ってしまったが、本来ならそんなことしないほうがいい。ドワーフたちに頼めるなら頼んだほうがいいだろう。
これで表彰は終わると俺たちは新しい町について話し合いをすることになった。
「場所は既に決めていてあってな。ブルーメンの港町とフリーティアの間に一つ、生産と料理の村を作りたいと思っている」
「今、フリーティアは小麦やお米の生産で料理が賑わっていますから、ブルーメンの港町から新鮮なお魚や他国の物資が届く、ここが最有力となりました」
まぁ、無難だろうな。フリーティアでお店を出すのも限界が来ていたらしいし、みんな嬉しいだろう。
もう一つは鍛冶の町。これはドワーフと協同でイジ鉱山に作ることになった。ただしこの村はあくまで鍛冶専門で工場のようなものは作ることを禁止したそうだ。そこはエルフに対する配慮だな。これらは生産職のクエストとして、発行された。
そして最後にグラン国王様から驚きの発言があった。
「今日の夜にシルフィ姫の回復を祝う舞踏会を開催することになった。ドレスなどはこちらで用意した。好きなドレスを選んで参加してもらいたい。ドレスはそのままプレゼントしよう」
女性陣大興奮。俺は大ピンチ…ダンスなんて踊ったことない。仕方無い…不参加としよう。ドレスが貰えるならリリーたちも納得するだろう。
『参加したい!』
そうなるよね…分かっていたさ。そしてアウラさんが現れるとリリーたちは俺に隠れる。これは直らないな~…悪魔たちと勇敢に戦っていたとは思えない。
「じゃあ、私がコーディネートしてあげるわ。さぁ、行きましょう!」
メイド服とか選んだのアウラさんだからなぁ。選ばずに済むならありがたい。大変なんだよ。するとファリーダが話す。
「私は自分で選ぶからいいわ」
「えぇ~。ファリーダちゃんもタクト君をメロメロにするドレスを選んであげるわよ?」
「あのね…私はあなたよりずっと年上なのよ? 男を骨抜きにするコーディネートぐらい身に付けてるわ」
するとリリーたちがファリーダのところに行く。
『コーディネート、お願いします』
「取られた!? 私の楽しみが! 私だってそれぐらい出来るわよ!」
「あら? なら勝負してみる? 言っとくけど、舞踏会なんてたくさんしているし、男を落とした数なんて数えられないほどいるわよ?」
「う、うわーん! いいもん! 他にも可愛い子がいるからそっちを狙うもん!」
経験値の差の前にアウラさんは完全敗北した。そしてアウラさんの発言を受けて逃げ回る亜人種たち。
そして花火ちゃんが捕まり、連れてかれた。拉致じゃん。
「ちょ!? なんで私!? タクマ! 助け」
「すまん! 俺には無理だ」
「決断が早いわよ! ちょ!? どこ触って! あぁ~! あぁあああ~!」
気持ちはわかるぞ…タクマ。歯向かうのは無理だよな。リリーたちは花火ちゃんに祈りを捧げている。そして俺はファリーダのダンス上手宣言を聞いて追い込まれた。
その様子にメルたちが笑っている。くそ…自分たちも踊ったこと無いくせに…すると救いのインフォが来る。どうやらダンスはオートで出来るみたいだ。
しかしオートで良いのかな?夜までに時間あるし、ネット動画で少し練習しようかな。
これで全員ドレスパーティー用の衣装選びに向かった。そして俺はシルフィ姫様に呼び出されたので、グラン国王様たちと共に向かった。




