#495 船上の決闘
無事に船旅を続けるスクナビコナ。俺が恋火のブラッシングをしていると宗次郎が話しかけてと来た。
「その刀…」
「これはあたしのです。ヘーパイストスさんに作って貰ったんですよ」
恋火は自慢げだな。
「ちょっと見せていただいてもいいですか? 刀には目がなくて」
「タクトお兄ちゃん、いいですか?」
「いいぞ」
「では、どうぞ」
宗次郎は刀を抜き、チェックしている。
「この方は…あまり刀を作ったことがありませんね。それでこの完成度…さぞ鍛治を愛している人でしょう。あ、すみません。侮辱したつもりは」
「いや、驚いているんだよ。実際に刀を作ったことはほとんど無かったからな。俺が無理を言って作って貰ったんだ」
「では、タクト殿はこの子のために?」
「そうだが、俺自身が刀を持ちたかったところもある」
すると宗次郎が笑う。
「やはりそうでしたか」
「わかるのか?」
「はい。私の刀を気にしていましたから」
ぐぬ…俺としたがつい見てしまった瞬間を察知されてしまったか。
「ありがとうございます…タクト殿も刀を持っているなら私と決闘をしませんか?」
「…いいのか?」
「是非。強い剣士には目がないもので」
沖田総司と戦えるなら願ってもない。というわけでスクナビコナの甲板で決闘をすることになった。
決闘
勝敗:クリティカルヒット、生命力全損
対戦者:タクト、宗次郎
審判:イオン
宗次郎と協議した結果クリティカルヒットも勝敗に加えた。これでほぼ剣道と同じルールのはず。まぁ、反則攻撃もクリティカルヒットになるけどね。それをするかどうかは俺たち次第だが、そんなことする余裕は俺には無いだろうな。
互いに刀を抜く。あれが沖田総司が愛用した刀『菊一文字則宗』か…格好良いな~。
「準備はいいですか?」
「あ、あぁ…」
いかんいかん…集中しなければ。
「ふふ」
宗次郎に笑われた。すー…ふー…。
「…いいぞ」
「ッ!?」
俺の気配の変化に宗次郎の気配も変化する。
「え…えと…では、始め!」
互いに何も言わず、剣先を動かしながら探る。そして円を描くように動き、時に踏み込み牽制する。
「「…」」
やはり沖田総司…全く動じないし、隙が見当たらない。仕方無い…勝負に出るか。
我が存在、既に空なり。
「ッ!?」
俺の刀を宗次郎が受ける。止められるか…流石沖田総司だな。弾かれ、斬り返されるが俺は躱し、再び斬りかかるが、受けられる。そして剣戟の打ち合いになる。
「はぁああ!」
「く…はぁああ!」
やはり速い…そして上手い。天才剣士と呼ばれるだけはある。一つ一つの動きが最小限で速く鋭い。俺はそれに辛うじて対処している感じだ。
どうしてもステータス差がある…そしてその差を宗次郎も感じて、強引に来る。くそ!
俺は下がると宗次郎も下がり、構えが突きになる。やばい!?
宗次郎が縮地で姿が消える。
俺は宗次郎の心臓を狙った突きを止める。瞬間、首と顔を貫かれた。
「三段突き」
速すぎだろう…これが沖田総司の代名詞『三段突き』か。
「そこまで! 勝者宗次郎さん! タクトさん、大丈夫ですか!?」
「あぁ…決闘だから大丈夫だ…」
完全に負けたな…本当に有名NPCとの決闘は負けっぱなしだ。ステータスの差はどうしようもない。ならば他のところでなんとかするしかない。なんとかしないとな。
「大丈夫ですか?」
「あぁ…負けたよ」
「いえ…素晴らしい腕前でした。最初の技には驚きましたよ」
あれで決めれなかったのが敗因だけど、見切りなどで最初の攻撃は気づかれるんだよな。
「いや~、すごい勝負を見た気がするよん」
「やはり有名NPCは強いですね~」
「三段突き…格好良かった」
確かに格好良かったがやられるほうは堪らない…まだ直線上の攻撃ならいいが、微妙に突きの角度が違っていたのがえげつない。どう防御すればいいのか全くわからない。
するとイクスが反応する。
「マスター、レーダーに反応あり。正面です」
敵だな…俺たちが移動すると海流が不自然に荒れていた。
「これは…ここですよ! 私の船がダメになったのは!」
全員が武器を構える。そして敵が現れた。
「ごろにゃーん!」
『…はい?』
現れたのは巨大な招き猫風の猫だった。
海猫?
? ? ?
全員が固まる。なんだ?この招き猫は?戦っていいのだろうか?
「にゃ…にゃーん…」
海猫は招き猫ポーズで海中に帰っていく。な、なんだったんだ?
「え…えと…帰して良かったんですか?」
「…倒したほうが良かったのか?」
「ダメだよ! あんな可愛い猫さんを攻撃するなんて断固反対!」
暁は動物好きであることが確定した。
「あんなのに襲われて私は死にかけたんでしょうか?」
「そういうことになるんだろうな…いなくなったからか海流は元に戻った。先に進もう」
わざわざ追ってまで仕留める気はなかった。それよりも早く和の国桜花に行きたいからだ。その後は宗次郎の指示通りに進むと問題なく進み、島が見えてきた。
「見えました! あれが和の国桜花です!」
いよいよ念願の和の国桜花だ。




