#561 フリーティアプレイヤーVSアエーシュマ
フリーティア攻略組が約束通りの時間に集結した。そしてありったけのバフと料理バフをかける。
「アーレイ君、準備はいいかな?」
「あ、あぁ…いいですよ…なんで俺が」
「あんたがじゃんけん弱いからでしょう?」
「うぐ…」
アーレイはこのボス戦でキーになる装備をして、戦闘することになった。
「じゃあ、ボス戦行くよ! ギルマスは先にボスを倒したらしいから私たちも必ずクリアしよう!」
『おぉ!』
「満月さん!」
「あぁ! 行くぞ! 俺たちに続け!」
満月さんたちが最初に突入し、全員が陣形を整えて部屋に入る。
入った部屋にはカオスゲートが設置されており、カオスゲートの紫色の光で明るかった。
そしてボスはカオスゲートの前で椅子に座り、陣取っていた。
魔将アエーシュマ?
? ? ?
その悪魔の姿は聖職者の姿をしていたおっさんの姿だった。
「ようやく来たかい。ようこそ、フリーティアの犬ども。おじさんの名はアエーシュマ。一応カオスゲートとこの山を任されている中年悪魔だ。優しくしてくれ」
「…そんな血塗られた大剣を堂々と見せながら言う言葉じゃないと思うよ」
すると与一さんたちが一斉に純銀散弾を撃つ。しかし純銀散弾はアエーシュマの当たる前に止まる。霊力だ。
「そりゃそうだが、そっちも態度が悪いなぁ。おじさんは」
アエーシュマが消えると満月さんが攻撃を受けるが満月さんに乱刃が襲う。
「大切にしないとねぇ」
「そんな余裕はない! シールドタックル!」
「おっと…む?」
「居合い斬り!」
鉄心さんの居合い斬りが首を捉えるが僅かに斬る。すると満月さんの首にも斬り傷が出来る。
「これは…呪いか」
「流石だね~おじさんは一人で死ぬのが嫌でね。一緒に死んでくれる人を募集中なんだよね」
するとレイジさんたち槍使いが一斉に襲い掛かり、貫く。しかし槍使い全員にすべての槍のダメージが入る。
『ぐ!?』
「あぁ~…痛いねぇ~…」
「セイクリッドヒーリング!」
ミライがみんなを回復させる。
『ぐわぁあああああ!?』
すると回復しようとした全員が回復せず、回復分のダメージが入る。
「…え? これも呪い!?」
「回復を封じるのは当然でしょ!」
アエーシュマがミライに斬りかかるがメルが止める。しかし乱刃でダメージが入る。
「ねーちゃんとミライに手を出すな! 正拳!」
リカの正拳が入り、アエーシュマはぶっ飛ぶ。そしてレッカたちが魔法が降り注ぐ。しかしアエーシュマは黒霧でガードする。すると謎の呪いスキルはリサには発動しない。どうやら刃物限定のスキルらしい。
「やれやれ…危ないね~。魔将技リバースペイン」
『うわぁあああ!?』
アエーシュマの技でアエーシュマが受けるはずだったダメージが全員を受けて、倒れる。
「ま、こんなもんかね」
『ロードカリバー!』
『パラディスヌブロウ!』
「居合い斬り!」
倒れた全員が起き上がり、斬りかかった。
「ぐは!? な、なぜ…生きている」
「自動蘇生魔法を全員に掛けていたんだよ」
「なるほどな…見事な準備だね。じゃあ…そろそろ本気を出すとしよう。魔将技アースブレーズ!」
『っ!?』
アエーシュマに攻撃した全員が地面から飛び出してきた血塗られた剣に貫かれ、倒れる。
「リヴァイブオール!」
「セイクリッドヒーリング!」
ミライが全員を自分の近くに蘇生魔法で蘇生させるとワイフさんが全員の生命力を全回復させる。
一度死ぬと敵の能力から解放される。但し事前にかけたバフも無くなるからかけ直さないと行けない。
そんな贅沢を行っていられる相手ではない。全員がアエーシュマを見るとそこには血塗られた漆黒の鎧を装備した屈強な悪魔がいた。
「蘇生するよね…なら徹底的にぶっ殺すとしよう!」
アエーシュマが両手に大剣と剣を持ち、襲い掛かってくる。
「全員、陣形を組め!」
『ファランクスガード!』
「無駄ぁ!」
アエーシュマの大剣が満月さんたちのファランクスガードと盾をすり抜け、壁役をぶっ飛ばす。更に剣を振りかぶろうとするがアーレイが剣を弾き飛ばす。
「なめんな!」
「アーレイ君!」
アーレイが弾いた剣が空中で不自然に止まるとアーレイに向かって飛来する。それをシフォンが弾くが今度はシフォンに向かっていく。
「あれはまさか!?」
「必中の魔剣!?」
「あぁ、ここにあったものを俺が貰ったんだよ。この剣はいいぜ? 何せ持っているだけで俺の剣全てに効果が発揮されるんだからな! ブラッディブレードレイン!」
天井から血塗られた剣が現れ、落ちてくる。
『うそ…』
「シフォンちゃん!」
「はい! 精霊武装!」
シフォンから緑の風が発生し、装備が変化する。緑の鎧に緑の翼がシフォンに生え、周囲に十の風の剣が現れる。
「精霊剣技シルフィードダンス!」
風の剣たちが踊るように舞い、降ってくる剣を弾く。
「ほぅ…契約した精霊の力を身に纏う技か。だが甘いな! 伝説解放! 貫け! ティルヴィング!」
「ッ!? やぁ! ダメ! やっぱり止まらない!」
シフォンの剣がぶつかっても、ティルヴィングはシフォンに向かう。
「う、うぉおお! 俺も男だ! やったらぁああ!」
シフォンに当たる瞬間、アーレイが守りに入り、ティルヴィングに貫かれる。
「ほぅ! 体を張って守るか…しかし犬死だな!」
「誰が死ぬって?」
アーレイの鎧がボロボロ崩れ、ティルヴィングが地面に落ちる。すると鎧が復元される。これが俺たちが考えた必中の魔剣ティルヴィング対策の魔法の粘土を使った鎧、その名も黒ひげ危機一髪!
性能テストで剣を鎧に投げて、剣がたくさん刺さっている姿がおもちゃの黒ひげ危機一髪に見えたのだ。
「いつか当たりを引いたら上にぶっ飛ぶギミックが欲しい鎧だな」
「ですね。当たりのところに爆風石を仕込めば出来ませんかね?」
「…できそうだな」
そんな会話をクロウさんとした。今回は流石にそんな余裕はなかった。アーレイが自慢げに言う。
「この剣は必中なだけ! つまり当たればただの魔剣で傷つけられなかったら、能力は発揮されないんだろう?」
「っ!? ドワーフどもの入れ知恵か!」
俺たちの勝手な予想。ノートゥングがあるから魔剣については大体の予想がつく。しかしアーレイの心の中は焦っていた。何せこの鎧は粘土。出来るだけ分厚く作られ、性能テストもしたが貫通しない保証は一切なかったのだ。
「(もうこんなこと絶対しない!)」
「さぁ! これで魔剣を封じたぜ! 俺が全部止めてやる!」
「見事なものだが、俺の武器に付与される必中の効果は健在だぞ!」
シフォンとアーレイにアエーシュマが襲い掛かるがミランダとユーコ、鉄心さん、カイたち剣を持つ前衛が立ち塞がる。
「行かせないわよ。剣魂解放!」
「そろそろ反撃させて貰うわ! マジックオーバードライブ!」
「お前さんを倒さないとタクト君に申し訳ないからね。倒させて貰うよ。不動真言」
「一気に決めてやるぜ! ヒーローズハート!」
ミランダの大剣から強い光りが放たれ、ミランダの筋力と俊敏値が超強化される。続くユーコが持っているギルド所属の鍛冶師たちが作った大剣の魔法剣の宝玉が限界まで輝き、ユーコの魔力と俊敏地を超強化した。
鉄心さんは背後に不動明王の姿が現れると口が動くと鉄心さんに金色のオーラが宿り、筋力のみ大幅に超強化された。カイの背後にも英雄の霊が現れ七色のオーラが宿るとカイの属性が全ての属性が付与された状態となり、僅かに全てのステータスも上昇した。
他の人たちも同じ時間限定の強化スキルを使用し、ミライとワイフさんも切り札を切る。
「「プリンセスプレアー!」」
全員のステータスにバフが発動し、更に時間限定スキルの時間制限大幅に伸びた。アーレイはなんとかヒーローズハートを使っていた。
「あ、危…ギリギリ間に合った…」
「…計算して使ったから当然」
「お前らは俺に厳しくないか!?」
「…そんなこと言ってる暇があるの?」
アーレイの言うお前らは俺とミライのことだ。そしてミライが言うようにアエーシュマに対して総攻撃が開始されており、アーレイは慌てて参加する。
しかしアエーシュマはダメージを受ける度にバフが発動していく。
「ははは! いいぞ! もっと! もっと来いよ! そんなんじゃあ、燃えねーぞ!」
「キャラ変わりすぎだろ…このマゾ野郎! あぶ」
「おっさん設定はもう見る影もないねぇ…はぁ!」
『みんな!』
メルの合図で全員が引く。
「あん? 急にどうし」
「師匠、奥義を使わせて貰うで!」
『ゲイアッサル!』
クーフーリンの修行で槍使いたちが教わった必殺技が放たれる。太陽のように輝く槍がアエーシュマに殺到する。
この必殺技には時間がかかり、槍一つと魔力と生命力を犠牲にしてしまう一日限定の大技だ。ただそれに見合う技だ。
ゲイアッサルは別名アッサルの槍といい、クーフーリンの父親である太陽神ルーが持つ槍の一つとして知られている槍だ。その能力をアエーシュマは知ることになる。
「くだらねぇな!」
アエーシュマが大剣でゲイアッサルを弾くがゲイアッサルは空中で止まり、アエーシュマを貫いた。
「な!? これはティルヴィングと同じ!?」
「同じなわけないやろ」
「ぐわぁあああああ!?」
アエーシュマが紅炎に包まれる。アッサルの槍はゲイボルグ同様必殺必中の槍として知られている。ただの必中の魔剣と比べるのは失礼だろう。もっともこのゲームでは必殺の能力は無く、太陽の要素が強い技だ。
そしてこの決定的な瞬間を全員が待っていた。
満月さんたちが盾を構えると盾にリープリングの紋章が現れる。
『エンブレムブラスター!』
盾から紋章の波動が放たれる。更に与一さんたちが魔導銃を構える。
『リミッター解除! スプラッシュカノン!』
放たれた特大のレーザーが途中で拡散し、多種多様な属性の無数のレーザーがアエーシュマに殺到する。
英雄や勇者、剣豪、ルーンナイトとなった者が構える。
『ブレイブカリバー!』
『ロードカリバー!』
『覇撃!』
『マジックブレイザー!』
ブレイブカリバーはヒーローズハートの強化を失うが宿った七色のオーラの特大の斬撃が放たれる。マジックブレイザーは魔法剣から特大の魔力の刃が発生させ、斬り下ろす技だ。代償に宝玉が壊れてしまう。
アエーシュマは倒れるが生命力を半分回復させて復活する。
「まだだ! まだ!」
アエーシュマが大剣を振りかぶるが動きが止まる。
「戦いは熱くなったら負けよ。イレイザーワイヤー」
トリスタンが仕掛けた透明になるワイヤートラップで縛ったのだ。
「ナイス! トリスタンのねーちゃん! 聖魔爆裂拳!」
リサが神聖属性と暗黒属性を混ざった拳でラッシュで殴りまくる。
そしてシフォンとメルが構える。
「シルフィードノヴァ!」
「聖剣技! セイクリッドロザリオ!」
シフォンの鎧から竜巻が放たれ、メルが十字に剣を振るうと光のロザリオが描かれるとアエーシャマを光熱で十字に斬り裂かれた。そして、インフォが来た。
『魔将アエーシャマが討伐されました。鍛治の国ヴァインリーフが解放されました』
『カオスゲートが閉じられました』
『勝ったぞ~!』
プレイヤーみんなが喜びあった。しかしそうしている間に作戦は進行中だ。
「もうタクト君たちは動いている。私たちも急ごう!」
『おぉ!』
メルたちはドワーフたちに任せて、転移クリスタルで転移した。




