#548 奇襲と第二防衛ライン地上戦
夜、みんなでご飯を食べてログインする。するとサバ缶さんから連絡がきた。
『銀たちから情報が届きました。やはりゴネスは船を持っていないみたいですね。港町やその周囲に部隊を展開しているらしいです』
『銀たちは流石ですね。こちらは昼に一度戦闘があり、先ほどホークマンたちから敵襲の報告を受けました。昼の部隊の更に二倍の数だそうです。ぶつかるのは二十一時になります』
しかしゴネスの人たちは疑問に思わないのだろうか?いきなり騎士団の人数が増えたら変だろうに。
『その時間帯は参加率高いですからね。こちらは予定通りでいいですね?』
『はい。恐らく船が無くても悪魔たちは来るでしょうから』
俺はイクスを呼び出し、指示を出す。
「任務了解しました。マスター」
「頼むぞ」
「はい。吉報をお待ちください」
そして開戦前にイクスから通信が来る。
『マスター、見付けました。やはり結界を使っています』
『場所を教えてくれ』
『イエス、マスター』
イクスに撤退を指示し、帰ってくると何かを見つける。
「マスター、数十の魔力反応を探知しました」
「…何? 何処にだ?」
「現在ホークリバーの入り口上空に侵入してきたところです」
ッ!?敵にもステルス能力がある飛行部隊がいたのか!偶然イクスを召喚しているときに来てくれて助かった。
奴等が狙うとしたら、ホークマンの村かアーバレストの破壊だろう。状況から見てアーバレストと見た。
『全軍! 敵襲に備えてくれ! 敵は透明で飛行している!』
『えぇ!? どうするの? タクト君』
『作戦に変更はない。敵の狙いは恐らくアーバレストだ。トリスタンさん、合図で空に飽和攻撃を』
『わかったわ! 全軍、射撃用意!』
アーバレストで待機していたプレイヤーたちが弓矢を空に構える。
『いつでも行けるわ』
『3…2…1…今です!』
『サウザンドレイン!』
放たれた弓矢が千の弓の雨になり、謎の敵たちに襲い掛かると姿を表した。
ナイトメアロイヤルナイト?
? ? ?
現れたのは黒い馬に乗った黒い鎧の騎士だった。神興国ってなんなんだろうね?
「く…なぜバレた!?」
「それよりもあの兵器の破壊ーーぐわっ!?」
ナイトメアロイヤルナイトたちに黒い風が襲い掛かった。オプスたちだ。
「ホークリバーの夜空は我らの領域。貴様らが飛ぶことを許可できんな」
「なんだ!? こいつら!?」
「黒いホークマン?」
部隊のど真ん中にいるのに余裕あるな。こいつら。
「魔導銃! 掃射!」
トリスタンさんたちが魔導銃に持ち変え、ナイトメアロイヤルナイトたちを撃ち抜いた。更に護衛のプレイヤーたちが群がり、ボコボコにした。
ふぅ…危なかった。サラ姫様、カインさん、ルインさん、サバ缶さんに報告しないとな。
すると倒されたナイトメアロイヤルナイトたちがキングダエーワとなる。
『な!?』
「くっ! あいつらを止めろ!」
レイブンたちが雷気弾を撃ち込むが、キングダエーワたちとトリスタンさんたちとの距離が近すぎた。
「全軍! 引いて!」
「しかし!」
「もう無理よ! 死に戻りしたいの!」
「い、いえ! 引け~!」
トリスタンたちが引くとキングダエーワたちはアーバレストを破壊した。しかし破壊に夢中になったキングダエーワたちは引いたトリスタンたちの魔導銃の掃射で倒された。
『ごめんなさい。アーバレストを失ったわ』
『また作ればいいだけですから大丈夫ですよ。まだ戦えますか?』
『幸い人的被害は無いわ』
アーバレストを囮にしたトリスタンさんの判断は正しい。何より敵の奇襲でこちらのプレイヤーや騎士NPCの被害が出なかったのはでかい。
『では、満月さんたちの部隊に合流してください。作戦は後程』
『了解よ』
さて、バタバタしたから陣形を整える。次は俺たちの番だ。覚悟しやがれ。
ゴネスの騎士団がホークバレーに侵入する。しかし崖崩れも水を貯めたダムもない。
「ふん! どうやら打ち止めのようだな! フリーティアの騎士ども!」
「敵が見えたぞ!」
「行くぞ!」
ゴネスの騎士団の地面が起爆する。サバ缶さんたちが作ったダイナマイト地雷だ。馬や人が上を通るとダイナマイトの中で火打石がぶつかり合うことで起爆する。
「な、なんだ!?」
「タイムボムか? いや、あれほどの火力はないはずだ」
「ひ、怯むな! 敵は目と鼻の先だ!」
しかしこちらは攻め手を緩めない。
『ミスト!』
魔法使いたちが霧を発生させる。水魔法のミストだ。これによりゴネスの騎士団を霧が包んだ。ここは谷、霧には最適の地形だ。
「き、霧です! 隊長!」
「前が見えません!」
「小癪な! 風魔法で吹き飛ばせ!」
指示通り風魔法で霧は吹き飛ばされたが俺たちの狙いは目潰しだ。
目の前に部隊がいれば当然敵の突撃を警戒する。空など警戒する余裕は無いだろう。気づいた時には手遅れだ。
「な、なんだ?」
「空から何か降って」
アルさんたち飛行部隊のダイナマイトによる絨毯爆撃が炸裂する。それを確認した雷電さんが指示を出す!
「全軍! 突撃!」
『おぉ!!』
絨毯爆撃で瀕死の奴等を蹂躙した。しかし倒れた奴等の大半が悪魔になる。とうとう人間の騎士はほとんどいなくなったわけだ。
そして悪魔たちは先に進むとトリスタンさんの部隊と満月さんの部隊とぶつかる。
トリスタンさんの部隊が火縄銃を構える。
「攻撃開始!」
『は!』
一斉に火縄銃を撃つと後ろの人と交代し、交代した人が撃つ間に銃の準備をする。
長篠の戦いで織田信長が考案し、武田の騎馬隊を倒した火縄銃の戦法『三段撃ち』だ。更に弾は炸裂銀弾だ。更に大筒を持った人たちも砲撃する。
悪魔たちを次々倒すが数が多すぎた。
「全軍後退! 後はお願い」
「任せてくれ。全軍前進! ヘリヤさん、頼めるか?」
「はい! 破壊の加護!」
満月さん率いる重装歩兵部隊が三つの別れ道がある分岐路で陣を構える。ここが第一防衛戦最後の砦だ。全員に破壊の能力が加わると満月さんが指示を出す。
「全軍強制! 奴等を返り討ちにしてやれ!」
『おぉ! 強制!』
悪魔たちは盾に攻撃しただけで死ぬという恐ろしい光景になる。
「えぇい! 止まるな! 数で押し潰せ!」
流石に悪魔の大軍全てを強制することは出来なかった。結果悪魔たちに抜かれてしまう。それでもかなりの数の悪魔を倒した。
そして悪魔たちは三方向に別れた。それを見て満月さんたちも動いた。
「『ファランクスの牢獄』を発動! 全員速やかに動け!」
『はい!』
ファランクスの牢獄は満月さんたちが考えた作戦。第二防衛ラインの主軸となる作戦だ。悪魔たちはこの作戦の恐ろしさを味わうことになる。
まず、別れた先の何もない直線道。ここに雪崩れ込んだ悪魔が目にしたのはルーク率いる召喚獣部隊。ルインさんとサバ缶さんのほうが安定しているからチロルたちもこちらに参加している。
悪魔が戦力を分散させてくれたから数、質共に悪魔たちより有利になった。
「ゴーレム部隊! 攻撃開始! 狙いはキングダエーワです!」
ゴーレムたちのロケットパンチや光線が放たれる。更に烈空さんが指示を出す。
「ブレス部隊! 一斉攻撃だ!」
多種多様なブレスが悪魔たちに襲いかかった。チロルが指示を出す。
「全軍突撃! アニマル部隊は私に続け~!」
『おぉ~!』
「他の奴らに経験値を渡すな! 行くぞ!」
『おぉ~!』
悪魔たちはぶつかり合う体勢なるが空からマンモスやサイクロプスが降ってきて、ダエーワが潰される。
「私、登場! レギオン召喚!」
「…竜化」
突如現れたマヤさんの大型召喚獣たちと竜化した土のドラゴニュートが蹂躙を開始する。岩のドラゴンとなったドラゴニュートは悪魔たちの攻撃が全然効いていない。あれが土のドラゴンか。リリーたちと違い空は飛べないみたいだが、圧倒的な防御力と攻撃力を誇るみたいだ。
悪魔たちが混乱している間にチロルたちが襲いかかった。指揮をしていたキングダエーワが決断する。
「数が違いすぎる! ホークマンの村に向かった部隊と合流するぞ!」
『は!』
しかし分けた部隊をただで合流させるほどバカではない。振り返った悪魔たちが見たのは光の壁だ。ケーゴが昼間に使っていたロイヤルランパードだ。
それが悪魔たちに向かって迫って来ていた。
悪魔たちは攻撃するがびくともせず、飛んで逃げようとするが逃げれない。親衛隊のスキル、強行の効果だ。
強行は全ての敵に攻撃を強制するスキル。これにより逃げることは出来ず、アイテムの取り出しや魔法やスキルによるバフも使えなくしてしまう強制スキルの完全上位スキルだ。正面以外の攻撃も集めるから強行効果範囲を注意して使わないと袋叩きに合う弱点があるそうだ。
しかしここは谷で最初と違い、空の敵はホークマンの村を目指しているから効果範囲に入る心配がない。
これで悪魔たちは完全に逃げ場を失った。更に強行の恐ろしさはこれだけではない。強行は攻撃をし続けさせるスキルなので、後ろから迫ってくる敵には完全に無防備にしてしまうのだ。
結果、悪魔たちは背後から押し寄せる召喚獣に蹂躙されるしか無かった。これがファランクスの牢獄。逃げ場を封鎖し、敵の背後から蹂躙する作戦だ。
一方マケマケ神殿の方面に向かった悪魔たちはケーゴ率いる親衛隊と満月さんの部隊の親衛隊に挟まれていた。
「くそ!」
「こいつら!」
ロイヤルランパードのいい点は壁を貼った外からの攻撃が出来る点だ。つまり壁で挟んだら、長い槍で刺したり出来るのだ。フリーティアの騎士や騎兵部隊は楽しそうに悪魔たちを刺している。
弓矢なども可能だが勿体無いので、使わない。これが本来のファランクスの牢獄だ。ここが谷で夜に参加プレイヤーが多くないと出来ない作戦だ。
『ファランクスプレス!』
生き残っていた悪魔たちは破壊の加護があるロイヤルランパードに押し潰され、全滅した。
一方敵本隊はホークマンの村を目指す。
「行くぞ!」
「ホークマンどもの村を滅ぼせ!」
「…それは困る」
「うむ! 妾たちとも遊んで貰わなければな!」
悪魔たちにレールガンロケットパンチが放たれ、ブレスや波動に呑み込まれる。ホークマンの村には簡単にはいけないぜ?
ニックさんたちが作ってくれた壁の前にノワ、リビナ、セフォネ、ファリーダ、グレイ、虎徹、チェス、白夜、ゲイル、優牙、黒鉄、エアリー、狐子、伊雪、ミール、ディアン、月輝夜、クリュス、ハーベラス、ジークが陣取っていた。パーティー制限がないから俺の地上戦が得意なメンバーがここを封鎖していた。
「な、何!?」
「や、闇のドラゴニュートにリリム、ヴァンパイア、ま、魔将だと!?」
「それにスターヒュドラにオ、オーガロードまで!?」
リビナとファリーダが自慢げに言う。
「ここから先は通行止めだよ」
「たっぷり遊んであげるから掛かってきなさい」
『な、なめるな!!』
キングダエーワたちが襲い掛かって来る。それに対抗するようにグレイが叫び、全員が襲いかかった。
グレイが幻影でダエーワに手足に噛みつくとハーベラスが押し倒し、両腕に噛みつくとダエーワが燃え上がる。しかしダエーワは力ずくでハーベラスを振りほどくと体勢を整える。
「ガゥ!」
グレイの連携が優牙、ハーベラスで発動し、三人のブレスが炸裂する。
しかしそんなグレイたちに別のダエーワたちが襲いかかる。
「ガァアア!」
白夜が叫び、地面に踏むと地面から鋭い岩が次々飛び出し、ダエーワたちを貫き拘束する。
そこに虎徹がダエーワを連続で斬り刻み。別のダエーワにはゲイルが飛び掛かり放電で感電させていた。
更にクリュスとミールが切り札を切る。
「思いっきり行くわよ! 妖精の輪!」
「タクト様のお許しが出ましたからね! 植物召喚! いでよ! 噛み付き草!」
空に虹色の輪が生まれるとそこから五体の水玉が登場する。するとその水玉から銃弾のような水が悪魔たちに降り注いだ。水の妖精を召喚したみたいだな。
更に噛み付き草が悪魔たちを食べていく。その二人に斧を持ったダエーワが襲いかかってくる。それをチェスとファリーダが止める。
「あんたたちの力はその程度なのかしら? 出直して来なさい!」
「ガァアア!」
二人が押し勝ち、ダエーワの斧を弾く。
そこに天撃と氷結波動が直撃する。エアリーと伊雪だ。
「とどめね。水輪!」
「聖水!」
天撃が直撃したダエーワに聖水が降りかかり、煙を上げて消滅した。一方凍ったダエーワは水輪で綺麗に切断された。
「ひ、怯むな!」
「数で押しきれ! あ」
悪魔たちが次々痙攣しながら地面に落ち、精根尽き果て動かなくなる。
「最近ボクの能力が効かないのが多いから今日はたっぷりサキュバスの恐ろしさを教えてあげるよ」
「夢魔風情が! なめるな!」
「どきなさい! あんたたちじゃ話にならない! こいつは私がやるわ」
女のダエーワとリビナが敵対する。
「死ね! 夢魔!」
リビナが斧を躱すと女ダエーワに接近する。
「あ」
女ダエーワが崩れ落ちる。
「ボクはリリム。君たちの女だから大丈夫とかいう理論が通用するような甘い存在じゃないよ。ほら、起きて、お姉さん。男たちを倒しちゃって」
「…はい」
女ダエーワが悪魔たちに攻撃を始めた。するとキングダエーワの一体がリビナに襲いかかる。それをセフォネがガードする。
「邪魔をするか! ヴァンパイア!」
「お主の相手では不服じゃが、夜の魔王である妾が相手をやるのじゃ。何処からでもかかってくるがいい!」
セフォネがキングダエーワと戦闘する。セフォネはあえてキングダエーワの攻撃を全て喰らい、スキルを封じてから血竜が噛み付き、更に血晶でキングダエーワを体を貫き、動けなくした後、鎌で両断した。
そんなセフォネを攻撃しようとしたダエーワに狐姿の狐子が襲いかかる。ダエーワに噛み付いた狐子の背後から他のダエーワが来るが尻尾でぶっ飛ばす。右から来たダエーワには憑依し、他のダエーワと戦わせると戦っていたダエーワを今度は魅了してしまう。
その間に壁に押し寄せる悪魔たちだが、ノワが立ち塞がる。
「…竜技、ドラゴンアブソリュート」
悪魔たちが動きを封じられる。
「…影竜」
動けない悪魔たちを次々影から現れたドラゴンが噛み付いていく。そんなノワにダエーワたちが襲いかかる。しかしノワの護衛には黒鉄、伊雪、月輝夜、ディアン、ジークが付いている。黒鉄と月輝夜は壁役に徹し、エアリーが回復役をする。
それは何故か?月輝夜は攻撃を当てられると筋力が増大していくからだ。故に月輝夜は強制で攻撃を集め、エアリーが回復をする。ノワの本当の守りは黒鉄、伊雪、ディアン、ジークが担当している。
ノワの包囲網を抜けて、ダエーワたちが来るがディアンに噛み付かれて、即死するダエーワたち。その隙をついて、ノワに攻撃しようとしたダエーワをジークが竜爪と竜尾で吹っ飛ばす。ジークを無視しても伊雪が氷刃で悪魔たちを斬り裂いていく。
そして遂に月輝夜が金砕棒を構える。グレイたちが一斉に下がる。
「あれはまずい!」
「全員下がれ」
しかしキングダエーワたちは逃げられず、むしろ引きずられる。
「いいところでしょう? 逃げたら、ダメよ」
「うむ! たっぷりと味わうといいのじゃ!」
「グゥウウ!? これは引力?」
「ならば潰すまで!」
判断するのが遅い。
「グォオオオオオオ!!」
月輝夜の全力フルスイングの衝撃波で悪魔たちが消し飛ぶ。しかし遠くにいたキングダエーワは障壁で辛うじてガードした。しかし障壁は見事に消し飛んでいるから、月輝夜の破壊力は本物だ。
「あ、危なかった…」
「ヒヤッとしたが今のうち」
「…ドラゴンブレス」
『シャー!』
障壁が貼れないキングダエーワたちはノワのドラゴンブレスとディアンの波状ブレス攻撃を浴びることになった。
「くそ! 俺の元に集え! 我らが魔素よ! 奴らを滅ぼす力を授けよ!」
一体のキングダエーワに大量の魔素が集まり、巨大化する。
ダエーワオーバーロード?
? ? ?
こいつがこの戦いのボスか。
ボス戦とリリーたちの空の戦いは次回に持ち越しします。




