#543 部隊編成発表とタクトの演説
ドナドナされた俺はギルドにたどり着くとみんなからお願いをされる。
「…本当にやるんですか?」
「士気を高めるためよ。頑張って」
「こういうのはギルマスがしませんと」
それはそうかも知れないが…俺が視線を向けるとキラキラした顔をしているリリーたちがいた。リリーたちを使うとはやってくれる。
仕方無いから腹を括るか。
俺は待機しているギルドメンバーの前に立つ。中には今回協力してくれる亜人種たちと訓練した騎士たちもいる。これは失敗出来ないな…よし。
「ギルド『リープリング』のマスターをしているタクトだ。これから部隊編成を発表する!」
歓声が起きる。アーレイの奴は口笛までしてやがる。あの野郎…夏休みの宿題見せてあげないぞ。
「まず海戦部隊、提督サバ缶!」
「はい!」
提督という名前と呼び捨ては本人の希望。威厳を示すためには呼び捨てじゃないとダメらしい。そして提督であるサバ缶さんから編成を発表される。
「旗艦はスクナビコナ! 船員は魔導エンジン制御にノア!」
「任せておくれ! あいつらにスクナビコナの真の強さを教えてやる!」
ノアはスクナビコナを侮辱されたことをずっと根に持っている。俺もそうだが、スクナビコナを侮辱された借りを返すのはノアに任せた。
「操舵手及び特殊兵器部隊隊長シャロー! 砲撃手及びカタパルト部隊隊長、与一! 索敵部隊、隊長ノストラ!」
「はい!」
「任せて下さい!」
「は~い。かなり重要な役割に私は潰されそうよ」
後はシャローさんと与一さんのパーティーがスクナビコナに乗船する。更にサバ缶さんは続ける。
「水中部隊、隊長チロル!」
「はいはーい!」
最早水中部隊を任せれるのはチロルしかいないだろう。更にコセット、ララ、フェルトたちも参加した。後は海戦を希望した人たちの集まりだ。船持ちが予想以上に参加してくれているから大丈夫だろう。
因みにレベルが低い人たちは海戦希望者が多い。これにはちゃんとした理由がある。まず理由の一つがこれだ。
「最後にパラディンロードの騎士ランスロット殿もこちらに参加して貰います」
「パラディンロード所属の騎士、ランスロットだ。よろしく頼む」
ランスロットの登場に沸き上がるプレイヤー。中には黄色い声援もある。ランスロットは湖の騎士。海戦向きと判断した。当然安全性は半端無いだろう。
後は単純に船での火力は大砲に依るからレベルが低くても活躍がしやすい。更に俺の予想では初戦は海の戦闘が一番経験値が多いと思っている。それが広まり、海での戦闘に集まった形だ。
「海戦部隊の編成は以上です。ギルマス」
「ご苦労様です。次はトレントの森防衛部隊、総指揮官ルイン!」
「任せて頂戴」
ルインさんは忙しいから迎撃をするトレントの森が最適と判断した。当然サポートにユグさんたちが付いている。そして編成がルインさんから発表される。
「エルフ部隊隊長、エルビン! エルフ魔法支援部隊隊長、エルフィーナ! クーシー索敵及び伝令部隊隊長、早太郎!」
「当然だな」
「頑張りましょう。お兄様」
「が、頑張ります!」
エルフ部隊とクーシー部隊はトレントの森に配置した。エルフは森での戦闘なら右に出るものはいないだろう。そしてクーシーは索敵、伝令、罠特化だ。配置するならトレントの森が最適と結論付けた。
「狐のセリアンビースト部隊隊長、葛葉! ケットシー部隊隊長、ダルタニャン」
「油揚げのために頑張ります!」
「マタタビのために頑張るにゃ!」
動機がダメだな。この二種族…それでも強さは疑いようがない。
「召喚獣及びバーバリアン部隊隊長、ルーク! 副隊長、烈風!」
「はい!」
「おう。あまり気合いをいれるなよ。ルーク。ドジるぞ」
「変なフラグを言わないで下さい!」
ここに他のプレイヤーが参加する。火影さんたちもここに参加することが確定している。エルフ、ドライアド、犬耳っ娘、狐耳っ娘、猫耳っ娘がいるからか男のプレイヤーが集まった。
「以上よ。ギルマス」
「ご苦労様です。最後にホークリバー迎撃部隊、ここの指揮は俺がする」
全員が気を引き締める。ギルドメンバーのほとんどはここに配置されるからだ。そして間違いなくここが激戦になることをみんな、わかっている。
「第一近接部隊隊長、メル! 副隊長、シフォン!」
「任せて! みんなよろしくね?」
「が、頑張ります!」
ここには身軽でバランスがいい騎士が多い。他にも身軽な格闘家、勇者などはここに入る。そしてレギンがここに入った。
「第二近接部隊隊長、鉄心! 副隊長、満月!」
「よろしく頼む」
「守りなら任せてくれ」
こちらは重戦士が多いため、重量級部隊だ。二人は夜がメインだから同じ重戦士のケーゴやミランダが指揮をすることになる。そしてヘリヤが入る。
「騎兵部隊隊長、雷電! 副隊長、レイジ」
「はい!」
「うお!? わいが副隊長かいな…まぁ、やるだけやってやりますわ」
レイジさんは槍使いでウッドドラゴンとの戦いで一緒に馬に乗り、俺に合わせてくれていた人だ。メルたちも戦闘、指揮能力を評価していた。そしてここにはジャンヌが参加する。本人の希望だから仕方無い。
「第一魔法使い部隊隊長、レッカ! 副隊長、ライカ」
「はい! よろしく頼むね? ライカ」
「お前が推薦したのかよ…まぁ、やってやるよ」
ライカさんはいつもレッカと組んでる人だ。レッカの推薦もあり、選んだ。名前の通り、風、雷魔法を得意としている。
「第二魔法使い部隊隊長、雫! 副隊長、つらら!」
「はい! 頑張りましょう。つららさん!」
「う、うん! 頑張ります!」
つららさんは得意魔法は水、氷魔法。雫さんの推薦で選んだ。
「召喚師部隊、隊長タクマ! 副隊長アロマ!」
「お、おう!」
「はぁ…何緊張しているのよ」
「し、仕方ないだろう!?」
花火ちゃんは心配しているがタクマとアロマなら編成は安定しているし、指揮も任せて大丈夫だろう。
「飛行部隊、隊長アル! 副隊長マヤ!」
「はい!」
「頑張るよ~!」
マヤさんは以前イジ鉱山のアリの大群を戦闘した時に一緒になった人だ。土のドラゴニュートに加え、グリフォンを召喚している。更にはマンモスやサイクロプスを召喚している。重量級の召喚獣の使い手だ。
「特殊部隊隊長、トリスタン! 副隊長クロウ、ニック!」
「任せてちょうだい!」
「おう! やられた借りはしっかり返すぜ!」
「準備は万端です」
特殊部隊はトラップや秘密兵器を扱う部隊だ。実際に武器使用担当はトリスタン率いる狩人、銃士部隊。クロウさんとニックさんたちは秘密兵器の運用に適任だ。
「レイブン部隊隊長、オプス」
「あぁ、任せてくれ」
レイブンたちは切り札だ。ドワーフたちはイジ鉱山で砦建設をしてもらっている。後は他のプレイヤーが自由意思でそれぞれの部隊に配置されることになる。
レギン、ヘリヤ、ジャンヌの効果は公開したからそれぞれどこの部隊が自分のスタイルに向いているか判断できるだろう
「以上。このメンバーで挑む。質問はあるか?」
質問は出ない。既に作戦のことは説明してあるからな。しかし俺は今回の戦争イベントの流れを説明する。
質問にも答え終わるとここからが押し付けられた役割だ。
「最後に俺たちに手を貸してくれたみんなにリープリングを代表して、感謝する」
俺は頭を下げる。そのまま続ける。
「戦いはどうなるかわからない。しかしみんなそれぞれ戦う理由があるだろう。ヴァインリーフで苦渋を飲んだ人、恩返しをしたい人、この国を守りたい人…理由はそれぞれだ。そして俺にもその理由がある」
俺は顔を上げる。みんな黙って聞いてくれる。
「先の海での戦闘でスクナビコナやリープリングが侮辱され、イオンがシルフィ姫様と同じ状況になったことを聞いていると思う。俺はゴネスの奴らを決して許さない」
俺はこれまで一緒に戦ってきたスカーレットリングを抜き、掲げる。
「あいつらは引き金を引いた! あいつらに口にする度胸がないなら、俺がこの場で宣言する! ギルド『リープリング』は神興国ゴネスに対して、宣戦布告する!」
「俺たちを怒らせたら、どうなるか。ゴネスの奴らに教えてやろう!」
全員が武器を掲げる。
『おぉ!!』
そしてみんながそれぞれ動き出した。
「あぁ~…緊張した」
「あれで緊張していたの? かなり派手な号令だったわよ?」
「ですね! これは暫くギルマスはタクトさんになりそうですね!」
嬉しそうだな~二人とも。するとリリーたちが飛び付いてきた。
「タクト! 格好よかったよ!」
「はい! 後は勝つだけですね! タクトさん」
「あぁ。必ず勝つぞ!」
『うん(はい)!』
俺たちも配置に付き、いよいよ夜にゴネスとの戦争が始まることになった。




