#484 海の天軍の襲撃
翌日、学校が終わりログインする。するとヘーパイストスからメールが来ていた。
リリーの新しい大剣が完成したみたいだ。
リリーと鍛治場に向かうと見事な水晶の剣があった。そして鍛治場で寝ているヘーパイストスの姿があった。
色々注文が来ているなか、なんとか決戦前に間に合わせてくれたんだろう。
ベッドに寝かせ、大剣を鑑定する。
水晶竜の大剣:レア度9 大剣 品質A+
重さ:180 耐久値:200 攻撃力:180
効果:荷重操作、水晶投擲、大物特攻(特)、ドラゴン能力アップ(特)
水晶竜の爪から作られた大剣。剣の芯にタングステンとドラゴンメタルが使用されていて、ドラゴンの力を強め重さを変化させることが出来る。更に水晶投擲で遠距離攻撃も可能な地属性の大剣。
タングステンとドラゴンメタルまで使用してリリーの長所を伸ばしてくれたんだな。見事だ。
「ありがたく使わせて貰うな。ヘーパイストス」
「ありがとう。ヘーパイストス」
その後ギルドで会議を開き、クエストクリアのために話し合う。
「海神を討伐は出来ないんですか?」
「ギルマスなら出来そうな気がしますけど」
「アインシュタインさんから無理だと言われたからたぶん勝てないだろうな…」
「イベント内容も討伐になっていませんから恐らく勝てないボスを用意されていると思います。下手に船を出すと壊され損になりますよ」
船もただじゃない。素材はあるし、直すことは出来るが戦うとなると船は全滅することになるだろう。スクナビコナも神様には勝てないことをバアル戦で証明している。
「結局怒らせた人が謝るなり何かしないとクリアにならないってことですね」
「フリーティアの入国は一時的に封鎖して、台風対策をしましたので、とりあえずは安心だと思います」
「神様が直接来ませんか?」
「もしそう来るなら狙われるのは怒らせた人たちでしょう」
そうなるだろうな…出来れば被害は無く終わりたいが、当然そうはいかない。
夕飯を食べて、ログインするとシフォンたちが来る。
「あ、タクト君!」
「タクト、天使がヴェインリーフに現れたらしい!」
俺はギルドに向かうとみんな混乱していた。
「ギルマス! 討伐に向かいますか?」
「いつでも行けます!」
「ちょ、ちょっと待て。天使が現れたのはいつで今もいるのか?」
『あ…』
全員が止まる。敵襲が発生したのがずっと前なら今から行っても意味がない。更に他国のことには簡単に関われないだろう。
するとサバ缶さんが来た。
「情報を集めて来ました! 天使たちはヴェインリーフを襲撃したあと『バアルの聖櫃を早く返せ。返さない限り襲撃は何度でも繰り返す』と言うと帰ったらしいです」
つまり敵はもういないわけだ。全員が溜め息を吐く。するとヴェインリーフにいるクロウさんから情報がもたらされた。
敵はどうやらマーエンジェルという人魚のような天使だったらしい。わざわざ海よりにしてくるのか…バアルの時は違ったのに。そのまま会議をすることになった。
「怒らせた人はヴェインリーフにいることは確定でしょうか?」
「でしょうね…恐らく武器の調達だと思います。もしくはクエストのトリガーを引いて、山に逃げたら安全とかそんな所じゃないかと」
確かに海の神なら山には手出し出来ないと思うかも…結局は襲われたわけだが…。
「問題はトリガーを踏んだ人が海の神にバアルの聖櫃を返す気があるのかどうかですね…」
「ヴェインリーフは動いていないんですか?」
「町に相当の被害が出たので、手が回っていないと思います。ただトリガーを踏んだ人は死に戻ったでしょうからどうなるかですね。フリーティアで復活する可能性もゼロじゃないですよ」
あぁ~…宿をフリーティアにとっていたままヴェインリーフにいたら、復活するのがフリーティアになるのか。早く返して貰わないと…どうする?
「どうしたら、返して貰えるかな?」
「そのアイテムを買うとか?」
「それだけでクリアになるんでしょうか?」
「普通なら奪った人が直接謝って返すのが筋よね」
やはりなんとかして返して貰わないと。どうすれば海に行って貰えるんだろう?う~ん…あ。
「トリガーを引いた人は強い人ですよね?」
「え? 恐らく攻略の最前線にいた人だと思いますよ?」
そうだよな…それならチャンスはある。
「俺たちが海の神を攻略する情報を流せば、戦闘に参加してくれないでしょうか?」
『あ…』
全員が考える。
「海に行くのを待つのではなく、海に行かせる状況を作る訳ですか…」
「攻略組なら参加するんじゃないかな?」
「そうね…でもそれなら私たちは海の神と対戦することになるわ。怪しまれたら、本末転倒だし…被害を恐れる人もいるわよ」
確かにそうか…それなら被害を出ないようにするか。何かしないといけない。
「スクナビコナの魔導砲と俺がバアル戦で使ったエンゲージバーストを使う…これではダメでしょうか?」
全員がざわめく。
「それは…直に見たい人など沢山いるでしょうし、現在の最大級戦力ですから参加者には困らないと思いますが」
「ペナルティが発生するんでしょう? それに戦闘になったら、どうするのかしら?」
「全力で戦うだけです。バアルを倒した俺と対峙するなら相手は文句ないでしょう…恐らく俺は海の神にとって、子供の仇ですから」
全員が考える。もう探しているアイテムがバアルの聖櫃なら海の神はダゴンで確定だろう。
「そこまで考えているのね」
「海の神は恐らくダゴンで確定。ダゴンは元々は良い神だったが、ユダヤ、キリスト教では邪悪な神とされた神様です。実際に近年では敵として出てくることが多いですね。強さは間違いなく強いでしょう。あのバアルの父親でもありますから」
サバ缶さんがまとめてくれた。するとメルが口を開く。
「それってつまり、タクト君が囮をするってことだよね? そんなこと許可できると思っているの?」
メルは怒るよな…
「なら他に良い案を出してくれ」
「う…なんとか犯人を見つけて、説得すればクリア出来るよ」
「それに苦労しているから俺はこの話を出したんだろ?」
メルが沈黙して、俺を睨む。おぉ~、怖い怖い。
「案がないならこの作戦で行こう。ギルマス命令」
「こういうときに変な権力使わないで!」
怒られた。俺がギルマスなのに…よえー。しかしルインさんとサバ缶さんが話す。
「メルちゃん…残念だけど現状これが最適解だと思うわ」
「ですね…早くしないと被害が出てしまいます。最後に確認しますが本当にいいですね?」
「はい。ペナルティで俺はその後、参加出来なくなるでしょう。みんなに色々押し付けることになるけど、いいか?」
するとみんなが笑う。
「そのくらいお安い御用さ」
「ギルマスが本気出すならそれまでの戦闘は任せて貰いますよ」
「ですね! ギルマスだけ目立たれては困ります」
俺はいい仲間に恵まれたな。因みにこのまま行くと俺のデスペナ期間は夏休み初日とぶつかることになる。夏休みの宿題を終わらすには持って来いだろう。
「では、私は掲示板で募集をしてきます」
「私たちはこっそり作戦の本当の狙いを強い人たちに話して回るねん。その方が参加しやすいだろうから」
「お願いします」
おぉ…銀たちはこういうことをするんだ。
「私たちは作戦の詳細を詰めましょうか」
「私はアイテムのチェックしてくるね!」
「お願い。作戦が決まったら、伝えるわ」
こうして俺たちは作戦を詳細を詰めた。作戦開始は明日だ。俺はリリーたちに話をして、覚悟を決めさせた。
「わかった! 頑張って倒そう! タクト」
「負ける前提なんてタクトさんらしくないですよ?」
「タクト様は安心して戦ってください」
「そうだな…よし、海神を倒すぞ!」
『おぉ!』
覚悟を決めさせられたのは俺だったな。ログアウトする前に水晶竜の大剣を島で使ってみた。
「やぁ!」
リリーが大振りすると巨大な水晶が出ると地面に刺さる。動きが小さいと水晶も小さくなる。
更にドラゴンメタルの効果でドラゴンクローのオーラもでかくなっている。
「タクト! この剣凄いよ! それにこれでぷよ助に負けない!」
リリーのトラウマになっているからな。次の決闘の際にはぷよ助はそれも効かなくなっている気がするがそれには触れないでおこう。
「よかったな。リリー」
「うん!」
性能確認も終わったし、明日のためにログアウトした。




