#56 逆鱗
残虐描写盛りだくさん回です。注意してください。
俺の目の前に疾風突きを放ったアーサーの攻撃が迫る。
疾風突きは速さと突きを組み合わた中々の技のようだ。だけど、早いだけで攻撃は直線だ。見切るのは容易…そしてこれは致命的だ。
俺はアーサーの突きを躱し、そのままカウンターで俺の膝蹴りがアーサーの股間に炸裂にする。
速さは重さであり、力である。早ければ早いほど、力は増していく。それは攻撃をする側だけではなく、攻撃を受ける側にも適応される。故にアーサーの股間は致命的なダメージをおった。大切なものがぐしゃっと潰れる確かな感触を俺は味わった。
「ぐぎゃぁああああああああ!?」
アーサーは叫びながら仰向けに倒れる。本来なら股間を押さえていることだろう。だがゲームでそれは許されない。武技を強制解除された場合、数秒の硬直時間が発生するのはリリーとイオンが戦った時に確認している。故に倒れたこいつは叫ぶ事しか出来ない。そしてそんなアーサーの股間を俺は踏み潰した。
「ぎゃあああああ!?」
「どうした?」
俺は更に踏み潰す。アーサーが叫ぶ。このゲームにはチェーンのシステムも存在している。リリーとイオンとの戦闘時に確認した連続で攻撃を加えることで硬直時間の延長と攻撃ヒット数によりダメージが加算されていくシステムだ。つまりアーサーに逃げ場は存在していない。
「俺を殺すんじゃなかったのか?」
股間を踏み潰す。防御など許さない。
「さっきから叫んでばかりだぞ?」
命乞いなど許さない。
「自慢のPSはどうした?」
リリー達を侮辱した罪。その身を以て償え!
「何か言ってみろよ? アーサー王様!」
俺は問いかけながら、アーサーの股間を一切の加減もなく踏み潰していく。ゲームはいいよな。死ぬ痛みを何度も何度も味わえて。途中で気を失うこともない。
「貴様、いい加減しろ!」
一人の円卓メンバー、ガウェインと呼ばれた男が俺に襲いかかってくる。だが、遅すぎだ。俺は装備画面からリリーの石の剣を取り出す。召喚獣が倒された場合、召喚獣の持っている武器の所有権は一時的に召喚師の物になる。
リリーの剣でこういうことするのはいやなんだけどな。
俺は石の剣でアーサーの股間にぶっ刺した。
「ああああああああああああああ!?」
絶叫しながらアーサーのHPは無くなり、この場からいなくなる。これで残り14人。
「貴様ぁああ!!」
怒り狂うガウェインは剣を振るう。だが俺はガウェインが使った【スラッシュ】を片手で相手の剣を握って止めた。
「なっ!?」
その光景を見たガウェインは驚く。
そんな暇が今のお前にあるのか?
俺は男の石の剣を片手で砕き割る。
「ひっ!?」
ガウェインの顔が絶望に染まる。俺の指がガウェインの目を貫く。
「ぐぁああああああ!?」
目を抑えて喚くガウェイン。
あぁ、その叫びで俺の飢えを満たせろよ!
俺はガウェインの首を掴み、持ち上げる。
「首の握り潰し方を知ってるか?」
俺はそう言うとガウェインの首を握り潰した。ガウェインは力なく地面に崩れた。だが喜ばしいことに生命力はまだ残ってる。後で思う存分、徹底的に処刑にしてやろう。これで残り13人。
元気な奴はまだまだいる。左右から俺に疾風突きを放ってくる円卓メンバー。
学習能力がない。俺は両方の突きを躱し、そいつらに目潰しをする。完全に目玉をえぐり、その片方の相手の顔を掴み、前に投げる。投げた奴に数本の矢が刺さる。そしてもうひとりは硬直状態だ。俺はそいつの膝を折り、倒すと背後に回る。背中に足をかけ、両腕を引っ張る。
「ま、待て!? お前、何をする気」
「お前の想像通りだ。精々楽しめ、両腕が引きちぎられる痛みなんて早々味わえるものじゃないぜ?」
「ひっ!? た、助け」
ははは!助けて欲しいのか?こいつは?あははは!助けるわけねーだろ!貴様はリリー達を助けようとしたのか?笑っていただろうが!俺は容赦なく男の両腕を引きちぎった。男は泣き叫ぶ。
あぁ、もっとだ!俺にもっと聞かせろよ。俺を楽しませろ!これで残り11人。
「どうした? さっさと来いよ」
「こりゃ…聞いてないで…こんな化物が相手なんて…」
ほう。あの槍使い…手練だな。
「次はお前か?」
「えーっと…降参とかは?」
「出来る希望があるとでも?」
「ないでっしゃろな。でも時間は稼がせてもろたで!」
「終わりだ」
後方にいた円卓メンバーがそういうと同じく後方にいた攻略組が魔法の詠唱が終わったのだろう。だが甘すぎるな。わざわざそんなことを教えるなんて甘いにもほどがある。
我が存在、既に空なり。
詠唱を終わった魔法と俺を狙っていた弓矢のスキルが不発する。
「え?」
「魔法が発動しない?」
後衛メンバーが混乱する。終わりと宣言をした男が叫ぶ。
「何をしている!? さっさと撃て!」
「お前が終わりだ。精々味わえ。内臓がぐしゃぐしゃになる痛みをな」
俺は指示していた男の心臓に拳を当てる。
「へ?」
聞こえたのは男が間抜けな声だけだった。次の瞬間、男の体がバラバラに消し飛ぶ。
俺が使ったのは寸勁。中国武術の攻撃技術。有名な発勁の一種で近接戦闘の発勁を主に寸勁と呼ばれている。
因みに発勁は気の技という認識があるが実際は体の伸筋の力や張る力など使っている。故に発勁はファンタジーなどではなく、現実の攻撃技術。VRゲームでも体の力の感覚がほぼ同じである以上、使うことができる技だ。これで残り10人。
そして俺はこいつに近づく際に回収したアーサーに止めを刺したリリーの石の剣を振るう。近くにいた魔法使いども三人の首が飛ぶ。これで残り7人。
『ヒッ!?』
その光景に戦慄が走る。だが円卓の女弓術士は対応が早かった。俺から距離を取り、矢を番え、武技を発動する。
「化け物め! これでも喰らいなさい! トライデントアロー!」
3本の矢が放たれる。俺はその全てを剣で弾く。弾いた矢は騎士の男二人の股間と弓術士の男の股間に刺さる。三人の男が絶叫する。残り4人。
「な…」
その光景に円卓の女弓術士の思考が停止する。
「わかってるじゃないか…円卓の騎士団。貴様らはその化け物の逆鱗に触れた。精々貴様らの絶望の顔と叫びで俺の怒りと餓えを満足させろ。女もそこのテイマーどもも全員楽に死ねるとは思うなよ」
「…へ。そりゃ大層なもんやな! こっちも攻略組や! 簡単には行かへんで!」
「それは楽しみだな」
我が存在、既に空なり。
「な!? あ、あいつはどこに行っ---た?」
一番手練の槍使いは全部言い終わる前に首が空を飛んだ。これで3人。
騎士二人が俺に斬りかかってくる。俺は騎士二人の剣を弾き飛ばし、一人の騎士の右総頸動脈を切り飛ばす。
「良かったな。ゲームで。これが現実ならお前は出血多量で死んでいるぞ」
「な!?」
「貴様、わざと」
「だったら、なんだ? お前たちもしたことだろ? せっかくだ。お前らの人体もバラバラにしてやるよ」
「「ひ」」
俺は言葉通り、バラバラにしていく。相手が泣き叫び逃げ出そうとするが決闘フィールドに逃げ場はない。そしてリタイアによる試合終了も存在していない。
「な、何これ…」
「…これはこの世の光景なのか?」
ルインさんたちもドン引きしている中、最後の弓術師の女性プレイヤーは弓を放つ。俺はそれを躱して、インベントリから大量の石を出す。弓術師の女性プレイヤーは矢を番える。だが次の瞬間、礫の雨が弓術師の女性プレイヤーを襲う。
顔だけは守ろうとしたのは女性故だろうな。しかし戦闘において手で顔を隠す行為はそれ以外ががら空きを意味している。俺は情けで腹を串刺しにした。
さて、次はメインディッシュだ。見覚えがあるテイマー共をアーサーと同じ決闘ルールで逃げ道を塞ぐ。そしてテイマー共は決闘を受理する。
「ふ、ふん。何をしたか知らないが、そんなものウルフの前では無意味だ」
「そ、そうだ。今度こそ殺して---」
俺はテイマーとテイムモンスター共に殺気をぶつける。
お前らは俺をどうやって殺す?俺はお前らがこうしたらこう殺すぞ?
殺気とは相手を殺す気配のこと。殺す本気度とも言う。憎しみや怒りで気配が強くなるが俺の場合は殺す本気度をより具体的に気配として飛ばす。相手の動き、1つ1つに明確な殺すビジョンを飛ばす。その数、およそ100手。
『…』
この瞬間、モンスター達も含めて助かる未来が存在しないことを突きつける。残念だな…ゲームでなければ意識を失えたかもしれないのに。
「口を開くな…精々存在がなくなるまで俺を楽しませろ」
俺の殺戮が再び始まった。全員の舌を引きちぎり、股間を串刺しにして、殺していった。狼の首がそこらかしこに散らばった。
俺がゴミ共を全滅させたころには周囲は夜になっていた。
「タクト君?」
「…すいません。取り乱しました。今日は一人で帰らせてください」
俺はその日は歩いて町に帰った。俺の中の狂気がまるで収まらないからだ。モンスター相手に憂さ晴らしをする。更に幸運にも何人ものプレイヤーが俺を襲ってくれた。その夜、俺は襲ってくるプレイヤーを片っ端から皆殺しにしたのだった。
今年最後の更新がこれでなんか申し訳ないです。ただこういう問題はタクトの状況ならいつかは起こるものなので、ご理解して頂けると幸いです。
タクトのでたらめな強さについてはちょくちょく話していきます。本格的な話は第二章で語る予定です。
次回、新年の更新も3話更新で今日と同じ6時更新いたします。内容は掲示板と運営雑談、事件後の学校となります。3話目で誠吾の新たなクラスメイトが登場いたしますので、お楽しみにです。
最後に歳末のご挨拶をさせていただきます。ここまで色々なご指摘や誤字報告をしてくださり、ありがとうございます。来年もなるべく1日更新していきますので、『Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~』をよろしくお願いいたします。それでは皆様、よいお年をお迎えください。