#49 テイマーの襲撃と極寒の熊
翌日、俺達は昨日と同じく最初に獣魔ギルドで召喚を行った。ルークのお願いを聞き、俺も通常の魔石召喚だ。結果はこちら。
名前 ゲイル ライオンLv1
生命力 8
魔力 6
筋力 12
防御力 8
俊敏性 8
器用値 6
スキル
噛みつきLv1 爪撃Lv1 威嚇Lv1 夜目Lv1
俺が召喚したのは立派な鬣を持つライオンさんでした。俺の魔石召喚伝説ここに破れる。きっとルークのせいだ。
名前の由来は烈風の英語読みです。ゲールが一般的らしいがゲイルのほうが俺は好きです。なんというかネコ科の動物って風の名前が合う気がするんだよね。ステータスは平均だね。王者に弱点はないと言いたげだな。
で、肝心のルークだがスライムを召喚していた。チロルの雰囲気が氷点下まで下がった気がした。
「誤解だ! 僕は望んで召喚したわけじゃない!」
そうだとしても仲間にした事実は変わらない。チロルはウルフ被りだった様子。落ち込みながらもモフモフを堪能している様子だ。召喚師にはリスト召喚という希望があるし、ウルフは進化先がたくさんある事を話すと気分を変え、狩りに意識を向けた。
その後、無事に進化完了。チロルが選んだ進化先はホワイトウルフ、レッドウルフ。対極のウルフを選んだ形。いい選択だと思う。本人はホワイトウルフのモフモフに夢中だけどね。
気になるバットの進化先は二つあったらしい。ブラッドバット、サウンドバット。どうやら吸血特化と音波特化という話だった。チロルはサウンドバットを選択した。
そして問題は更に翌日の金曜日に起きた。俺達は昨日と同じく最初に召喚を行う。俺はリスト召喚で念願の二体目のタイガーを選択。狙いはホワイトタイガーなので、それにあった名前にする。
名前 白夜 タイガーLv1
生命力 8
魔力 2
筋力 14
防御力 10
俊敏性 10
器用値 8
スキル
噛みつきLv1 爪撃Lv1 跳躍Lv1 夜目Lv1
白夜は太陽が沈まない自然現象だね。それとは関係なく白と夜はホワイトタイガーに合ってると思ったので、付けてました。虎徹が漢字だし、ちょうどいいだろう。ステータスは虎徹の初期と一緒だ。ま、当然だな。そして白夜を召喚したことで召喚魔術がレベルアップした。
ルークとチロルは仲良くヒヨコ。
「いや、きっと強くなると思うぞ? 落ち込むなって」
昨日と同じようにフィールドに出たわけだが…明らかに嫌な視線を感じた。実はルーク達とパーティー組んでからそこそこ視線を感じていたわけだが、嫌な視線という感じではなかった。だが今日のは確実に嫌な視線で相手は完全にこちらの後を付けていた。そこで俺は予定を変更して魚釣りをする湖に向かう。
「今日は湖で魚釣りでもしようか」
「えーっと、俺達もですか?」
「君たちもだ…三日間、付き合ったんだ。少しは俺にも付き合ってくれ。それに食材を手に入れるのは悪いことじゃない。ルークもチロルも召喚獣が進化したんだ。もう十分やっていけるんじゃないか?」
「それは…確かにそうかもしれませんね」
「いつまでも一緒というわけにはいけませんよね」
ま、卒業祝いぐらいはしてあげようかな?確かルールなしで決闘をしたり、普通の戦闘でプレイヤーを倒したら、所持金とアイテムをランダムで1つ貰えるらしいからな。
湖に到着し、俺はストーキングしている奴らに声を掛ける。これでいなかったら笑いものだな。
「ここなら周りには俺達しかいないぞ。ストーキングはやめて出てきたらどうだ?」
「「え?」」
二人は意味が分からないという感じだが、俺がそういうと森から3人のプレイヤーが出てきた。彼らはウルフばかり連れていた。中には進化しているウルフもいる。もふもふのファンクラブか?
「まさか気づかれているとは思わなかったよ。幼女サモナーさん」
俺のことだよなー。もうその呼び名確定なんだろうな。3人もいるから。
「そっちはウルフばっかりだな。モフモフのファンクラブか?」
「ふん。掲示板を見ない奴はこれだから困る。ウルフは集団戦特化のモンスターなのだよ。つまり揃えれば揃えるほど強くなるのさ」
ま、否定はするまい。確かにウルフの群れは驚異だからな。
「なるほど。でもいいのか? ウルフばかりだと後々、大変だと思うが」
「困ったら、ウルフを捨てて他のモンスターを増やさせばいいだけだろ?」
「俺達はテイマーだからモンスターなんていくらでもゲットできるんだよ」
どうやら彼らは猛獣使い、テイマーらしいな。それでも使うときは使って、使えなくなったら捨てるその考え方は気に入らないな。テイマーとしたら当たり前の戦術なのかも知れないが。
「全く参考にしたくないアドバイスをどうも。それで何か用なんだろ?」
「この状況がわからないほど、馬鹿ではないだろ?」
だろうね。相手は3人でウルフが沢山。恐らくレギオンを組んでいるだろうな。こちらは現在俺、ルーク、チロル、グレイ、ゴブーナ、ゴン太だ。普通に戦えば詰んでいる状況だろう。普通ならだが。
「タ、タクトさん。まずいですよ。これは」
「ど、どうすれば…」
「俺からの卒業祝いだ。俺達が相手をするよ。これでも護衛だからね」
俺とグレイが前に出る。
「お前らの相手は俺達がしてやるよ。どうする? このまま戦うか? それとも決闘で決着を付けるか?」
「話が早くて助かるね。こちらはPKになるつもりはない。決闘で殺してやるよ」
PK?ペナルティーキックじゃないよな。よくわからないが俺とこいつら三人で決闘をすることになった。ルールなしのデスマッチだ。というわけで手加減なしで行きましょうか。
「レギオン召喚」
俺の周辺にリリー、イオン、セチア、虎徹、コノハ、チェス、ゲイル、白夜、ひよりが召喚される。あ、ひよりは危ないから俺の頭の上で待機してます。相手の様子はドン引き。ウルフ達も絶望している気がする。
「うわー…」
「数は相手のほうが多いけど…これって」
ルークとチロルも引いてます。だが勝負の世界は非情なものだ。リリーが状況を理解できなくて、俺に聞いてくる。
「タクト、どうしたの?」
「あぁ。あの人達に喧嘩を売られてね。皆には悪いが手を貸してくれ」
「わかった!」
「タクトさんに喧嘩を売ったんですか…」
「身の程を知りませんね…」
リリーが元気に返事をする一方でイオンとセチアが怖かった。そして他の皆も戦闘体制だ。
「ひ、怯むな!」
「数はこちらのほうが上なんだ!」
「一匹ずつ確実に倒していくんだ!」
これは決闘なので逃げ場がない。彼らも腹を決めたようだ。そして決闘が始まった。
まず最初。押し寄せるウルフの群れに対してリリーがいつもどおり突っ込み、得意の技を放つ。
「ヘビースラッシュ!」
ウルフ5体に直撃。そのウルフ達は吹っ飛び、決闘フィールドに激突。お亡くなりなった。
「オ!? それにカ!? いや、エか?」
こいつはウルフの名前にエ、オ、カとか付けているのか…しかも見分けがついていないし、最悪だな。
「3!? 5!? くそ、1、2! 幼女を狙え!」
こいつは数字かよ。となると3人目も予想がつくな。そして幼女なら後、二人いるぞ?ウルフたちはちゃんとリリーを狙うからウルフは本当に優秀だな。
「E!? A、B! お前達も幼女を狙うんだ!」
期待を裏切らないな。アルファベットか。こいつら本当に捨てる気満々なのがわかるな。
とはいえ、リリーが狙われている状況だが、これもいつも通りの光景なので慌てない。むしろ現状のメンバーでどう連携するかみたいところ。
リリーのフォローに動いたのはイオン、チェス、虎徹だ。イオンはグレーウルフを一匹斬り刻み、虎徹はブラックウルフを虎パンチで吹っ飛ばした後、襲いかかって来るグレーウルフに逆に噛み付いた。
チェスはアッパーのような熊パンチでレッドウルフを空へ。だが残念ながらレベルが低いチェスではレッドウルフは仕留められなかった。
だが空にはコノハがいる。コノハが打ち上がったレッドウルフを蹴落とし、落下地点にはチェス。再び渾身の熊パンチが入り、レッドウルフは決闘フィールドに激突。お亡くなりなった。見事な連携だな。我ながら鼻が高い。
そしてリリーの2度目のヘビースラッシュ。吹っ飛ばされる3匹のウルフ。南無。
残りは3人と3匹。絶望的な状況でも主人のために戦いを挑むウルフ達に俺は称賛を贈りたい。
だが最後はゲイル、白夜がウルフに噛み付き。最後の希望のホワイトウルフはチェスのパンチで空へ打ち上げられ、このパターンはと思ったら、背後からセチアの【アースショット】がホワイトウルフに直撃。更にコノハが【ウインドカッター】で地面に落とし、虎徹が空中で噛み付きキャッチ。
ホワイトウルフ…お前…頑張ったよ。君の勇姿は忘れない。
さて、残りは3人だ。
「ま、待て」
「話せばわかる」
「せめて幼女に止めを」
話せばわかる要素ないな…この三人は虎徹、チェス、ゲイルに取り押さえられ、グレイが止めを刺した。やはりこいつらの止めはグレイが適役だと思ったのだ。
そして決闘に勝利したのでレベルアップ。そしてチェスがLv8に到達したので、お馴染みにのインフォが流れる。
『チェスのレベルが8に到達しました。進化が可能です』
注目はひより。俺はお前の頑張りを知ってたよ。頭の上でひたすら羽を羽ばたかせ戦おうとしていた姿をね。一応ひよりの名誉のために言ったがやはり注目はチェスの進化だね。早速見てよう。進化先がこちらの三つだ。
パンダ
白と黒にはっきり分かれた体毛が特徴の熊。ステータスは平均的で泳ぐことは出来ないが普通の熊とは違う変わった戦い方をし、風魔法を得意としている。
グリズリー
熊の生態系でトップクラスの熊。ホッキョクグマより攻撃力、防御力高いのが特徴。泳ぐことは出来るがホッキョクグマほど、上手くはない。
ホッキョクグマ
極寒の地に住んでいる熊。グリズリーよりステータスで劣るが氷属性の攻撃を得意としてる。また泳ぐことも得意。
あー…なんだこのパンダが気になる感。チェスの名前からしたらグリズリーだがホッキョクグマを選びたい。イオン以外の水中戦力は貴重だ。だがパンダの普通の熊とは違う変わった戦い方と言われて、中国拳法で戦うパンダの絵が脳内から離れない。えぇい!俺はホッキョクグマに決めたんだ!
『チェスがホッキョクグマに進化しました』
名前 チェス クマLv8→ホッキョクグマLv1
生命力 26→30
魔力 2→16
筋力 26→30
防御力 26→30
俊敏性 11→15
器用値 11→15
スキル
噛みつきLv1 素手Lv2→Lv3 強襲Lv2→Lv3 水泳Lv1 氷爪Lv1
チェスの姿は動物園や水族館で見かけるホッキョクグマそのものだ。毛並みを確認してみる。おや?白色だ。現実だと透明なはずだが、些細な問題だな。で、肝心の毛並みだがフカフカというよりフサフサって感じだな。
パンダについては後で検討しよう。中国拳法を操るパンダの戦闘は是非見てみたいからな。
色々あったがともかくこれでルークとチロルの護衛とサポートは終わり。ルインさん達にも今日のことを報告してルークとチロルは無事に卒業だ。
別れる際に今まで俺が二人に教えた情報の公開許可をお願いされた。なんでも俺の情報は掲示板に上がってないものが多く、多くの召喚師の助けになるそうなので、許可した。
ただ今日のことで俺は少なくともテイマーの三人に恨みを持たれたことになったから気を付けるようにルインさんから言われた。
気にしすぎだとは思うが俺はリリー達と平穏無事に冒険を楽しみたいものだ。
名前 タクト 召喚師Lv15
生命力 24
魔力 54
筋力 17
防御力 10
俊敏性 15
器用値 32
スキル
素手Lv5 蹴り技Lv6 杖Lv6 召喚魔術Lv12→Lv13 錬金Lv6 採掘Lv6 解体Lv7 鑑定Lv7
識別Lv4 風魔法Lv5 火魔法Lv6 土魔法Lv5 水魔法Lv5 闇魔法Lv5 光魔法Lv5 雷魔法Lv3
爆魔法Lv2 木魔法Lv2 氷魔法Lv2 時空魔法Lv3 読書Lv4 料理Lv15 餌付けLv3 釣りLv5
名前 セチア エルフLv1→Lv4
生命力 10→13
魔力 30→36
筋力 6
防御力 4
俊敏性 10
器用値 30→36
スキル
杖Lv1→Lv2 採取Lv1 調薬Lv1 水魔法Lv1 土魔法Lv1→Lv2 木魔法Lv1
樹魔法Lv1 エルフの知識Lv1
名前 ゲイル ライオンLv1→Lv4
生命力 8→14
魔力 6→8
筋力 12→18
防御力 8→14
俊敏性 8→14
器用値 6→9
スキル
噛みつきLv1→Lv2 爪撃Lv1→Lv2 威嚇Lv1→Lv2 夜目Lv1
名前 白夜 タイガーLv1→Lv4
生命力 8→14
魔力 2
筋力 14→18
防御力 10→14
俊敏性 10→12
器用値 8→10
スキル
噛みつきLv1→Lv2 爪撃Lv1→Lv2 跳躍Lv1→Lv2 夜目Lv1
名前 ひより ヒヨコLv1→Lv4
生命力 6
魔力 2
筋力 2
防御力 2
俊敏性 8
器用値 2
スキル
飛行Lv1→Lv2
次回の2話は掲示板と運営の雑談回です。特に運営の話では物語の裏設定に触れる予定です。お楽しみにです。