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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
ゴネス大戦
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#546 トレントの森、迎撃戦

その頃、トレントの森の外ではゴネスの騎士たちが進軍して来ていた。それを穴から顔を出し、見ている者たちがいた。早太郎率いるクーシーたちだ。


「…来た。みんなに報告を」


『はい!』


クーシーたちがキングコングの砦を改造して作った新しい砦とトレントの森に展開している部隊に情報を届ける。


「意外に早かったわね」


「ワントワークは素通りした感じだね」


「こっちに来るゴネスの騎士を相手にする余裕が無いんでしょうね。まぁいいわ…準備は出来ているもの。彼らには早々に撤退してもらいましょう」


ゴネスの騎士たちはトレントの森に進軍する。すると騎士たちが次々斬られる。


「いてー…なんだこれ?」


「糸? 鉄線か!」


「下らんトラップだ!」


騎士の一人が剣で鉄線を斬ると四方の木の上から矢が飛来し、騎士たちに刺さる。


「な、なんだ?」


「なぜ矢が…ごふ」


矢が当たった騎士たちは次々倒れたり、もがき苦しみ出す。


彼らを狙ったのがバリスタ。鋼線を斬ったと同時にバリスタの糸も切断してしまい、矢が発射されたのだ。そしてその矢にはエルフ特製の毒が塗られている。


この矢は手に持つ必要が無いため、ほぼ矢全体に毒が塗られており、触っただけで激しい炎症を起こす危険な毒だった。結果、仲間を助けるために矢を抜くと抜いた奴まで地獄を見る。


「うぎゃあああ!?」


「手が!? 手が!?」


「無闇に動き回るな! おい! 命令を聞け! 殺すぞ」


死にたくなる激痛を味わっている人に何を言っても無駄だ。そんな人間に出来ることは転げ回り、泣き叫ぶしか出来ないのだから。


結果、地面に張られた鋼線に倒れ込み、バリスタの矢が次々騎士たちに襲い掛かった。


「く!? 撤退! 撤退しろ!」


ゴネスの騎士たちは一時トレントの森から撤退する。


「どうしますか? 隊長?」


「…厄介なのは罠です。ならば罠を先に破壊します。くれぐれも罠を発動させないように」


『はっ!』


再度ゴネスの騎士たちは突撃する。しかし魔法を使用しようとすると不発する。トレントの森ではエルフィーナたちが魔法、攻撃スキルを封じる結界を張っている。


ゴネスの騎士たちには俺たちのような爆弾などのアイテムはないはずだ。これで罠の解除は不可能となるはず。最も悪魔なら森の上を飛べるから突破されるが、悪魔たちは動けない。


これは彼らの事情…流石にゴネスの本物の騎士の前で本性を出すわけにはいかなった。


「…円陣を組み、盾持ちを前にして、突破します!」


『はっ!』


ゴネスの騎士たちは罠を少しずつ突破していく。しかしそれぐらいの対策なら当然用意している。


『ボトムレススワンプ!』


エルフたちがボトムレススワンプでゴネスの騎士たちが泥沼に落ちる。


「今にゃ! みんにゃ!」


『にゃ~!』


木の上にいたケットシーたちがロープに捕まり、地面に降りる。結果ロープに繋がっている毒がたっぷり入った巨大な二つのバケツがひっくり返る。


泥沼に落ちたゴネスの騎士たちに逃げ場はない。


『ぎゃあああああ!?』


こうしてトレントの森に向かったゴネスの騎士たちは全滅した。すると騎士たちの数人が悪魔たちとなり、空を飛ぼうとするが、鋼線と聖水が塗られたバリスタの矢に撃ち抜かれる。騎士は空を飛ばないからな。こういうところははっきりしているから罠の種類を変えやすい。


しかしダエーワは気にせず、ダルタニャンに襲いかかると葛葉が薙刀でダエーワのパンチを止めた。するとダルタニャンの魔導銃がダエーワを撃ち抜き、葛葉が薙刀を回転させると火が燃え上がる。


「狐技! 九重火炎車(くじゅうかえんぐるま)!」


葛葉は薙刀を前面で回しながら走ると薙刀から九つの炎が葛葉を包み込み、葛葉を燃え盛る炎の球に変化させる。ダエーワが魔弾を撃ち込むが全て弾かれ、そのままダエーワをぶち抜いた。そこに他の狐のセリアンビーストたちが追撃するとダエーワが倒される。


すると瘴気が集まるが術タイプのセリアンビーストが構える。


『穢れを祓い清め給う。大祓!』


黒い瘴気が光となり、自然に帰っていく。するとキングダエーワは現れず、勝負は終わった。


俺はみんなから初戦が勝利した報告を受けた。流石に完膚なきまで倒したから、今日は来ないだろうが一応警戒を頼み、ログアウトした。



その頃、ゴネスでは枢機卿たちがフリーティアでの初戦の結果を聞いていた。


「全滅!? 全滅しただと!? あれだけの戦力を投入したんだぞ!」


「…何が起きた?」


「それが全くの謎で」


「もう良い! ドォルジナスを呼べ!」


ドォルジナスが通信に出る。


「これはどういうことですか? ドォルジナス」


『どうもこうもないわ。フリーティアが準備万端で待ち構えていて、私たちは全滅した。それだけよ』


「貴様がいて、その結果だと? ふざけるな!」


『あのね…私の能力はバレてるのよ? お陰でホークリバーに展開している部隊は病気対策は完璧。私にどうしろって言うのよ』


これはドォルジナスが戦う前に警告したことだった。ヴェインリーフを自分が落としたら、当然ホークリバーにはドォルジナス対策済みの部隊が配置されるだろう。


彼らの最大の誤算は海の艦隊の全滅だった。結界に絶対の自信がある彼らにとって、早々にブルーメンの港町は落とせる算段だったのだ。


その結果が全滅。大量の船を失い、彼らは海路を絶たれた。寧ろ海路から攻め込まれる危険性が浮上してしまった。すると一人の悪魔がドォルジナスに聞く。


「敵の動きはどうなの?」


『それが勝鬨を上げるだけで攻めてこないのよ』


「罠を警戒しているのかしら?」


『どうかしら? でも、フリーティアにはバアルのゲームをクリアし、倒した召喚師がいるわ。海とホークリバーで全滅させたのは間違いなく彼の関係者。そして彼がホークリバーにいることを確認したわ。まぁ、これは私に対して牽制しているんでしょうね』


ホークリバーでは実質タクトとドォルジナスがぶつかり合っている状況になった。そしてドォルジナスはタクトの殺気を感じていた。


現れた瞬間、ぶっ殺すという殺気を…実際ドォルジナスは自分が倒される可能性があるのは、タクトのみと考えていた。故に下手に動けないのだ。


「それならお前はトレントの森へ向かえ」


『良いのかしら? どうせ彼がトレントの森に現れるだけよ? そうなるとヴェインリーフは手薄になるけど?』


「攻めてこないのはそれを狙っている可能性があるわけね…これは強引に突破するしかないわね」


『同意見よ』


こうしてヴェインリーフに増援が決定し、船を失ったゴネスは港町や周囲の村に部隊を展開した。トレントの森はワントワークを攻略後に攻めることが決定したのだった。

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