#523 レイブン説得
夕飯を食べてからログインする。俺はホークマンの村長に教わった場所に一人で向かった。後でイオンに怒られるだろうが話し合いに召喚獣を連れて行ったら戦闘になるだろう。当然武器もなし。
すると早速レイブンに見つかる。
「貴様は昨日の!」
手から鉤爪を出し、襲い掛かってくる。俺はそれを躱す。
「俺に戦闘の意思はない。ご覧の通り生身だ。お前たちは武器を持たない人間を襲う程度のホークマンじゃないだろう? 違うか?」
俺とレイブンがにらみ合いと第三者の声がした。
「…下がれ」
「しかしオプスさん!」
「この男とは俺が話す」
昨日の部隊を指揮していたレイブンか。来てくれて助かった。俺の元に降りてくる。
「俺たちに何か用か?」
「まずは自己紹介をさせてもらおうか。俺はフリーティアでギルド『リープリング』のギルドマスターをしている召喚師のタクトだ」
「…そうか。それでフリーティアのギルドマスターが何か用か?」
名乗るつもりは無しか。でも名前はもう知っちゃったもんね。
「フリーティアはゴネスとの戦争になる可能性が極めて高い。俺は協力してくれる仲間を探していてね。昨日の戦闘を見て、俺は協力要請にきた」
「下らないな。帰れ」
帰れと言われて帰るわけには行かないんだよね。
「ホークマンはフリーティアに協力している。ゴネスがフリーティアに攻めてくるならここは標的にされるだろう。お前たちだけで村を守れると思っているのか?」
「この村が狙われる根拠もないし、ゴネスの騎士など恐れるに足らん」
なるほど。敵はゴネスの騎士のみと思っているのか。だけどそれは間違いだ。
「お前は知らないみたいだが、ゴネスはヴェインリーフとフリーティアを敵視している。ヴェインリーフを落としたゴネスがここを狙わないとお前は思うのか?」
「更にゴネスの騎士だけならお前たちだけで防衛可能だろう。これまでも防衛してきたみたいだからな。ただしゴネスの後ろに魔王が複数いる可能性が高い。当然悪魔たちがここに攻めてくるだろう。それでもお前は大丈夫だと言うのか?」
「…あぁ」
間があったな…自分では無理だと考えていてもそれでも引けないわけがあるとみた。ならばここは男らしい解決法を提案しよう。
「そうか…それなら俺と決闘をしろ」
「…何?」
「俺にはどうしてもゴネスの騎士と魔王軍を相手にこの村をお前が守れるとは思えない。決闘で俺に勝てたら、俺はお前の言葉が正しいと認め、これ以上の話は一切しないことを約束しよう。どうだ?」
オプスは俺を見る。ここで決闘を断るような奴ならどっち道戦力外だ。だがこいつなら俺の話に乗ってくるという確信がある。何故なら俺とオプスとの決着はついていないからだ。
「…いいだろう。もしお前が俺に勝てたら、貴様の話を考えてやる。文句はあるか?」
インフォが来る。
『特殊イベント『オプスとの決闘』が発生しました』
特殊イベント『オプスとの決闘』:難易度B
報酬:レイブンのワールドイベント参加
レイブンのリーダー、オプスと戦い勝利せよ。
「いや、ない。俺が売った決闘だ。好きな場所を選べ」
「ふん。ホークマン用の決闘場がある。そこで決着を付けよう」
俺はホークマンの村にあるガルーダ像の頭の上に決闘場があった。特徴は風。遮るものがない天然の決闘場だから風の影響を諸に受けてしまう。ホークマンやレイブンは得意な決闘場だろうな。
見学に多くのレイブンが現れた。リーダーが戦うなら当然だろうな。
俺の武器はスカーレットリングを選択した。
「剣だけでいいのか?」
「あぁ。その方がいい。不服か?」
「いや、ない。審判はお前がしろ。不正は許さんぞ」
「もちろんです」
オプスが鉤爪を出し、構える。俺もスカーレットリングを構える。
「では、やろうか」
「あぁ」
決闘
対戦者:タクト、オプス
勝敗:生命力全損
審判:レイブン
「試合、開始!」
試合開始と同時にオプスの姿が消える。俺は構えたまま、動かない。こいつの攻略法を前回の戦闘で大体掴んでいる。それでもかなり神経を研ぎ澄ませないと俺は勝てないだろう。
するとオプスが来る。俺は右の鉤爪を止め、弾くがオプスの左手には雷気弾が発生していた。
「雷気弾!」
俺は縮地で躱し、更に斬りかかるが斬ったオプスの姿が幻と消え、俺に鉤爪が迫るがガードする。蹴り飛ばそうとするが止められ、足を掴まれそうになったので、俺は逆の足でオプスを蹴る。
危なかった…今のはヒヤッとした。やはりこいつは強い。すると再び姿が消える。俺はスカーレットリングを構える。
すると風に異変を感じ、俺は咄嗟に縮地で移動する。俺がいたところに黒い羽が刺さる。羽投擲か…しかも普通の羽じゃないみたいだ。羽から紫の煙が出てる。毒だろうな。
そして夜の空から次々、飛来する。舐めるな!
「ランパート!」
巨大な土壁でガードする。
「ッ!?」
その瞬間、俺の背後からオプスが鉤爪で襲撃してくる。色々してくるなぁ。羽投擲を投擲操作で操って奇襲をしてきたのか。危なかった…完全に偶然だが助かった。
俺はスカーレットリングで鉤爪をガードして、体を回転させて、オプスのバランスを崩す。そして胴を放つ。
しかしオプスは羽を羽ばたかせ、俺の攻撃を躱す。ちっ…決まったと思ったが、羽があると便利だな。
対するオプスもタクトの異常さを認識していた。
「(俺たちの風を察知して、俺の攻撃に対応していると思ったが違うのか? 羽投擲と操作に風を消しての奇襲まで防がれたのはこいつが初めてだな)」
オプスは羽を羽ばたかせると周囲に雷の弾を作り出す。あれはリリーたちと同じスキル!?
「雷雨!」
「ランパート!」
「無駄だ!」
ランパートを避けるように雷雨が飛んでくる。魔力操作!?くそ!
「アクセラレーション!」
「く…テレポート!」
アクセラレーションでスカーレットリングで切り裂くが数が多すぎたため、テレポートで躱した。
さぁて、どうするかな。
「雷波動!」
「ッ!? ディメンジョンフォールド!」
俺は雷波動を弾き返すがオプスは躱し、闇に消える。こうなったら、無理矢理地面に叩き落としやる!
「「「「ダウンバースト!」」」」
強烈な下降気流が発生するがオプスは落ちてこない。すると観客の笑みを感じた。凄く嫌な予感!風が不自然に集まっていく。ヤバい!大技か!
しかしこれは…よし!
「宝玉解放!」
スカーレットリングが真の姿になる。
「メランゼピュロス!」
黒い竜巻が俺に向かってくる。だが、これでオプスの居場所がわかった!
「テレポート!」
「ッ!?」
俺の奇襲をオプスはガードした。
「惜しかったな」
「そうでもないさ」
「(力のルーン!)」
俺の筋力が一時的に増加する。
「おらぁああ!」
「何!?」
俺はオプスを地面に叩き落とした。
「「「「ギルティソーン!」」」」
棘の茨がオプスを拘束する。これで逃げ場ない!
「「「「フレイムサークル!」」」」」
オプスの四方に赤い魔方陣が発生するとオプスを焼く。それでもオプスは生きていた。
「ぐ…まだだ!」
「テレポート!」
俺はオプスを貫いた。
「そ、そこまで! 勝者タクト! リーダー!」
「来るな! はぁ…はぁ…俺なら無事だ。決闘で死にはしないことは知っているだろう?」
俺はオプスを回復させる。
「…俺を倒した剣で回復されるとはな」
「時間が惜しいからな。それで俺の話は」
「その前に俺の質問に答えろ。なぜ炎の中、俺に止めを刺しに来た?」
「お前ならあの程度では死なないと思ったからだ。お前がリーダーなら倒れるわけには行かないはず…ならば命を救うアイテムを持っていても不思議じゃない」
オプスの手首に付けていた紐で作られたブレスレットが無くなっていた。あれが蘇生アイテムだったみたいだな。
「なるほどな…俺の攻撃に対応したのは気配とその予測のせいか」
「正解だ。風を無くして奇襲した時に背後以外の攻撃だったら、俺は負けてたよ」
「それ以外の攻撃がないと判断した癖によく言うな」
あの瞬間、ランパートを作ったことで風の流れが不自然に変化した。それのおかげでオプスの完璧な奇襲が崩れた。本来ならありえない風の流れに対応出来ず、僅かに風を感じる事ができた。
そして俺なら風の流れが変な状態で壁に近付く危険はしない。もし突風が吹いたら、ランパートにぶつかるからな。
ならばランパートで風をブロックしている背後が奇襲に一番向いていただろう。完全に運が味方した決闘だった。
さて、ここからが本題だ。
「俺は決闘に負けた。お前になら手を貸すことに他の者も異論はないだろう。ただし、条件がある」
「なんだ?」
「村長からある程度きいているだろう? まず俺たちはこの村から離れることは出来ない。故に俺たちが手を貸すのはホークバレー周辺と限定させてもらう」
「いいだろう。他にもあるか?」
オプスがホークマンの村を見る。
「この村の安全をお前が保証しろ。それが条件だ」
どこまでもホークマンの村が大切なんだな…村長も言っていたが俺と本当に似ている。闇を知りつつも、守りたいものがある。ならば男の覚悟に俺も答えよう。
「わかった。ホークマンの村の安全は俺と俺のギルドが保証をしよう」
「協定成立だな。精々こき使え」
するとインフォが来た。
インフォが来る。
『特殊イベント『オプスとの決闘』をクリアしました』
『ワールドイベントに闇鳥人種レイブンが加わりました』
その後、俺はオプスたちと作戦会議をする。そこで問題点を指摘された。
「ホークバレーからアンナプルナに行くにはホークバレーに眠っている古の巨人兵を倒さなければならないぞ?」
あぁ…ボスがいるからホークバレー全域を使えないみたいだ。つまり攻略しないといけないわけだ…今から行くとしよう。
因みにアンナプルナは後で調べたが、最も死亡率が高い山の名前だった。
名前 タクト 寵愛の召喚師Lv11
生命力 136
魔力 316
筋力 128
防御力 70
俊敏性 90
器用値 205
スキル
格闘Lv35 蹴り技Lv34 杖Lv39 片手剣Lv42 槍Lv30
刀Lv36 投擲操作Lv8 詠唱破棄Lv26 魔力操作Lv14 魔力切断Lv15
召喚魔術Lv40 封印魔術Lv35 ルーン魔術Lv18 騎手Lv40 錬金Lv27
採掘36 伐採Lv39 解体Lv50 鑑定Lv44 識別Lv48
疾魔法Lv14 炎魔法Lv8→Lv9 地魔法Lv10 海魔法Lv11 暗黒魔法Lv9
神聖魔法Lv16 雷魔法Lv43 爆魔法Lv45 木魔法Lv31→Lv32 氷魔法Lv35
時空魔法Lv51 獣魔魔法Lv6 遅延魔法Lv14 連続詠唱Lv32 水中行動Lv27
縮地Lv23 読書Lv16 料理Lv44 釣りLv20 シンクロLv28
エンゲージLv9 連携Lv18




